浅倉久志のレビュー一覧

  • パーマー・エルドリッチの三つの聖痕
    フィリップ・キンドレッド・ディック作、浅倉久志訳のSF長編。
    ディックの名短編『パーキー・パットの日々』を下敷きに、架空のドラッグによる、共同幻想への没入、過去への回帰、物質への転生、それら幻覚の現実世界への侵食…といったトリップ体験を融合させている。
    ディストピア小説でありながら、ドライな筆致、零...続きを読む
  • 逆行の夏──ジョン・ヴァーリイ傑作選
    ポップな表紙絵とは裏腹にハードな世界観のSFが多く収録された短編集。
    ビターな余韻の作品が多いが間違いなく良質である。

    『PRESS ENTER ■』に描かれたコンピューターの姿、『残像』に描かれた人間の姿、どちらも感慨深い。
  • 三惑星の探求
    SF。中短編集。
    人類補完機構シリーズが5作品。うち4作品はキャッシャー・オニール・シリーズ。
    キャッシャー・オニールの物語は、冒険小説の趣向が強い。
    情景描写の美しさと、キャラクターの魅力が素晴らしい。
    やはり「嵐の惑星」がベストか。ト・ルースが魅力的すぎる。
    「三人、約束の星へ」は極めて特殊なキ...続きを読む
  • 三惑星の探求
    壮大なSF、ファンタジー、神話的、宇宙史。
    その一部分を1長編と3中短編集で垣間見ることが
    できるが、残念なのはその全てを知る
    神に等しい人物が全てを明らかにする前に
    未来の世界に帰ってしまったこと。
    そして、うっかり数千年分の歴史を紛失したこと。
    作者も読者も不完全燃焼であろう。
    完全に整っている...続きを読む
  • スキャナー・ダークリー
    なんか話が複雑で追いかけるのがしんどかった。フレッドとアークターが混じっていくとことか、カウンセリングの場面とか、何がおきてるかさっぱりわかんなかった。
    後半のどんでん返しはなかなかショッキングでよかった。中盤がだれていて読み続けるのがしんどかったけど、終盤のあたりは展開が早くてテンポがよかった。
    ...続きを読む
  • あなたの人生の物語
    短篇集で一編ごとが読みやすい。しかし理解と判断は少し難しいように感じた。SFっぽくないと思うものもあったが、全体を通して少し不思議、そして何かしらの法則、ロジックを感じることができたように思う。個人的には、所々に伊藤計劃と似た雰囲気を感じることがあった。
  • ホーカス・ポーカス
    どこがSFなのかよくわからないところがいい
    表紙   6点和田 誠
    展開   6点1990年著作
    文章   7点
    内容 710点
    合計 729点
  • ターミナル・マン
    面白かった( ´ ▽ ` )ノ
    どんなふうに面白いかは、解説でゴー先生が書いているとおり( ´ ▽ ` )ノ
    もう、あれは完璧な解説だね( ´ ▽ ` )ノ
    書き足すことは何もないや( ´ ▽ ` )ノ

    前半の手術シーンの書き込みはさすがクライトン( ´ ▽ ` )ノ
    後半のシリアルキリングはまさ...続きを読む
  • アンドロメダ病原体〔新装版〕
    『アンドロメダ病原体』マイケル・クライトン 著。
    原題"The Andromeda Strain" Michael Crichton
    *
    軍の人工衛星がアメリカの小さな町に落ち、そこに未知の病原体が付着していた…。
    そこで、秘密裏に作られた組織がこの病原体を解明するサイエンス・フィクション。
    *
    ...続きを読む
  • ユービック
    この話、すごく回りくどい。悪い意味ではないです。
    ユービックという、アイテムとしては微妙な位置づけのものが、一番初めの章からずっと、怪しげな、けど、世に溢れている広告の形で、姿を変えながら登場している。話と絡んでくるのはずっと後で、それは多くの先人たちが力を尽くして作り出した、主人公が生き延びるため...続きを読む
  • ユービック
     あとがきで触れられていた通り、中盤から後半にかけてはA・E・ヴァン・ヴォークトの影響を強く感じた。フィリップ・K・ディックの諸作をすべて読んだわけではないが、彼の本には、世界と自分を繋ぐ感覚の脆さへの表現があり、個人が持つ感覚が他者と本質的には共有できないという孤独がある。と同時に、人間が感じる世...続きを読む
  • 逆行の夏──ジョン・ヴァーリイ傑作選
    円城塔に煽られて。ヴァーリイ初読。

    1作目『逆行の夏』を読んだところではあまりピンと来ていなかったのだが、3作目『バービーはなぜ殺される』あたりからじわじわとハマっていった。SFではあるが文学であり、今こことは異なる地平の世界において、人々は何を感じ、どうやって生き、何を愛するのかという愚直な筆致...続きを読む
  • スラップスティック
    魅力のありかがどうにも分からない。分からないのだけど琴線に触れるなにかがある。そんな気持ちがしています。

    無人島にもっていくとしたら? というときに上位に入ってしまうかも知れない一冊です。
    傑作! だとか絶対におすすめ! などとはなかなか言えそうにないけれど。

    フィクションとリアリティのバランス...続きを読む
  • 逆行の夏──ジョン・ヴァーリイ傑作選
    「まさかヴァーリイをご存知ない。なにも失くしたことがないならそれでいいけど。」

    すみません、読んだことありませんでした。ということで、円城塔氏の帯文に煽られ購入した本書は、ジョン・ヴァーリイの短篇集「逆行の夏」。ヴァーリイといえば、1970~1980年代に活躍し、サイバーパンクの先駆け的存在として...続きを読む
  • スキャナーに生きがいはない
    基礎知識が定まらないのと
    まだこれしか読んでいないので
    評価は難しいのだけど
    舞台や道具はともかく、物語の中にある
    人間的な部分、ロマンチックな思いは
    いまも色あせないのではないか。
  • ジェイルバード
    ヴォネガットを読みたい時にはもってこいの良作
    表紙   7点和田 誠
    展開   8点1979年著作
    文章   7点
    内容 700点
    合計 722点
  • 逆行の夏──ジョン・ヴァーリイ傑作選
    表題作はボーイ・ミーツ・ガールものというか家族ものというかで、まあ普通かな?という感想だったのだけど、収録作「残像」と「ブルー・シャンペン」がすごく良かった。特に女性にお勧めしたいSF小説。
    「残像」。視聴覚障害者だけが暮らすのコミューンに辿り着いた作家志望の中年男の異文化コミュニケーション体験談...続きを読む
  • パーマー・エルドリッチの三つの聖痕
    ディックは読むのがしんどい
    表紙   6点渡部 隆
    展開   6点1964年著作
    文章   6点
    内容 640点
    合計 658点
  • 逆行の夏──ジョン・ヴァーリイ傑作選
    テープとか出てくるブツは、いまから思えば
    前の時代と感じることもあるけど、書かれたのは30~40年前。
    未だ実現されていない(実現途上)というだけでなく、
    感覚として、技術だけではなく扱っている世界やテーマが、
    現在の世界の、まだ未来か、現在進行という感覚を覚える。
  • 伝道の書に捧げる薔薇
    あまりSF文学には馴染みが無かったのでこれがほぼ初挑戦。海外文学も文体が苦手な事が多いのだけど読みやすかった。視点、状況設定、モチーフ等ユニークなものが多い。表題の伝道の書に捧げる薔薇も、SFでありながら古典文学や神話の雰囲気を出しながらロマンチックで切ない話でとても良かった。個人的にとても好きだっ...続きを読む