浅倉久志のレビュー一覧
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購入済み
壮大な悪夢
こんな未来には住みたくない!と思わされるような陰鬱な惑星植民地にもたらされる違法ドラッグ!という感じの、とても40年以上前の作品とは思えない面白さ!とはいえディック濃度200%なので、『ブレードランナー』くらいのつもりで読むと面食らうかも。
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Posted by ブクログ
あぁ、大好きだなあ。愛すべき作風。
しかしこの語りは真似できないレベル。100万年後から振り返って100万年前の登場人物を描きながら、いきなり今場面に登場している彼らの最期の様子を語り、今度はまだ生まれてもない赤ん坊のそのまた子どもを描いたり。自由自在に思えて、情報量をなんだかんだで配分してる気もする。一度分析してみたい。
まあそんな上手さとかより、ヴォネガットの作品はこの中毒性に引っかかった時点で全作読みたくなっている。
テキトーにくすくす笑いながら読んでるだけですべて良し。
そしてヴォネガットがこの言葉をエピグラフに持ってくるのが、皮肉でいながら泣けそうになる何か。 -
Posted by ブクログ
ディックの中で一番好きな話です。今回新装版になっていたので再購入。
これはディックが友達への思いを込めて書いているのだと思います。
悲劇的、アンハッピーエンドとされることが多いようですが
あくまで私個人としては、ディック作品の中でも特に切なくも優しい話だと思います。
しかし、スクランブルスーツが象徴するように世の中が、自分自身が、どんどん
不確かで根拠のないものになる過程は自分の感じることと重なる部分があって
全体には優しさを感じつつ、その部分がドットとして浮き上がってきます。
訳は山形さんの方がヤレ感(すみません、うまく言えないです)があって好きです。 -
Posted by ブクログ
読んでいて、どうすればいいのかわからなくなって、馬鹿みたいにぼろぼろぼろぼろ泣いてしまった。
ヴォネガットの作品はこれが初読だが、読む前からからそうなる予感はしていた。きっと泣いてしまうし、きっと辛いだろうと。その通りだった。
「カート・ヴォネガット・ジュニアの『ローズウォーターさん~』は、この作家が世界に宛てた、一番新しい、一冊の怒りのラブ・レターである」(ジュディス・メディル)
怒りのラブ・レター。まさしく。
これは愛についての物語である。そして金についての物語である。
一人の男が限りない愛と、限りなく限りないくらいの金を、その身に背負って、生きる話である。
誰を救えばいいのか、とい -
Posted by ブクログ
*えり*
富と愛をひとびとに分け与えようとする、とある大富豪と、
彼を取り巻く人々の物語。
ローズウォーターさんに助けを求める人々は、
多くが金銭を求める人々ですが、
中にはほんのささやかな愛情だけを求めている人もいます。
ローズウォーターさんはその全てに応えようとします。
彼に何が起こってそのような行動をとるに至ったのか?
また、彼の行動によって、周囲に何が起こったのか?
「無償の愛」は、限りない困難に満ちています。
果たしてそれは実現可能なのか?実現するには、一体何が必要なのか?
「人間を人間だから大切にする」ということは、シンプルですが気付きにくい事です。
笑いと悲しみと真実が -
Posted by ブクログ
ネタバレ『
「俺は神様に一度きいてみたいと思ってるんだ。この下界じゃとうとうわからずじまいだったことを」
「というと、どんなこと?」
そうたずねながら、ホステスは彼の体をベルトで固定する。
「いったいぜんたい、人間はなんのためにいるんだろう?」
』
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『
「() ちょっと耳の痛いことを言わせてもらいましょう。お気に入ろうが入るまいが、ずばりこうです―あなたの財産は、あなたの目から見たご自分と、他人の目から見たあなたに関する、最も重要でかつ唯一の決定的要素である、ということ。金を持っているか -
Posted by ブクログ
ロジャー・ゼラズニイの1960年代中盤までに発表した中短編15作を収録した短編集。
すごく良かった。
40年以上昔の作品なのに、古臭さを感じさせずなんとも言えないカッコよさと深い余韻に浸れるSF短編集でした。この本が今は絶版であるのは勿体無い。
アイデアやプロットや登場人物、シチュエーション等は面白かったり驚かされたりするのに、文章が野暮ったいなあ、回りくどいなあと感じて中身にあまり引き込まれなかったり、その結果友人に勧め難かったりする小説があります。
この短編集は、そのような小説とは異なり、アイデアやプロットは50年代のSF小説にもありそうな古い設定のものもありますが、兎に角カッコよく、 -
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Posted by ブクログ
PKDの「ユービック」と並ぶ代表作の一つ。「ユービック」に時間の逆行というプロットの中の破綻があるというマイナスポイントを考えると、本作をPKDナンバー1に推す人も多いかも知れない。
謎に包まれ、カリスマも感じさせるパーマー・エルドリッチという存在、そして惑星開拓に伴う移民たちとドラッグ「キャンD」&パーキー・パットの模型セット、更にはエルドリッチが持ち込む新ドラッグ「チューZ]・・・、まさにサイケデリックSF。何度も読み返したくなる異常なまでの名作。
(ハヤカワ・オンライン 書籍紹介から)
謎につつまれた人物パーマー・エルドリッチが宇宙から持ち帰ったドラッグは、苦悶に喘ぐ人々に不死と安 -
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Posted by ブクログ
お宝を持ち帰った桃太郎は死ぬまでに何回人間不信に陥ったか。
月に帰ったかぐや姫は朽ち果てるまで何度鼻の穴をほじったか。
人生が映画のようにドラマチックでもメトロノームのように規則的でも、エピローグは上映時間の冒頭から既に始まっているという事をこの小説は喋っている。予想外にてきぱきと終わってしまった人生に面食らう事もなく、終わってしまった物語のパーツを一個一個拾い集めておもちゃ箱に仕舞い込む様子を楽し、めと言われても多分無理な話です。そうです、誰かを奮い立たせるようなお話でも、夢を増幅させるような紙芝居でもないです。ただ【そのあとどうなりました?】【はい、彼はお菓子を作るのが好きです】とい