【感想・ネタバレ】組織サバイバルの教科書 韓非子のレビュー

あらすじ

「経営者が愛読しているにもかかわらず、ほとんど口外されない名著」--『韓非子』。『韓非子』全編を貫いているのは、人間不信(性悪説)の哲学です。中国の古代において『論語』の理想とするような組織は、時代が下るにつれてその批判や改革への試みが徐々になされていきました。その解決策として誕生したのが『韓非子』です。その意図は「ムラ社会のような目的意識の強くない組織を、成果の出せる引き締まった組織に変えたい」ということ。強敵が外部に多数ひしめく過酷な状況でも生き残れる、筋肉質な組織を『韓非子』は作ろうとしました。
また『韓非子』は、組織にいる人間がその中で生き残るための教科書という一面も持っています。どんな名経営者であっても、組織の頂点に立ち、それを維持するためには、ライバルや派閥間の抗争、権力闘争を乗り越えなければならない状況に直面します。当然そんな状況で用いられるノウハウは、きれいごとばかりではありません。他人に堂々とはいえないような手段も駆使せざるを得なくなります。こうしたノウハウは、下にいる人間にとっても多々必要になります。どうしようもない上司や同僚に対抗するため、巻き添えになって責任をとらされないため……そういった状況での権力の握り方や、権力闘争のコツといった知恵を学ぶ糧として『韓非子』はあるのです。
本書では『論語』的な立場(徳治)、『韓非子』的な立場(法治)の二つを対比させながら――それぞれの考え方の特徴とその強み、弱み、さらには現代的にどのような意味や活かし方があるのか、について解説します。前著『最高の戦略教科書 孫子』と同様に、親しみやすい文体をこころがけ、現代の事例を全体に散りばめて読者の理解を深めていきます。

...続きを読む
\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

Posted by ブクログ

ネタバレ

孔子(徳治)と対比しつつ韓非子(法治)の思想を紹介。思想の紹介に留まらず、現在のビジネスに頻繁な言及があり、退屈せずに読み切れる。
骨子としては、①徳治=優しい統治の問題点(徳を持つ人材の希少性、情に逆らえない)、②法治の有効性と限界(最後は徳を持った人材が必要)、③組織、及び経営陣においては法治と徳治のミックスが必要、というもの。韓非子の思想を持ち上げるばかりでは無い。
現役の中間管理職として、健全な組織運営のため「どんなに情があって人望があっても、問題や禍根が残っていれば、人が変わったように処断」(282ページ)することが必要とする点について全く同感。

0
2018年09月08日

Posted by ブクログ

韓非子は、論語のアンチテーゼ
論語: ひとまず人を信用してかからないと、良き組織など作れるはずがない
韓非子: 人は信用できないから、人を裏切らない仕組みを作らないと機能する組織など作れない

0
2024年05月12日

Posted by ブクログ

性善説で育ってきたけど、性悪説で対抗しなければと思うようになってきて読んだ。
参考になったのは、賞罰を握る。権限委譲をしない、部下が外部の力を借りる時は権力の衰退に繋がるなど。

0
2022年06月07日

Posted by ブクログ

ネタバレ

「論語」と「韓非子」という対極の思想を比べることで、成果の出る組織とは?について考える一冊。また、組織にいる人間がその中で生き残っていくための教科書という面も持っている。

「論語」は、ひどい戦乱の中、下剋上が常態化していた時代を、人と人の信頼関係をもって治めようとする考え方。(「ひとまず人を信用してかからないと、よき組織など作れるはずがない」)

「韓非子」は戦乱の時代状況が加速し、ライバルから激しく浸食されているにもかかわらず、内部の権力闘争などにより自壊しつつある中で、権力や法をもって国を治めようとした。(「人は信用できないから、人を裏切らせない仕組みを作らないと機能する組織など作れない」)

権力の強力さゆえに制約を感じると人は自由を欲し、逆に権力の弱さゆえに混乱状態が続くと強い権力を欲してしまう。この狭間で人は歴史的に振り子のように触れ続けている。

人事権という強力な権力を持たない現在の日本企業の上司は、信頼関係をもって組織を治めなければならず、日本に「論語」の考え方が驚くほど浸透していることが理解できる。

対極にある2つの思想についての知識を深めるために参考となった。

0
2017年01月22日

Posted by ブクログ

 日本の会社組織は、論語的な価値観でできている。そのために評価として、情意考課が行われている。なので、忠誠心や頑張っているや様子を見せて、権力を持っているもののお気に入りになることが良い戦略となる。
 ただし、これからの時代はますます、韓非子的な価値観が強くなっていくと思われる。韓非子的な価値観では、結果で評価される。その場合は、競争に巻き込まれるため、自身の能力を磨いていくしかない。

0
2023年07月16日

Posted by ブクログ

韓非子を知るよりは、どいう組織づくりをするのか、そのために韓非子の教えがどう役立つのかを書いてくれた本。
組織をよくするという目的別に読むと良いと思う。
韓非子を知ろうとすると期待外れになるだろう。

0
2022年07月11日

Posted by ブクログ

期待値100に対して60点

論語と韓非子を対称軸に据えて、それぞれの立場から人や組織の姿を論じる構造は良いと思うが、ぜんたいてきに冗長でダラダラ感を感じる。

性悪説を前提とした韓非子の内容の性質上、論語に比べて、心が晴れるような爽快感を感じるには至らなかった。

とは言え、韓非子的なものの見方・考え方は必要。本の表紙を明るいデザインにして、もっと親しみやすい内容にすると良いのではないかと思った。

0
2018年12月20日

「ビジネス・経済」ランキング