守屋淳のレビュー一覧
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ネタバレ多くの有名経営者たちが愛読している中国の兵法、「孫子」を現代の戦略へどう反映させていくか、という話。私自身は孫子について初めて触れた本なので、とても面白かった一方で、ビジネスへの汎用性という点はなかなかすぐには難しいと感じた本。
本の半分以上は孫子の兵法の考え方と時代背景を紹介しており、まずはどう戦争で勝つべきかということが中心。
6割すぎたくらいから実際どう使うかの考察に入っていくが、具体性はあまりなく、概念的な話も多いので応用しづらい。しかし欧米のクラウセヴィッツの戦争論との比較は結構面白かった。
まず兵法の特徴を抜粋。
戦わずして勝つのが最善
→そもそも国力を守るためには交渉などで戦 -
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戦略本として有名な『孫子』と『クラウゼヴィッツ』を比較して、両者の長所と短所を見ていく。前者は、何よりも相手の実力、知力などといった基本的な情報を優先的に考える。そのため、頭脳と謀略を駆使して、できる限り敵に軍事力を行使させないように仕向ける。それに対して後者は、戦闘の最前線での状況を重視する。つまり、相手の出方や戦況が常に変化することから、伝達された情報を信用しない。
また、上記2冊で決定的に異なる要因として、短期決戦と不敗の2つだと著者は指摘する。『孫子』の場合、消耗戦を極力避けるために、以上の二つを駆使して勝利する。一方、『戦争論』では、まず重要な部分を押さえるために努力する。別の -
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ネタバレ歴史✖️経営という二大興味テーマに合致する本。加えて三谷氏の本でもある。
最近歴史がおもしろい
メモ
・秦の急成長の秘密。それはベースの標準化
・なぜ高級ブランドがグループ化するのか。それは世界は凸凹で拠点を軸にスムーズに事業を広げて行きやすいため。展開力が高くなるため。
・不便なところにこそ強いニーズが生まれ、イノベーションにつながる
・日本軍失敗の本質
組織上の失敗要因
人的ネットワーク偏重の組織構造
属人的な組織の統合
学習を軽視した組織
プロセスや動機を重視した評価
戦略上の失敗要因
あいまいな戦略目的
短期決算の戦略志向
主観的で -
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モルトケ、レーニン、毛沢東と、名だたる歴史上の人物が影響を受けた本がクラウゼヴィッツ『戦争論』である。この本は『孫子の兵法』と並んで戦術本として名著であるが、その内容は膨大かつ難解であるので、全てを読み切るのに骨が折れる。そこで、著者が現代に生かせそうな箇所を一部抜粋して、それをもとに企業やビジネスに生かせないかと試みたのが本書である。これは『戦争論』を既読した読者にも何らかの知識、発想が得られるだろう。
本書の優れた点として、誰もが知っている言葉の意味を改めて解説していることである。例をあげると、「競争」という漢字。「競」とは競い合う対象が外にある基準、つまり自分が誰よりも優秀な成績をと -
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『論語と算盤』の現代語訳を書かれた守屋さんによる入門書。渋沢の生い立ちを丁寧に解説しながら、その原点に迫る。
本書では、渋沢の行動原理を4つに分けているが、その中でも「立志」と「無私」は、渋沢がここまで歩んできた両輪になるものだと思う。例え無私の境地にいられたとしても、高い志がなければ、その人はただの無害な人として生きていくことになるだろうし、逆に自分のことしか考えていない志は大成しないと思うからだ。
信頼が経済のもとであるというスタンスは、今の日本には「経済」を「政治」「国際理解」「教育」など、多くの言葉に置き換えて考えるべきだと思う。渋沢のような無私の裁定者はそう簡単に現れないだろうが、信 -
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日本人の価値観の根っこには、孔子らの教えがある。『論語』や儒教のものの考え方と、「日本人らしさ」。そのつながりを考察した書籍。
『論語』で教えを説く孔子は、中国の春秋時代末期、戦乱の時代を生きた。それゆえ、「平和で安定した秩序をうち立てるには、どうしたらよいのか」が、彼の抱いた問題意識だった。そして「過去の良きものにこそ手本がある」と考えた。
日本の戦国時代、武将の立場は平等で、彼らの野望を押さえる権力や権威もなかった。その後、江戸時代に、世襲を基本とした序列、上の権威に下が服従する体制が作られた。この制度設計に正統性を与えるため、『論語』や儒教の教えが使われた。
江戸時代以降、『論語』