浅倉久志のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
60〜70年代に活躍した奇想の作家R・A・ラファティの作品から、〈アヤシイ〉をキーワードに19作を選出した短篇集。
好き!!!!!!!!今ずっとラファティを読んでいる。以下、気に入った作品の感想。
◆「どろぼう熊の惑星」
「町かどの穴」のスラップスティックっぷりも嫌いじゃないけど、最初に心をグッと掴まれたのはこれ。ナスカの地上絵のように地表に残された宇宙船の等身大構造図というビジュアルイメージと、その種明かしが楽しい。怖くないコズミック・ホラー。この人が書くものには〈宇宙的郷愁[プラネタリー・ノスタルジア]〉という言葉がぴったりだ。
◆「山上の蛙」
死をめぐる謎かけ言葉が賢者と愚者の秘 -
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Posted by ブクログ
前半は、この世にいない方々へのインタビュー集があり、後半は、カート・ヴォネガットさんとリー・ストリンガーさんとの対談が掲載されている。
私は、対談を書籍にしたものはあえて読まないようにしてきた。なぜかだろう?読みにくいと感じたことがあったり、対談であればライブで聴くべきものだと思っているからかもしれない。そんな私の思い込みを一掃するのにふさわしい対談であった。
リー・ストリンガーさんの作品である『グランドセントラル駅・冬』と、カート・ヴォネガットさんの作品『タイムクエイク』の一部朗読があり、作家同志の書くことについての考察や、対象物との距離感についてなど、聴くことができる(実際は読むことなのだ -
Posted by ブクログ
もしもドイツと日本が、第二次世界大戦の戦勝国だったら……(; ・`д・´)
非常に興味深く面白い作品!!
ドイツの第三帝国(ナチスドイツ)に至るまでの大まかな歴史と、ヒトラーの周囲を固める親衛隊SS達(ヒムラー、ゲーリング、ゲッベルス、ハイドリヒ等)を知識として知っていると、理解がしやすいと思いました。
この小説の冒頭に参考文献としてウィリアム・シャイラー著『第三帝国の興亡』が挙げられていました。
この本、1から5巻まであるのですが、たまたま私、1巻だけ既読で………
なんで全部読まなかったんだぁ〜と後悔(^^;;
一巻はですね、第一次大戦後のハイパーインフレで国が混乱している中、ドイツ -
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ネタバレ
物質とエネルギー
・地球上の生物は、蛋白質酵素の助力のもとに、小さいスペースで生化学反応を行う方法を身に付けて進化してきた。
生化学者たちも、ようやくそれらの反応を再現できるまでになっているが、
それは他の全てから一つの反応を切り離したときだけである。
生きた細胞の場合は違う。そこでは小さい場の中で、さまざまな反応が同時に進行し、
エネルギーと生長と運動を供給している。
それはばらばらではなく、人間には到底それを再現するすべがない。
前菜からデザートまで揃ったディナーコースを準備するのに、それらの材料を全部一皿に混ぜ合わせ、
火にかけてから、あとでアップルパイをチーズソースの中から取り出そうとして -
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Posted by ブクログ
温暖化が進み、過酷な環境となった未来世界。火星へ強制移住させられた人々は、ドラッグと模型によって、過去の地球を再現した仮想空間へダイブすることで心を支えている。やがて遥か遠い星系からもたらされた新種ドラッグが現実崩壊の恐怖を引き起こすが……。
現実と幻想の狭間を描く、ディックの真骨頂。今はどっちの世界にいるんだっけ?という感覚を本書でも味わえる。ラスボスのような圧倒的な力を持った存在との対峙。人間くさい登場人物の意外な決断。全編通して読ませる力が強く、面白かった。ラスト付近は意図的にわかりにくくしているのか、読んでいる方も混乱してきて、トリップを疑似体験しているかのようだった。
毎回ディック作 -