浅倉久志のレビュー一覧

  • プレイヤー・ピアノ

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    ネタバレ

    機械が高度に発達し、コンピュータEPICACによりIQと適性を認められた極小数の管理者と技術者が支配する未来のアメリカ。大多数の人間は職を失い、自尊心をも失いかけていた。

    第三次世界大戦中に人手不足のため機械への依存が高まると、機械は飛躍的に進歩し、EPICACと呼ばれるコンピュータにより全てが決定されることとなった。この組織を作り、発展させたジョージ・プロテュース博士の息子、ポール・プロテュース博士は高い地位にあったが、このような世界を徐々に疑問に感じ始めた。ポールより出世が早かったがその地位を投げ打った旧友フィナティー、夫を出世させることにしか頭に無く、何事に関しても口出しする妻のアニー

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    2015年04月25日
  • 自由未来

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    (一部の?)アメリカ人が「自由」というものを
    どう捉えているのかの一端を知る。
    本当に自由というのは誰かの庇護のもとにはなく
    自分の裁量で最良をえらぶのかという信念を。
    なんの実用性もない動物にもかかわらず
    人類のパートナーとして2度猫を選ぶところは
    自由の意味を表す象徴か。(愛玩動物だけど)
    そして、人間のしぶとさを絡めて、
    飼いならされた人間には、そういう信念が
    時にどれほど鬱陶しく、時に妥協や甘受を
    できない人のガムシャラさが愚直に感じるかを。
    それから、ちょっと「常識」を別の角度からみたら
    どんなに突っ込みどころがあるかも。
    核戦争をシェルターでしのいだ一家が
    荒野でサバイバルかと思い

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    2015年02月27日
  • シティ5からの脱出

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    一読しての感想は、「非常に純度の高いSF」。
    先に誤解のないように申し述べておきますと、「SFとしての純度の高さ」と、「物語としての完成度」は別物です。この短編集の「物語としての完成度」はお世辞にも高いとは言えず、状況説明だけで何のオチもなかったり、自説を滔々と述べるだけの尻切れトンボで終わったりと、普通の面白さを期待して読むと肩すかしを食う類いの作品だと思います。

    そんな振り切れっぷりの高い作品群を、「面白い」と思えるかどうかがSF者の試金石。この場合の「面白さ」とは、「楽しさ」ではなく「興味深さ」です。
    似たような作風のSF作家にA・E・ヴァン・ヴォークトが挙げられますが、不思議とヴォー

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    2014年08月21日
  • ローズウォーターさん、あなたに神のお恵みを

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    序盤、エリオット・ローズウォーターがなぜこのような慈善の人になったのか、また彼を取り巻く貧しく不運な多くの人々の描写などが、まるで演劇の舞台を基礎から創っていくかのように細かく丁寧に描写される。この状況説明を読みこむのに時間がかかり、「この作品はタイタンの妖女みたいに自分には向いていないのか?」と思いきや、中盤から愛すべきエリオットという人が掴めるようになる(それまでの丁寧な描写がここで効いてくる!)と、どんどん面白くなっていき、最後高みに飛び立って、ストンと終わる。

    でも。
    私にはエリオットのような人間愛はきっと寂しく思えてしまうだろう。彼の妻が、彼を愛していても寂しかったように。彼の父が

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    2013年10月15日
  • チャンピオンたちの朝食

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    ヴォネガットの小説はいつも話の筋になかなか掴みどころがない。
    そしてこの作品は今までにましてストーリーが掴めなかった。
    読んでいて、いるのかいないのかも分からない透明のウナギを捕まえろ!と命令されている気分。
    狂った登場人物たちによる、でたらめな事実が箇条書きで続いていく。
    訳者のあとがきによると、“ヴォネガットが書いた最も直接的なアメリカ批判の書”なのだという。
    確かにその通りで、“ヴォネガットらしい”宇宙を感じさせられる途方もない視点から見たアメリカという国を、
    かなり痛烈な言葉で批判したり皮肉っている文章が多く目に付いた。
    例えば、コロンブスがアメリカ大陸を発見した“1492年”について

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    2013年07月31日
  • プレイヤー・ピアノ

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    「誰かが不適応のままでいなければいけない、今の社会に対して疑問を持っていなければならない」という信念を持って小説を書く(出版は許してもらえない)夫。とそんな夫を誇らしいと思う妻のエピソードが1番好き。
    読んで1番に考えたのは「ブラフーナ!生きよ!」という言葉。うん、私もブラフーナ!あと、どんなに文明が発達しても人は人と触れ合って成長するんだ、うん。
    それにしても、何でポールみたいな人がアニータと結婚したんだろな。

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    2013年07月10日
  • 高い城の男

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    ネタバレ

    第二次世界大戦で枢軸国側が勝利した世界に生きる人々の群像劇。
    北米は3つに分断され、日本支配地域、ドイツ支配地域、中立地域となっている。
    ドイツは水面下で、日本を破壊して世界を征服しようと画策している。(タンポポ作戦)その矢先にボルマン首相が死去。タンポポ作戦の賛成派であるゲッペルスが次の首相として有力視されている。一方、タンポポ作戦反対派のハイドリヒが盛り返しているという話もある。小説で描かれているのはこの辺までで、その後どうなるのかは分からない。
    ホーソーン・アベンゼンが書いた「イナゴ身重く横たわる」という歴史改変小説が流行している。この本では(現実の歴史とは詳細が異なるが)連合国が勝利し

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    2018年12月30日
  • ローズウォーターさん、あなたに神のお恵みを

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    もしも完全に利他的な人間が、働かなくてもお金の手にはいるような大金持ちだったら?
    これはヴォネガットのいつものユーモアと皮肉と笑いをまじえて大金持ち、エリオット・ローズウォーターの生き方を描いた小説。

    エリオットの周囲にいる人間たちを同じ人間とも思わないような俗物らしいエリオットの父親は、誰をもを愛していると言っているエリオットに対し、特定の人間を特定の理由で愛する自分たちのような人間は、新しい言葉を見つけなければいけないと嘆く。
    エリオットが「役立たずの人間」に奉仕するときの「愛」とはどんなものなのか?
    住民たちのもとを離れ、もう戻りたくないと思いながらも、まだ見もしらぬ子どもたちのために

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    2013年06月07日
  • パーマー・エルドリッチの三つの聖痕

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    フィリップ・K・ディックは、麻薬をテーマに扱った作品が多いけれど、この作品はその代表作。

    「麻薬でトリップ→ひどい悪夢→やっと目が覚める→と思ったらまだ悪夢の中」という恐怖を、しつこいほどに描いています。人間の意識なんてあやふやなものだと思わされます。

    麻薬による、人びとのそれぞれの夢の中に普遍的な神として君臨するパーマー・エルドリッチ。人間が己の瑣末な意識から逃れられない存在なら、神はその幻想さえ支配すれば神たり得るのかもしれません。

    途中まで、主人公をバーニー・メイヤスンだと思っていました。公式の主人公はレオ・ビュレロなんですね。

    タイトルは良いですね。美しいです。同じ作者の「流れ

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    2013年06月02日
  • アンドロメダ病原体〔新装版〕

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    発想がよく、実際にあった出来事のように感じさせるのに最後の終わり方がもったいない。
    クライトンはジュラシックパークといい時代の先を行く人だなと思った。

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    2013年02月05日
  • ガラパゴスの箱舟

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    語り手はキルゴアトラウトの息子!
    物語ほとんど関係ないのにヴォネガットファンとしてはたまらないラスト
    青いトンネルを通る描写も欲しかったなぁ
    まもなく死ぬ人物の名前の前には*をつけるとかユニークな方法が使われてる

    100万年後の人類は脳の小さい漁師になってそれなりに幸せに暮らすけど、果たしてこれがユートピアなのだかどうなんだか
    巨大な脳の持ち主にはいまいち分かりません

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    2013年01月21日
  • ジェイルバード

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    ヴォネガットはジェイルバードとかローズウォーターさんあなたに神のお恵みをなどを書くことで、
    支配階級の意識を少しでも変えたかったのだろうか
    ローズウォーターさん〜の方ではラストで下層階級へお金を放り投げて終わるけど、
    ジェイルバードでは解体されたRAMJACは結局支配階級の食い物にされて終わる
    ユートピアなんて実現しねーよどうせ みたいな悲観的な印象を受ける
    諦めようぜ!人類は滅びます!資本主義万歳!

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    2013年01月19日
  • スラップスティック

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    世界が終わり破壊されたあとにでも、人は家族として支えあいあるいは憎み合ったり離れたり、つまりは身内として生き、自分の血を新しい生命に託そうとする。末尾を締めくくるメロディの物語が示すように、たとえ世界が滅びてもその先にやはり希望はあるのだ

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    2012年11月26日
  • アンドロメダ病原体〔新装版〕

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    5日間の事柄を報告書を読むという形式で、
    実際に起こった事件かのよう。
    地球外生命というのは宇宙人だけではなく、
    脅威はもっと多様です(ストーリーはシンプル)。
    『「すべてが解決だ。われわれのトラブルは終わったよ」
    これはとんでもない思いちがいだった。』(P402 4行目)
    サクサク読めて「ココまで来てまだなにかあるの!?」と思ったが
    本当にとんでもない思い違い。最後まで楽しめるが
    ラストは拍子抜けするほどあっさり気味。

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    2012年07月08日
  • チャンピオンたちの朝食

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    ただただ面白いとしか言えないこの作品は非常に「面白い」。登場人物2人が徐々に近づいていくドキドキや、作家自身の登場、作家のイラストなどなどのテクニックも素晴らしいけど、人を深く描写するのはさすがのカート・ヴォネガット・ジュニアですね。

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    2012年06月17日
  • パーマー・エルドリッチの三つの聖痕

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    まさにPKD、そして分けわからん。

    パーマー・エルドリッチって一体。あれが聖痕?
    そして、結局異星人の媒体かよ。。。

    あとがきに書かれているのは、本文の前に書かれている、人間は塵から生まれたからたかが知れてるけど、まぁまぁうまくやっている。今回の困難にもうまく対処できるんじゃないかな。っていう分かりやすいメッセージ

    毎度のこれって現実?神って実はたいしたことないんじゃね?的な物語かと思いきや、こんな話だったらしい。

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    2012年03月29日
  • ローズウォーターさん、あなたに神のお恵みを

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    ネタバレ

    現代版の異邦人。
    新自由主義社会において、人類愛を語ることは異端なのか。
    カートボネガットのシニカルな問いかけがそこにはある。
    異常という日常。
    ボネガットの皮肉に満ちた文章の中で、
    彼の純粋で無垢な人間愛が浮かび上がってくる作品。

    「あんたがローズウォーター群でやったことは、断じて狂気ではない。あれはおそらく現代の最も重要な社会的実験であったかも知れんのです。なぜかというと、規模は小さいものだけれども、それが扱った問題の不気味な恐怖というものは、いまに機械の進歩によって全世界に広がってゆくだろうからです。その問題とは、つまりこういうことですよーいかにして役立たずの人間を愛するか?」

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    2012年03月26日
  • 青ひげ

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    人間讃歌。に、辿り着くまでの人生劇場。結局どんなにブサイクな生き方をしていても自分だけには正直でいればなんとか形になるさ、とヴオネガットは言ってくれているような気がした。沢山の登場人物が自殺したり、戦争で死ぬが一様にいえぬそのいきさつの描き方に優しさを感じた。根底に流れる戦争体験からの思想に今現在生きる僕は学ばなければならない。

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    2012年02月21日
  • スラップスティック

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    主人公の波瀾万丈の人生を綴った手記。たとえ悲劇であってもそうとは感じさせない文章は、ヴォネガットらしくて読んでて心地よかった。
    泣き笑いの人生、人の繋がりっていいなと思える作品だった。

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    2011年12月05日
  • ガラパゴスの箱舟

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    ネタバレ

    やはり楽しい

     大好きなカート・ヴォネガットの作品。

     本書「ガラパゴスの箱舟」は100万年前から現在を見るという視点が面白く視点人物として幽霊を使っている。また、謎解きなんてクソくらえってな感じでどしどし全体像を出していくあたり、物語に自信があるか馬鹿なのか・・・。


     とにかく彼の人類に対する皮肉っぽく力強い物語が好きである。このテーマは、すべての作品についていえると思う。どんどん他の作品を読みたくなるなぁ。

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    2011年09月16日