浅倉久志のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ★★★☆☆
積読の棚から文庫本を一冊サルベージしたらハインラインだった。
『自由未来』は核爆弾のショックで未来世界、というかパラレルワールドに飛ばされてしまった数人の男女の話。
科学技術の進んだ未来世界では、イスラム教ベースの宗教が信じられていて、黒人が選民として白人の奴隷を支配している。
冒頭のアメリカ一般家庭の夕べの様子はちょっと退屈なんだけど、異世界に飛ばされた後の主人公ヒューの態度の変化が面白い。
言うことを聞かない息子デュークに銃を突きつけて、言うことを聞かないなら出て行けと迫る。
平時には息子といえど対等に話し合っていたのが、すわ有事となると対応がガラッと変わり、高学歴 -
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Posted by ブクログ
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長老たちが地球人に目を付けたもうひとつの理由は、彼らが自分と異なった外見を持ち、異なったしゃべりかたをする地球人を恐れ、憎むことだった。彼らは、いわゆる”下等動物”の生活だけでなく、おたがいの生活をも地獄に変えていた。彼らはよそものを見れば下等動物と思うたちだった。だから、長老たちが細菌にこの世の辛酸をなめさせたければ、地球人に物理学と化学を勉強すればもっと効率のいい武器が作れると教えるだけでよいわけだ。長老たちはさっそくその実行にとりかかった。
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長老たちは、アイザック・ニュートンの頭の上にリンゴを落とした。
長老たちは、母親のヤカンが鳴り出す度に、ジェイムズ・ワット少年に聴き -
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Posted by ブクログ
読み終わるのに何日もかかってしまった
長かった
ヒロシマツモトが出てきたあたりからは面白くて一気に読めた
ヴォネガットお得意の話の寄り道が多過ぎて本に慣れるまで時間がかかる
そのせいで序盤はちょっと読むのが辛かった
あと、登場人物が多過ぎて頭悪い僕にはわけわかんなくなることが多かった笑
翻訳の問題でなく、文化や言語の違いによる問題だと思うんだけど、よく分からない言い回しもいくつか
それでも、ヴォネガット好きかつ日本人なら読んで欲しい本
少し日本人贔屓に描かれてる
ヴォネガットの小説を読むたびにアメリカひでぇな、日本良い国だなと思うんだけど、
それは日本人が歴史的敗北によって植え付けられた劣等 -
Posted by ブクログ
もしかすると人生の辻褄は合うのではないのか。
そんな考えが入り込んできているようだった。
『スローターハウス5』に登場した、あらゆる悲惨な出来事に対しただ淡々と「そういうものだ」と呟き続けるビリー・ピルグリムと対になったかのような人物は今作にも存在する。しかしそれは単に脇役としてだ。
主人公は、出来事に対して、ときおり神の存在を信じてもよいような気がしていて、それは「そういうものだ」の認識との間で揺れ動く。あらゆる悲惨な出来事も、単に「そういうもの」であり、そこにはどこか超越した地点からの意味付け(=神)などなく、すべては無意味。人生に辻褄が合うなんて発想はあり得ない。
今までこんな風に語ら -