碧野圭のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ松江の気持ちもわからないわけではない。松江は契約社員だから、本来正社員を教育する義務はない。しかし、毎日いっしょに仕事をすれば、ベテランの方が未熟なスタッフをフォローする必要が出てくるし、状況に応じて編集技術をレクチャーしなければならないこともある。時間いくらで雇われている自分が、正社員になぜ無駄な時間を割かなきゃいけないのか、と思ってしまうのだろう。正社員で高い給料を貰っているなら、契約社員よりレベルの高い仕事をしろ、と言いたくもなるだろう。だけど、それを態度に出してはダメだ、と伸光は思う。それを正直に出してしまう松江は、ある意味人がいいのだ。自分の思っていることを素直に出せるというのは、まわりの人間を信頼している証だから。会社という組織の中では、うかつな発言で揚げ足を取られないように警戒するに越したことはない。
「このまま続けるしかないじゃないですか。人の噂も75日といいますし、黙って耐えるしかないでしょう。言い訳すればするほど噂は続くし。我々は黙って、結果を出し続けるしかないんですよ」思いがけない回答だったのか、松江は泣きそうな顔になった。森野の言葉は優しい。厳しいことを言っているようで、松江を激励している。日頃の森野に対する松江の態度を思えば、信じられないほどやさしい言葉だ。
「そうですね。あの子は私より勇気がある。自分の才能の限界と戦う覚悟があるんだから」父親は噛みしめるように言う。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ一人娘を育てながら、人気女性誌の副編集長をしている主人公が突然理不尽な降格を命じられ、学校では娘をめぐるトラブルまで発生するが、それでも会社を辞めず、自分で自分を励ましながら働き続け、復活を遂げるお仕事小説。
『書店ガール』シリーズ碧野圭さんのデビュー作、ということで読んでみた。2014年の作品だけど、出版社の編集という仕事柄、締め切りに追われ、残業も多いことは想像が容易で、当時は今よりもさらに、母親が働くには家庭・自分の精神的な犠牲を伴う環境だったのだろうと察する。その状況がすごくリルなのは、碧野さんご自身が同じような経験をしてからだと解説で語られている。
前半は、主人公の少し頑張りすぎている姿と、一転して次々と受ける理不尽な仕打ち、配慮のない上司や同僚の態度・言葉、頼りない旦那にこちらも心が折れそうになった。
それでも、「見返してやる」「娘に逃げる姿を見せられない」という強い気持ちで会社に残り、腐ることなく、新たな挑戦に挑み、周りとの協働で、主人公自身も柔軟に変わっていく姿に、やっぱり働くことっていいなと思った。
旦那の協力もあまり得られない中、子育てをしながら働くってとっても大変で、疲れてイライラしたり、ときにはヒステリックになったりしちゃうことだってあるけど、子供は頑張っている母親を見ていてくれるし、母親だからこそできる仕事のやり方、考え方があるから負けずに頑張ろう!と励まされた。