守屋淳のレビュー一覧
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渋沢栄一「論語と算盤」の現代語訳。本書を渋沢栄一が著したわけではなく、講演をまとめたものでということを知りました。
心に響いたフレーズがいくつもあり、現代にも通ずる精神・考え方だと思いました。「教育」という点で彼が説いていた「孝行」の考え方。親と子の関係。孝行させるのではなく、孝行できるようにするという考え方は身に沁みます。
そして、仕事に向き合う姿勢。当たり前のことですが、フラットに物事を見る姿勢、誠実に向き合う姿勢、誠実にひたすら努力していくことの大切さ。これらは忘れてはいけないことだと改めて感じます。
日々、色々なことが起きます。これは何という運命なんだろう。そんなことすら思うようなことが起きます。渋沢は「天」の捉え方も説いています。「恭:礼儀正しくする」「敬:うやまう」「信:信頼する」の3つの気持ちを持って受け止めること。一喜一憂せず、冷静に物事を受け止めていきたいと改めて思います。
迷ったとき、悩んだとき、困ったとき、読み返したくなる一冊だと思いました。 -
Posted by ブクログ
戦争とビジネスを対比させながら、抽象の兵法を1つ1つ読み解いていく内容が爽快。
戦争は負けたら終わり、現代は負け(失敗)を活かして修正するという前提の違いは抑えて読み進めるとなお良い。
◆戦わない選択肢
百戦百勝より戦わずして勝つ。
敵の同盟を分断させて漁夫の利を狙う。
◆短期決戦あるのみ
長期決戦は疲弊するのみ、自分から終わらせることも難しい
◆情報戦
情報を制するものは戦いを制す
相手に手の内を明かさない、まさかと思わせる情報操作
例:かかと落としの勝率低下、浮気をすぐに責め立てて離婚が長期化
◆奇襲
相手の急所を突く、意表を突く
例:イチローはわざとスタートを遅らせて3塁で刺す、江川卓の対角線責め
◆地の利
敵よりも早く戦場に到着し、有利な地形を占める
例:高台
向かう過程においてもわざと遠回りをして敵を安心させるなど、裏読みの駆け引きが重要
◆組織
まず愛情と温情による心服
次に規律による統制
その次に強い危機感(団結を生む)
例:セクハラ、パワハラも何をやったかではなく、誰がやったか
将軍の五大要素
信義、仁慈、威厳、知謀、勇気 -
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まず読みながら感じたのは、昔も[今の若者は良くない]といった年齢を重ねた後、自分の体験談と比較をし、若者を蔑む発言があったのだなと感じた。人間の性質上、昔の経験談が美化され、なぜか対等でない今の時代と比較をして、優越感に浸りたいのだろう。私はまだそういった年齢ではないので自分を律し続け若者を蔑む発言はしないよう心がけたい。
完読後は、以下が自分の中で印象に残った。
•人は親や目上の人を敬わなくてはならないということ。
•逆境という言葉があるが、自分で作った逆境もあれば、自分以外からの逆境もある。自分で作った場合はそれを作ってしまった原因があるということ。自分以外の逆境はそうなってしまったからには仕方ない。天命だったと思うようにしろという言葉があった。
•真面目に正しいことをして貧しいか、それと反対に不真面目で不確かなことを行い富んでいるかであれば前者を選べ。
•賢者は貧しい環境でも自分の意思を曲げない。
これらを学んで、これからの社会人生でつまづく事はあるかもしれないが、他人のことを思い、真っ直ぐに生きていくことが大事だと感じた。 -
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父親の本棚にはビジネス書ばかりであるが、この本は面白かった。前々から「孫子の兵法がスゴイ!」と各所で聞いていたが期待を裏切らなかった。
孫子は生きるか死ぬかの戦国時代に生きた軍事コンサルである。平和な現代人と違って戦い方が真剣である。我々から見たら、卑怯とも捉え得るほど合理的である。
孫子は自分と敵を知り尽くし、勝てると見込んだ時のみ戦う。情報格差や不意打ちを駆使する。時には敵を利で釣り害で脅す。下手に動かず相手が攻めてきたとこを突く。
勝つために仁義や礼儀を無視している感じがある。
現代人は(私は)これが出来ない。戦いとなると弱いくせに大事にならないよう控えめに動く。潔白を保ち正々堂々戦おうとする。相手が予想外の行動をとればモラル面で非難する。そして勝てない。
本当に勝とうと思うのなら、孫子のようなずる賢さを持つべきなのである。
この本を読むと、誰でもいいから誰か相手に戦いたくなる。 -
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「論語と算盤」を読んで、もう何十年が経つのでしょうか。当時、私は人間の生き方や倫理、道徳を説く「論語」と商業を意味する「算盤(そろばん)」がなぜ結びつくのか理解できませんでした。
しかし、新一万円札の顔となった渋沢栄一氏が、道徳を重んじながら商売を行ったこと。また、WBCで侍ジャパンの監督を務めた栗山英樹氏が「論語と算盤」から得た知見が大いに役立ったと言われることを知りました。私も近年では「論語」も嗜むようになりました。
なぜ、一流と言われる経営者や監督が中国古典の教えを大切にするのか。そして、なぜ道徳とも言うべき「論語」があらゆる分野の、しかも一流の人たちの指針となりうるのか。
この度、守屋淳氏の訳・注解による渋沢栄一氏の「詳解全訳 論語と算盤(筑摩書房、2024年)」が刊行されました。私は、守屋氏による註解も期待しながら拝読させていただくことにしました。
まず、道徳とも言うべき「論語」の教えがなぜあらゆる分野で必要かということです。渋沢栄一も「孔子でさえ富は必要だと言った。必要であるなら、当然追い求めても良いものだ。ただし、その追い求め方には、正しい/正しくないがある(本書178頁)」と述べています。
「論語」に対する渋沢栄一の解釈もありますが、企業活動をすることについては、社会に貢献することになります。この社会貢献は、世の中を治め人々を救うという「経済」の語源である「経世済民(けいせいさいみん)」に繋がります(江戸時代、経世済民は「政治」「統治」「行政」という広い意味で使われていました)。
そのため、正しい富の追い求め方は、世の中の進展に役立つ商品やサービスを提供することになり、雇用が生まれ、人々の豊かさと幸せに繋がります。結果的に富むことになり、さらにお金を生かした使い方をして、より良い社会を築き上げていくことが必要であると感じました。
次に、道徳とも言うべき「論語」があらゆる分野の、しかも一流の人たちの指針となりうるのかということについてです。
渋沢栄一も本書において、「もしそれが自分のためにはならないが、道理にもかなう、国家や社会の利益にもなるということなら、わたくしはきっぱり自分を捨て、道理のあるところに従うつもりである(69頁)」と述べています。つまり、偉大な経営者や監督たちは、天を意識し、天命を意識していました。
さらに、まずは道理によって物事を進めれば、天が自分に徳を授けてくれると信じていたのではないでしょうか。松下幸之助氏は、それを「運の強い人」と表現しました。京セラを創業した稲盛和夫氏も自己の利益よりも他人の利益を優先させる「利他(りた)」の精神を大切にされました。つまり、自分を磨き、人格を磨くことで、他人に対して貢献することが可能となります。さらに、天の道理にかなったとき、私たちが世の中の進展に寄与し、運に恵まれると考えられます。
では、具体的にどのように自分を磨けば良いのでしょうか。中国の古典には、「自分の行いを正しくし、よき家庭をつくり、次に国家を治め、天下を平和にする」とあります。そして、渋沢栄一によれば、我が国の中国古典の教育を受けた者たちは、まず親や目上の人を大事にし、論語にある「仁(愛を広げる)」「義(みんなのためを考える)」「礼(礼儀を身につける)」「智(物事の内実を見通す)」「信(信頼される)」という5つの道徳を押し広げることで自分を磨き、常に天下国家を心配するようになったというのです。そのような人たちが増えれば、国家も進展し、栄えるということがわかっていたのでしょう。
「論語と算盤」には、最後に天命について触れられています。天からは、人間が意識しなくとも四季が自然に巡り、すべての物事に降り注ぎます。そして、この運命に対して「恭(礼儀正しくする)」「敬(うやまう)」「信(信頼する)」という3つの態度で臨むべきだと。これができて初めて、「人事を尽くして天命を待つ」という本来の意義が理解できると渋沢は言います。
渋沢によれば、成功は一時的なものに過ぎません。しかし、人の価値はどれだけ財産を積み上げたかではなく、どう生きたかで測られます。本書の冒頭には、渋沢栄一による「5つの格言」が掲載されています。これと合わせて、本書に紹介されている徳川家康公の遺訓も、論語の要素で成り立っています。
喧騒で時間に追われる現代。つい、私たちの直面する仕事の本質を見失ってしまうことがあります。しかし、論語に書かれた道理に従い、人格を高め、天命を知ることにより、すべてが私たちの仕事の拠り所になることを知りました。大谷翔平も「論語と算盤」を愛読書にしているということです。中国の古典や偉大な経営者から学ぶことは、今の私たちにとって非常に重要です。
「論語と算盤」は、ただのビジネス書ではありません。それは、私たちがどのように生き、どのように他者と関わり、どのように社会に貢献するかを教えてくれる人生の指南書です。渋沢栄一の言葉は、時代を超えて私たちの心に響き、私たちの行動を導いてくれます。この本を通じて、私たちは自分自身を見つめ直し、より良い未来を築くための力を得ることができるのです。 -
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初版2014年。
「孫子」と聞いて古いと思う人もいるかもしれないが、この本は訳と解説の良さによって現実の様々な局面を想定して書かれているので、現在でも役立つとてもいい本である。生活・ビジネスにも応用できる。
読み込むと勝率が一気に上がる。「彼を知り、己を知れば、百戦して殆うからず」が孫子の教えの中で一番人気があり有名で、奥が深い。
もちろん他にも多くの言葉が書かれていて、それらの訳や解説を読んでいると、三次元的に頭の中でヒト・モノ・コトが動き出し、面白い本である。
名著であり、何度も読みたくなる。帯にある言葉通り、「もっと早く読んでおけば良かった」である。 -
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卓越した勝負師の特徴とは何か。頭を抜け出した勝負師は他の人と何がちがうのか。
孫子と孫子のぶつかり、相手にどうやって勝つか、どうやったら勝てるか。
上記の疑問に答えるのが本書です。
■勝負師
・勝ち負けがはっきりつくような世界で、ひたすら勝ちをめざすべく執念を燃やす人
・勝負事において、沈着に状況を見すえて、大胆な手で成果をもぎ取ってみせるような人
大局観、方向性、ビジョン
■専門家に見えて、素人には見えない風景
・未経験者が気がつかないパターン
・異常性
・全体像
・状況の進行方向
・チャンスと対応
・過去の出来事と、将来おきる出来事
・細かな違い
・自分の限界
・名人の直観は7割あたっている
■卓抜な勝負師に共通する原理
・勝負が決した直後の徹底した振り返り
・なぜ負けたのか、納得するまで原因をさぐる、わかれば、負けても納得ができる
・悔しいだけでは、二流にしかなれない。勝ったときは、本当に勝ったのか。負けた時はなぜ負けたのか。それを365日続けていく
・プロセスの徹底検証、プロセスの解析と改善への徹底したこだわりを持つ。徹底的にプロセスを重視する
■長い経験を積むための2つの技法
・定点観測
・失敗の集積
平戸藩主、松浦静山の名句 「勝ちに不思議の勝ちはあり、負けに不思議の負けはなし」
■小さく負ける
・進歩するためには、挫折は必要である
・大きく崩れないために、小さく負ける、我慢できるうちは負けろ
■勝負師が当然持っている幅広い知識と教養
・どちらの領域に進むかを決める、方向性の感覚
・自己を縛っているものを知るための、自己認識
・正解のない状況下での抽象化
・ひらめきに必要な無意識
教養とは、誤った自分の常識を正すためのものさし、今までのやり方を見直すためのものさし。正しさには教養が必要
孫子 百戦百勝してもそれは最善の策ではない、戦わずして相手を屈服させることこそ、最善の策
リーダに必要な教養とは、あくまでも成果につながる教養でなければならない
名君賢将が戦えば必ず勝つのは、相手に先んじて敵情を探し出すだすからである
彼を知り、己を知れば百戦してあやうからず
自分を知ることの難しさ 老子 人を知る者はせいぜい賢者のレベル、自分を知る者こそ、明知の人である
■競争とは異なる概念
競とは、かけっこ、順番をきめる競争
争とは、タイマンでの死闘、1か0か、生き残るための死闘をいう
■敵を知る
・95%の情報は公知である
・事前にしっかり準備をしてたくさんの情報を集めた方が勝つ
・交渉にあたっては、徹底的に相手の情報を調べ上げる
・勝負師の条件とは、努力と根性に他ならない
・人の持つパターンをつかみ、相手の出方を読む
■相手を読む方法
・相手の立場に立ち、自分はどう感じ考えるのかを推測する
・相手の人格になり切って、その好悪、価値観、性格などをベースに、論理だって相手の新章風景を読み切る
■人の気持ちがわかる勝負師
・ねたみや嫉妬などの負の感情を学ぶ
・敵にいた卓越した経験者の話を聞く
・性格がわるくても、せめて仕事のときには良い人となれ
■全体の流れ、機会、環境を知る
・アイルトン・セナは6kmのコースを歩いて丹念に観察しながらチェックを行う
・かわらないもの、かわるものを知る。かわらないものがわからないと何がかわったかはわからない
・先行指標を知る ①過去から未来へと繫がりやすいもの ②変化をもたらす本質 ③あり得る未来の幅 ④先取された未来
重要なことは、すでに起こった未来を確認すること、もとに戻ることのない変化、重大な影響を知覚しかつ分析する
シナリオプランニング 主観を捨てて、客観的に未来のシナリオをパターン認識する
危機管理 天災は忘れたころにやってくる
大きな流れを感じる
薬はめまいがするほど強くなければ、病を治すことはできない
師を持てば王者になれる、苦言を呈してくれる友人をもてば、覇者となれる
君子は、協調性に富んでいるが雷同はしない。小人は、雷同はするが、協調性はない
■もう一人の己をもつという難問
・離見の見、舞台のそとからもう一人の自分として自分を見る
・いろんな立場の自分がたくさんいて、自分をみている。複数の自分を持つ
・冷静なもう一人の自分が、アドバイスをくれる
直感 感覚によって物事を捉える
ひらめき 考えや思いが瞬間的に思い浮かぶ
■もう一人の自分を持つためには
・理路を知った上での意識づけの努力
・自分の意識を広げ、相手や場を包み込む
・自分を三人称として、本や文章をかいてみる
■4つのとばし
・スコープ
・時間軸
・三人称
・世界観
10-10-10 テンテンテン 10分後、10か月後、10年後 にどうなるか
外交と諜報
そこはかとなく、伝えたいことを伝えあうのが外交
伝えたくない内面を探るのが諜報
情報担当が私心とか期待を込めると情報はゆがむ、情報担当は十分に禁欲的でなければならない、私心がはいると情報が客観性を失う
諫言は3種 師、友人、側近&部下
勝負師の条件 同じ条件の中で、なぜあの人は卓越できるのか
著:守屋 淳
目次
まえがき
I 部 「勝負師」たちの土台――当たり前だけど、当たり前にできないこと
第一章 ある領域での長く深い経験 ①察知力と直感
第二章 ある領域での長く深い経験 ②経験の巧みな積み方
第三章 幅広い知識と教養 ①「己を知る」ために
第四章 幅広い知識と教養 ②「自分なりの答」を作る道具として
第五章 幅広い知識と教養 ③「無意識のゆらぎ」のために
Ⅱ部 敵やライバルなんて、本当に存在するのか
第六章 「競」と「争」の織りなす世界
第七章 敵やライバルを知るために
第八章 人の気持ちがわかる「勝負師」たち
Ⅲ部 未来は誰にもわからない、しかし…
第九章 環境、そして変わらないもの
第十章 変化の本質を、いかに見抜くか
第十一章 あり得る未来の幅、そして危機管理
Ⅳ部 「己を知る」という難問 ①諫言役を持つ
第十二章 「諌言役」をいかに活用するか
第十三章 「諌言役」の知恵をバラして使う
Ⅴ部 「己を知る」という難問 ②もう一人の自分
第十四章「勝負師」は「もう一人の自分」の夢を見るか
第十五章 外部からの眼
第十六章 人はもともと分裂している
第十七章 「自分を超えた自分」はどこから来るのか
第十八章 メタ認知の技法
最終章 卓越し続けるとは~「勝負師」のあり方~
ISBN:9784296116966
出版社:日経BP 日本経済新聞出版
判型:4-6
ページ数:340ページ
定価:1800円(本体)
発行年月日:2023年03月
発売日:2023年03月22日1版1刷