守屋淳のレビュー一覧
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戦略本として有名な『孫子』と『クラウゼヴィッツ』を比較して、両者の長所と短所を見ていく。前者は、何よりも相手の実力、知力などといった基本的な情報を優先的に考える。そのため、頭脳と謀略を駆使して、できる限り敵に軍事力を行使させないように仕向ける。それに対して後者は、戦闘の最前線での状況を重視する。つまり、相手の出方や戦況が常に変化することから、伝達された情報を信用しない。
また、上記2冊で決定的に異なる要因として、短期決戦と不敗の2つだと著者は指摘する。『孫子』の場合、消耗戦を極力避けるために、以上の二つを駆使して勝利する。一方、『戦争論』では、まず重要な部分を押さえるために努力する。別の言い方をすると、前者は知力を尽くして相手を弱らせるのに対して、後者は直接行動で相手を崩す戦法である。
それ以外にも、両者が想定する敵の数とやり直し具合についても異なり、『孫子』では、一対一を、『戦争論』では多数を想定した戦略を前提に進める。
最後に、両者ともに共通する事項だが、そもそも戦略とは、実際に現実で揉まれながら、各々の強みと弱みを身につけなければならない。現在直面する問題に真摯に向き合い、掘り下げることで、はじめて戦略の有効性が見えてくる。 -
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ネタバレ歴史✖️経営という二大興味テーマに合致する本。加えて三谷氏の本でもある。
最近歴史がおもしろい
メモ
・秦の急成長の秘密。それはベースの標準化
・なぜ高級ブランドがグループ化するのか。それは世界は凸凹で拠点を軸にスムーズに事業を広げて行きやすいため。展開力が高くなるため。
・不便なところにこそ強いニーズが生まれ、イノベーションにつながる
・日本軍失敗の本質
組織上の失敗要因
人的ネットワーク偏重の組織構造
属人的な組織の統合
学習を軽視した組織
プロセスや動機を重視した評価
戦略上の失敗要因
あいまいな戦略目的
短期決算の戦略志向
主観的で帰納的な戦略策定 空気の支配
狭くて進化のない戦略オプション
アンバランスな戦闘技術体系
・自己革新組織の原則
不均衡の創造
自律性の確保
創造的破壊による突出
異端偶然との共存
知識の淘汰と蓄積
統合的価値の共有
・ワークシフトより
複数の専門性を持つ。
他者とネットワークを作る。
所得と消費による満足から脱却する -
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モルトケ、レーニン、毛沢東と、名だたる歴史上の人物が影響を受けた本がクラウゼヴィッツ『戦争論』である。この本は『孫子の兵法』と並んで戦術本として名著であるが、その内容は膨大かつ難解であるので、全てを読み切るのに骨が折れる。そこで、著者が現代に生かせそうな箇所を一部抜粋して、それをもとに企業やビジネスに生かせないかと試みたのが本書である。これは『戦争論』を既読した読者にも何らかの知識、発想が得られるだろう。
本書の優れた点として、誰もが知っている言葉の意味を改めて解説していることである。例をあげると、「競争」という漢字。「競」とは競い合う対象が外にある基準、つまり自分が誰よりも優秀な成績をとれば必ず勝てるということ。それに対して「争」とは敵を倒さない限り、勝ちが確定しないということである。(p21、22)別の例を挙げると、「戦略」と「戦術」の違いである。クラウゼヴィッツは、「戦略」とは戦闘力の配分を決めるものであり、「戦術」とは戦闘の仕方を決めるものと定義したが、著者はこの違いを現代人にわかるように会社でたとえた。著者によると、複数のジャンルをもつ大きい会社で、「どの事業にどの程度のお金と人を配分するのか」と、「それぞれの事業で、どのように利益を稼ぐのか」という二つの方法論があり、前者を「戦略」、後者を「戦術」と呼んだ(p173)、というようにわかりやすく解説する。このように、一見似た意味だと思われがちな言葉を明確に区別していくことで、『戦争論』の理解度を高めてくれる。
また、本書のp194〜197では、今後の戦争のあり方に関して興味深い箇所がある。これまでの戦争は「陸」、「海」、その後「空」と次々に戦闘領域が広まったが、今後起こりうる戦争として「宇宙」や「サイバー」があげられる。そこで、戦争の定義が今後どう変わるのか、また、それに向けての防衛方法を考えなければならない。とくにAIを駆使した戦争においては、AIを起動するための「周波数帯」に注意しなくてはならないということが今回読んでわかった。 -
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人は飽くなき好奇心と学びの連続により人格を磨き、その力を自らが信ずる道に注ぐことで、その道の先を唯ひたすらに切り開く。
渋沢栄一といえば新一万円札の肖像になる方で、日本の近代経済の礎を築かれた人物だ。銀行、製紙、製糖、ガス、保険、酒造、ホテル業、そして聖路加病院に代表されるような慈善的活動と、日本の商業的な発展の全ての基礎を作ったといっても過言ではない。その考え方の基本は中国孔子の思想を纏めた「論語」にある。それまでは一部の高位階級だけに必要とされたそうした教育や学問を広く商人層まで広げ、西欧諸国に比べて明らかに後進国の位置にあった日本の商業・産業を先進国レベルに引き上げようと尽力された。
本書の最初に書かれた、サッポロビールやみずほ銀行、明治神宮までも自らが設立または他者の設立に関わっている。その数500近くに上り、2022年今に至っても167社が現存している。
前述の論語について当時、学問不要と言われた商人層まで必要性を説いた事から「論語と算盤」というタイトルになる。これは栄一の講演や口述を後に纏めたものである(本人が書いた物ではない)。論語と言えば少し難しい感じがするが、一言で言えば「仁・義・礼・智・信」の五常を守ること、つまりは親や年長者を敬い、礼儀正しく、学びにより見識を身につけ自らが進んで実行せよ、と言った意味合いだ。
何やら商売に当てはまるのか疑問に感じる崇高さを帯びているが、世のために必要モノを、必要な分だけ、バランスよく流通させる事や取引が双方にとって納得のいくものであること、そこには互いに常識的な判断力が欠かせないこと、と言うように当たり前の事ばかりなのだ。
そしてそれを可能にするのが、個々人の揺るぎない信念・方向感や勤勉・真面目さにあると理解できる。そこには現代社会でも問題にされる総中流的な画一された学問に対して批判的な面もある。また女性の社会進出の必要性も説いている点で、本書冒頭に書かれている「近代日本の設計者」が表現として最も相応しい日本人だろう。
論語にしても歴史にしても、記述そのものを表面的に浅く受け止めて仕舞えば、本来伝えたかった真意が伝わらない。その語句・文脈に込められたら伝えたい本意を自ら頭で考えて理解する事で初めて理解し地に足付けた行動に繋がる。本を読む際にも、文字を眺めて脳に記録してるだけでは、数日後には忘れてしまうが、考えながら読んだ内容はそうそう忘れない。実践すれば尚の事だ。
本書はその様な考えて身に付ける行為の大切さを栄一に学んでいくことになる。
私は乱読癖で特にジャンルも方向感もなく読み漁る状態だが、人生も長いので今からでも15年先、30年先のなりたい自分を考え始めよう、そんなきっかけになる本。本嫌いな若い人達にも動画をちょっと休憩して是非読んで欲しい。 -
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『論語と算盤』の現代語訳を書かれた守屋さんによる入門書。渋沢の生い立ちを丁寧に解説しながら、その原点に迫る。
本書では、渋沢の行動原理を4つに分けているが、その中でも「立志」と「無私」は、渋沢がここまで歩んできた両輪になるものだと思う。例え無私の境地にいられたとしても、高い志がなければ、その人はただの無害な人として生きていくことになるだろうし、逆に自分のことしか考えていない志は大成しないと思うからだ。
信頼が経済のもとであるというスタンスは、今の日本には「経済」を「政治」「国際理解」「教育」など、多くの言葉に置き換えて考えるべきだと思う。渋沢のような無私の裁定者はそう簡単に現れないだろうが、信頼が様々な活動の基盤であるという事実は、今多くの日本人が再確認すべきだと思う。 -
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日本人の価値観の根っこには、孔子らの教えがある。『論語』や儒教のものの考え方と、「日本人らしさ」。そのつながりを考察した書籍。
『論語』で教えを説く孔子は、中国の春秋時代末期、戦乱の時代を生きた。それゆえ、「平和で安定した秩序をうち立てるには、どうしたらよいのか」が、彼の抱いた問題意識だった。そして「過去の良きものにこそ手本がある」と考えた。
日本の戦国時代、武将の立場は平等で、彼らの野望を押さえる権力や権威もなかった。その後、江戸時代に、世襲を基本とした序列、上の権威に下が服従する体制が作られた。この制度設計に正統性を与えるため、『論語』や儒教の教えが使われた。
江戸時代以降、『論語』や儒教の教えをもとに日本人の価値観が形成されていく。それは、次のようなもの。
①年齢や年次による上下や序列のある関係や組織を当たり前だと思う
②生まれつきの能力に差はない、努力やそれを支える精神力で差はつく
③性善説で人や物事を考える
④秩序やルールは自分たちで作るものというより、上から与えられるもの
⑤社長らしさ、課長らしさ、学生らしさなど与えられた役割に即した「らしさ」や「分」を果たすのが何よりいいこと
⑥ホンネとタテマエを使い分けるのを当たり前と思う
⑦理想の組織を「家族」との類推で考えやすい
⑧組織や集団内で、下の立場の「義務」や「努力」が強調されやすい
⑨教育の基本は「人格教育」
⑩男尊女卑