古川日出男のレビュー一覧
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ネタバレ映画を観た後に読みました。
呪いや演目についてなど、分からなかった点を知ることができました。
なので、作品そのものを楽しみという読み方ではなかったかも。
文体は平家物語にふさわしく、短く、時に繰り返しを用いたリズムのあるもの。
登場人物の心情などは細かくは描かれておらず、文章の余白やセリフから想像させるものになっています。
映画とは描写やシーンが異なる点もありました。
ただ、映画がなかったらこの作品を楽しんで読めたかというとわからないです。
これは平家を謡う犬王の物語であり、その犬王を謡う友魚・友一・友有の物語なのだということはわかりました。だから犬王の巻なのだと。
平家物語の予備知識が -
Posted by ブクログ
古川さんの本は、「犬王」に続いて2冊目。あの小説のテイストが、そのままノンフィクション本に反映されている。人によって好みは別れそうだが(なお、私は少しだけ苦労した)、文体そのものがアインデンティティとなっている方がいるからこそ、本を探す楽しみ、ざらっとした触覚を堪能する楽しみがあるとも思っっている。
ゼロエフは、古川さんの内側にとってもとっても入り込む、というより引き摺り込まれる本で、それでいてその内側から福島という大きな存在を語る本だ。
とても私的な言葉と感情が、(ここであえて恐れずに使う言葉だが)手前から押し寄せる波のように読み手の行手を阻んだりも、また、引き波のように進行方向にむけて読 -
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2020年に開催されるはずだったオリンピック。
「復興五輪」を謳ったオリンピック。
その期間中に東日本大震災の被災地である福島県内を歩いて、オリンピックが歓迎されているのか、復興に貢献しているのかといったことを見て確かめようとした著者。
実際に2020年のオリンピックはコロナウイルスのパンデミックにより、延期になった。
だが著者は歩いた。
震災による原発事故で、大打撃を受けた福島。
椎茸栽培をする家に生まれた著者。
被災地に住まず、被災していない著者。
けれど、それは被災に限りなく近いと思う。
著者の心情を考えると切なくなる。
読み始めて一番最初に感じたのは、なんと勿体ぶった文章を書く人なのだ -
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ネタバレスポーツ雑誌 NUMBER Doに連載されたランを題材にした短編小説を集めたアンソロジー。
ランナーではなく、ランを題材にしているってのがポイント。王道に走る楽しみを描いた小説だけではなく、走ることがイヤになる小説、走らされる小説等各種色が揃っている。出来もマチマチで、トータルで評価すると凡作ってことになってしまうなぁ。アンソロジーはそこが難しい。
好きな作品は
「パン買ってこい」中田永一
「ホープ・ソング」王城夕紀
「桜の並木の満開の下」遠藤徹
どれも結局はちゃんとランに目覚める人の話だった。
読み手によって好みは絶対分かれるだろうなぁ。 -
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谷崎宇卵 日灼け 鯨の脂肪は油になります。それに、脳油っていう、頭から採った油は固めれば蝋燭にもなります。 シロナガスクジラには歯茎が変形した髭しかないんですよ 日本人の技術の粋すい 英語で「サイコ」って言葉が精神病であることを指すんだって知った時には変に羨ましかった 野葬 土饅頭 古代インドにあった由緒正しい葬式 禽獣に施す 羽田空港は東京都大田区の埋立地にある 単身なのかカップルなのか家族か等のユニットとしても把握されだした 要った 実父は心筋梗塞で斃れていた 父親を突然に喪失するという衝撃が未知の感情を伴いだした 搏動をカウントする その想像力は罪悪感の抑圧を基盤(マトリクス)とする。半
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「走る」をテーマに14人の作家が競作。
日々のランニングのモチベーションが上がるような疾走感あふれる作品が収録してあるのかと思いつつ手に取りましたが、そこは実力派の先生方。凡人の思い通りにはいきません。思わず膝を打ち、唸ってしまうような「走る」小説が並び、裏切られました(喜)
14本どれもが個性的で、未知の作家さんとの出会いも。もちろん、苦手な話もありましたが、それも出会いです。
お気に入りは「パン、買ってこい」(中田永一)、「桜の並木の満開の下」(遠藤徹)、「誰にだって言いぶんはある」(桜井鈴茂)
人生の半分は現実ではないと彼は思う。
なぜならば精神が摂取するものの半分以上が、現実では