藤沢周のレビュー一覧
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標題作は問答無用の第119回芥川賞受賞作。
"かっては東京の広告代理店で働いていたものの、現在は新潟と福島の県境にある雪深い寂れた田舎町の温泉ホテルで働き、毎朝温泉卵を茹でる日々を送る青年。同僚にこのまま実家の豆腐屋を継ぐのか、と問われれば今は充電期間中なのだと答えるものの、その実このままこの田舎町に埋もれることになるのではないか、と危惧感を抱き、焦燥感を募らせている。そんな青年の前に現れたのは、かっては本牧埠頭で船乗り相手の娼婦で、その際にかかった性病から盲目になったと周囲に噂され、また若かりし頃の記憶と妄想と現在の記憶について、とりとめのない混沌とした言動を行うが故に周囲に疎まし -
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直木賞受賞作『テスカトリポカ』と『武曲』の2冊読みをしていた。藤沢周は1998年、第119回の芥川賞受賞作家である。この2作品を比べると本作品の方が圧倒的に情緒的であり、ストーリーに説得力がある。直木賞はエンターテインメント性を求められるらしいが、芥川賞作家は人心の奥深いところまでエグってくる作品が多いような気がする。
矢田部親子は剣道界隈の親子鷹であるが、不幸な事故で父は障害を負い、息子は事故の責任を引きずり深酒に溺れる日々を送るのだった。剣道部コーチ(矢田部息子)は、素人ながら剣の才能豊かな高校生羽田と出会う、彼の成長と父を重ね合わせることで、矢田部息子は自分の問題と向き合い、寺にこもり -
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若林さんは不思議な人だ。
めっちゃ自意識過剰で自己防衛本能が強くて、見栄っ張りでカッコつけ。本音は言わない。
だけどスッと人の懐に入ってくる可愛げもあるんだなぁ。
この本では、若林さんのそんな部分が遺憾無く発揮されていて、終始ほっこり見守る気持ちで読むことができる。
人が死ぬ本ばっかり読んでたアタマが癒される〜。
私が好きなのは、羽田圭介さん&藤沢周さんの回。
この回は、若林さんが話すボリュームも多くて、羽田さん、藤沢さんとの相性の良さを感じる。話してることもほどよくカタくて、良い意味で、男同士っぽい感じ。小気味よくてずっと読んでたい。一冊丸ごとコレでもいいなぁ。
あとは角田光代さん -
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ジャケ買い。樋口一葉読みたかった。
訳本だから、どこまで原作のニュアンスが生きているか分からないけど、どの作品も良かった。
以下、ネタバレ含む。
「たけくらべ」
とりあえず文学史で覚えるとしたら、これ。
あと『ガラスの仮面』でストーリー覚えた。
美登利という女の子の、正太に対する気持ちと、信如に対する気持ちが、うまく書き分けられていて、どこか“持てる者”としての傲慢が似合う。
エンディングに花を持ってくる、映像的な清々しさというか、寂しさも良かった。
「やみ夜」
うらぶれた屋敷の主、お蘭が、いつの時点から直次郎を使おうと思っていたかで、印象が変わる。
何をテーマにして良いか難しい作品 -
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ネタバレ真剣に剣道と向き合って己を研く矢田部研吾。それが過ぎて、研ぎすぎて薄くなった刃のようにその技は鋭く、けれど脆くもなり……いわゆる闇落ちのような状態になってしまう姿に、なぜか同情してしまいます。
真面目だけど不器用すぎて、要領よく生きられない姿がそうさせるのかもしれません。
対する羽田融。剣の技に没頭するあまり、矢田部親子と同じように殺人刀の道に落ちかけます。憶測ですが、表層的な格好よさに魅せられて自己満足に陥り、相手を殺し自分を活かすことだけを考えていたからなのかな、と(若人なら普通のことだとは思いますが)。
しかし一級審査後、その印象がガラリと変わりました。「完全な捨て身の状態であるこ