古川日出男のレビュー一覧

  • 平家物語

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    こういっては何だが、本人の書いた源氏物語を材にとった小説『女たち三百人の裏切りの書』より面白かった。現代語訳とはいっても、本来語り物である『平家物語』を、カギ括弧でくくった会話を使用し、小説のように書き直したそれは、もはや別物だ。加筆した部分に作家自身の小説作法が顕わで、いかにも小説家らしい訳しぶりであることが評価の別れるところかもしれない。が、そのおかげで、この大部の物語を読み通せるのだから、ありがたいと思わないわけにはいかないだろう。

    読み通した人は少ないだろうが、誰でも中学や高校の教科書でその一部は読んだことがあるはず。冒頭部分の「祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり、沙羅双樹の花の色

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    2017年01月21日
  • ルート350

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    ネタバレ

    『お前のことは忘れていないよバッハ』
    家族崩壊、象徴、ハムスターの脱走、ハムスターの生存
    『カノン』
    ザマウスの王国を爆破しようとする男の子と、ザマウスで働くことを生きがいにしている女の子。埋立地、この世界は全て作り物、喪失、陰、違和感、愛、カノン
    『ストーリーライター、ストーリーダンサー、ストーリーファイター』
    幽体離脱により同級生3人を観察するサカリの男子高校生。
    幽霊ビル、その解体、3人+1人の新たな出会い
    『飲み物はいるかい』
    離婚したばかりの主人公、神楽坂で旅に出る
    『物語卵』
    自分の中の何人
    『一九九一年、埋め立て地がお台場になる前』
    湾岸戦争終結を祝うドラッグパーティー、狂気、暴

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    2011年07月23日
  • ルート350

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    「モンキービジネス」の掲載作品がつまらないので、期待しないで読んだのだが、なんだ面白いじゃん! という評価。
    アメリカ文学を読んできたというだけのことはあって、その辺の香りもする。ユアグローとか。

    バッハの話が一番好きかな。

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    2009年11月23日
  • 平家物語 犬王の巻

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    平家物語は以前読んだことがあるが、『犬王の巻』犬王とは何だろうと興味を引かれ手にとった。

     時は室町、歴史から消された
    謎の能楽師犬王と盲目の琵琶法師友魚が奏でる
    もう一つの「平家物語」
    鳴り響く琵琶は呪いか?祝福か?

     読み終わって、あれ?と思ったのが手塚治虫の『どろろ』と似ているなと。
    さすがに百鬼丸みたいに仕込み刀とかはないけど設定とかは似ている。
    文体も独特で読み手に語りかけるような口調で同じ言葉を反芻したりと「べんべんべん」と琵琶の音が聴こえてきそう。

    犬王と友魚の対比が興味深い。
    特に後半では真逆の対応をしている。
    最後まで抗い続け悲劇にあった友魚、抗うことを諦めてしまった犬

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    2025年10月11日
  • 紫式部本人による現代語訳「紫式部日記」

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    『紫式部日記』を読みたい、だけど、古文は絶対読み切れないと思い、現代語訳を探していた。
    当然、古文を読むよりは内容がわかる。だけど、何か英文の直訳を読んでるような雰囲気。そしてグルーミィって...現在に紫式部がいたら、どんよりした気持ちをこんな言葉で表すってことかしら。
    他の方の現代語訳紫式部日記も読んでみて比較したくなる感じ。

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    2025年05月20日
  • 走る?

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    タイトル通り「走る」に特化したオムニバス
    青春、ノスタルジー、リアリティ、SF、不条理…色々な形の「走る」ストーリーがあり、短編集だから合わなくてもすぐに終わる
    コレを読んで走りたくなるかは貴方次第

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    2025年04月18日
  • 平家物語

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    吉川英治の新平家を読んでいたら琵琶法師の所作も取り入れてすごいからこれも読めと勧められた
    平曲風?の語り口調が独特で合戦の場面みたいな物理的な緊迫感がある場面は勢いがあって良いのだが他はつい目が滑ってしまう。あと掛け声の「よ!は!」とかも慣れるまで笑ってしまった。凄いことをやっているのはわかるのだが。

    あと新平家がキャラ付けが強烈で人間くさかった余韻なのかそれぞれの登場人物の個性があまり感じられなかった。文量の違いもあるが新平家はかなりガツンとくるがこちらはサラサラ読める感じ

    個人的には本編より後書きや解説が読み応えがあった。
    全文訳してるとのことだが平家物語の原文が900頁に納まる量とい

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    2025年02月05日
  • 京都という劇場で、パンデミックというオペラを観る

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    私の胆力というか、体力というか、気力というか、余力というかが、もう少しあれば、もう少し味わえたかもしれない。
    読んでいると、とても自力では想像しないような重層的な、すっ飛んだカオスというべきイメージが展開する。コロナの時代を共有した人しかわからない読書体験ではある。
    ただ、日常生活の合間に、ちょこちょこ途切れながら読んでいると、なかなか世界観の維持が難しかった。何だか読者として力量不足というか、筆者に申し訳ない読み方しかできなかったなあという、ほろ苦さが残ってしまった。

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    2025年01月27日
  • 紫式部本人による現代語訳「紫式部日記」

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    初めての紫式部日記。不勉強ゆえどこからが原文の訳で、何が注訳で、どこが要約か分かりにくかった。他の紫式部日記訳を読めばまた解像度が上がるかも。
    読みにくいと感じた語尾の不統一性は、原文準拠らしいことも書いてあったし、この分かりにくさは元々の紫式部日記の性質なのかもしれない。

    星2にしようかと迷ったけど、上記のことから判断保留の意味も込めて星3。

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    2024年11月14日
  • 京都という劇場で、パンデミックというオペラを観る

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    長いタイトル、本文も350頁あまりでそこそこ長い。
    パンデミックのころを、京都を軸に描くという体の作品なのだが、一筋縄ではいかない。
    第一部は著者自身の回想や実在の人物との交流で始まる。が、発想はあちらに飛び、こちらに飛び、パースペクティヴ的である。八艘飛びを繰り返しながら、「あの頃」が立体的に立ち上がっていく。同時に、空想の中から、三島由紀夫のフェイクである「二島」由紀夫や、冥界で閻魔の補佐をしていたという小野篁、そして源氏物語の著者である紫式部が召喚され、彼らが現代の京都を闊歩し、オペラを演じるのだ。
    ・・・いや、何を言ってるのかわからないと思うが、だいたいそういうお話なのである。

    こう

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    2024年09月23日
  • の、すべて

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    夏休みにがっつり本を読みたい!と思った私にはこの上なく最高のチョイス。
    台風で全ての予定が狂った今年の夏休みだったけど、この本があって本当に良かった。
    古川日出男にしては読みやすい?かな?
    読み続けた幸せな557ページ。
    恋愛小説?笑
    夏の思い出をありがとう。

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    2024年09月07日
  • 女たち三百人の裏切りの書(新潮文庫)

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    アニメの『平家物語』を見た記念に。
    紫式部に憑かれた振りをして源氏物語の続編を語っていくうちに、物語内でも語り手たちも裏切りあっていく。ちょっと悪文。

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    2024年06月29日
  • 平家物語 犬王の巻

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    これはこれで面白かったけど、映画の方を先に見ちゃった分、そっちの印象が強い。
    映画を見て謎だった部分の補完の意味合いが強い読書になってしまった。
    先にこっちを読んでいれば、たぶん、また違った印象を持ったと思う。

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    2024年05月22日
  • 紫式部本人による現代語訳「紫式部日記」

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    紫式部がルー大柴に…?
    日記上での紫式部は結構陰鬱(悪口&自虐)で、大河の「まひろ」とは結びつかず。ここからどんどん心がしんでゆくのか…?見逃せない!(←大河の感想になってしまった)

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    2024年04月24日
  • 紫式部本人による現代語訳「紫式部日記」

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    紫式部本人による紫式部日記、ということで、所々補足があって理解しやすい作りになっている。
    紫式部が小式部内侍のことがとても好きなこともしみじみ伝わってくるし、清少納言に対する苛立ちも現代的で面白い。
    けれども使っている言葉が「ワイフ」「グルーミィ」など、度々普段自分は使わないものに置き換えられていて気が散ってしまった。

    具体的にいうと、90ページの「大晦日の夜には鬼やらいがある」のところなんて、原文が「うちとけゐたるに」(くつろいでいたところに)が「いずれにしても、いつもはどこか冷めているわたしは、けれどもこの瞬間は、ただの冷静(チル)な物腰よりもチル・アウトをもとめていた。そう、くつろぎ。

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    2024年04月18日
  • 平家物語 犬王の巻

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    湯浅監督のアニメ「犬王」がこれまた傑作だったので、原作も気になり手を取ってみました。どうしても、アニメーションと比べると映像がない分、臨場感に欠ける印象はあるのですが、それでも口承のていで展開する短い文章が連続する構成は非常にテンポがよく、まるで能を見ているような気持ちよさがありとても新鮮でとても楽しめました。

    あくまで個人的な感想なのですが、映画は友魚と犬王の友情がかなり濃密に(時に湿っぽく)描かれていたのが印象的で、かつそこが一番好きな点でもあったので、そのあたりが結構あっさりとしていたのは少し残念でした。(ただ、ラストの展開は小説版も負けず劣らず良かったです)

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    2024年03月30日
  • 平家物語 犬王の巻

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    冒頭、友魚と犬王のそれぞれの来歴が語られた章の勢いがとても新鮮で面白く響いて一気に読んだ。評価の高い映画の方も観てみたい。

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    2024年03月26日
  • 平家物語 2

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    源氏と平家がついに対決、追いつめられた平家が都落ちする第2巻。

    平家の大ボス清盛が亡くなって、急激に勢いを無くしていく平家。あの平家がどんどん味方を失っていき、都を後にして戦いに出ていかなきゃならない場面は切ない。第1巻では平家の横暴っぷりが際立っていたけど、力がなくなると周りもすーっといなくなる。それに直面しなきゃいけない平家がなんか可哀想。
    にしても木曽義仲強すぎ。第2巻のヒーロー。

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    2024年02月04日
  • 紫式部本人による現代語訳「紫式部日記」

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    平家物語の犬王の時のような、軽い口語なのですらすらと読めた。エキスをギュッとしたような印象なので、逆に全文はどんなだろう?と気になる。
    また、自作解題という名の後書き?が面白い。紫式部=パンク姉さん!紫式部トリビュートも読まなければ。また、批評を受けたという短編は書籍になってるのかな?気になる。

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    2023年12月11日
  • 平家物語 犬王の巻

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    2023-12-02
    映画が素晴らしすぎて勢いで原作も。
    読むと言うより語りを聞く感覚。目眩が起こるほど言葉が踊る。え、そこそれだけで終わる?という所もあり。
    どちらが好きかと言われると、映画。どちらを勧めるかと言われると、原作。
    疾走感は原作か。映画は曲や見た目の好みがあるだろうし。QUEENすぎるというのは、原作読んで納得した。
    しかし、改めて「どろろ」だなあ。

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    2023年12月02日