浅倉久志のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
他の多くのヴォネガット作品と共通して、エリオット・ローズウォーターの行動原理は第二次大戦でのトラウマに端を発している。軽く可笑しく展開している物語のなかで、戦争中に誤って少年を刺し殺してしまう述懐だけが異様に生々しく、温度が違っているように感じた。終盤でエリオットが大勢の子どもを持つ、という第三の選択は、唐突なアイデアのようでいて、実は最初から追い求めていた救済のかたちだったんじゃないだろうか。
最後の最後で病んだ資本主義社会が転覆する爽快感を味わった後で、ここのところディストピアな妄想ばかりたくましくして、魅力的なユートピアなんて全く思い描けていなかったことに気づき、なんとなく淋しい気持ち -
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Posted by ブクログ
「ブレードランナー」「トータルリコール」
は見たことある。
フィリップ・K・ディック総選挙の一位になったとか帯に書かれている時期に買いました。初PKD
超能力者とそれに対抗する能力者派遣会社が
しのぎを削っていて
死者は「半生者」として、連絡を取ることができる装置が存在する未来
ある依頼で月でのミッションに行くも
爆弾の罠にはまり主人公たちも壊滅に追い込まれてしまう…そしてその出来事をきっかけに時間が逆行していく…抵抗する唯一の手段は「ユービック」しかない!!といった具合の話
謎の「ユービック」のテレビコマーシャルのようなセリフが各章の頭で紹介されて不気味です。
現実なのか幻か妄想か? -
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Posted by ブクログ
過去、ヴォネガットは3作品を読んでいる
『プレーヤー・ピアノ』
『猫のゆりかご』
『スローターハウス5』
いま、このブログにある自分の感想を見てみると、どれも好もしくよろしい感触
さもありなん、このもう最後の作品になるのかという、作者73歳か74歳発表の
『タイムクエイク』
やはり、なかなかの作物なり
創作あり、随筆風あり、思い出あり、文学紹介あり
幾層にも複雑化した構成の中に、いい年輪を感じさせる、その気持ち
わたしたち年寄り(この本では「古手」といっている 笑)にはよくわかるのである
タイムクエイク(時空連続体)によってある時、詳しくは2001年2月23日 -
Posted by ブクログ
ネタバレ貧しき人々に惜しみなく財を与える億万長者・ローズウォーター氏」を狂気の塊として扱うこの作品。他のヴォネガット作品よりはあっさりしているなあと読み進めていたけど、以下のフレーズは、「生産性」という言葉に揺れる今の日本にとって暗示的な内容だった。
「規模は小さいものだけれども、それが扱った問題の無気味な恐怖というものは、いまに機械の進歩によって全世界に広がってゆくだろうからです。その問題とは、つまりこういうことですよ──いかにして役立たずの人間を愛するか? いずれそのうちに、ほとんどすべての男女が、品物や食糧やサービスやもっと多くの機械の生産者としても、また、経済学や工学や医学の分野の実用的な -
Posted by ブクログ
ネタバレ「ユービック」とは「ubiquity(いたるところに存在すること、神の遍在)」を基にした造語(同じ語源の言葉としては、IT用語の「ユビキタス」などがあるよう)。作中では、各章の冒頭に「ユービック」の広告が掲載されており、それが車であり、ビールであり、コーヒーであり、鎮痛剤であり、銀行であり、女性用下着でさえあるという不気味なほど万能の商品として、まずは読者へ紹介されている。
物語は、超能力者を狩る反超能力者(「不活性者」)集団が、陰謀に巻き込まれ、現実か幻想か判断のつき難い世界を彷徨うというもの。細部が書き込まれているのに、全体としては白昼夢のように捉えどころのない、ディック独特の世界が描か -
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Posted by ブクログ
なんか話が複雑で追いかけるのがしんどかった。フレッドとアークターが混じっていくとことか、カウンセリングの場面とか、何がおきてるかさっぱりわかんなかった。
後半のどんでん返しはなかなかショッキングでよかった。中盤がだれていて読み続けるのがしんどかったけど、終盤のあたりは展開が早くてテンポがよかった。
ドナの悲しみが深くうかがえるし、上司の気遣いもまた同様に悲しい。
そして、ラストシーンは本当に鮮やかだったなー。青い花、混濁した意識の中でふと思い出したともだち、誰なのか具体的にはもうわからなくなってしまったけど覚えている。フレッドとしてのかりそめの生活が、実は彼にとっては本物だったという。