あらすじ
節分。恵方巻きを振る舞う「ばんめし屋」を、作家の淡海が訪れた。彼は店員の海里に、彼を小説のモデルだと発表したことを謝る。そして罪滅ぼしのように、彼に小さなステージへのオーディションを提案し……
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それぞれが少しずつ前進する話やった。(過去ではなく今の)夏神さん(の葛藤)について触れられたいたのは嬉しい。彼はこの先(料理人として)どういう道を進むんやろう。
あとは色々な「弔い」も読んだ。遺された人が、先に逝った誰かを愛おしく、哀しく心に住まわせつつ生きていくのやな。
わたしにはあまりない経験やけど、同じように大切な人を亡くした人には刺さるものがあるんちゃうかな。
押しつけがましさはなく、でも確実に読んだ「誰かの」心をやわらかく刺激してくる著者の小説が好きだ。
(今回わたしが淡々としているのは、そこまで刺さらなかったからやと思う)
(面白くなかったわけではない。めちゃくちゃ面白かった)
未来がある人として励まされるほどには若くないけど、まだ誰かを弔った経験もないので、刺さるところが緩かったんやろう。
こうして先人に背中を押されたいとも思うし、若い人をこうやって、誠実に応援したいなとも思う。
まだまだわたしは、中途半端やねんなあ!笑
(中途半端であることがアカンことではないとも作中で明言されていた)
過去を弔いつつ前を向いた人が多かったので(ロイド含め)今後の展開がますます楽しみ。
あと、巻き寿司に沢庵が入っているのは大阪特有のものなの?知らんかったー。
ちゅうかわたしももちろん、巻き寿司(手巻き含め)に沢庵は必須やで。
敢えてすし飯にしない巻き寿司も好きです。
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■グローサリー
中食主体の食料品・生活雑貨・日用品などを総称する言葉、また、転じて食料雑貨店のことである。 食料雑貨、食品雑貨などと訳す。
■経年変化
1 年月が経つうちに製品の品質・性能が変化すること。特に、摩耗・腐食などで性能が劣化すること。また、時間の経過とともに住居が損耗すること。
2 年月を経ることで測定値が変化すること。「大気中の二酸化炭素濃度の経年変化」
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今回は、海里が淡海先生の紹介で、元プロデューサーが営むバーで、朗読劇のオーディションを受ける。無事、合格して、朗読劇の特訓を受け、舞台に立つ事を目指す。
海里が俳優への一歩を踏み出すのを見て、夏神も今後の自分について考え始める。やはり、料理を極めるべきかと、師匠から譲り受けた古いレシピ本を開く。それが、きっかけで、その本に思いを寄せて中に閉じこもっていた老人が、霊のような者として現れる。その老人の思い出の母が作ったカステラを再現して、無事に成仏。
今回の名セリフは、
朗読劇の指導をする、女優の悠子
「世間の評価も他人の評価するも、絶対ではないのよ。脆く、簡単に移ろうものなの。だから、そんなものより、自分を信じなさい。何をしたって、後悔はつきまとう。でも、今、やりたいと思うことを、全部やりなさい」
「道に迷うこと、行き先を変えること、新しいものに手を伸ばすことを、恐れない強さを持ちなさい。自分の決断を、絶対に他人のせいにしてはダメ。いいわね?」
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ばんめし屋シリーズ12
前作で巻き起こった「芸能界復帰計画」騒ぎを蹴った海里。
地元の小さなカフェで朗読の舞台に立つ決心をする。
1歩ずつ前へ進もうとする海里。
温故知新で古きを知り、今へ生かそうとするばんめし屋店主の夏神。
少しずつ前へ歩み始めた2人の先が楽しみ。
今回の霊は古い本に憑いた老人
思い出の母親の味。
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シリーズ第12弾。
前作で、小説家の淡海が爆弾発言をし、騒動に巻き込まれた海里。
夏神とロイドも淡海に対して、わだかまりを抱えたままになっている。
今回の物語は、淡海が謝罪し、なんとか以前の関係性を取り戻す場面から始まる。
そんな淡海が罪滅ぼしのように、海里に朗読舞台のオーディション話しを持ちかける。
海里はここから新しい一歩を踏み出すが、それは小さいかもしれないけれど、確かな一歩。
本当に成長したなぁ、なんて思ってしまう。
また夏神も少しずつ前へ進もうとしている。
この二人を見守るロイドの存在が本当に良い。
海里と夏神の気持ちを察知し、絶妙なタイミングで声をかけたり気配を消したり。
エピローグではロイドの素敵なお話。
本当にこのシリーズ、回を重ねるごとに愛しい。
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今までにあまりなかった、前に向かって一歩を踏み出すということが描かれていた。
カイリは朗読という分野で人前に出ることに挑戦し始め、夏神は定食屋を続けながらもっとおいしいものを作り出すにはどうしたらいいか考え始めるようになった。いろんな出来事で傷ついてきた二人が、顔を上げて自分の人生を歩み始めたようでなんだか嬉しい。
悠子の「道に迷うこと、行き先を変えること、新しいことに手を伸ばすことを、恐れない強さを持ちなさい。自分の決断を、絶対に人のせいにしてはダメ。」という言葉が心に残った。これって大事だと思う。
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シリーズ第12弾。
相変わらずの迷える子羊たちと、ちょっとズレつつも、"最年長者として"見守り続けるメガネ。
アンリ・シャルパンティエのお菓子が食べたくなっちゃった…
は、置いといて。
作家としての業と覚悟を語る、淡海五朗(おうみ ごろう)
取材で人を傷つけてしまうこともある。
しかし、必ず作品として昇華する、それが作家としての覚悟。
女優として、母として、悲しいことも乗り越えてきた、倉持悠子(くらもち ゆうこ)。
自分の手で選択してきた道だから、今立っている場所に誇りを持ちたい。
海里が元所属していたプロダクションの社長・大倉美和(おおくら みわ)は、口は悪いが心配症。
彼女が見ているのは、ふわふわと危なっかしい若者だった、かつての海里かもしれない。
そして…戦前戦後を生きた、やたらハッキリした(いろんな意味で)今回の幽霊さんは、昔のレシピをそのままなぞっても、同じ味は再現できない、と夏神に言う。
試練を乗り越えて生きてきた大人たちは、それぞれに確固たる考えを持っている。
若者が迷わないよう、アドバイスもしてくれる。
しかし、経験の少ない若者たちには、なんだか皆、違うことを言っているようで、却って迷ってしまうこともある。
海里も、夏神も、やはりこの先も迷いながら、自分の手で道を選び、失敗を重ね、ゆっくりと歩んでいくしかないのだろう。
海里が芝居の道に再び心をとらわれて、応援してやりたい半面、自分から離れて行くような寂しさを感じていた夏神も、この本では、自分の進む道をなんとか見つけて前に進み始めたようで安心した。
まず、日常があって、その中で夢に進む努力は一歩ずつ。
読者も、とにかく見守るしかない。
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淡海先生の紹介でカイリは個人レストランの朗読会に参加することになった。
そのためにトレーニングを開始する。
夏神も師匠の残した本を参考に料理の勉強を始める。
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海里に迷惑をかけたってことで
淡海先生が新しい企画を持ってきました。
小さなライブハウスでの朗読劇。
海里はベテラン女優を師匠に練習開始。
一方、古い料理本から
メニューを考案しようと取り組む夏神さんは
霊感のない彼にもハッキリ応対できる
ナゾの幽霊に困惑。
結構、手を変え品を変え
いろいろな幽霊が現れるねぇ〜。
今回のご老人も死んだ自覚はあるのに
なぜ成仏できないか自分でもわからない。
そこから上手に「思い出の料理」を
引き出していくのがおもしろい。
教訓はあった
同じもの、同じ味を出し続けたら、「味が落ちた」と言われる。毎回新しく、美味しく出し続けてこそ「同じ味」として満足して貰える。
味だけでなく、何につけてもそうだよなぁ。
毎回ハードル上がるのキツイけど。
あと、エピローグに出てくる供養の考え方は、とても共感します!私も、お婆ちゃんの命日曖昧だけど、誕生日は忘れてないし、こっそり一緒に(勝手にだけど)ケーキ食べたことも何度かあります✨
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大人への茨の道を歩むのか、五十嵐海里
やはり作家さんの暴露作戦は、現在の様
なあたたかな人達に囲まれた海里が再び
俳優への道を歩むときに、悪意ある人達
が攻撃的な行動をとることを想定しての
予防策であった(うまく言えない)
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炊飯器で出来るシフォンケーキかぁ~
でも確かに甘い匂いが残りそうで、イマイチ踏ん切りがつかないなぁ。ま、オーブンあるんだからそちらを使えばいいか。
主人公君はステージ付きの方をメインに手伝えば良いんじゃない?とか思ったり。
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芦屋の定食屋「ばんめし屋」を、作家の淡海が
訪れた。彼は店員の海里に、小説のモデルだと
発表して騒ぎになったことを謝罪。そして
罪滅ぼしのように、海里にオーディションを
提案し…。
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冒頭は花粉症にかかるシーンからスタート。ちょうど2月くらいの季節の物語。海里くんには新たなチャンスが、夏神さんには、新たな試みの試練が、それぞれが少し成長する過程を描きつつ、今までにないパターンの霊が登場。シフォンケーキと言いつつ、限られた材料で・・
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最後の晩ごはん、12作目。
前作でいざこざの余韻を引きずったままだった淡海先生と和解できてよかった。
ばんめし屋で働きながら、淡海先生の計らいで、小さなバーで朗読の仕事を始めることになった海里。そんな海里を見て、自分も何か新しい一歩を踏み出さないと、と考える夏神さん。と、それを見守るメガネ。この3人の距離感が心地よく、ずっと一緒にいてほしいと思ってしまう。
夏神さんの師匠の「記憶の中の味はどんどん美化されていくので、同じものを注文されたときに「変わらない味」と感じてもらうためには前よりもっと美味しくしなくてはいけない。」という言葉、なるほどなぁと思った。「変わらない味」は料理人のたゆまぬ努力の結果なのですね。
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夜だけ営業する定食〈ばんめし屋〉を舞台にした、ちょっと不思議で温かいシリーズ第12作。
前作で常連客の作家・淡海の爆弾発言により再び厄介な形で芸能界と世間から注目を浴びることになった海里〈ばんめし屋〉。
淡海からの謝罪を受け入れ和解することから始まる今回の話だが、この辺は表現者たる作家と役者の感覚の、悪く言えば業のようなものを感じる。
しかし一方で、これだけのことをしたからには良い作品を創らねばならないという、自らを追い込む覚悟も感じる。
そういえば以前海里は自分を陥れた女優と再会したときに、自分にこれだけのことをしたのだから立派な役者になってみたいなことを言っていた。
海里が淡海のツテで見つけた新しい道は、これまでいた芸能界とは違う、華やかとは程遠い場所ではあるものの、誤魔化しのきかない舞台であり、地に足つけて少しずつ進んでいく未来を感じさせるものだった。
とは言え、〈ばんめし屋〉での日々はもう少し続きそうでホッとする。
夏神の方も、変わらぬ味を提供する定食屋の料理人としてどう成長していくのかという悩みを持つようになる。それは海里の姿に刺激を浮けてのこと、彼もまた新たな一歩を踏み出そうとしている。
今回は幽霊の出番はそう多くないが、幽霊の老人の言葉は夏神の亡き師匠の言葉に重なることもあり、夏神の料理人としての魂に新しい火を点けたようだ。
海里にも良い師匠が出来たようで、これからどう成長するのか楽しみだ。
シリーズももう12作、そろそろ終盤かと思うのだが、どんな結末が待っているのか。
いつまでも夏神と海里とロイドのデコボコトリオを見ていたい気もするが。
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前作で淡海が引き起こした騒動を経て、今は芸能界に戻るのではなく、好きな芝居と料理、どちらにも関わっていこうと気持ちを固めた海里。
出会った頃と比べ、格段に逞しくなり、自分の足で進んでいく海里を見て、自分も現状維持ではなく、前へ進もうと模索する夏神。
支え合い、刺激を受け、互いに成長していく、この2人の師匠と弟子の関係は、見ていて本当に気持ちがいい。
物語としては大きな進展はないけれど、海里に小さな舞台での朗読の仕事が決まり、着実に一歩進んでいる。
今後どう進んでいくのかは分からないけれど、もう少しばんめし屋の面々を見ていたい気もする。