三津田信三のレビュー一覧
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このシリーズ、相変わらず戦後日本の時代考証には舌を巻くものがある。 それをホラーの中に取り込み興を削ぐ事なく伝える手腕には感服しきりで、
寧ろ、それを訴える為の作品なのでは?と思うほど。
総じて、『国』と言うものの身勝手さを痛感したし、それはどうも現代も変わっていないようだ。
さて、
本編の方は事件そのものは非常に凄惨なものの、
オカルトやや弱めで、個人的には少し物足りなかった…けれど、主人公と『彼』が合間見えるというシリーズのファンであれば思わずほくそ笑むシチュエーションがあり、これはこれで楽しめる作品だった。
しかし、この国に限らず世界中がカオスの只中にある現代、仮に有事が起きた時 -
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前作、『どこの家にも怖いものはいる』が非常に面白かったので、似たような系統らしき本書を手に取った。
家にまつわる怪異譚、というのは作者関係なく誰から聞いてもどんな形で知っても興味深いもので、それは恐らく、自分も他人も誰しも「家」に住んでおり、その卑近さと恐怖というレアなものが交わる「点」に触れてみたいと心のどこかが願うからではないかと思う。
(余談だが、私は前作を読んだ際に特に怪異には見舞われなかったが、お勧めした友人は読書中に家で怪異が続き、怖くなって最後まで読むことを諦めたと言っていた。)
今回も、忌むべき家の集合体、という大変蠱惑的な存在にワクワクさせられた。それを、複数の記録とい -
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刀城言哉シリーズの最新短編。
いつもながら、ミステリーとホラーの融合は見事。きちんとロジカルにストーリーを組み立てるより、本シリーズのようにロジックの一部を破綻させて、それをホラー要素に持っていく方が創作という点では難しいのでは無いか、と思う。あまり、破綻させすぎるとミステリーでは無くなるため、そのギリギリを攻めるのは、この作者のすごいところ。
本巻は、いずれもミステリーとしての要素が強く、個人的にはもう少しホラーの部分を多くして欲しかったかもしれない。
表題作は、第一作と似た部分もあり、ミステリー小説ならではの作り。第一作同様の騙された感はあり、それは心地よいが、残された謎が無くスカッとする -
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5つの集落を抜けて、毎日忌物寺へ通う少女。
まず、集落という概念が私には分かりにくく…5つの集落を歩いて抜けて毎日往復とかできるもんなの??と。その部分がきになって、本筋が頭に入ってきにくく。(完全に自分の問題)
ちりばめられた忌物(いちいち変換めんどいなぁこれ)に関する短編は面白く読めた。一番印象に残っているのはスリッパの話。特に何が出た、というわけではないのに、ちょっとずつ追い詰められていく感じがなんとも。
最後の大筋のラストは、映像で見た方が怖そうと感じた。
お札を2枚貼っていたーの部分の緊迫感とかね。文字だとつつーって読んでしまうので。
忌物に関する話しは、相手の正体や思惑がわから