椹野道流のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
夜だけ営業の定食屋<ばんめし屋>を舞台にしたシリーズ第17作。
サブタイトルのマカロニって前にも出てきたような…とシリーズ作品を見返すと第8作がマカロニサラダだった。これだけ長いシリーズになると食材がかぶるのも仕方ないか。
今回のハイライトは二つ。
海里と後輩・李英の喧嘩(すぐに仲直りするけれど)。
きっかけは海里も認める通り、李英に対する勝手な嫉妬なのだけれど、気持ちは分かる。
李英くんは本当に良い子、良い子過ぎるのだ。
役者としての努力を怠らず、前作では大病を患ってその後遺症で体力が戻らない中でもやれることを必死にやっている。海里の朗読劇の師匠・倉持悠子が認める才能もある。それなのにその努力や才能を鼻に掛けることなく常に謙虚。
海里の短い売れっ子時代もスキャンダルで芸能界を追われた時も、<ばんめし屋>で働きながら役者への再出発を目指して努力している現在も、海里への態度は全く変わらず先輩として慕い尊敬してくれている。
役者としての立ち位置も才能の差もまざまざと見せつけられてしまうと、その優等生キャラが海里には眩しいのだ。
夏神とロイドの気遣いのおかげでなかなか明かせなかった心の内を曝すことが出来た海里と李英。優等生な彼もまたいろんな鬱屈を抱えていたし、短いギスギス期間にはふくれっ面もしていたので少しホッとする。あまりにもいい子過ぎると無理しているんじゃないかと心配してしまうから。
もう一つは、倉持悠子・繁春夫妻の一人息子で三年前に旅先のグアムで亡くなった拓己の霊。
ここ最近は幽霊ネタが少なくなりつつあったが、久しぶりに出てきた。だが場所は<ばんめし屋>ではなくて倉持家。眼鏡に戻ったロイドを掛けたらあら不思議、倉持家の食卓に拓己が座っているではないか。
ここでサブタイトルの意味が分かって来るのだがストレートに『卵焼き』ではなく『マカロニグラタン』にしたのもニクい。
ロイドにはこういう風景が見えているんだな、と改めて付喪神であったことを認識。イギリスの古い名家の執事のような物言いとは裏腹に好奇心旺盛な姿とのギャップが面白い。最近はタブレットで電子版のコミックを読むのにはまっているようだ。
夏神も料理の探究は怠らず、海里のことも師匠として見守ってくれている。夏神と悠子、立場も教えも違うけれど二人の師匠がいる海里は幸せ者だ。
悠子の体調は少し心配だが。
だがそのことで海里と李英に新たなステージが用意された。次はその話がメインになるのだろうか。
少しずつ役者の道に近づいている海里が嬉しいような淋しいような。
『話したい相手とは、話したいと思うたときに話せることが、何よりの幸せですわ』
海里と李英が二人で泊まった有馬温泉の宿の主人の言葉が印象に残る。 -
購入済み
電子で購入済みの文庫化でした…
気づかず購入した自分が悪いんですが、書下ろしが最後にほんの少しだけあっただけで、ほぼ電子で数冊に分かれて出されていたものの文庫化でした。
電子書籍で購入済みだったので数ページにこのお値段を払ったことになり、薄い本よりお高くついてしまった…。
中身は安定のメス花です! -
Posted by ブクログ
ネタバレ【目次】プロローグ/福と鬼/抱えたもの/それぞれの荷物/苦い卵焼き/まるくおさめる/エピローグ
シリーズ17作め。
節分の時期。前半は、海里と李英の話。海里は、体を壊し役者を休業して静養中の後輩・李英から朗読のレッスンを見学したいと頼まれる。師匠で女優の悠子の許可を得て、李英もレッスンに参加。作品の解釈や悠子とのやりとりを通して、海里は李英に嫉妬するが、そんな自分にも腹を立て、二人は仲違いしてしまう。ぎくしゃくする二人を気づかう店長の夏神のはからいで、二人は有馬温泉へ。
後半は、悠子夫婦と亡き息子をめぐる親子の情愛がテーマ。ロイドが活躍(?)