古川日出男のレビュー一覧

  • 平家物語 犬王の巻

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    圧巻。小説の持つ力を、思う存分堪能しました。
    平家物語が平家物語として成立する過程の物語であり、芸に生きた者の物語であり、ふたりの結びつきの物語でもある。それらがガンガン響き合い、拡散し収縮する。
    小説を読む幸せに浸りました。

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    2025年10月27日
  • 平家物語 犬王の巻

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    映画を見て、原作も気になって読んでみた。
    原作と同じように淡々とした語り口の本。さらりと読めて、でも、胸に来る。

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    2025年10月26日
  • 平家物語 3

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    源範頼・義経兄弟が京の都に入り、源氏が勢いづく。そして一ノ谷の合戦へ。有名な平敦盛の逸話も出てきた。源氏の武士が名を挙げようとして「一番乗り」にこだわるなど、逸話も色々で面白い。そして平家がどんどん衰退していくのが切ない。次の巻はいよいよ壇ノ浦か。

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    2025年10月04日
  • 平家物語 2

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    いよいよ源頼朝が挙兵。だけどこの巻で目立つのは木曽義仲だ。義経はまだ出てこない。木曽義仲は「~だぜ」「どうだ」など、少し砕けた口調が独特でいい。この文章、読み慣れてくるとちょっとクセになる。
    巻末に簡単な年表があったけど、清盛死去から平家一門の都落ちまでたった2年なのか。都落ちのくだりは切なかった。

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    2025年09月03日
  • 平家物語 1

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    予想以上に面白い。もともと語り物だった平家物語、訳も語り口調で、読みやすいけど時代物として違和感がない言葉使いで上手いなと思う。あえて言えば、予備知識がない人向けに少し脚注があってもいい気がする。巻末に平氏の系図があるのは良かった。
    この巻ではまだ源氏はほとんど出てこない。清盛をはじめとする平氏一門と、後白河法皇や朝廷の人々、僧侶たちのゴタゴタが語られるが、特に藤原成親・成経親子が印象に残っている。2巻以降も楽しみ。

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    2025年08月19日
  • 平家物語 1

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    平家物語の最高傑作。圧倒的な語りと有無を言わせぬ現代語訳。古川日出夫の作品にして、古川日出夫がひとりの法師となったとしか言えぬ幽明の狭間に浮かび上がったとしか思えぬ世界。すべてが血と肉になり、琵琶法師も乗り移っていたに違いない。

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    2024年12月16日
  • 平家物語 4

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    平家の本当の滅亡。
    壇ノ浦で平家は幼い安徳天皇の死をもって負けたのに、その後もいろいろな人が処刑されて本当に悲しかった。特に六代と最後の建礼門院は胸にぐっときた。
    驕っていた平家の最期がこんなに悲しいなんて、平家物語は本当名作だと思った。

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    2024年04月27日
  • 平家物語

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    古川日出男さんのリズミカルな短いフレーズがなんとも心地良い。古典を全文読むのは初めてで感動。
    2924-007

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    2024年02月23日
  • 平家物語

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    「平家物語 (池澤夏樹=個人編集 日本文学全集)」(古川日出男 訳)を読んだ。
ええ読みましたとも。
訳者あとがきまで含めて880頁。
    
原文は『祇園精舍の鐘の声、諸行無常の響きあり。娑羅双樹の花の色、云々』のところぐらいしか知らないけれど、この古川日出男さんの訳文は見事だと思うな。
まさに琵琶の音に合わせて歌うような語りかけるようなリズムだものな。
畳みかける饒舌さが良いです。
    
単なる英雄譚ではなく人の弱さを余さず語るところが平家物語の真髄か。 
    
しかしまあ誰も彼もよく泣くのね。
    
『赤地の錦の直垂に紫裾濃の鎧を着て』とか『赤地の錦の直垂にに唐綾威 の鎧を着て』とか『朽葉色の綾の直垂。

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    2023年12月14日
  • 平家物語

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    ネタバレ

    古川日出男による『平家物語』の完訳。
    そもそも平家は原文自体が美しく、リズミカルだが、現代から見ると説明が必要だったり冗長だったりする部分も多い。訳者はそこに複数の「語り手たち」を、しかも無常観や仏の功徳について深く知っている「語り手たち」(彼らの正体は平家滅亡時の語りで明かされる)を登場させることによって、物語の主題がより明らかになるようにしている。「前語り」にて、訳者が書いた「物語の中味に改変の手を入れず、どうやって『構成』を付す? 私は、平家が語り物だったという一点に賭けた」という文に示されているように、「語り手たち」の登場によって、物語に新たな構造が生まれている、ということなのだろうと

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    2023年11月09日
  • 平家物語

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     2022年1月からアニメ「平家物語」と大河ドラマ「鎌倉殿の13人」が始まらなければ、私はこの本を読もうと思わなかったかもしれない。とはいえ抄訳版の『平家物語』(角川ソフィア文庫)を持っているくらいには好きで、だが本書の情感の深さは抄訳版とは比べものにならないほど違った。
     
     小松殿こと平重盛の清廉でどっしりとしたたたずまいへの敬意がそこかしこから感じられる。その嫡男で富士川の戦いや俱利伽羅峠の戦いに敗れ、断ちがたい妻子への思いに苦しみながら入水する維盛への温かい眼差し。その訃報を聞いた弟・資盛の嘆き。世を儚んで兄より先に逝った清経の絶望。アニメはこの本を原作としているが、重盛の子どもたちを

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    2023年01月01日
  • 平家物語 犬王の巻

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    室町時代に実在した能楽師・犬王と、琵琶法師となった友魚の物語。
    琵琶の語りのような文章は軽妙にしてリズミカル。
    映画版とは設定の違いはあるものの、こちらも素晴らしい。

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    2022年07月18日
  • 平家物語 犬王の巻

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    ネタバレ

    映画「犬王」原作本。
    室町時代、京で実在した能楽師・犬王と、盲目の琵琶法師・友魚のお話。

    スピード感たっぷりの文章が心地よく、あっという間に読み切る。
    友魚と犬王の友情が熱い。
    二人の生い立ち、芸能の頂点にたつまでの物語。
    犬王の顔の面が取れる瞬間は、震える。
    実際に目にしたような感動があった。
    そして、頂点を極めてから、あっさりと終わってしまうのも、またなんとも言えず熱い。
    しかも、権力者の都合によって、有無を言わさぬ、絶対抗うことができないというのが、また苦しい。が、それもまた物語としての美しさになっていて、素晴らしい。
    友魚の最後は泣ける。そして、犬王の最後のセリフも泣ける。
    これは映

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    2022年07月05日
  • 平家物語 犬王の巻

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    語り口が軽妙・痛快でサラッと読めた。
    話の筋も分かりやすくかつ面白かった。
    映画との相乗効果でより輝く作品

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    2022年06月19日
  • 平家物語 犬王の巻

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    映画で話題になっているので読んでみた。
    熟練の話芸のような語り口で、文章のテンポが良く、スルッと読めた。焦点が定められ、ぶれない。物語が走る、疾る。
    映像的なイマジネーションが豊かな感じで、アニメになるのも頷ける。
    犬王の人生、友魚の人生。
    それぞれ過酷ながら、切り拓き進む二人を固唾を呑んで見守った。
    読んでよかった。

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    2022年06月11日
  • 曼陀羅華X

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    ネタバレ

    新興宗教、予言書、小説、ラジオ、そして父と子に纏わる長編小説。話の筋は割にあっさりしているけれど、いつもながらディティールと構成の妙に圧倒される。読後、カバー下の遊びにもにやりとさせられた。

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    2022年05月26日
  • 曼陀羅華X

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    読んですぐにこれはオウム真理教と一連の事件を念頭に置いた作品であることは分かる。しかし、それをどう感じるかは、人によってだいぶ違うだろう。当時、親しい人たちが入信したり、被害にあったり直接的な影響があった人たち、わたしのように、同時代に生きながら、半分笑ってたり、何もできなかった人間もいる。テレビで中継される事態に目を離せなかった人も多数いるはずだ。また、存在自体を過去のものとして、終わったものとして遠くに認識している人も多いだろう。
    当時、わたしたちは少なからず傷付いたはずなのに、すでにそのこと自体も忘れて生活している。日々のことにかまけて普段思い出さないくらいならいいが、わたしたちはあまり

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    2022年04月13日
  • 平家物語 特製試し読み版 日本文学全集第9巻

    購入済み

    800年の重み

    今何かと話題の平家物語。
    平家の祖 忠盛の出世から、平家の滅びの象徴として信長にも好まれた敦盛最期など出色のエピソードを抜粋。
    現代語訳でかなり読みやすいですが、詳しい人には逆にルビがうるさいかもですね。
    吉川英治とかとはまた違った魅力のある一冊です。

    #深い #切ない #感動する

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    2022年09月29日
  • おおきな森

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    ネタバレ

    坂口安吾、宮沢賢治、ガブリエル・ガルシア=マルケス、ホルヘ・ルイス・ボルヘス、フリオ・コルタサル―――文学者たち、彼らの作品、それに満洲、植民地支配、戦争犯罪を巡る重厚な幻想小説。

    4つもの異なった世界が重層的につながり、また円環を成す構成は難解で、しかも物語は最後まで閉じ切ることがないけれど、ひとりの人間の再生を示すラストはあたたかく、また、仄かな希望を感じさせる。

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    2020年10月29日
  • おおきな森

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    面白い。
    矢田津世子の話が出てきて、結構取材している。SF的でもあり、現代詩風でもある。
    具体詩や実験小説の影響を節々に感じる作品。

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    2020年09月13日