浅倉久志のレビュー一覧
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ネタバレ環境汚染が進み、灰の雨が舞い生物が生きられなくなってきている地球。動物や虫までもが命を失い、ほとんどが人口物と化しているため命ある動物の希少価値もかなり高くなっている。そんな中、アンドロイド狩りのリックは火星から逃げてきたアンドロイド狩りをおこなうが、アンドロイドの製作技術も発展しており、もはや人間とアンドロイドの区別をつけるのも難しいほど。
最終、アンドロイドと人間の境界線とは何かわからなくなり、リックにとっても何が正しいのかもわからなくなる。。
私はあとがきのフィリップ・K・ディックが「人間とアンドロイドの境界線とは”親切心である”」と語っている言葉がとても好きで、この物語でディックが伝 -
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この世には運のいい人間と運のわるい人間とがいる。それは偶然性であり、たまたまだ。
人生に目的などない。あるとしたら、自分の中にある真実に気づくことだ。
人生の意味を自分の中に見つけ出す方法を知っている。これは運がいいことだ。
これまでの人生でやった善いことを、たったひとつでいいから話せること。幸運といってもいいだろう。
今ある幸せに気づけること。まずはそこからだ。
運が悪いってのは、"ひとつながりのアクシデントの犠牲になった"ってだけのことだ。
そんなときは、"徹底的に無関心な神"の教会で祈ることだ。
自分の中にある真実に気づけないと、果て -
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かなり面白かった。
まず本の中に本が登場する入れ子構造が凄く印象に残った。
また情景描写も美しいし、頻出するラテン語や英語も文学的で翻訳小説読んでるなーって感じで楽しかった。
火星の記憶除去手術とアンテナは恐ろしかったし、「レンテッド・アテント・アテント・アテント」のリズムで行進操縦されるのが印象的で面白い。
水星ではハーモニウムという美しい生き物の描写も良くて、アンクの生き方とボァズの生き方について考えさせられた。
全体を通して、ラムフォードの苦しさとか上位存在に捨て駒にされる虚しさとか凄く感じられた。
また、作者はキリスト教が大嫌いなんだなと思ったが、私もその気持ちに共感できる部分があり、 -
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ネタバレテッド・チャンほど感想を書くのが難しい作家はいないと思う。
個人的にやっぱり1番好きなのは元言語学徒なのもあるけれど、「あなたの人生の物語」。
異星人とのファースコンタクトという舞台設定で言語によるやり取りを細やかに描いて、最終的な物語の核を「異星人との言語を習得することによって認識に影響を及ぼす」というのところにもってくる発想は驚きしかない。
そんな奇想天外な設定で、家族の愛を切実に感じられる作品であり、読後の衝撃、感動は他の作品とは一線を画していて、まさにテッド・チャンという感想しか出てこない。
最近宗教について勉強している自分にとって「地獄とは神の不在なり」もかなり興味深かった。
天 -
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ネタバレ『あなたの人生の物語』についての感想
難しかった。自分の読む能力や経験値が、物語を純粋に楽しんだり感動できたりするほど成熟してないのがわかった。自分はまだ結婚してないし子供もいないから、主人公への感情移入が難しい境遇というのはある。
しかし、主人公がヘプタポッドの文字を最終的には習得して未来予知ができるようになった後、自分の子供が25歳で死別して夫とも離婚するという結末がわかっていても、その未来を選択するのは純粋に美しいと思った。きっと子供が亡くなるまでの日常はかけがえのない最高のものだったのだろう。悲しい結末が待っていても、それまでに最高の瞬間がいくつもあったからその未来を選んだ。ヘプタポッ -
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ネタバレテッド・チャンの作品は難解だが、印象深い。「息吹」に続いて本作もやっぱり心を動かされた。SFの域を超えてくる。特に表題作が好きだ。1回目読んだだけでは意味がわからず2回読んだ。まぁ、それでもわからないんですけどね(笑)
言語学者のルイーズは地球を訪れた宇宙人、ヘプタポッドの言語解読に挑む。彼らには目が7個足も7本、前後左右上下が無い。ルイーズは彼らと向き合ううちに、彼らの能力が地球人とは全く違うものだとわかってくる。
一方であなたの人生はこうだったわねと娘に語りかけるルイーズ。不思議な感覚と違和感。早い段階で娘の運命を読者は知らされるが、語り続けるルイーズは、何か人生を悟っているというか、卓越 -
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没落貴族がキャトルミューティレーションされ、仮面ライダーの如く宇宙戦争に巻き込まれるSF小説です
火星、水星、土星と拉致される様は、どの惑星も美しく宇宙旅行気分になれました
ロボトミー手術を受けた没落貴族の、少年時代から老衰するまでを描かれています
ヴォネガット作品を初めて読むのですが、宇宙人のモノローグが上手でした
謎の固有名詞がほぼ出てこず特有の倫理観が伝わりやすかったです
洗脳前後の没落貴族のモノローグも、本当に別人の様子が伝わってきてすごかったです
一番好きなパートは、火星に拉致された人々が指紋鑑定によってどのような地球人だったか答え合わせをする場面です
軍曹がふつうの警備員だった