椹野道流のレビュー一覧
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夜だけ営業の「ばんめし屋」を舞台にした、少し不思議な事件とドラマのシリーズ第十作。
海里の芸能人時代をモチーフに淡海が書いている小説はまだ途中のようだが、その淡海から「もう一度役者に戻る気はないのか」という質問を受ける海里に、今度は芸能人時代の後輩役者・李英から舞台の練習を頼まれ台本の読み合わせに付き合うことに。
その最中、駆け出し役者青年の幽霊が現れる。
この流れで行くと、やはり海里は役者の道に戻るのだろうか。
李英の芝居への情熱、名もなき役者の幽霊の人生に触れ、さらに思わぬ舞台出演や因縁のあの人との再会もあり、改めて芝居への思いや自分自身を見つめ直すことになったようだ。
海里の兄・一憲は夏神を『錨』と言ったが、海里にとっての夏神は港のような、どっしりと構えてくれる、そこにいるから安心出来る存在のように思える。
一憲が常識人で小言係だとすれば、夏神はおおらかに受けとめてくれるもう一人の兄のような。
でも夏神は自分が海里の再出発の足枷になってはいけないと思い、海里は自分を救ってくれた夏神に恩返しをしたいと思い…互いに思いあってる関係が良いし、まだ「ばんめし屋」での彼らを見ていたい。
ただ海里がいつか役者に戻るにしても「ばんめし屋」での日々は大きな糧になるはず。 -
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夜だけ営業の定食屋〈ばんめし屋〉を舞台にした、ちょっと不思議な事件とドラマを描くシリーズ第9作。
今回は海里が幽霊に襲われるという、なかなかハードな始まり。
車道に突き飛ばされて車に引かれかけたり、首を絞められて殺されそうになったり。
一体幽霊の女性は海里に対してどんな怨みを募らせたのか、プロローグに出てきた芸能人時代のラジオでの相談に関係するのかとあれこれ考えていたら、まさかの…。
しかしこの幽霊女性の元カレはクズ過ぎる。女性も短絡的ではあったけれど。
しかし考えようによってはこんなことで、プロローグに出てきたようなちょっとしたラジオ相談で怨みを買うこともある。
人に注目されるということは恐いことでもある。
今回は海里の人の好さと、ロイドとの絆が感じられて良かった。普段から喧嘩しつつも仲の良い海里とロイドだが、海里の危機に本気で立ち向かい、海里がボロボロになったロイドを必死で直すシーン、ラストの二人のやり取りは良かった。
人と付喪神という、種を越えた関係でも通じ合うというのは心地好い。
これからも二人の喧嘩しつつも仲の良い関係を見ていきたい。 -
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夜だけ営業の定食屋〈ばんめし屋〉を舞台にした、ちょっと不思議でほんわかする物語シリーズ第八作。
今回は塚本という青年の幽霊をメインに、シリーズの本来の形に路線を戻して展開する。
塚本はこれまでの幽霊たちとは違い姿もはっきりしているし、普通に会話も出来る。
彼はこの世に未練などないと言い切り成仏したがっているのだが、なら何故いまだにさ迷っているのか。
久しぶりの奈津登場。
暗い出自とは裏腹に前向きでサバサバした気持ちの良い彼女だが、やはり心に抱えているものはあるようだ。
同時に海里自身もずっと抱えていた、母親に対する鬱屈した思いがあって、それが今回少し晴れたのは良かった。
それにしても一憲・海里兄弟は正に「名は体を表す」だ。
また店長・夏神の過去との決着にも新しい展開がある。夏神の亡くなった彼女の両親の思いにも感心。
そして年齢のわりに無邪気な付喪神ロイドの存在にも救われる。
このトリオは良いバランスで心地好い。
前作では俳優業への未練を覗かせていた海里だが、今作では〈ばんめし屋〉の新たなメニュー開発に意欲的。
やはり〈ばんめし屋〉での海里を見ていたいなぁ。
淡海先生の、海里をモデルにした小説の完成も楽しみ。
しかしイラストがくにみつさんに変わって、キャラクターたちが随分若返ったような。 -
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夜だけ営業の定食屋〈ばんめし屋〉を舞台にした、幽霊がらみのドラマシリーズ第七作。
とは言え、今回はお店のシーンは殆どなし。
海里の芸能人時代の後輩・季英に頼まれ便利屋バイトの助っ人中に黒猫の幽霊に出会う。
動物は邪心がない分泣ける。子供の頃の約束を守ってずっとそばにいてくれるなんて。
一方で夏神が冬山で亡くした彼女が最期にどんな想いだったのか、最後まで夏神を信じて逝ったのか、それとも裏切られたと思ったのか、気になる。
猫と比べてはいけないものの、幽霊でも良いから会いたいと願う夏神の気持ちも分かる。
幽霊が現れやすい〈ばんめし屋〉ですら彼女は来ないということは、無事に成仏したと良い意味に取って良いのか、それともいまだ山でさ迷っているのか。
その辺が今後シリーズの軸になっていくのだろうか。
シリーズが進むに連れて季英の登場が増えてきた。これはやはり海里が芸能界復帰する伏線なのか。それを予感しての夏神の不安なのか。
個人的には海里と夏神とロイドのトリオはずっと見ていたいのだけど。 -
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夜だけ営業する<ばんめし屋>を舞台に、訳あり店主の夏神と元顔だけ俳優の店員海里と眼鏡の付喪神ロイドが、様々な客や幽霊たちを相手に頑張るシリーズ第二作。
これまで貸出中で借りられなかった第二作をようやく借りられた。
第二作なので海里の芸能界追放騒動の直後。海里の後輩・俳優の李英が<ばんめし屋>を訪ねてきたことからマスコミに嗅ぎつけられ、あっという間に店が囲まれてしまう。
このままでは店の営業にも支障が出てしまうと海里はこっそりと店から出ていこうとするが、師匠である夏神にズバッと言われてマスコミと正々堂々向き合うことにする。
個人的にはこの辺り、もう少しキチッと書いて欲しかったなと物足りなさがある。
海里はかつて自分が料理タレントとして楽な道に逃げている間、後輩の李英が地道に俳優として努力し実力を積み上げていることに気後れを感じていて余計に李英に対して先輩らしい去勢を張ってしまう。
心のどこかで芸能界への未練を感じつつも俳優としての実力の違いを李英に突きつけられて苦しく、マスコミに再び追い回されることによってその未練をきっぱり断ち切ろうとしている。
せっかくそういう海里の葛藤や心の中でのモヤモヤをキッチリ描いているのに、そこに向き合う一つの段階としての芸能界との離別は拍子抜けなくらいアッサリ描かれていた。
またそれでもしつこく付きまとう雑誌記者に対しても、常連客の作家・淡海の「魔法」によってアッサリと解決してしまう。
結局はこの後も海里は心の奥底で俳優としての自分に対する未練を抱えているわけで、第6作まで読んだ後に第2作を読んでみると、ここでキッチリ芸能界復帰への道を断ち切らないのは作家さんの意図しているところなのかなとも思う。
後半は作家・淡海の13年前に亡くなった妹の幽霊を巡る物語。
ここでようやくサブタイトルの意味が分かってくる。
そして付喪神ロイドの新たな能力もここで明らかになる。
更には夏神の過去の「訳」の影も見えてくる。
しかし現代は難しい世の中だ。名前をネットで検索しただけで、その人が見られたくない心の傷まで曝け出す。
物事を知りたいときに手軽に知るには便利だけど、抉り出してはいけないものまで知るのは複雑だ。 -
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夜だけ営業の定食屋<ばんめし屋>シリーズ第5作。
今回は夏神の料理の師匠・船倉の登場により、以前から気になっていた夏神の過去が明かされる。
夏神が山の事故で大切な人(やっぱり夏神の彼女だった)を亡くした後、どうして定食屋を開くことになったのか。
夏神の料理の師匠の話でその理由が分かり、まるで海里の過去を見るかのような因縁話に上手くできてるなと感心する。
自暴自棄になりながらもどこかで助けてほしいと叫んでいた夏神を船倉が助け料理を教え、その夏神はやはり自暴自棄で自分を見失っていた海里を助け、その海里は主を失って途方に暮れていたロイドを助け…こうやって巡り巡っていろんな人(だけじゃないけど)の繋がりが出来ていく。
師匠の死、幽霊となった師匠の成仏のために一肌脱ぐことにした夏神と海里たち。そのときに寄り添う海里の様子は…今回もごちそうさまでした。
弱ったイケメンもまた良し。
洋食屋の師匠の元で働いていた夏神が何故「定食屋」を選んだのか。
お客様の晴れの日を演出したい師匠と、お客さんの居場所『家』を作りたい夏神。どちらも素敵だし、師匠の店のように亡くなってもなお閉店の日に大勢のお客さんに惜しまれるということが、師匠がこれまで築き上げてきた日々を表しているのだろう。
そして夏神は過去の山の事故にようやく向き合う勇気を持てた様子。
次回はそっちがメインになっていくのか。 -
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夜だけ営業の定食屋<ばんめし屋>を舞台に、付喪神と幽霊とお料理とが絡んだ謎解き物語第四作。
今回も前作に引き続き海里の兄絡み。主要人物は海里の兄の友人で刑事の仁木。冒頭にある緒川千世さんのイラストによるキャラ紹介によるとこれまたイケメン。
しかしその仁木の体中に「マフラーの幽霊」が巻き付いているのが見えて…。
前作でちょっと縮まった海里と兄一憲との距離がさらに良い感じになってきて安心する。冗談も言い合えるようになったのが良かった。
しかし今回の事件の主軸は「マフラーの幽霊」。読んでる途中でその幽霊の真意に気付くのだが、何とも切ない。でも思いが伝わって良かった。
だがそれ以上に、仁木の言動の端々に???もしかして???と思っていたら、やっぱり!
緒川さんがイラスト担当なのはやはりそういうことなのか。
今回も夏神の海里のほっぺたペシペシにあらぬ妄想を抱いて楽しませていただきました。
夏神が過去に山で失ったのはどういう存在の人だったのだろう。なんだかそこも気になる。
思わず横道に逸れてしまったが、海里が料理人としても少しずつ任される部分が増えてきたり、人間としても少しずつ落ち着きを見せたり思いやりを見せたりして成長していく部分を見られるのは嬉しい。
ロイド氏とのコンビもすっかり定番になりつつある。
相変わらずあっという間に読める薄さではあるものの、夏神と海里、それぞれの今後が気になるので今後も読んでみる。 -
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夜から明け方まで営業している定食屋、その名も『ばんめし屋』を舞台にした人情的ファンタジー。
一人で店を切り盛りしているワイルド系料理人の夏神留二と、仕立てられたスキャンダルで芸能界を追われて居候中の元俳優の五十嵐海里が主要人物。
ファンタジーと書いたのは店に来るのは客だけでなく幽霊もいたりするから。
ラノベというよりコミックを読んでいる感覚でサクッと読めてしまう。
その割には海里の芸能界スキャンダルや兄との確執、『ばんめし屋』に現れる幽霊の成仏作戦、更には海里が拾った眼鏡の付喪神ロイドの登場と、内容盛り沢山。
〈澪つくし料理帖〉シリーズのようなガッツリ料理物ではないが、巻末にレシピが付いていたり、なかなか頑張っている。
調べるとシリーズ作品は既に12作もあるようで、留二と海里のキャラクター造形はこれからというところか。
この第一作だけではまだぼんやりした印象だが、今後海里の芸能界復帰の可能性や兄との関係の行く末、留二のこれまでの話なども出てくるのかもと思うと、もう二、三作は読んでみようかと思う。
また付喪神のロイド氏の、海里を主と持ち上げながら上から目線の慇懃無礼振りもなかなか楽しいので(このあたりのやり取りもコミック的)、これからロイド氏がどういった立ち位置になっていくのかも見ていきたい。 -
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法医学の道を目指す西條遊馬は、在学中の医科大学の夏休みにマーキス島を訪れた。
そこで、世界でも珍しい「法医学博物館」に訪れた遊馬は、博物館の閉じられた扉を開け、壁が本で覆われた部屋へたどり着く。
『罪なき者を、その叡智をもて救わんとする者、この書物に触れよ』
触れた先に広がるは、昔のマーキス島。
彼は、呼ばれるべくして呼ばれたのだった。
漫画を読んでるような、軽い作品。
息抜きには、ちょうどいい。
作家さんの独特なテンポや、登場人物達のセリフがアンクレ語を訳しているという前提だからなのか、凄く読みにくい。ただ、話しの進み方や私好みの設定なのもあって慣れる。と、いうか、書き進めるほど、作家さんの文章力が上がってる気がする(上からごめんなさい)。
最後はニヤニヤしながら読んでしまった。
そんな簡単に、解決できるもんかとか、みんないい人かとか、親はどうした心配してないんかとかとか気にしたらキリがないことも多々あるが、また軽く読みたい時に続きを買ってみようかなって思える作品だった。
BL好きが好みそうな作品なんだよな。
なんたって、登場人物がほぼ漢。笑
ヴィクトリアの侍女、マージョーリーくらいか?
しかも、みんな美形ときた。