古川日出男のレビュー一覧
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3巻に続き、4巻目も一気に読破。
面白かった!
平家の末裔、12歳で源氏に殺されかけ、出家してなんとか生き延び30歳まで生き残った六代。遂に斬られた。悲しい。
頼朝は自分が源氏で唯一生き残り、長年の恨みを持って平家を打倒したことが繰り返されるのが何より怖かったんだろう。どんどん頼朝が清盛の残虐さと同じさまになっていくのが恐ろしい。結局同じことの繰り返し。
最後の巻で、なんだか後白河院が良い人みたいになってるのがちょっとムカつく。お前やろ、1番の原因は。女やと思ってなにを偉そうに一緒になって悲しんでんねん。あそびをせんとや、てなんやねん。
でもこの文庫版の最後の、後白河抄はなんやかんやいうても -
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この3巻目はなかなか良いです。
没落する平氏の貴族達。それぞれの最期が詳細に綴られていて、涙なしでは読めなかった。
鎌倉に移送される途中に中三位重衡卿の見た各地の景色とものの哀れ。敵である源氏でさえもその最期を思い、袖を濡らす。
維盛卿がお供2人を連れて馴染みの僧をたずねて熊野で出家、最期は沖に出て身投げした時の描写。妻たちの哀しみ。
そして一ノ谷の戦い。景時と義経の身内喧嘩。
読みどころが盛りだくさんで、飽きることがない。
鎌倉の頼朝の動きにも目が離せず。
平家物語といえば、戦い、軍記物と思っていたけれどめちゃくちゃ人情ものやったんや。
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なんだこの熱量は。初っ端からグイグイ引き込まれる。今まで読みかけてすぐに投げ出してた平家物語の訳は何だったのか。それほどにこの古川さんが手掛けた新訳が面白くて読みやすい。
だいたい古典というものは分からない言葉が随所に出てきて、いちいち後ろの注釈を見るしかないもので、1ページ読むのにも労力使いすぎて読めないもの、だと思ってた。特に平家物語なんかは出てくる人も多いし、そもそもすごく昔の話だし。
ところが実は、めちゃくちゃ面白いミステリーであり、ハードボイルドであり、人間ドラマであり、極上の歴史物、軍記物でもあった。そして読み進めることで当時の人々の信仰や俗世界にも通じることができるという。何より -
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ネタバレ古川日出男ってノンフィクションも書くんだ。
そう思ったのだが、これが初めてということ。
そして、東日本大震災によって変化を余儀なくされた、福島の出身者だというのだ。
日本中を震撼させた大災害ではあったが、いや、大災害だったからこそ、テレビやニュースは刺激的でドラマティックなものを優先的に放送した。
だから私は、関東にも影響があったというのを知ったのは、それから6年後の関東に転勤になったからだ。
当時夫が関東にいて、「俺は無事だよ」と連絡をくれたのを、ずっと「ふざけるな!」と怒っていたのだ。
だって、テレビはずっと東北ばかりを映していたから。
私は仙台にいる長男のことしか心配しなかった。
私 -
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「平家物語 (池澤夏樹=個人編集 日本文学全集)」(古川日出男 訳)を読んだ。 ええ読みましたとも。 訳者あとがきまで含めて880頁。
原文は『祇園精舍の鐘の声、諸行無常の響きあり。娑羅双樹の花の色、云々』のところぐらいしか知らないけれど、この古川日出男さんの訳文は見事だと思うな。 まさに琵琶の音に合わせて歌うような語りかけるようなリズムだものな。 畳みかける饒舌さが良いです。
単なる英雄譚ではなく人の弱さを余さず語るところが平家物語の真髄か。
しかしまあ誰も彼もよく泣くのね。
『赤地の錦の直垂に紫裾濃の鎧を着て』とか『赤地の錦の直垂にに唐綾威 の鎧を着て』とか『朽葉色の綾の直垂。 -
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ネタバレ古川日出男による『平家物語』の完訳。
そもそも平家は原文自体が美しく、リズミカルだが、現代から見ると説明が必要だったり冗長だったりする部分も多い。訳者はそこに複数の「語り手たち」を、しかも無常観や仏の功徳について深く知っている「語り手たち」(彼らの正体は平家滅亡時の語りで明かされる)を登場させることによって、物語の主題がより明らかになるようにしている。「前語り」にて、訳者が書いた「物語の中味に改変の手を入れず、どうやって『構成』を付す? 私は、平家が語り物だったという一点に賭けた」という文に示されているように、「語り手たち」の登場によって、物語に新たな構造が生まれている、ということなのだろうと -
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2022年1月からアニメ「平家物語」と大河ドラマ「鎌倉殿の13人」が始まらなければ、私はこの本を読もうと思わなかったかもしれない。とはいえ抄訳版の『平家物語』(角川ソフィア文庫)を持っているくらいには好きで、だが本書の情感の深さは抄訳版とは比べものにならないほど違った。
小松殿こと平重盛の清廉でどっしりとしたたたずまいへの敬意がそこかしこから感じられる。その嫡男で富士川の戦いや俱利伽羅峠の戦いに敗れ、断ちがたい妻子への思いに苦しみながら入水する維盛への温かい眼差し。その訃報を聞いた弟・資盛の嘆き。世を儚んで兄より先に逝った清経の絶望。アニメはこの本を原作としているが、重盛の子どもたちを -
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ネタバレ映画「犬王」原作本。
室町時代、京で実在した能楽師・犬王と、盲目の琵琶法師・友魚のお話。
スピード感たっぷりの文章が心地よく、あっという間に読み切る。
友魚と犬王の友情が熱い。
二人の生い立ち、芸能の頂点にたつまでの物語。
犬王の顔の面が取れる瞬間は、震える。
実際に目にしたような感動があった。
そして、頂点を極めてから、あっさりと終わってしまうのも、またなんとも言えず熱い。
しかも、権力者の都合によって、有無を言わさぬ、絶対抗うことができないというのが、また苦しい。が、それもまた物語としての美しさになっていて、素晴らしい。
友魚の最後は泣ける。そして、犬王の最後のセリフも泣ける。
これは映