出口治明のレビュー一覧
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西洋、中国、イスラム圏を中心に、歴史の要となるテーマを取り上げているような内容。鉄器の普及と思想家の誕生、テュルクの西方移動と支配の歴史、「保守」の思想が誕生した経緯、アヘン密輸に対峙した官僚が明治維新に与えた影響といった歴史のつながりがおもしろかった。
中国の周王朝は青銅器をつくって文字を書ける職人を囲い込み、貢物を持ってきた相手に贈った。BC770年に西周が滅ぶと、職人や書記たちが諸国に拡散したため、青銅器に書かれている内容を知ることによって周を崇めるようになり、これが中華思想となった。BC500年頃から始まる戦国時代に鉄器を使って山を切り開いたため、大洪水が起きるようになった。それ以前はサイやトラが棲む大森林があった。鉄器が普及して世界規模で高度成長期が訪れ、生活に余裕が生まれたため偉人も生まれた。法律に従って政治を行う法家、先祖を大切にしてまじめに生きることを唱える儒家、国土の荒廃や戦争を批判する墨家、何もしないで自然に任せろと説く老荘思想の道家などの諸子百家が登場した。秦の始皇帝は、自らの考えを全国に行きわたらせるために官僚を送って知事を任命し、文書を送って指示を出したため、文書が蓄積して歴史が発達した。
後漢が滅亡した後の五胡十六国時代を制した北魏は、鮮卑がつくった国だったため、鎮護国家色の強い大乗仏教を国教とすることによって中国を征服することを正当化した。
朱子学は、北宋時代の宋学を南宋の朱熹が集大成したもので、学問をして立派な人格を磨くことを説いた。大元ウルスの時代に科挙が廃止されたために職を失った知識人たちが崇めたために広まった。
古代ローマでは、ペルシャから来たミトラス教やエジプトから来たイシス教を信仰していた。冬至は太陽神のミトラスが死んで再び生まれる日として盛大にお祝いされた。イシスは大地母神で、我が子を膝に乗せて抱いている像が敬愛されていた。キリスト教の普及とともに、冬至の祝いがクリスマスになり、イシスの像が聖母マリア像になった。
イングランドは1016年にデンマーク出身のクヌートに占領され、フランスにも911年にノルマンディー公国ができた。気候のよい土地で人口が増えたため、南イタリアにノルマン・シチリア王国や、サンクトペテルブルクからネヴァ川を遡ってノヴゴロド公国やキエフ公国をつくった。「ルーシ」は元々スウェーデンのヴァイキングのこと。
現在のトルコ共和国は、552年に突厥のブミン・カガンが即位した日を建国記念日にしている。突厥はモンゴル高原からカスピ海に至る地域を200年ほど支配し、それを滅ぼした同じテュルク系のウイグルも100年ほど続いた後、西に移動してイスラム教に感化し、トゥルクマンと呼ばれるようになった。その時代に現在のウズベキスタンあたりを本拠としていたサーマーン朝の人々が、力の強いトゥルクマンの子どもたちを譲ってもらって戦士として育て、イスラム諸国にマムルークとして売られ、近衛軍の中核を担うようになった。10世紀末にテュルクの集団からセルジューク朝が生まれ、11世紀半ばにアッバース朝のカリフからスルタン(世俗の支配者)の称号を与えられた。行政はペルシア人の官僚が担った。セルジューク朝が勢力を広げて分裂した後には、ルーム・セルジューク朝などの王朝がトゥルクマンたちによってつくられた。13世紀末に生まれたオスマン朝は、勢力を伸ばすためにバルカン半島に進出してキリスト教徒の住民を鉄砲を持つ歩兵として育てた。1514年のチャルディラーンの戦いでは、鉄砲を持った歩兵のオスマン側が騎馬軍団に勝利し、これ以降トゥルクマンは歴史舞台から退場していった。インドのムガール帝国もトゥルクマンとペルシア人の官僚によって経営された国で、標準語のひとつであるウルドゥー語はヒンドゥー語とペルシア語が合成されたもの。
歴史を持たないアメリカは憲法の理念を国の礎にした。イギリスを同じ敵としてアメリカを支援したフランスもその影響を受けて革命に至った。イギリスのエドマンド・バークやフランスのトクヴィルは、人間の理性に対して懐疑的な立場から、社会に習慣として定着してきたものを少しずつ改良する「保守」の思想を唱えた。
イギリスによる中国へのアヘン密輸を取り締まるために、エリート官僚の林則徐は広東に向かう前に洋書を買いあさり、同行させた学者に内容を口述させて学んだ。アヘン戦争に敗れて罷免された林は、役立った洋書を翻訳することを学者に依頼して「海国図誌」が刊行され、佐久間象山や吉田松陰などの経典となった。ペリーの来日目的は、中国と直接交易する太平洋航路を開くための中継地を獲得することであるとアメリカの文書に明確に書かれている。 -
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ビジネス関連書や歴史の本の著書も多いライフネット生命保険の会長の出口さんのお勧めの本108冊。多くの本を読んでおり、1つの読書の指針としてはよいものだと思う。
元々は、週刊誌に連載したものを再構成しており、10章にわけて紹介して、巻末には108冊が載っている。基本的には古典に近いもののおすすめが多いと思った。このような本は、読書の指針が自分の中にない人や自分の読み方に偏りを感じた時に読むと一番良いと思う。
10章の内訳は下記の通り。
・リーダーシップを磨くうえで役に立つ本
・人間力を高めたいと思うあなたに相応しい本
・仕事上の意思決定に悩んだ時に背中を押してくれる本
・自分の頭で未来を予測する時にヒントになる本
・複雑な現在をひもとくために不可欠な本
・国家と政治を理解するために押さえるべき本
・グローバリゼーションに対する理解を深めてくれる本
・老いを実感したあなたが勇気づけられる本
・生きることに迷った時に傍らに置く本
・新たな人生に旅立つあなたに捧げる本 -
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脳には妙なクセがある
自分のアタマで考えよう
預言者
2050年の世界 英「エコノミスト」誌は予測する
日曜版の書評は信ぴょう性が高い。本名で書いているので。
気候で読み解く日本の歴史
ヘロドトスの歴史
史記列伝
モンゴル帝国の興亡 上・下
人間の条件(ハンナ・アーレント)
物語フランス革命(中公新書)
世界正義論
ハドリアヌス帝の回想(白水社)=今のあなたが残りの人生で一番若い
老い(シモーヌ・ド・ボーヴォワール)
ハロルドフライの思いもよらない巡礼の旅
生と死の接点
アルケミスト 夢を旅した少年
君たちはどう生きるか
ニコマコス倫理学
ルバイヤート -
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日本生命を退社後ネット生保を立ち上げ、マスコミにかなりの頻度で登場している社長の本。開業後5年を経過し順調に業績を伸ばしているが、この本は立ち上げ後1年くらいの時に書かれたものである。
内容は、大手生命保険会社直接的に誹謗中傷する内容は意識して控えている印象であるが、従来の業界文化を強烈に否定してしながら自分のビジネスモデルの正当性をアピールしている。
個人的には好きではないが、会社の設立の趣旨やそのための戦略、努力は敬意に値する。
もちろん保険は安ければいいということではなく、加入者である我々がどこまで理解して加入するのか、またいざという時に「支払」をしてくれるのか、ネットであれば加入者や遺族が気付かないというリスクはないのか、などそのスキーム自体には疑問は残った。