守屋淳のレビュー一覧
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月並みだがお札になる人はとてつもない偉人だと知ることができてよかった
渋谷栄一の人生論の中で、自分のことだとドキリとさせられる金言が散らばっている
少なくとも今の仕事に不平ばかり募らせる日々ではなく、すこしでも前のめりになれるところを見つけていこうと思えた
本著で繰り返し述べられていた「趣味をもつこと」
これこそが渋沢栄一を数々の事業に携わらせ、老齢になってなお精力的に活動を続けさせた力の源泉なのだと思った
楽しめる奴は強いをまさに体現した傑人
修験者の下りは彼の知恵とユーモアが垣間見える話でよかった
恥ずかしながら渋谷栄一という名をお札になるまで知らなかったので、知るきっかけをくれただけで新札に変えた意味はあったと思えた
善し悪しは別として、三菱や三井よりかっこいい名の残り方だと思う -
Posted by ブクログ
これで古典を読んだ気になってはいけないが、サクッと読めて、確かにと唸らせられる名言がいろいろとある。
特に響いたところメモ
諫言役にうってつけな人材は不倶戴天の敵
・曹操の参謀のカクは元々敵方の参謀で後継を戦死させられている。自分の強みと弱みをよく把握しているから。
論語: リーダーシップを学ぶための人倫の書
孫子: 競争を勝ち抜く戦略の書
貞観政要: 帝王学の書
韓非子: 組織論
騙されない見識
・謀略成功のためには相手の疑いや不審警戒といった構えをいかに解くか
・一方相手の謀略にハマらないためには、知らず知らずに感じ取る物事の不自然さ、違和感を疑問として見過ごさないか
将たるものの度量
成果の出せる人間を成果の出せない人間よりも重用すること、つまり情に流されない、これは常人からは怪物にしか見えない
成功し、気持ちが弛んだとき人は何に心理的充足を求めるか
・メモリアルの建造(今なら豪邸)
・女性関係(飲み屋の女性を愛人に)
志は叶ってしまうと維持が難しい
商売のコツ
・どんな物資が足りているか足りていないかがわかれば物価の高低がわかる、物価は高過ぎれば下がり、低すぎれば上がる。高いときに売り払い、低いときに買う
数戦い勝てば良いものではない
・戦うほど消耗する、怨恨感情を作る
あの人だけは自分を理解してくれた、という思いが命をかけても良いという信頼を生む
功績のあったものを優遇するのは当然だが、そうでないものもつぎこそはと思ってもらうよう処することが大事
古典は弱みも分かってるからこそ使い所が見極められる
・孫子はライバルが多い中で如何に生き残るかという問題意識に端を発していて、天下統一の戦略としては内容が薄い。これを愛読した曹操は天下統一ができていなかった。
・最新理論は弱みがわかっていないところが活用の難しさ。日本での成果主義の導入は上手くいかなかった。しかしだからこそその後フィットするように改良されていった。
真の交渉上手
・巧みな弁舌は騙されてないか、本当に良いかと感じてしまう。喋り下手でも誠実さが滲み出るくらいの方が良い
勝負師はオーラを操る
・敢えてオーラを消し、相手を油断させる -
Posted by ブクログ
以前から一度は「孫子の兵法」について読んでみたいと思っていて、メルカリで購入した書籍だ。表紙が大胆で、赤ベースに黒字で大きく「孫子」と書いてある。とりあえず買ってみた本だったのだが、とにかく分かりやすくて、現状のビジネス界隈に当てはめて解説しているので、理解にやさしい。ただ孫子の兵法の全容を把握するのは難しく、個々の文句を拾う形で解説されている。ビジネス書としての完成度は高いのかもしれないが、教養として孫子を読みたいという方には不向きかもしれない。ただ「戦争論」を執筆したクラウゼヴィッツと孫子とを対比する描き方と、戦略という単語を全面的に押し出した構成は、非常にいいと思った。孫子と言えば歴史上の人物に多かれ少なかれ影響を与えた人物で、ナポレオンも孫子を愛読していたと考えられている。自分が実行するか否かは置いておいても、歴史を学ぶ上で非常に有意義で、教訓に満ちていると言って差し支えない。後半部分で読者の素朴な疑問について回答してくれている点も、評価できる。ビジネス書というのはどうしても敷居が高い気がして、読者と著者の間で圧倒的な乖離を感じるのが常々だが、本書はその乖離を最小限に抑えようと努力している。あと単純に孫子の考え方が興味深い。どのように勝つかという課題よりも、どのようにして勝負を回避するかを課題としている。本書だけでは少々物足らなかったので、また機会があったら孫子関連の本を読んでみようと思う。
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本書が画期的なのは、これまでの孫子の解説書が踏襲してきた孫子13篇の篇に沿った解説という形式を捨てた第1部と、実業界や競技界の大物の言葉を大胆に引用しまくった孫子活用事例集的な第2部という構成にある。
今までの孫子の解説書を、孫子というクラシックを楽譜に忠実に演奏したアルバムに例えると、本書は、孫子の有名フレーズだけ演奏した第1部と、ジャズやロックのミュージシャンがカバーした第2部という構成のオムニバスアルバムだ。
最初、一読した印象では、なぜこの本がそんなに売れてるのかわからなかった。なんで孫子をぶつ切り解説してんだ?と思ってしまったからだ。孫子の解説書としては、山本七平の「孫子の読み方」のほうが、著者の戦争体験とも相まって迫力がある。
再読してみて、本書が受けている理由がわかった。これって、オムニバスアルバムなんじゃないか?
そう解釈すれば、ホルストの惑星を最初から最後まで聴くのはつらくても、平原綾香のジュピターならすんなり聴けるように、ヒットフレーズだけピックアップして今風のアレンジを加えた解説書として納得した。
それゆえに「孫子」の要諦は「不敗」であることが腑に落ちた。負けないとは勝負から逃げることではない。勝負しても、最低限、負けないように準備する方法論が、「孫子」なのだ。 -
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日本の学校風土と企業風土を、アメリカを中心に諸外国と比較する比較文化論で、日本の学校と企業に根付いた国民性を『論語』の教えに照らし合わせて説明しようとする。今現在、中国古典を読むことの意義は何なのかを考えたくて、ヒントになるかと思い読んだ。
現在進行形で学校教育に関わる人間としては、筆者や筆者のインタビューした学校関係者の持つ学校観や教育観には、やや古さを感じるものの、「年功序列」「努力・精神主義」「気持ち主義」などなど、およそ日本人が持つ学校あるあるとして共感できるものが多い。そうした日本人の心性が、『論語』の言葉と重ねて説明されるので、とても納得感のある本だった。
特に面白かったのは、最終章の渋沢栄一『論語と算盤』の解説で、筆者は、渋沢の考えをかなり高く評価している。渋沢栄一は、『論語』の道徳観と、算盤=資本主義の道徳観、それぞれの強みと弱みを分析し、お互いを補完することで、公益を達成しようとする「合本主義」という思想を説いていたとの説明だった。
存在は知っていたが、中身については知らなかったので、興味の湧く内容だった。
所々、日本人性のイメージとして古いのでは、と感じるところがあるなど、やや疑問に思うところもあったが、まだまだ、確かに今の職場にもあるな、と感じるものがある。
最後に筆者も述べている通り、自分たちを理解するために古典を読む。ただの趣味や教養ではなく、古典を読むことの意義を考えるヒントに、十分になる本だった。