阿津川辰海のレビュー一覧
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読売新聞の読書欄で取り上げられていたミステリーです。その紹介のされ方に惹かれてしまいました。評者は本作に「刑事コロンボ」の『殺しの序曲』や「太陽にほえろ!」の『偶然』を結びつけて語っていました。といっても決してネタバレにはならないと思いますが読みながら「あっ、これか…」を感じました。推理小説って過去の作品のトリックの膨大な蓄積に上にさらに積み上げられる創作である、という宿命を持っていますが、その土台にテレビドラマの作品がある、というところがこの作品の新規なところかもしれません。設定からして人気テレビドラマの名探偵役が被疑者であり探偵役であるのです。表紙も実際の人気バディもののシリーズを彷彿とさせるものになっていますし、作中でも別の倒叙ものの推理ドラマにも言及されています。テレビドラマと俳優と殺人という道具立ては「刑事コロンボ」の『ルーサン警部の犯罪』も思い出してしまいました。さらには今年読んだ『刑事コロンボとピーター・フォーク その誕生から終幕まで』で描かれた俳優とそのキャリアを作った当たり役の刑事役との複雑な関係にも繋がるものがあります。圧倒的なミステリーというコンテンツについての知識の上に建つ鮮やかな建築物ですが、ちょっと中を歩くのに迷っちゃった感もあります。それは中心の俳優の心の内側がイマイチ、沁みてこなかったからかもしれません。もしかしたら新聞の評者と同じディープなミステリーファンのための作品?
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ネタバレやはり表題作が素晴らしい出来ですね。透明人間ならもっといい完全犯罪方法がありそうなもんですが、具体的には思いつかない。私立探偵の種明かしについては読んでる途中でピーンときましたが、動機の方は思いも寄りませんでしたね。ラスト数行の余韻もなかなか…【参考文献4】の遊び心もイイネ!
『六人の熱狂する日本人』は悪ノリについていけなかった。アイドルオタクがアイドルを法廷で見るためだけに有罪にしようとするのが理解できない。オタクのノリも読んでてちょっとキツい。
『盗聴された殺人』に出てくる探偵役2人のキャラクターはかなり好き。メインとなるロジックには弱さを感じる。熊のぬいぐるみを○○○からといって、盗聴器の○○○○○○○○が犯人だという論理はやや牽強付会だと思う。
『第13号船室からの脱出』 体験型ミステリーゲーム!これ最近流行ってますよね。確かに作中のようなイベントがあったら参加してみたいと思いますねぇ。
まあ面白かったが、やや凝りすぎの感あり。作中の体験型ミステリー自体はよく出来ていると思います。
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某国に隕石が落ちた後、地球上に100名の「コトダマ」を使う異能者が誕生した。能力を隠す者、仕事に活用する者、そして当然ながら犯罪に用いる者もいた。警視庁はコトダマ犯罪に特化した特殊な部署を創設する。そんな折、、「燃やす」のコトダマを使ったと思しき殺人事件が発生する。
SF的な特殊状況下でのミステリ。相手の能力を探りつつ戦うという、ジョジョやヒロアカなど、設定自体はよくあるが、ミステリ要素が高いのと、コトダマの条件がなかなか面白い。
至るところにわかりやすくヒントを散りばめ、ある程度までは容易に答えを出せるようにし、最後に一捻りを加えているのは、この作者の他作品と同じである。
本書は長い物語の序章のようなので、次回以降に期待。 -
Posted by ブクログ
作家と訪問者の行き詰まる神経戦を発端に、読者の認知を極限まで揺さぶる「騙り」の大逆転劇。
奇想に満ちた短編集。
コロナ禍を背景にしたミステリ4作が収められた短編集です。
どの話も趣向に富んでいてバラエティ豊か。
ミステリの話がそこかしこに出てきて、若干衒学趣味的な雰囲気も感じますが、作者さんのミステリに対する知識や愛もよく分かり、被害者も出てるのでちょっと不謹慎ですが、コメディ色強めで楽しいです。
作中に名前が出てきたミステリも読んでみたい。
個人的には、ミステリの「犯人当て」を入試に組み込んだ『二〇二一年度入試という題の推理小説』と、全日本学生プロレス連合の総会で事件が起こる『六人の激昂するマスクマン』が好きでした。
こちらの本の中でもとくにコメディ色強めな気がします。
『二〇二一年度入試という題の推理小説』は、受験問題にしては色々グダグダすぎてシュールな笑いがこみ上げてきます(受験生にとっては笑い事じゃない)