浅倉久志のレビュー一覧
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この本が書かれた当時、まだ「格差社会」という言葉はなかった。にもかかわらずヴォネガットは、資本主義によってごく少数の人々にグロテスクなまでに富が集中し、一割の人間が、残りの九割が一生かかっても手することのできないお金と特権と享楽を手にするという未来を、正しく予見していた。
そのようなマンモニズムの世...続きを読むPosted by ブクログ -
「貧しくてゆたかな町」に喝采、ブラヴォー!
初カート・ヴォネガットである。一編一編が一筋縄でいかず読むのに時間がかかった。高校のマーチングバンドの指揮者ものはとびとびに数編入っていて、そんな構成もおもしろかった。Posted by ブクログ -
潜入麻薬捜査の胸糞さも良いが、ヤク中のとりとめのない会話や更生施設の様子が良かった。
ドナがコカコーラのトラック撃つところがサイコーだけどマイクと打ち合わせしてるときは普通にドナがコーラ飲んでて、掴み所ないなと思った。
ディック自身の経験が多いに生かされているので巻末に軽く触れてくれているのがあり...続きを読むPosted by ブクログ -
人類補完機構の全短編が読めたという喜びと共にこれで全てなのかという淋しさもある。
エッシャーの建てた美術館でダリやクリムトの作品を鑑賞するような楽しみは飽きることが無い。Posted by ブクログ -
タイトルが素敵。
映画ブレードランナーを子供の頃に見て意味がよくわからなかったが、小説を読んでやっと話の概要を理解した。途中自分がアンドロイドでは?と思い始めるあたりは面白くて読むのをやめられなかった。また、読み返すかもしれない。Posted by ブクログ -
SF。連作短編集。はじめての作家。
20世紀から130世紀にわたる未来史。時間的なスケール、世界観的なスケール、どちらも驚異的。
内容は、背表紙にあるように、「奇妙で美しく、グロテスクで可憐」。一言では表現出来ない、あらゆる魅力がある。
好きな作品は「マークエルフ」「昼下がりの女王」「ガスダブルの惑...続きを読むPosted by ブクログ -
火星や金星に殖民するため、国連によって地球を追われ、過酷な環境下に強制移住させられた人々にとって、ドラッグ・キャンDは必需品であった。キャンDは目の前の模型セットに精神を投影させ、あたかも地球に居るかのごとくトリップすることができるのだ。P・P・レイアウト社の社長レオ・ビュレロは、流行予測コンサルタ...続きを読むPosted by ブクログ
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全部よかった。テクノロジーの進化に対し適応していく人間の意識や社会の変容を、感傷的にロマンチックに綴る、ハズレなしのSF短編集。翻訳もよいのでしょうが文章が柔らかく軽やかで読みやすい。生々しさと熱を感じさせながらも、冷徹な視点が貫かれています。
「逆行の夏」水星で暮らすぼくの元に、月からクローンの姉...続きを読むPosted by ブクログ -
ジョン・ヴァーリイはどうしているんだろう、と思っていた矢先の日本オリジナル短編集の登場。1970年代から80年代に独特な未来世界でSFファンの魂をつかんだ作家だ。代表作の〈八世界〉シリーズは地球が異星人に侵略され、月や火星など八つの世界で人類が生き延びているという設定。身体改変技術が発展し、衣服を...続きを読むPosted by ブクログ
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ディレイニーと並んで60年代アメリカSF界を代表する作家ロジャー・ゼラズニイの初期中短篇集である。全15篇の中には、ひとつのアイデアのみで成立する超短篇も含まれているが、その持ち味を堪能しようと思えば表題作を含む中篇に読み応えのある作品が多い。きびきびした語り口、当意即妙な会話はハードボイルド探偵小...続きを読むPosted by ブクログ
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光学顕微鏡と電子顕微鏡の比較をカーブを曲がるときの大型トラックとスポーツカーに例え、さらに電顕の長所(光学系に比べて圧倒的な倍率)、短所(電子を利用するために内部は真空が必要、切片が極端に薄いために観察対象の立体的概念がつかみにくいこと)が素人にも染み入るように分かりやすく説明する。(p333)Posted by ブクログ