シリーズ第六弾。
食堂兼料理教室〈菜の花食堂〉のオーナー・靖子先生が様々な謎を解明していく連作五話が収録されております。
前巻で”わかりにくすぎる告白”を経てめでたくカップルになった優希と川島さん。
二人が"地元デート"中に見つけた「文旦フェス」をきっかけに、靖子先生の"華麗なる過去"が明らかに(第一話「文旦とためらい」)。
優希は自分の知らない靖子先生の過去があることにモヤっていたけど、周囲が騒がしくなることにうんざりしている感じの靖子先生からすれば、敢えて自分から言う事ではない、ってなるのも"そら、そうでしょ"って思いますけどね。
このように、騒がれることを避けたい靖子先生なので「謎解きが得意と言われることもあまり喜んでいない」わけですが、それにも関わらずわざわざ"謎解き"目当てで靖子先生を訪ねてくる人まで現れる始末(第三話「ゴーヤは打たれ強い」)。
とはいえ、いざ相談されると持ち前の洞察力で見事に謎を解明してしまうのは流石ですよね。
そんな感じで今回も例によって安定の安楽椅子探偵っぷりを見せてくれた靖子先生でしたが、心配なのは第四話「疑惑のカレーライス」で、地域のお祭り「野川まつり」の最中に、体調不良者が続出した原因を"大麻クッキー"と見破ったまではよいのですが、肝心の真犯人がまだはっきりとしていないことですね。
この件は次巻に持ち越しなのでしょうか・・気になるところです。
そして気になるといえば、この巻では主人公・優希の未熟さが目についたな・・と。
第一話で靖子先生の過去を知らなかったからといって拗ねたり、第五話&表題作「人参は微笑む」で、靖子先生がコロナに罹ったのを、お客様(実は息子さんでしたが)に「(靖子先生が)コロナなので・・」と言っちゃったりと(飲食店なんだし、第五類だからといってこれは軽率かと・・インフルでも同じことですよね(;'∀'))、"優希、もうちょい大人になれよ!"と思った私です。
・・と、まぁ色々あったにせよ靖子先生不在の〈菜の花食堂〉を、優希と香奈さんが協力しあって切り盛りしたのは良かったですし、ラストは靖子先生にとって嬉しい再会があり、ほっこりエンディングで何よりでした。
てな訳で、美味しそうなお料理と謎解きを楽しめる当シリーズ、続編も楽しみにお待ちしております~。