浅倉久志のレビュー一覧

  • スキャナー・ダークリー

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     フィリップ・K・ディック、といったらSFと思って本書を取るものなら、拍子抜けするに違いない。まあ、ジャンキーから見た我々の世界は「SF」のようなものだろうし、また逆も然りなのだろうから、ジャンキーを描いたこの作品も「SF」と言えるのかもしれない。

    …以上、屁理屈である(笑)

     なぜだかわからないが、読めば始終やるせない感じを受けることとなる。結末がああだから、というのもあるだろうが、言い知れぬ恐怖があるからだろうか。
     物語としては、若干冗長ではなかったか。

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    2012年11月12日
  • スキャナー・ダークリー

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    中盤にだるいとこはあるけど、ディックの中では比較的筋がわかりやすい。あんまりSFぽくはない。アークター=フレッド=ブルースも、ドナも人格がつかめない。
    限りなく透明に近いブルーもだけど薬中から脱した人は喧嘩したり奪い合ってばっかりだった友人をやたらとかけがえながるのが今一つ腑に落ちない。

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    2013年01月01日
  • スラップスティック

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    初ボネガット。

    さすがアーヴィングのお師匠様。
    奇妙奇天烈、悲喜こもごもな人生譚。

    ニヤリとさせられる場面がしばしば。

    名字、同じ人は拡大家族かーそうかー。

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    2014年12月23日
  • 伝道の書に捧げる薔薇

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    本書は、60年代に登場したニューウェーブSFを代表するロジャー・ゼラズニイの中・短篇集です。
    スランギーで若々しい文体に目を向けがちですが、全編を通じて詩的な表現がみられ、粗くも繊細な二面性を感じられる文章でした。
    なかでも「聖なる狂気」は、物語自体は時間の逆行をモチーフにした平凡な内容なのですが、その時間が逆行する様を見事なまでに表現しており、その巧みな表現だけで楽しめる一作です。

    その他面白かったのは、「伝道の書に捧げる薔薇」と「この死すべき山」。
    特に前者は、やはり最後がねぇ…この作品に限らず「十二月の鍵」や「このあらしの瞬間」も終盤のどんでん返しが印象に残ってます。

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    2012年09月01日
  • ターミナル・マン

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    マイクルクライトンの1980年代に書かれた医療ミステリー。暴力的なまでのてんかん患者を、コンピューターによっててんかんを制御する手術を行い、患者が暴走してしまうというストーリー。
    本の主題は、ホラーというよりは、精神をコンピューターで制御することの有無という部分に置かれている気がする。話的にはごくごく単純な特に伏線もないため、さくっと読めるのではないかと。
    1980年代のIBMのホストコンピューターの描写などは、見た事無い世代なので(旧型の使われなくなったブツは見た事ありますが)、当時の描写も時代を感じて面白い。
    ただ、今現在にも通じるものがあると思う。
    今なら、もちろんコンピューターを小型化

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    2012年07月29日
  • パーマー・エルドリッチの三つの聖痕

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    相変わらずディックらしい悪夢的な世界だった。
    しかし、自分の読み方が浅かったというかよみこめなかったので☆は作品に対してというより自分の読書態度に対して。
    ぜひ、も一度読み返したい。

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    2012年05月11日
  • ガラパゴスの箱舟

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    ダーウィンの進化論をテーマにしたSF小説。
    戦争、経済、人生、男女など現代の問題に対して、進化した人間の脳がいかに当てにならないかを皮肉とユーモアたっぷりに書いている。
    ガラパゴス諸島の環境が、大きな脳を不要にするという発想もおもしろい。

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    2012年04月21日
  • 自由未来

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    なにやら、「家畜人ヤプー」を思い出した。思い出したとは言っても、家畜人ヤプーをちゃんと読んだことはないのだが。
    アメリカンで軍隊的なマッチョ思考のおじさまがモテモテなお話。詳細は面白いけど、大筋では古臭い感じ。

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    2011年09月22日
  • 青ひげ

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    ネタバレ

    今度は画家の話

     楽しみにしている作家の(けっこう)最新作。1987年である。戦争体験を持つ画家が自らの人生を振り返るというスタイルで書かれる。細切れに小さなセンテンスが区切られていて、あっちこっちへと時間がいったり来たりするものの、絶妙のタッチで読者が混乱することがない。多少冗長とも思える350ページの長編もスムーズに読むことができた。

     本来自分の死後にのみ公開する予定だったジャガイモ小屋に残した最後の作品とはどんなものなのか? このテーマを最後まで引っ張りながら、ラストで一気にその作品を見せる。主人公である画家がそれを公開する気になる部分といい、公開したときにとかれる自らに課した呪縛

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    2011年09月16日
  • チャンピオンたちの朝食

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    挿絵入り奇作

     ヴォネガット作品の定番キャラクターSF作家キルゴア・トラウトを軸に、富豪(?)の主人公が発狂するまでを描く。

     いたるところで発狂している文面、作者自身の挿絵、時間軸が交錯するストーリーといかにもヴォネガット・タッチ。初めて読むととまどうだろうな。

     メインストーリーよりも、むしろ作中の挿話として扱われるトラウトの(もちろんヴォネガットの)SF小話が圧倒的に楽しい。


     何度かヴォネガット作品を読んでいるので、この辺で主な作品の順番を整理しておきたい。斜字は既読、太字は今後の予定、赤字はお勧めである。

    プレイヤー・ピアノ(1952)
    タイタンの妖女(1959)
    猫のゆ

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    2011年09月16日
  • サンディエゴの十二時間

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    シンプル&スピード

     原題は BINARY。「おたがいに作用しあう二つの異なった要素からなるシステム」のこと。作中では二重化の意味にとらえればいいだろう。つまり、どんでん返しがあるということ。

     さすがにコーマの映画監督までしたクライトン。本作はジョン・ラングの名前で発表された初期作品だが、SF色はないもののシンプルさとスピード感は天下一品。

     素材が現代の話だからか、尻切れトンボの感じはほとんどない。毒ガステロの犯人とそれを追うGメンの心理戦が筋のメインになる。犯人は先に死んでしまうが、相手のとの戦いを趣味とするGメンが事件を解決する。いやぁ、楽しい作品だった。

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    2011年09月16日
  • 自由未来

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    ネタバレ

    大人のいる「十五少年漂流記」。ソ連からの核攻撃をシェルターでやり過ごした合衆国の一家族のサバイバル。中盤からは、未来社会で生きるタイムスリップSFにがらりと変わった。
    冷戦や核戦争、人種についての話題が登場するのも、1960年代に書かれた小説ならでは。前者については、そういう時代だったでスルーすることができても、後者については非常に鼻に付いた。数千年後の未来社会でまで、人種という下らない差別で生き方に差が出るもんか。豊田有恒「モンゴルの残光」でも読んでろ。
    ハインラインは合衆国が大好きだね~。主人公のおじさまが「アメリカは歴史のなかで最良の国だ」とか言っちゃうし。ねーよw黒人のハウスボーイを雇

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    2011年07月03日
  • パーマー・エルドリッチの三つの聖痕

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    温暖化が進み、命に危険が及ぶほど住みづらくなってしまった地球。人類は生き残り策として火星への強制移住計画を進めていたが、開拓地の火星は何の楽しみもない荒涼たる砂漠が広がるだけだった。強制的に移住させられた貧民が心の支えとするのは、地球での暮らしを再現できるドラッグ「キャンD」。このドラッグを非合法に、且つ独占的に販売していたP・P・レイアウト社の社長レオ・ビュレロに最大の危機が訪れる。謎に包まれた実業家パーマー・エルドリッチが、新種のドラッグ「チューZ」を携えて外宇宙から帰還したのだ。エルドリッチの販路拡大を阻止すべく、レオの意を汲む予知能力者バーニー・メイヤスンが火星に乗り込むが・・・。

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    2011年06月04日
  • 自由未来

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    ネタバレ

    冷戦時代に書かれたSF
    ハインラインだからもちろん面白くてぐいぐい読んでしまったけど
    黒人白人逆転世界を白人主人公目線でサバイバルなあたりが
    大変鼻についてちょっと嫌いです

    ハインラインって基本サバイバル物なのだなと気付く一冊

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    2011年01月24日
  • スキャナー・ダークリー

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    フィリップ・K・ディックだからなのか,難解なお話だった。
    元々が薬物で自己が崩壊して行き,自分と他人の境界線が
    あやふやになり・・・と段々理解できなくなって行く感じ。

    まぁ,最終的にはどこにでもある,アメリカが過去もこれからも
    抱えていく(日本もそうだが),ドラッグの問題という
    大きな壁にぶち当たって終わる感じ。

    映画版もあるが,観ようとは思わないかも。

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    2010年10月06日
  • スキャナー・ダークリー

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    鬼才リチャード・リンクレイターがアニメ映画化した2006年に買ったはいいが、3分の1も読めずにほっぽらかしてあった。(映画も観たかったが、機会を失った)

    通読して思ったのは、一字一句理解しようなどと思わずに、酔っぱらいのたわごとを受け流す感覚で読めばよかったのだということ。しょっぱなからして、ドラッグ中毒者の悲惨な幻覚描写。主人公のボブ・アークターだって、おとり捜査官とはいえ、ヤク中だ。同じくヤク中のダチ公どもとの会話ときたら、とことんナンセンス。信用できない語り手という言葉があるけど、ヤク中の語り手ほど信用できないものがあるだろうか?

    共感も同情もできないまま、読み進めるのだが、しばらく

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    2010年06月21日
  • ジェイルバード

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    1行読んだだけで私の顔をにやけさせる作家というのは、たぶんこの人だけ。関係のない(ようにみえる)ことが次々に書き連ねられていって、その中に身を置くこと自体すごく気持ちいいんだけど、それらが最後にうまいことまとまっていくところがたまらない。これまでアメリカで起きてきたいろんなことを良く知っていればもっともっとおもしろく読めるのかもしれないなあ。でも、今、わたしが感じるおもしろさだけで充分。

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    2011年08月06日
  • スキャナー・ダークリー

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    導入部は中毒患者の幻影を再現したかのような書きっぷり。自分が自分を追い詰めるというパラドックスをバランスよく破綻しながらは書いている。映像化されたアニメのようなトレース画像はこの小説を上手く表現しよかった。ヒットしなかったけどね。個人的にはサンリオ文庫版の表紙が好きだったのに。。。。

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    2009年10月04日
  • スキャナー・ダークリー

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    友人に勧められて読んだ本。普段SFものはあまり読まないので、なかなか慣れなかったが、後半は力強い感じがした。麻薬をめぐる話。

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    2009年10月04日
  • タイムクエイク

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    誰にも生んでくれと頼んだ覚えは無い、というフレーズが出てくるたび心に突き刺さりました。ヴォネガット慣れしてない人には読みづらそう?

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    2009年10月04日