コナン・ドイルのレビュー一覧
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「恐怖の谷」コナン•ドイル
The valley of fear 1914-15
内容と構成から言って、「緋色の研究」に引き続いて書かれたと思っていたが、そうではなかった。
ホームズがデビューする「緋色の研究」が書かれたのは1887年。
「恐怖の谷」はそれから4半世紀後、第一次世界大戦の直前に書かれている。
思い込みは恐ろしい。
ホームズのヒット(「冒険」)は1892年。
早くも1893年にはドイルはホームズを殺してしまう。
ドイルは気の短い「殺人者」だ。
母親がドイルを「人非人!」と非難したのも尤もだ。
1901年に久々に「バスカヴィル家の犬」でホームズを登場させ、ようやく1903年になってホームズは生還する。
ホームズ物を書く一方、ドイルは、1912年に「失われた世界」でSFに進出する。
そして、第一次世界大戦直前に書かれたのがこの「恐怖の谷」だ。
第一部 事件の概要と解決
第二部 事件の背景となった「恐怖の谷」での事件
という構成になっていて、これは27年前の「緋色の研究」と同じだ。
「恐怖の谷」とは、ペンシルヴァニア州ヴァーミッサ峡谷のことで、そこにある炭鉱はマフィアによって仕切られている。
第二部の歴史因縁話の舞台をアメリカに設定すると言うのも「緋色の研究」と同工だ。
ホームズの推理ものでは飽き足らなくなったドイルが、「緋色の研究」を思い出して、ホームズの推理物に歴史ものを付加した「推理+歴史(冒険)」小説を書いたものと見ることができる。
読者にとっては「2度美味しい」作品。
それぞれ完結した物語として読むこともできる。
推理ものでは表現できない、ハラハラドキドキ波乱万丈の冒険活劇を付加することで、初めてドイルの長編が出来上がる。
イギリスでは起きえない冒険が、未知なる世界では起こり得るという発想は、ドイルのホームズものには良くあるが、それがアメリカであると言う点で、同時アメリカがヨーロッパからみると何でもありの「未開の地」であったと言うのが興味深い。
これはある種の英国中心主義とも言えよう。
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Posted by ブクログ
ホームズ長編2作目。
……なのですが、約200ページと薄い本のわりに、かなり読むのに時間がかかってしまいました。仕事が繁忙期なのもあるのですが、回想が……長い!笑
本来は手が止まらなくなる推理小説の終盤のはずなのに、何度も寝落ちしかけました。。
しかし今作の目玉はなんといっても、ワトスン君の結婚ではないでしょうか!
登場2作目にして伴侶を見つけるとは、どこぞのヘイスティングスと同じ。ワトスン君が惚れるのはいいのですが、モースタン嬢もそれでいいのか?!と思わずツッコんでしまいました笑
それから、時代がくだった作品によく出てくる”未開の現地人の毒矢”が出てきて謎に感動。しかしこれは読者は推理できないのでは……。
ホームズシリーズでは、次に『バスカヴィル家の犬』が手元にあります。
傑作と名高いこちらも気になるところですが、そろそろもっと派手に事件が起こる作品が恋しいところ。。
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Posted by ブクログ
ネタバレ殺人を手助けしてまで財宝を手にした一方で、自分たちを出し抜いた相手は殺したいほど恨みを持ち、だけど子供にまでは手を出すつもりはない。
そして署名をした4人の仲間には律儀さがあり、犯人には犯人の正義があるのかなと思いました。
1作目はホームズの変人さが際立ってましたか、この2作目はシリーズを読む前に抱いていたホームズのイメージで博識さや多才さが散りばめられていて、今後のシリーズに期待が膨らみました。
モースタン嬢の落ち着いた感じとさりげない有能さも良かったです。
しかし4日でプロポーズは早すぎる!
コカインについては豆知識的なもので薄らとした記憶だったのでちょっと衝撃がありました。当時の日常なのかなと思うと、日常から始まって日常戻るのが切り取り感があっていいなと思いました。 -
Posted by ブクログ
実は、ほぼ初めて読むシャーロック・ホームズ。
私の世代としてはやはり『名探偵コナン』の影響がとても大きく、「ベーカー街の亡霊」が公開された頃に”シャーロキアン”に憧れて図書室にあったホームズに触れたりしました。
しかし、子供向けならまだしも原作は当時の私にはなかなか難しく……あれはハードカバーだった記憶があるのですが、どこの出版社だったのかなぁ。この『シャーロック・ホームズの冒険』も借りたものの、ほとんど読めず返却した少々苦い思い出があります( ˊᵕˋ ;)
今回はしっかり読破でき、なんだか感慨深いものがありました。
短編といえど読み応えのあるお話が十編収録。
はっきり結末を覚えていたのは「まだらの紐」だけなのですが、別の作品で目にしたような展開も多く、今さらながらコナン・ドイルの影響力の大きさをしみじみ感じました。
ホームズが敗北する「ボヘミアの醜聞」から始まるのも面白いところ。
そんな方はいないと思いますが、本書からホームズに触れると「ホームズって完全無欠じゃないの?!」と意外に感じるかもしれませんねぇ。
私の中で印象的だったのは「青いガーネット」と「まだらの紐」。
○が苦手な私にとって、「まだらの紐」は恐怖でしかありません……!屋敷に着いた時の雰囲気もおどろおどろしくて◎
また、時代が下ったクリスティー作品を読んでいると”ヴィクトリア朝時代の生き残り”なんて表現される人物が時々出てくるのですが、まさにその時代なので雰囲気を味わえるのもとてもよいです。出版社ごとの読み比べも楽しそう。
ただ収録話の関係か、結婚しただけで命を狙われる娘さんが多く、職業婦人が登場するクリスティー作品に惹かれるのはそういうところなのかな〜と思ったりもしました。
『緋色の研究』『四つの署名』も続けて読んでいきたいと思います! -
Posted by ブクログ
不滅の名探偵シャーロック・ホームズを生み出したコナン・ドイルの短編集。幻のデビュー作から死亡前に書かれたモノまでなので時代的に幅広い。また解説にある通り新潮文庫の『ドイル傑作選』辺りと重複しない様な選定となっている気の使いようである。サスペンス、仮想戦記、ギャングなどなどジャンルも一様では無い。一貫しているのは読み易い文章である事。これはドイルの天稟もあるだろうが本人がかなり注意していたと推察される。話自体はそんなに傑作とも思えないが御者が色々な事件を語る話はキャラ設定を上手くすればシリーズ化したのではあるまいか。
あとベル博士らしき医師の観察眼の話などはホームズファンなら直ぐに気づかれるであろう。