古川日出男のレビュー一覧
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生者が、死者が、怨霊が、物怪が、語る平家の没落の物語。明確な作者が存在せず、無数の琵琶法師たちにより形成された本作は、このようなポリフォニックな無数の声により形成された稀代のエンターテイメント作品である。
本書は古川日出男による平家物語という古典の現代語訳である。その訳文は死者の世界にいる無数の琵琶法師たちとの一種の霊的な結びつきにより示されたのではないか、と思うくらいの完成度を誇る。それは何よりも、この物語が、恋愛、戦争、政治紛争、災害、物の怪への恐怖、家族との情愛など、人間が生きる上での様々な要素を余すことなく盛り込んだ一大エンターテイメントであるということを完膚に伝えることに成功してい -
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ネタバレ・『はじまりのはる』の第二巻「チェーンソーラプソディー」というのがそうだ。その、6ページから7ページにかけての見開きの台詞(および戯曲でいうところのト書き)を、以下まるまる引く。一人の男子高校生が自転車に乗っていて、携帯電話で友人と会話している。友人というのは、酪農家の跡継ぎである。つまり牛屋だ。そして主人公は、同種の物言いをするならば、茸屋である。
・私は6県(=東北地方)だけを見ようとしていた。どうしてか。東北とは、ただの方位である。どこかから見ての東北である。そのどこかからを消したら、東北は新たなる名前というもの、もしかしたら真の名前を獲得するのではないか,顕わすのではないかと期したの -
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倫子が若返る菊の花を紫式部に持ってきてくれたっていうエピソード(解釈の仕方はいろいろあるとはいえw)が早々に出てきて、このあたりからのめりこんでいった
グルーミィさを優先して現代語訳
記録としての日記
グルーミィをさらけだす日記
だって。いいですね。
有名な“お前が男であったなら…”のくだりは、紫式部日記の後半だったか
大河でも当然ながらこのシーンありまして感無量です
漫画でも読む紫式部日記、的なものより
本書の方が日記を読んでいるという実感が湧きました
“ミセス自粛なし”にはクスッとした。自分で言う?笑
筆で書かれている現代語訳部分はもちろん
ペン(私にはiTouchに見える) -
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TBSラジオアフター6ジャンクションで
柴田元幸先生がおすすめの本を紹介するというので、どんな翻訳ものかと思ったら、
古語から現代語への翻訳だった!
柴田先生が言うには、古川日出男さんが、紫式部に憑依して現代語訳した。
ということでした。
まさに。
最初に私たちにむけて古語の基本的なことを簡単に説明してくれてるんです、紫式部姉さんが。
女房といったら、どの男のワイフ?と考えたりしませんか?それはゆゆしい事態です。局と口にしていたら、あなたはツボネとはなんだろうと眉をひそめますよね?
とこんな感じで。
局とは、しきられた部屋。
房というのも同じ。
つまり、女房と局は同じ女性のための仕切ら