古川日出男のレビュー一覧
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読んですぐにこれはオウム真理教と一連の事件を念頭に置いた作品であることは分かる。しかし、それをどう感じるかは、人によってだいぶ違うだろう。当時、親しい人たちが入信したり、被害にあったり直接的な影響があった人たち、わたしのように、同時代に生きながら、半分笑ってたり、何もできなかった人間もいる。テレビで中継される事態に目を離せなかった人も多数いるはずだ。また、存在自体を過去のものとして、終わったものとして遠くに認識している人も多いだろう。
当時、わたしたちは少なからず傷付いたはずなのに、すでにそのこと自体も忘れて生活している。日々のことにかまけて普段思い出さないくらいならいいが、わたしたちはあまり -
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生者が、死者が、怨霊が、物怪が、語る平家の没落の物語。明確な作者が存在せず、無数の琵琶法師たちにより形成された本作は、このようなポリフォニックな無数の声により形成された稀代のエンターテイメント作品である。
本書は古川日出男による平家物語という古典の現代語訳である。その訳文は死者の世界にいる無数の琵琶法師たちとの一種の霊的な結びつきにより示されたのではないか、と思うくらいの完成度を誇る。それは何よりも、この物語が、恋愛、戦争、政治紛争、災害、物の怪への恐怖、家族との情愛など、人間が生きる上での様々な要素を余すことなく盛り込んだ一大エンターテイメントであるということを完膚に伝えることに成功してい -
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900頁近くに亘る語りが、凄すぎる。
以下、ネタバレ有り。
ストーリーは知っている方も多いだろうが、古川日出男の紡いだ声が凄い。
敢えて伏せないので、引用等、ネタバレ嫌な方は気をつけてください。
最後の最後まで、読ませきる。
それが仕事だからか。
そこに生きていた人々の、無数の声と、撥と、琵琶の音が響き渡る。
幾つか『平家物語』を訳した本や小説を読んできたけれど、筋ではなくまさに物語として秀逸だった。
泣けます。
序盤、政治パートとした、清盛の栄華からの驕り、そして後白河院や山門とのバランスを上手く保てなくなってゆく。
そこに文覚上人、頼朝、そして木曾義仲登場。
まもなく清盛の壮絶な死 -
Posted by ブクログ
アニメ「平家物語」を観た後に購入した。
歴史としてのこの時代のことは知っていたけれど、ちゃんとは、読んだことはなかったので、ここらで読んでおこうと思い購入。
厚さもサイズもなかなかだったので、外では容易には読めなかった。
琵琶法師の語りを現代語で訳すというのが面白くも、読み物を意識すると入りにくい部分もあった。
とにかく長く感じた。
各話が演目として語られたわけなので、通しで一つの物語と思って読むとそう感じたのかもしれない。
一度では解らないので、そのうちまた読もうと思いつつ、積ん読の山に手が延びていない。けれど、その時は、きっと来ると思う。今度は話毎に分けて読んでもいいかもしれない。 -
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ネタバレ・『はじまりのはる』の第二巻「チェーンソーラプソディー」というのがそうだ。その、6ページから7ページにかけての見開きの台詞(および戯曲でいうところのト書き)を、以下まるまる引く。一人の男子高校生が自転車に乗っていて、携帯電話で友人と会話している。友人というのは、酪農家の跡継ぎである。つまり牛屋だ。そして主人公は、同種の物言いをするならば、茸屋である。
・私は6県(=東北地方)だけを見ようとしていた。どうしてか。東北とは、ただの方位である。どこかから見ての東北である。そのどこかからを消したら、東北は新たなる名前というもの、もしかしたら真の名前を獲得するのではないか,顕わすのではないかと期したの -