藤沢周のレビュー一覧

  • 武曲

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    藤沢周『武曲』文春文庫。

    現代の剣豪小説らしい。何とも残酷で酷いストーリーだと思う。ひょんなことから剣の道を目指すことになる天賦の才を持つ羽田融と人生の落伍者である剣道部コーチ・矢田部研吾の対決という漫画的な構図。こうした構図を描きながら結論を描かない藤沢周の狡さ。

    感動も無ければ、学ぶべきことも無い。

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    2018年01月05日
  • 武曲 II

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    殺人剣同士の戦いが描かれてかなりハードボイルドだった1冊目とは対照的に、2巻目は随分と爽やかな青春小説になってしまった。でもこういうのも良い。

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    2017年09月15日
  • 武曲

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    湘南を舞台にした高校生の剣道を通した青春小説。と言うと、随分軽めの印象になってしまうが、武道を多少なりとも噛んだことがある者にとっては、動きや精神性の描写がとても巧み。
    アル中で壊れて行く様や、葛藤が、セオリー通りでなくて良い。

    何というか、表面張力的な書き方で、読者を引き込む。

    ただ、ヒップホップ好きな高校生、剣道、設定は良いが、ヒルクライムを出してくるってのはいかがなものか...あれって、ポップスじゃ...
    細かなツッコミどころはあるものの、物語としては良い一冊でした。

    映画化されるみたいだけも、どうなんだろね。

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    2017年05月10日
  • サラバンド・サラバンダ

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    ネタバレ

    短編集。
    中高年層の男性の
    ありふれた日常の中で、
    自分自身の精神、身体にまっすぐに目を向け
    対話するように綴られる文章。

    華やかな若さを持った時代の男女にはない
    心身ともに落ちるように変化する様々な出来事を
    クスリと笑えることも、やがて哀しきなんとやら。

    こんな風に、下り坂の時代をまっすぐに描いていながら
    素敵な文章にできるのは、特殊なことなんでしょうね。

    幾つかは、ニヤリと、幾つかは哀しく。
    こうやって、誰しも日常を積み重ね老いていくのでしょう。

    更年期を迎えた女性が読んでも、
    まだまだと思っているおじさんが読んでも
    それぞれに、ズンと響く何かがありそうです。

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    2016年07月03日
  • 武蔵無常

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    表面的に見れば、題材は宮本武蔵、佐々木小次郎の巌流島の決闘である。

    しかし、その闘いを表面的な戦いの物語として書いているのではない。
    武道を極める求道者としての武蔵が、一乗寺下り松の決闘を経て、悩み苦しみ、そしてなお道を求める。
    その前に現れる天才佐々木小次郎は、地を這いずり回る武蔵の苦しみとは形は異なれども、その苦しみ、その求めるものは理解する。
    そして、小次郎は敗れ、額を割られ、この世を去る。
    武蔵の苦しみは続く。

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    2016年05月18日
  • ブエノスアイレス午前零時

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    2015/07/16
    芥川賞がとても話題になったこの日に、受賞作を。
    森田剛が主演の舞台にもなった作品。
    舞台を観に行ったのだけど、この原作からあの舞台かできたのがすごいわ。
    「屋上」の、ポニーの残像のシーンがとても印象的。

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    2015年07月17日
  • 武曲

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    ネタバレ

    作家さんを存じ上げなかった&表紙と帯に釣られて購入しましたが、剣道部だった自分の経験も踏まえて級落ちする人間は実際に回りにいたからなあとも思わなくもなく…w
    アルコール中毒で落ちていくところは心がしんどかったですが現実味はあんまりないです。それもそれで話しとして受け入れて、青春スポ根というよりも駄目な大人が高校生と向かって自分のアイデンティティを問いグラグラする話しって印象がありました。
    ちょっとした文章にドキッとするのでこの作家さん中二心を掴んでるな・・・とも思ったり。

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    2015年04月27日
  • ブエノスアイレス午前零時

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    温泉旅館とデパートの屋上、というごく限られた空間の中の話。ブエノスアイレスが舞台というわけではない。
    主人公はどちらの作品も最近、他所から移ってきた人物。でも背景は明らかでない。第二の主人公はそれぞれ盲目の老婆とポニー、か。

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    2011年01月22日
  • ブエノスアイレス午前零時

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    〜盲目の老嬢と孤独な青年が温泉旅館でタンゴを踊る時、ブエノスアイレスの雪が舞う。希望と抒情とパッションが交錯する希代の名作。第119回芥川賞を受賞、あらゆる世代の支持を受けたベストセラー〜芥川賞受賞作品らしいと言うかなんというか、内容が抽象的で、捉え方によって解釈が変わってくると思う。2つの作品が収録されているが、物語の流れとしては共通している。年齢が30を過ぎ、代わり映えのない毎日に、どこか人生を諦めている日々を送る主人公。そんな主人公が、ふとした行動を取り、いつもと少し違った経験をする。そう考えれば、テーマがあったのだと思えるのだが、読んでいる時は正直退屈だった。内容的にはエンターティメン

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    2009年10月07日
  • ブエノスアイレス午前零時

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    作品の雰囲気をつくりだしているモチーフ自体は惹かれるものがある。雪国の小さな旅館、ダンスホール、デパートの屋上のプレイランド、ポニー。でも、いまひとつこっちに来るものがない気がする。ただ、雰囲気は好きよ。好き。

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    2009年10月04日