浅倉久志のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレもし唐突に自分がアンドロイドだと告げられた時、またはアンドロイドだと気づいてしまった時自分はどういう反応をするだろうか。或いはこの命題は自分が人間だから行えるもので、アンドロイドはこんな思索も行わない機械に過ぎないのか。
人間らしい人間。人間らしいアンドロイド。アンドロイドらしい人間。アンドロイドらしいアンドロイド。
リックデッカードははじめ、人間とアンドロイドは相容れない物として、簡単に引金を引ける存在だと断言していた。しかし、物語が進むにつれて、考えに確信がもたなくなっていった。死ぬ前に、ムンクの画集を買いたいと言った者、彼が一夜を共にした者、色んなアンドロイドがいた。人間でも、人間らしい -
Posted by ブクログ
面白い。
古いSFですが作者の主題は「人間」そのものです。
人類としての生存と命の存続を描くSFではなく、
アンドロイドを、「精神的に孤立する人」として描き、
同じ種族なのに「共感」がわからないという特徴があります。
排除される理由はそれだけ。
灰が降る惑星となった地球で人類は生き永らえようとするも、少しずつ種全体が衰えてきます。選択したのは「火星への移住」。多くの人間がそうであるように移住には不安がつきまとう。政府が用意したのは『アンドロイドを一体プレゼント』という破格の条件。大勢の人類が移住を決めた。
物語は、移住が叶わず残された人類が住む地球。「マーサー教」を信仰し生活を続ける。マ -
Posted by ブクログ
とても面白かったです。
登場人物が人間なのか、アンドロイドなのか、度々ぐらつきます。生き物なのか、そうでないのか。
読んでいて、アンドロイドにも、優しさを期待したくなっていました。けど、その期待は裏切られる一方で、人間にも裏切られることはあるなぁと思って、読んでいて色々とぐらつきます。
本作品は、SF特有の世界を表現するための説明描写は少なく感じました。この作品の面白さは、トリックどうのこうのという話ではなく、人間とアンドロイドの違いは何なのか?物語を通じて常に問われる緊張感というか、不安にあると思います。
人にもアンドロイドにも優しくしちゃうし、ブレブレで、その狭間で苦しんでしまうの -
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Posted by ブクログ
映画「メッセージ」の原作である表題作が収められた、短編集である。
どれも良い読書体験ができたが、やはり映画を先に見た私としては「あなたの人生の物語」が一番印象深い。
地球外の知的生命体との交流によって目覚めを経験し、時間軸が狂うことで人生を理解することになる女性。
過去から未来へ続いていく時間軸の中では、言わば知らぬが仏の状態で手探りの道になる。
これが普通の考え方である。
でも未来に起こることを知っていたら?
それが悲しく耐え難い出来事だったとしたら?
進もうとしている道をそれでも歩めるだろうか?
覚悟と理解が必要だ。
進むと決める覚悟。
行くの?なぜ?その答えを自分で理解すること。
「 -
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Posted by ブクログ
ネタバレとても面白かった。
一つ一つの短編が骨太であり、読むのに時間がかかってしまったが、楽しい読書体験だった。
一つづつ振り返っていこうと思う。
「バビロンの塔」
この短編集の中で一番読みやすかった。
情景描写が見事だった。
「理解」
詳細な描写に思わず読み込んでしまった。
「ゼロで割る」
一回読んだだけでは意味があまりわからなかったが、何回か読み直したり、考察サイトを見ることでやっと理解できた。
レネーは自身が発見した形式的発見によって自分の中の既存の世界が崩れてしまい、自殺未遂をしてしまうほど追い込まれる。恋人であるカールは、自身がかつて自殺未遂をした際、その時の恋人に傷を癒してもらった経 -
Posted by ブクログ
謎多い作家コードウェイナー・スミスの人類補完機構シリーズを年代記風に並べた短編集(50年代から発表されておりエヴァンゲリオンとは全然関係ない)。古いSFマガジンで何かの短編を読んで衝撃を受けて以来虜になってししまった。
物語は第二次大戦のナチスの話から1万6千年先までの人類の趨勢が描かれています。戦争によって人類は絶滅しそうになるのですが、そこからの復活がなんとも皮肉が効いていて印象的です。非常なドライでもなくかといってベトベトウェットでもなく、その一歩引いた姿勢がかっこいい。ドイツ人以外の人類を殲滅するための人間狩猟機(メンシェンイェーガー)が何千年も経て文明が崩壊しマンショニャッガーとな -
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