守屋淳のレビュー一覧
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以前から一度は「孫子の兵法」について読んでみたいと思っていて、メルカリで購入した書籍だ。表紙が大胆で、赤ベースに黒字で大きく「孫子」と書いてある。とりあえず買ってみた本だったのだが、とにかく分かりやすくて、現状のビジネス界隈に当てはめて解説しているので、理解にやさしい。ただ孫子の兵法の全容を把握するのは難しく、個々の文句を拾う形で解説されている。ビジネス書としての完成度は高いのかもしれないが、教養として孫子を読みたいという方には不向きかもしれない。ただ「戦争論」を執筆したクラウゼヴィッツと孫子とを対比する描き方と、戦略という単語を全面的に押し出した構成は、非常にいいと思った。孫子と言えば歴史上
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本書が画期的なのは、これまでの孫子の解説書が踏襲してきた孫子13篇の篇に沿った解説という形式を捨てた第1部と、実業界や競技界の大物の言葉を大胆に引用しまくった孫子活用事例集的な第2部という構成にある。
今までの孫子の解説書を、孫子というクラシックを楽譜に忠実に演奏したアルバムに例えると、本書は、孫子の有名フレーズだけ演奏した第1部と、ジャズやロックのミュージシャンがカバーした第2部という構成のオムニバスアルバムだ。
最初、一読した印象では、なぜこの本がそんなに売れてるのかわからなかった。なんで孫子をぶつ切り解説してんだ?と思ってしまったからだ。孫子の解説書としては、山本七平の「孫子の読み方 -
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日本の学校風土と企業風土を、アメリカを中心に諸外国と比較する比較文化論で、日本の学校と企業に根付いた国民性を『論語』の教えに照らし合わせて説明しようとする。今現在、中国古典を読むことの意義は何なのかを考えたくて、ヒントになるかと思い読んだ。
現在進行形で学校教育に関わる人間としては、筆者や筆者のインタビューした学校関係者の持つ学校観や教育観には、やや古さを感じるものの、「年功序列」「努力・精神主義」「気持ち主義」などなど、およそ日本人が持つ学校あるあるとして共感できるものが多い。そうした日本人の心性が、『論語』の言葉と重ねて説明されるので、とても納得感のある本だった。
特に面白かったのは、 -
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日本の資本主義の礎を築いた、渋沢栄一。その偉業の背景にある考え方とは?変転を繰り返した、彼の人生の奥にある行動原理「 論語と算盤」の思想について説く書籍。
栄一の人生は、幕末、明治、大正、昭和という時代の変遷を体現している。
「尊王攘夷の志士」から「幕臣」に。その後「パリ万博への代表団の一員」として渡仏。「明治政府の官僚」として活躍後、「実業家、社会起業家」として成果を上げた。
栄一の生き方は、一見、右往左往しているようにも見える。
だが、根柢には「強く繁栄した日本を作るために一身を尽くす」という志があった。「幕府打倒」「外人排斥」は目的ではなく、強く繁栄した日本を作るための手段だった。
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戦略の大家である孫子とクラウセヴィッツに関する比較論。
時代背景として、孫子は春秋戦国時代という群雄割拠の時代の中で、いかにして自国を強大にしていくかという観点で書かれている。
対戦相手は国境を接する複数国で、戦争の長期化や負戦が国の崩壊につながるため、勝てない戦は避けること、詭道を用いて相手を分断したり、混乱させたりと、確実に勝てる場合に行うことを指南している。
一方、クラウゼヴィッツはナポレオンが台頭する時代に描かれた作品で、ナショナリズム萌芽もありながら、国家対国家の1対1の戦争を想定している。
また何度か同じ相手と戦うことを念頭に、軍人目線で書かれており、相互作用・両極性・偶然 -
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〈論語での「仁」〉
・人を愛すること
・私心に打ち勝って、礼(秩序)に合致するのが仁だ
・仁を旨とする人間は、率先して困難な問題に取り組み、得ることは後で考える
・仁を旨とする人間は、自分が立ちたいと思ったら、まず他人を立たせてやり、自分が手に入れたいと思ったら、まず人に得させてやる
■「論語」に登場する主な徳目
仁:愛を広げていくこと
知:物事を見通すことができる力
温:穏やかなこと
恭:うやうやしく、態度が丁寧なこと
譲:謙虚でヘリ下ること
恕:他人の立場や心情を推し量ること
信:言葉と本人とが一致すること
良:素直な態度であること
倹:つつましいこと