【感想・ネタバレ】平家物語のレビュー

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Posted by ブクログ 2024年02月23日

古川日出男さんのリズミカルな短いフレーズがなんとも心地良い。古典を全文読むのは初めてで感動。
2924-007

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Posted by ブクログ 2023年12月14日

「平家物語 (池澤夏樹=個人編集 日本文学全集)」(古川日出男 訳)を読んだ。
ええ読みましたとも。
訳者あとがきまで含めて880頁。

原文は『祇園精舍の鐘の声、諸行無常の響きあり。娑羅双樹の花の色、云々』のところぐらいしか知らないけれど、この古川日出男さんの訳文は見事だと思うな。
まさに琵琶の...続きを読む音に合わせて歌うような語りかけるようなリズムだものな。
畳みかける饒舌さが良いです。

単なる英雄譚ではなく人の弱さを余さず語るところが平家物語の真髄か。 

しかしまあ誰も彼もよく泣くのね。

『赤地の錦の直垂に紫裾濃の鎧を着て』とか『赤地の錦の直垂にに唐綾威 の鎧を着て』とか『朽葉色の綾の直垂。その上に赤革威の鎧』とか誰も彼もオシャレだしね。

あー面白かった。

今このときの『安◯派』の凋落ぶりを見るにつけてもまさにまさにおごれる人も久しからずということでございますでしょうか。嗚呼!

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2023年11月09日

古川日出男による『平家物語』の完訳。
そもそも平家は原文自体が美しく、リズミカルだが、現代から見ると説明が必要だったり冗長だったりする部分も多い。訳者はそこに複数の「語り手たち」を、しかも無常観や仏の功徳について深く知っている「語り手たち」(彼らの正体は平家滅亡時の語りで明かされる)を登場させること...続きを読むによって、物語の主題がより明らかになるようにしている。「前語り」にて、訳者が書いた「物語の中味に改変の手を入れず、どうやって『構成』を付す? 私は、平家が語り物だったという一点に賭けた」という文に示されているように、「語り手たち」の登場によって、物語に新たな構造が生まれている、ということなのだろうと思う。
平家そのものの美しさと訳者の特徴的な文体の迫力とが相まって、始まりから終わりまで、活劇の場面も陰鬱な場面も、飽きさせられずに読み終えることができた。

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Posted by ブクログ 2023年01月01日

 2022年1月からアニメ「平家物語」と大河ドラマ「鎌倉殿の13人」が始まらなければ、私はこの本を読もうと思わなかったかもしれない。とはいえ抄訳版の『平家物語』(角川ソフィア文庫)を持っているくらいには好きで、だが本書の情感の深さは抄訳版とは比べものにならないほど違った。
 
 小松殿こと平重盛の清...続きを読む廉でどっしりとしたたたずまいへの敬意がそこかしこから感じられる。その嫡男で富士川の戦いや俱利伽羅峠の戦いに敗れ、断ちがたい妻子への思いに苦しみながら入水する維盛への温かい眼差し。その訃報を聞いた弟・資盛の嘆き。世を儚んで兄より先に逝った清経の絶望。アニメはこの本を原作としているが、重盛の子どもたちを軸に描いた理由がよくわかる。

 文体は「琵琶法師による語り聞かせ」であることを重視し、短く、わかりやすい。だから圧倒的に読みやすい。合戦の場面では琵琶の数を増やし、合いの手を入れ、躍動感に溢れていて、まるで演芸場で実際に琵琶語りを聞いているような臨場感さえある。武士の直垂や甲冑の色まで細やかに描写されているから、情景が鮮やかに浮かぶ。その背景となる平安時代の自然もさぞ美しかっただろう。
 特に一の谷の戦いから壇ノ浦にかけて、平家の武将が次々と討ち死に・自害していく様は圧巻で、哀切極まりない一人一人の死に様が胸に迫り、いつまでも読み終わりたくないと思うほど世界観に浸れた。

 殺し、殺される男と生き延びて後世を弔う女という2つの視点が強調され、”男”の物語は維盛の嫡子・六代御前の処刑で終わる。”女”の物語は清盛の娘で安徳天皇の母・建礼門院が最後を担い、この世の栄華も苦難も全て見たと語り静かにその人生を終えていく。「穢土から浄土へ。」その一文に尽きる。一貫して鎮魂と祈りを込めた物語なのだ。
 これほど長大な古典文学を飽きずに読ませるすばらしい現代語訳をして下さった古川日出男さん、二段組みにせず読みやすい文字の大きさを保ちながら四六判ハードカバー・厚さ4.5㎝の美しい装丁に仕上げた出版社やブックデザイナー、製本所など関係各所の見事な仕事ぶりにも深く感じ入っている。

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Posted by ブクログ 2019年05月03日

初めて平家物語を読みました。
長い!!!
800Pはなかなか読み応えのある内容でした。
読み終わったことに満足しました。

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Posted by ブクログ 2019年03月22日

なかなか苦労して読んだ。感じたことを記す。仏教にまつわる話、表現がかなり多い。俊寛が哀れすぎる。配流の島に行ったことがあるだけに、その思いは募る。俊寛のみ許されず、配流の島で亡くなった。源氏挙兵のくだりは興味深い。平家たちの「聞き逃げ」は遊女たちに笑われた。私も笑った。清盛は意外に早いところで亡くな...続きを読むった。平家も源氏に勝つ戦いもある。悲恋もある。間違いなく名作である。

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Posted by ブクログ 2019年01月14日

生者が、死者が、怨霊が、物怪が、語る平家の没落の物語。明確な作者が存在せず、無数の琵琶法師たちにより形成された本作は、このようなポリフォニックな無数の声により形成された稀代のエンターテイメント作品である。

本書は古川日出男による平家物語という古典の現代語訳である。その訳文は死者の世界にいる無数の琵...続きを読む琶法師たちとの一種の霊的な結びつきにより示されたのではないか、と思うくらうの完成度を誇る。それは何よりも、この物語が、恋愛、戦争、政治紛争、災害、物の怪への恐怖、家族との情愛など、人間が生きる上での様々な要素を余すことなく盛り込んだ一大エンターテイメントであるということを完膚に伝えることに成功している。

正直に言って最初のページを繰る手が重かった本作であるが、やはり歴史を経た弩級のエンターテイメント作品の面白さというのは途轍もない重力がある。池澤夏樹監修の日本文学全集の中の一冊であるが、この平家物語の役者に古川日出男を選んだ同氏の慧眼に感謝したい。

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Posted by ブクログ 2017年10月15日

ついに読み終わりました。
読みやすかったし読み応えあった。
複数の語り部がいる複雑さを見事に表し、琵琶のリズムを巧みに躍らした文章だった。
悲哀に満ち満ちた、敗者、弱者に寄り添う物語。
何百年も時を隔てたその物語の登場人物に感情移入出来ることが素晴らしく、時を超えた読書だった。

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Posted by ブクログ 2017年07月22日

読み終わった達成感がすごい。
飽き性で、書き下し文で読むの辛い…とか思ってたので、口語訳・しかも琵琶法師の語り口調で書かれていたのは、語調に引っ張られるようにぐいぐい読めて楽しかった。
それにしても、平家のことよく知らなかったけれど、平清盛ってあんなに破天荒な人だったんだァ…と今更衝撃。

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Posted by ブクログ 2017年04月18日

完訳というのは素晴らしい。900頁近くある大作だけれど、読みやすく一気に読んだ。
それにしても、断片的な知識というのは勘違いが多いということをあらためて思い知られた。こうして物語を通読してみると、切れ切れのエピソード同志の因果関係が理解できて、頭の中がすっきりする。

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Posted by ブクログ 2017年01月18日

声が幾つもの鳴り響いている。『平家物語』は単一の語り部ではなく複数語り部が物語を継ぎ足した、だから声は幾つもある。
異なるvoiceの集合体だ。だからこれはミックスされた物語としてある、古川さんの作品を読んだ人ならわかるだろうが、古川日出男という作家は幾つもの声を、voiceが鳴る小説を書いてきた。...続きを読むそして、DJのように繋ぎミックスしている。だからこそ、『平家物語』が古川日出男訳で新しく形になることは極めて正しいと読みながら思う。
幾つもの声が鳴り響いている。諸行無常、あらゆる存在は形をとどめないのだと告げる響き。

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Posted by ブクログ 2022年06月03日

アニメ「平家物語」の元になったということで興味があり読んだ。
大変な長編で圧巻だったが、読んでいくにつれ、私はここまでのものを求めていたわけではないということに気づいた。なぜなら、アニメとはだいぶ違ったからだ。アニメでは、重盛や建礼門院徳子など描かれるのは数人ながら、その代わり心情などは細かく描写さ...続きを読むれていた。一方今回読んだ「平家物語」は文字どおり平家の物語。実にさまざまな登場人物とエピソードがある。これがあの有名な「平家物語」か、という満足感はあったものの、やっぱり私はアニメの方がわかりやすくて好き。幼い我が子を亡くし自分だけ助かってしまった徳子の悲しみや、次々と入水していく様子などは、アニメの方がダイレクトに伝わってきた(きっと短い回数に凝縮されていたから)。
とはいえ、これだけの長編が何年も語り継がれ写し継がれてきて、そして現代でもなお訳されていることは、大ベストセラーの証。
欲を言えば、もっともっと現代の言葉で訳してほしかった(人物が役職などで書かれているが、当時は確かにそうだけど、ずっと名前で書いてほしい、とか)けど、そんなことを言ってるようでは歴史物を読む前に勉強しなさいと言われちゃうかな。

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Posted by ブクログ 2017年07月17日

900頁の大作をやっと読み切った。
平家物語が源平合戦で亡くなった武将達の鎮魂の物語というのがよく分かった。
前半で清盛の傍若無人を描き、後半で子孫達の哀れな末路を描く。因果応報である。
この平家物語を起点とする幾多のスピンオフ作品があり、興味があり、色々と読んでみたいと思った。

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Posted by ブクログ 2017年01月21日

こういっては何だが、本人の書いた源氏物語を材にとった小説『女たち三百人の裏切りの書』より面白かった。現代語訳とはいっても、本来語り物である『平家物語』を、カギ括弧でくくった会話を使用し、小説のように書き直したそれは、もはや別物だ。加筆した部分に作家自身の小説作法が顕わで、いかにも小説家らしい訳しぶり...続きを読むであることが評価の別れるところかもしれない。が、そのおかげで、この大部の物語を読み通せるのだから、ありがたいと思わないわけにはいかないだろう。

読み通した人は少ないだろうが、誰でも中学や高校の教科書でその一部は読んだことがあるはず。冒頭部分の「祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり、沙羅双樹の花の色、盛者必衰の理をあらわす」を暗記している人も多いだろう。那須与一の「扇の的」や、義仲の死を描く「木曽最期」など、授業で教わったことを今でも覚えている。また、歌舞伎にも『熊谷陣屋』、『平家女護島』など、熊谷次郎直実や俊寛僧都といった『平家物語』に登場する人物にスポットを当てた芝居も多い。

そうした有名な合戦の様子や武士たちの戦いぶりばかりが目に留まりがちだが、冒頭部分にあるように、『平家物語』は、諸行無常、盛者必衰といった仏教的無常観にどっぷり浸かった物語だ。また、祇王、祇女と仏御前の悲話からはじまり、後白河法王が草深い大原の里に建礼門院を訪ねる「大原御幸」で終わる、そのことからもわかるように、戦いに明け暮れる男たちだけでなく、その陰で夫や子、孫、想い人と別れなければならない女たちの物語でもある。

もちろん、「平家にあらずんば人にあらず」とまで言わせた栄耀栄華の暮らしから、清盛の死を契機に凋落、源氏の旗揚げにより、西国に落ち延び、壇ノ浦で滅びるまで平家一門の姿を追った部分が主たる筋となる。それを太い幹としつつ、幾つもの挿話が枝分かれし、時には本邦を遠く離れ、中国にまでおよぶ。項羽と劉邦、蘇武に李陵、玄奘三蔵まで登場するにぎやかさだ。おそらく、琵琶法師によって語り継がれてゆくうちに、増殖していったものでもあろうが、その雑多な物語群の入れ子状態にこそ『平家物語』の魅力があるように思われる。

数多く登場する武士や公達のなかでも特筆すべきは、頭領である平清盛ではなく、嫡子重盛。清盛が尋常ではない悪人として一目置かれながらも、高熱を発しての有り得ない死の有様を見ても分かるように、どこかカリカチュアライズされて描かれているのに対し、重盛の方は、その学識、物腰、人に対する配慮、朝廷を敬う態度、とどれをとっても申し分のない人物として最大級の扱いを受けている。平家の凋落は、重盛が神意によって病を得て、父より先に死ぬことがその遠因となっている。

しかし、聖人君子のような重盛では物語の主人公はつとまらない。そこで、登場するのが朝日将軍木曽義仲や九郎判官義経といった武人たちだ。現役バリバリの小説家による現代語訳最大の成果は、人物造形の力強さにある。特に義仲は、奔放なエネルギーを持て余す豪傑として出色の出来。「だぜい」を語尾につけるところは、どこかの芸人みたいだが、都流の雅など知らぬと言いたいばかりの無礼千万な振る舞いは、いっそ小気味よく、墨をたっぷり含ませた太筆で一気に描き切ったといった感じ。剛毅であって、稚気溢れる人物像が粟津の松原での最期のあわれをいっそう掻き立てる。

それに比べると、反っ歯で小男という外見もそうだが、奇手奇策を用いて相手の隙を突く戦法を得意とする義経は、あまり英雄豪傑らしくない。搦め手の大将という位置にありながら、功名手柄を独り占めしたがり、配下の梶原平蔵相手に先陣争いをしてやり込められるなど、梶原の言う通り将たる者の器量ではない。扇の的を射た後、船上で舞い踊る人物を必要もないのに射させるなど残虐なところもある。性狷介固陋にして子飼いの者にしか心許すことがない。後に先陣を許されなかったことを恨みに思う梶原の讒訴により兄との仲を割かれるが、あながち梶原ばかりが悪くはないと思わせる人物として描かれている。

意外に思うのは、重盛をはじめとする当時の政治家たちが自分の国をどう見ていたかという点である。幼帝の践祚や還俗しての重祚など、何かというと中国の先例を引いて、その正当性を確かめようとするところに、中華文明圏の一員としての自覚を見ることができる。自分の国は粟粒ほどのちっぽけな島であるという言葉さえ見られる。また、自分の置かれた状況を図るのに、『史記』にある蘇武や李陵の例を引くなど、中国文化をモデルにして生きていたことをうかがわせる。自分の国の小さいことや歴史の浅さをよく知り、中華文明を生きていく上での規範としていた訳だ。

多くの作者によって語られた物語群の統合としてある『平家物語』。そのなかに、何人かは知らないが、世界を俯瞰できる眼の持ち主がいたのだろう。今でこそ『平家物語』は軍記物の古典である。しかし、当時これだけのものを書こうと思えば、中国古典に習うしかない。そして、そのなかに仏教的無常観を招じ入れ、独特の語り物文学をつくり上げた。訳者は、そこに諸国放浪の琵琶法師はもとより、皇族、公家や武士、多くの女人たちの声を聴きとり、ポリフォニックな語りの文体を採用した。かなりの長さだが、単調になることなく最後まで面白く読み通すことができたのは、その工夫によること大である。古川本で『平家物語』を読んだ、という人が増えることはまちがいない。

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Posted by ブクログ 2022年08月16日

「平家物語 犬王の巻」を読んだので、この本も手にとったけど、ボリュームが凄くてなかなかの修行だった!
義仲が登場するまで我慢。
やっと一の谷、やっと屋島、やっと壇ノ浦、とマラソン大会でちょっと先の看板を目標に頑張るカンジで読み進めました!

巻末に平家の系図があったけど、巻頭に欲しかった。人名が役職...続きを読むだったりで、その時によって異なるのでシンドイ。
読後の達成感はハンパない。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2019年12月21日

印象に残ったフレーズ
・平重盛
聖徳太子の十七条の憲法にもこうあります。「人には皆心がある。心にはそれぞれ固執するところがある。彼を正しいとすれば、私は正しくない。私を正しいとすれば彼が正しくない。よって是非というのは定め難いもの。人は皆、相互に賢であり愚である。ちょうど環には端がないのと同じである...続きを読む。以上を持って腹立たしいことがあったとしても、それは自分の方に過失があったのではないかと省みよ」

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