【感想・ネタバレ】ゼロエフのレビュー

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Posted by ブクログ

故郷福島の震災後の福島を徒歩で走破するルポルタージュ。古川さんの文体は独特なので、読むのに苦労するところもある。震災後の原発事故は未だその爪痕を多く残している。原発後の一次産業の相当な打撃は報道されている以上に過酷な状況だったのだと思う。

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2021年12月15日

Posted by ブクログ

古川さんの本は、「犬王」に続いて2冊目。あの小説のテイストが、そのままノンフィクション本に反映されている。人によって好みは別れそうだが(なお、私は少しだけ苦労した)、文体そのものがアインデンティティとなっている方がいるからこそ、本を探す楽しみ、ざらっとした触覚を堪能する楽しみがあるとも思っっている。

ゼロエフは、古川さんの内側にとってもとっても入り込む、というより引き摺り込まれる本で、それでいてその内側から福島という大きな存在を語る本だ。
とても私的な言葉と感情が、(ここであえて恐れずに使う言葉だが)手前から押し寄せる波のように読み手の行手を阻んだりも、また、引き波のように進行方向にむけて読者を押し流すこともある。

「福島に郷土がある」ということは、10年前のあの日以降、「郷土が福島である」、という意味以上にいろんな意味を持つようになってしまった。古川さんが福島を歩いて縦断したり、沖合からFを見る中で、でその意味に付随する風景や、ことばが色々と読み手に与えられてくるのだが、すでに読み終わった数日後から、福島の外にいる私の記憶からはどんどんとその断片が抜け落ちていってしまう。つまり、こういうことなのだと思う。こういうことをわかっているからこそ、古川さんの文体は、そう簡単に滑らかではなく、ざらついて、手のひらにうっすらと記憶を残そうとしているのだ。

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2021年09月25日

Posted by ブクログ

2020年に開催されるはずだったオリンピック。
「復興五輪」を謳ったオリンピック。
その期間中に東日本大震災の被災地である福島県内を歩いて、オリンピックが歓迎されているのか、復興に貢献しているのかといったことを見て確かめようとした著者。
実際に2020年のオリンピックはコロナウイルスのパンデミックにより、延期になった。
だが著者は歩いた。
震災による原発事故で、大打撃を受けた福島。
椎茸栽培をする家に生まれた著者。
被災地に住まず、被災していない著者。
けれど、それは被災に限りなく近いと思う。
著者の心情を考えると切なくなる。
読み始めて一番最初に感じたのは、なんと勿体ぶった文章を書く人なのだろうということ。
しかし、著者が劇作家であることを知り納得した。
そんな文章故に、私にとっては読みにくく、遅々として進まなかった。
しかし最後まで読んだ。(著者風に)
後半は平家物語が出てきて、私には難解だった。
しかし、時に別次元にワープするような不思議な感覚を覚えた。
腰を据えてじっくり読んだら、素晴らしい本なのだろうとは思う。

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2021年06月28日

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