浅倉久志のレビュー一覧

  • あなたの人生の物語
    2012年7月初読。
    2023年10月再読。

    先日読んだテッド・チャンの第二短篇集があまりにも面白かったので、10年ぶりにこちらを再読。相変わらず面白い。

    再レビューにあたり、初読時のレビューを読み直しましたが、なんと若い…SFを読み始めたぐらいの時期でもあり、今読むととても恥ずかしい内容ですが...続きを読む
  • ユービック
    予知能力者を狩るべく月面に集結した不活性者を待ち受けていたのは彼らによる罠であった。月面での小規模の爆発から始まった時間逆行現象。コーヒーは腐り、タバコは萎れ、家具はどんどん古い型番になって行く。彼らの持っていた通貨もやがて古いものへと退化していく中、それに効く唯一の特効薬である”ユービック”を探し...続きを読む
  • ローズウォーターさん、あなたに神のお恵みを
    読んでいて、どうすればいいのかわからなくなって、馬鹿みたいにぼろぼろぼろぼろ泣いてしまった。
    ヴォネガットの作品はこれが初読だが、読む前からからそうなる予感はしていた。きっと泣いてしまうし、きっと辛いだろうと。その通りだった。

    「カート・ヴォネガット・ジュニアの『ローズウォーターさん~』は、この作...続きを読む
  • ローズウォーターさん、あなたに神のお恵みを
    *えり*

    富と愛をひとびとに分け与えようとする、とある大富豪と、
    彼を取り巻く人々の物語。


    ローズウォーターさんに助けを求める人々は、
    多くが金銭を求める人々ですが、
    中にはほんのささやかな愛情だけを求めている人もいます。
    ローズウォーターさんはその全てに応えようとします。
    彼に何が起こってそ...続きを読む
  • ローズウォーターさん、あなたに神のお恵みを
    僕の書評を読む人は、僕のことを心配せずにはいられないでしょうねローズウォーターさん。「こんなに五つ星を連発する人間はきっと酒に溺れている人間だ」そんな風に考えるんでしょうよ!‥なんて、思わずローズウォーターさんに電話したくなりました。自分のように感化され易い人間にとって、アメリカ人的でタフな会話や皮...続きを読む
  • ローズウォーターさん、あなたに神のお恵みを

    「俺は神様に一度きいてみたいと思ってるんだ。この下界じゃとうとうわからずじまいだったことを」
    「というと、どんなこと?」
    そうたずねながら、ホステスは彼の体をベルトで固定する。
    「いったいぜんたい、人間はなんのためにいるんだろう?」

    -----------------------...続きを読む
  • タイムクエイク
    ラスト感漂う筆致で最後の方は涙が出そうだった。出なかったけど。大統領選に5度立候補したユージン・デブスの引用はヴオネガットの好きな部分が詰まってる。優しくて、優しくて、不器用。でもとってもクレバー。
  • ローズウォーターさん、あなたに神のお恵みを
    生きることを全肯定する素晴らしい物語だった。

    最後の2,3行を読むまでまさか感動するなんて思わなかったんだけどね。
  • 伝道の書に捧げる薔薇
    ロジャー・ゼラズニイの1960年代中盤までに発表した中短編15作を収録した短編集。
    すごく良かった。
    40年以上昔の作品なのに、古臭さを感じさせずなんとも言えないカッコよさと深い余韻に浸れるSF短編集でした。この本が今は絶版であるのは勿体無い。

    アイデアやプロットや登場人物、シチュエーション等は...続きを読む
  • スキャナー・ダークリー
    自身やその仲間がドラッグ中毒だったことの思いも込めてるだけあって、重い。
    あとがきを読むにつけて思うのは、一度内臓がボコボコになったらダメなのかなーという感想。
    最初のほうはちょっと読みすすめ辛かったかも。

    「死者はわれわれのカメラなんだ」
  • パーマー・エルドリッチの三つの聖痕
    PKDの「ユービック」と並ぶ代表作の一つ。「ユービック」に時間の逆行というプロットの中の破綻があるというマイナスポイントを考えると、本作をPKDナンバー1に推す人も多いかも知れない。
    謎に包まれ、カリスマも感じさせるパーマー・エルドリッチという存在、そして惑星開拓に伴う移民たちとドラッグ「キャンD」...続きを読む
  • スキャナー・ダークリー
    かりそめの、だが確かに存在したわずかばかりの幸福と、ひとりの人間が背負うには重すぎる不幸、その両方を懐かしんで、いとおしんで、書き残して、ぼろぼろになって、貧乏なまんま死んでしまったディックへ。おっさんが伝えたくって仕方なかった思いはたくさんの人に届いてる。クスリなんて肉眼で拝んだこともない私たちが...続きを読む
  • プレイヤー・ピアノ
    再読候補。華氏451とほぼ同じ時期にほぼ似たようなテーマで書いていますがこちらの方が好きですな。ユートピアにおいても官僚制は決して冷酷で硬質なものではなくて、むしろ情緒を取りこんだ家父長的な粘着質で生暖かいものだからこそ余計に凄味があるというか。
  • デッドアイ・ディック
     お宝を持ち帰った桃太郎は死ぬまでに何回人間不信に陥ったか。
     月に帰ったかぐや姫は朽ち果てるまで何度鼻の穴をほじったか。
     人生が映画のようにドラマチックでもメトロノームのように規則的でも、エピローグは上映時間の冒頭から既に始まっているという事をこの小説は喋っている。予想外にてきぱきと終わってしま...続きを読む
  • ユービック
    SFの長編小説をがっつり読んだのはたぶん初めてだったけれど、おもしろくてするする読めた。今までちょっと避けがちだったのがもったいないと思ったくらい。

    ディックはブレードランナーの原作者として有名だけど(『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』)、このユービックの方がディック初心者向きらしい。
    SFっ...続きを読む
  • デッドアイ・ディック
    何度目かの再読。自分の人生が物語としては不十分で、エピローグばかり長すぎることに気づいてもなお、人はエピローグを生き続けることの皮肉と哀しみ。でも、その哀しみをヴォネガットは優しいまなざしで描く。だから好きなんだと思う。
  • ガラパゴスの箱舟
    独自の進化をしたガラパゴス諸島の歴史をなぞるように、生き残った人間たちの苦悩やおかしな進化を描いた作品。
    「巨大脳」を人間の進化で悪と捉えた感覚が面白い。
  • プレイヤー・ピアノ
    あらゆる仕事が機械化された時代が背景の小説。(もはやそんなに遠い未来のことでもなさそうだ。)バーもすべてが機械化されて回転寿し屋のように酒が回ってたりする。オープンしたての頃はその目新しさで話題を呼び、大盛況となったのだが、すぐにつぶれてしまう。その数ブロック先に、生身の人間がカウンター内に立ち、ジ...続きを読む
  • スキャナー・ダークリー
    SFの巨匠Philip K. Dick最期の作品。。。

    彼らしく灰色が似合うフィルムノワール的世界が漂う。


    スクランブル・スーツを纏ったあの麻薬おとり捜査官は、

    彼らの冷笑によって殺されてしまったんだ。

    腐敗、欺瞞、猜疑心、頽廃、堕落、

    そしてわずかに残された使い捨ての希望と未...続きを読む
  • スキャナー・ダークリー
    薬物依存症を実際に体験したF・K・ディックの著書。
    本書は彼が薬を使わずにして書き上げた初めての作品です。
    自分の体験から物質Dという架空の薬物に呑まれた
    囮捜査官のロバートとその周りを取り巻く人々の物語を描きました。
    SFに分類されるのでしょうが、現代的でもあります。
    薬物を責める内容ではありませ...続きを読む