浅倉久志のレビュー一覧

  • ユービック

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    ディック特有の現実と虚構、生と死のような相反するものの境界を崩し、曖昧にされた世界観が展開される。ストーリーは時間退行現象が始まる中で、少しずつ手がかりを見つけていくミステリーのように読みやすい。前半と後半で全く印象が変わるが、それにしてもコイン投入式のドアはめちゃくちゃ不便そうだし、何より主人公のジョーがお金なさすぎてそのへんの描写は面白く読めた。一番最後の章があることによって一気に本書を読んでいる読者自身も物語世界に引きずり込まれるのが終わり方としてベストだと思った。

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    2020年04月10日
  • アンドロメダ病原体〔新装版〕

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    #日本SF読者クラブ 「未知の病原体」もの。昔、TVで映画版を見た記憶がある。50年以上前に書かれたマイケル・クライトンの出世作でもある。描写に時代的な古さを感じさせるところがあるが、物語としては良くできている。小松左京の「復活の日」をヒントにしてるともいわれるが、架空の報告書の体裁で書かれているのが巧いところ。

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    2020年03月16日
  • 伝道の書に捧げる薔薇

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    ゼラズニイ再発見!
    長編読んで、いままでピンとこなかったゼラズニイの60年代短編集。

    実はおもしろかったんだな。サイエンスはないけれど、詩的で神話的な題材が多い感じです。というとファンタジーに流れるのは必然なのかもしれません。アンバー・シリーズに挑戦してみるか?
    その前にコンラッド再挑戦かな。

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    2020年02月02日
  • 自由未来

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    核戦争後に生き残った人々のサバイバルストーリーかと思いきや、割りと早い段階でその期待は裏切られる。最初はビバヒルでも観てるかの様なアメリカンなノリについて行けなかったが、そこはハインライン先生。書かれた当時の時代背景がビシビシだけど、なんだかついつい惹きこまれちゃう。最終的に満足するから不思議。

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    2019年10月18日
  • パーマー・エルドリッチの三つの聖痕

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    いや〜めくるめくディックの世界を堪能した。特に終盤は「幻影か現実か」「エルドリッチかメイヤスンか」で、エンドレスなマトリョーシカ状態。短編の方も読んでみたい。

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    2019年10月18日
  • ローズウォーターさん、あなたに神のお恵みを

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    和田誠の表紙と題名にひかれて手にした高校生の頃。中身はほとんど覚えてないけど「愛は負けても親切は勝つ」て文章だけは刻み込まれた。

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    2019年07月12日
  • サンディエゴの十二時間

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    その後のクライトンの片鱗が見える中編。心理戦がメインだが、せっかlくの思想犯狂人設定のヴィランの背景はもっと描写すべきで、深さやクールさが足らなくもったいない。国務省内部やペンタゴンとの確執。せっかく癖のあるニクソンの時代背景なのだから、いくらでも自由自在に話を広げられたはずだ。その後のクライトンのレギュラーフォーマットであるところの上下二巻800ページ規模くらいにはなったろうに。アイデアの無駄遣いの感はある。

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    2019年06月26日
  • ローズウォーターさん、あなたに神のお恵みを

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    他の多くのヴォネガット作品と共通して、エリオット・ローズウォーターの行動原理は第二次大戦でのトラウマに端を発している。軽く可笑しく展開している物語のなかで、戦争中に誤って少年を刺し殺してしまう述懐だけが異様に生々しく、温度が違っているように感じた。終盤でエリオットが大勢の子どもを持つ、という第三の選択は、唐突なアイデアのようでいて、実は最初から追い求めていた救済のかたちだったんじゃないだろうか。

    最後の最後で病んだ資本主義社会が転覆する爽快感を味わった後で、ここのところディストピアな妄想ばかりたくましくして、魅力的なユートピアなんて全く思い描けていなかったことに気づき、なんとなく淋しい気持ち

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    2019年05月14日
  • 逆行の夏──ジョン・ヴァーリイ傑作選

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    SF。短編集。
    「逆行の夏」「さようなら、ロビンソン・クルーソー」は既読。
    全体的に高品質。美しい。あとエロい。
    特に、目と耳に障害を持つ人々だけの世界を描いた「残像」が素晴らしい。とても感動した。
    奇妙なSFミステリ、「バービーはなぜ殺される」もミステリファンとして高評価。
    あと、帯の円城塔さんの紹介が最高すぎます。

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    2019年04月28日
  • デッドアイ・ディック

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    行動も思考もほんの少し周りとずれているだけなのに糾弾する空気はどの社会においても大差ないだろう。そこに宗教が介入しても解決するとは限らない。虚構か現実かは問うなかれ。その人の感情に触れてみる。私もそれを疎かにしていることを猛省する。救う救われる。それはボランティアという奉仕活動ではなく日常における言動から見直さなければならない。

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    2019年04月20日
  • ユービック

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    「ブレードランナー」「トータルリコール」
    は見たことある。

    フィリップ・K・ディック総選挙の一位になったとか帯に書かれている時期に買いました。初PKD

    超能力者とそれに対抗する能力者派遣会社が
    しのぎを削っていて
    死者は「半生者」として、連絡を取ることができる装置が存在する未来

    ある依頼で月でのミッションに行くも
    爆弾の罠にはまり主人公たちも壊滅に追い込まれてしまう…そしてその出来事をきっかけに時間が逆行していく…抵抗する唯一の手段は「ユービック」しかない!!といった具合の話

    謎の「ユービック」のテレビコマーシャルのようなセリフが各章の頭で紹介されて不気味です。
    現実なのか幻か妄想か?

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    2019年03月26日
  • ユービック

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    あらすじがネタバレと聞いたので一切見ずに読んだが、おおう、なんだこれ、すごい世界だ。と思わず嘆息してしまう。

    超能力者、半超能力者という語感から、X-MENのような展開を予想していたら話は凄まじい勢いで違う方向に転がっていく。グイグイ読ませる怪作だった

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    2019年03月21日
  • バゴンボの嗅ぎタバコ入れ

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    どれもいかにも寓意富む作者らしい短編集
    ただ作者作品の愛好家でもなければ
    あらためて開く価値あるような発見は感じなかった
    出自やSFとつく文庫だからといって内容に関係なくSFとレッテル貼られるのは
    作者が亡くなろうがいつまでもたぶんどこまでも変わらない

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    2018年12月09日
  • タイムクエイク

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    過去、ヴォネガットは3作品を読んでいる
    ​​『プレーヤー・ピアノ』​​
    ​​​『猫のゆりかご』​​​
    ​『スローターハウス5』​
    いま、このブログにある自分の感想を見てみると、どれも好もしくよろしい感触

    さもありなん、このもう最後の作品になるのかという、作者73歳か74歳発表の
    『タイムクエイク』
    やはり、なかなかの作物なり

    創作あり、随筆風あり、思い出あり、文学紹介あり
    幾層にも複雑化した構成の中に、いい年輪を感じさせる、その気持ち
    わたしたち年寄り(この本では「古手」といっている 笑)にはよくわかるのである

    タイムクエイク(時空連続体)によってある時、詳しくは2001年2月23日

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    2018年10月13日
  • ローズウォーターさん、あなたに神のお恵みを

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    ネタバレ

    貧しき人々に惜しみなく財を与える億万長者・ローズウォーター氏」を狂気の塊として扱うこの作品。他のヴォネガット作品よりはあっさりしているなあと読み進めていたけど、以下のフレーズは、「生産性」という言葉に揺れる今の日本にとって暗示的な内容だった。

    「規模は小さいものだけれども、それが扱った問題の無気味な恐怖というものは、いまに機械の進歩によって全世界に広がってゆくだろうからです。その問題とは、つまりこういうことですよ──いかにして役立たずの人間を愛するか?  いずれそのうちに、ほとんどすべての男女が、品物や食糧やサービスやもっと多くの機械の生産者としても、また、経済学や工学や医学の分野の実用的な

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    2018年09月25日
  • ユービック

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    ネタバレ

    「ユービック」とは「ubiquity(いたるところに存在すること、神の遍在)」を基にした造語(同じ語源の言葉としては、IT用語の「ユビキタス」などがあるよう)。作中では、各章の冒頭に「ユービック」の広告が掲載されており、それが車であり、ビールであり、コーヒーであり、鎮痛剤であり、銀行であり、女性用下着でさえあるという不気味なほど万能の商品として、まずは読者へ紹介されている。

    物語は、超能力者を狩る反超能力者(「不活性者」)集団が、陰謀に巻き込まれ、現実か幻想か判断のつき難い世界を彷徨うというもの。細部が書き込まれているのに、全体としては白昼夢のように捉えどころのない、ディック独特の世界が描か

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    2018年08月08日
  • パーマー・エルドリッチの三つの聖痕

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    ネタバレ

    フィリップ・キンドレッド・ディック作、浅倉久志訳のSF長編。
    ディックの名短編『パーキー・パットの日々』を下敷きに、架空のドラッグによる、共同幻想への没入、過去への回帰、物質への転生、それら幻覚の現実世界への侵食…といったトリップ体験を融合させている。
    ディストピア小説でありながら、ドライな筆致、零れるユーモア、そして登場人物たちの見せる人間らしさによって、物語は陰鬱さを免れている。

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    2018年07月24日
  • 逆行の夏──ジョン・ヴァーリイ傑作選

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    ポップな表紙絵とは裏腹にハードな世界観のSFが多く収録された短編集。
    ビターな余韻の作品が多いが間違いなく良質である。

    『PRESS ENTER ■』に描かれたコンピューターの姿、『残像』に描かれた人間の姿、どちらも感慨深い。

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    2018年01月22日
  • スキャナー・ダークリー

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    なんか話が複雑で追いかけるのがしんどかった。フレッドとアークターが混じっていくとことか、カウンセリングの場面とか、何がおきてるかさっぱりわかんなかった。
    後半のどんでん返しはなかなかショッキングでよかった。中盤がだれていて読み続けるのがしんどかったけど、終盤のあたりは展開が早くてテンポがよかった。
    ドナの悲しみが深くうかがえるし、上司の気遣いもまた同様に悲しい。
    そして、ラストシーンは本当に鮮やかだったなー。青い花、混濁した意識の中でふと思い出したともだち、誰なのか具体的にはもうわからなくなってしまったけど覚えている。フレッドとしてのかりそめの生活が、実は彼にとっては本物だったという。

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    2017年06月26日
  • ホーカス・ポーカス

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    どこがSFなのかよくわからないところがいい
    表紙   6点和田 誠
    展開   6点1990年著作
    文章   7点
    内容 710点
    合計 729点

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    2017年03月28日