浅倉久志のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ★★★☆☆
積読の棚から文庫本を一冊サルベージしたらハインラインだった。
『自由未来』は核爆弾のショックで未来世界、というかパラレルワールドに飛ばされてしまった数人の男女の話。
科学技術の進んだ未来世界では、イスラム教ベースの宗教が信じられていて、黒人が選民として白人の奴隷を支配している。
冒頭のアメリカ一般家庭の夕べの様子はちょっと退屈なんだけど、異世界に飛ばされた後の主人公ヒューの態度の変化が面白い。
言うことを聞かない息子デュークに銃を突きつけて、言うことを聞かないなら出て行けと迫る。
平時には息子といえど対等に話し合っていたのが、すわ有事となると対応がガラッと変わり、高学歴で弁護士の息子をオロオロさせる。
デュークは嫌なやつだ。
人種差別でエリート主義で、ついでに女性差別もある、アメリカ白人のステレオタイプ。
でも、その考えも強固な信念があってのことではなく、社会一般のものさしにちょっと過剰に適応してしまっているだけで、そう悪人というわけでもない。
逆の意味でいえば黒人のジョーも前半の印象ほど善良なわけではない。
未来世界で選民の黒人として白人の上に立ち、立場が逆転するとジョーはその立場を利用して今までの鬱憤を晴らそうとする。
ヒューが言っているように、世界が不平等なら上にいたいと思うのは、そんなに非難できることではない。
娘のカレンはジョークもわかるいい子だが、結果がかわいそうすぎる。
ちょっと身持ちが悪かったぐらいであんな目に……しかも赤ちゃんまで。
本当に彼女の人生だけは過去を操作して変えてあげたいと心底思う。
ハインラインは右翼的だのナンだのといろいろ批判はあるが、僕は自分の資質が合っているのか、何が問題でそんなに批判されているのかさっぱりわからない。
ハインラインをイデオロギー的に批判している人とはソリが合わないだろうけども、彼が別の作品で書いていた言葉ーー
「人類が発明したものの中で最も偉大なのは政治さ。政治のお陰で僕らは嫌いなヤツらとも共存できるんだ」
ーーを胸に、話しもせずに毛嫌いするのだけはやめようと思う。 -
Posted by ブクログ
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長老たちが地球人に目を付けたもうひとつの理由は、彼らが自分と異なった外見を持ち、異なったしゃべりかたをする地球人を恐れ、憎むことだった。彼らは、いわゆる”下等動物”の生活だけでなく、おたがいの生活をも地獄に変えていた。彼らはよそものを見れば下等動物と思うたちだった。だから、長老たちが細菌にこの世の辛酸をなめさせたければ、地球人に物理学と化学を勉強すればもっと効率のいい武器が作れると教えるだけでよいわけだ。長老たちはさっそくその実行にとりかかった。
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長老たちは、アイザック・ニュートンの頭の上にリンゴを落とした。
長老たちは、母親のヤカンが鳴り出す度に、ジェイムズ・ワット少年に聴き耳を立てさせた。
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(本文より) -
Posted by ブクログ
読み終わるのに何日もかかってしまった
長かった
ヒロシマツモトが出てきたあたりからは面白くて一気に読めた
ヴォネガットお得意の話の寄り道が多過ぎて本に慣れるまで時間がかかる
そのせいで序盤はちょっと読むのが辛かった
あと、登場人物が多過ぎて頭悪い僕にはわけわかんなくなることが多かった笑
翻訳の問題でなく、文化や言語の違いによる問題だと思うんだけど、よく分からない言い回しもいくつか
それでも、ヴォネガット好きかつ日本人なら読んで欲しい本
少し日本人贔屓に描かれてる
ヴォネガットの小説を読むたびにアメリカひでぇな、日本良い国だなと思うんだけど、
それは日本人が歴史的敗北によって植え付けられた劣等感を抱えてるからなのかななんて思ったり
そんな日本も、現在の状況見る限りまもなくクソッタレな国になっちゃうんだろうなーなんて悲観的になるのはヴォネガットの終末観のせいだろうかね -
Posted by ブクログ
もしかすると人生の辻褄は合うのではないのか。
そんな考えが入り込んできているようだった。
『スローターハウス5』に登場した、あらゆる悲惨な出来事に対しただ淡々と「そういうものだ」と呟き続けるビリー・ピルグリムと対になったかのような人物は今作にも存在する。しかしそれは単に脇役としてだ。
主人公は、出来事に対して、ときおり神の存在を信じてもよいような気がしていて、それは「そういうものだ」の認識との間で揺れ動く。あらゆる悲惨な出来事も、単に「そういうもの」であり、そこにはどこか超越した地点からの意味付け(=神)などなく、すべては無意味。人生に辻褄が合うなんて発想はあり得ない。
今までこんな風に語られていたものが、この『ホーカス・ポーカス』では、そんなある種の達観した地点から、人間的なものに戻っていったように思えた。 -
Posted by ブクログ
本書は、60年代に登場したニューウェーブSFを代表するロジャー・ゼラズニイの中・短篇集です。
スランギーで若々しい文体に目を向けがちですが、全編を通じて詩的な表現がみられ、粗くも繊細な二面性を感じられる文章でした。
なかでも「聖なる狂気」は、物語自体は時間の逆行をモチーフにした平凡な内容なのですが、その時間が逆行する様を見事なまでに表現しており、その巧みな表現だけで楽しめる一作です。
その他面白かったのは、「伝道の書に捧げる薔薇」と「この死すべき山」。
特に前者は、やはり最後がねぇ…この作品に限らず「十二月の鍵」や「このあらしの瞬間」も終盤のどんでん返しが印象に残ってます。 -
Posted by ブクログ
マイクルクライトンの1980年代に書かれた医療ミステリー。暴力的なまでのてんかん患者を、コンピューターによっててんかんを制御する手術を行い、患者が暴走してしまうというストーリー。
本の主題は、ホラーというよりは、精神をコンピューターで制御することの有無という部分に置かれている気がする。話的にはごくごく単純な特に伏線もないため、さくっと読めるのではないかと。
1980年代のIBMのホストコンピューターの描写などは、見た事無い世代なので(旧型の使われなくなったブツは見た事ありますが)、当時の描写も時代を感じて面白い。
ただ、今現在にも通じるものがあると思う。
今なら、もちろんコンピューターを小型化して、この本のような暴走は生まれにくいかもしれないが、精神をコンピューターで制御するべきかどうかの有無というのは、書かれて30年たった今でさえ、回答が出ていないんじゃないかと。
そういった意味では、今まだ色あせないSFとして、楽しめる作品でした。
ただ、マイクルクライトンの他の作品よりは、人物の魅力が薄く、主人公達に入り込むことができなかったかな。