浅倉久志のレビュー一覧
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お金持ちは富を分配しろ!って庶民は思うけど、
本当に人のために尽くしたらどんなことになっちゃうのか・・・
中流階級以上にはキチガイと思われ、
貧しい人々には神と崇められ、
それでも本人は首尾一貫しているのが滑稽であり、切なくもある。
しかし最後の妻に会いに行くところからの超展開はすごかった。
え、火事?え、テレポート?記憶喪失?え、ケンカ?いつの間に???
ぜんぜんついていけなかった(笑)
主人公もなかなかついて行けてませんでしたが。
・・・ということは、狙い通りの効果だったのかもしれません。
彼のやったことは最後に他者の言葉によって説明され、そうしてようやく周りが理解できる意味を持つ。 -
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さすがはカート ボネガット、すごく面白かった。
ガラパゴスを舞台に起こる人間の進化(あるいは衰退)。
ガラパゴスの自然環境にしろ、動物の生態にしろ、サイエンスに忠実で、科学的な裏付けがあったり、かなり練り込まれて作られたようだ。かなり読み応えあり、皮肉たっぷり、笑いあり、涙?あり。
要約すると、
箱舟に乗ってやってきた人類は、ガラパゴス諸島で、独自の進化を遂げます。巨大脳は必要なくなり、云々、、、。
物語自体はそんなにハッピーではないけれど、悲惨さの中にもどこかユーモラスな雰囲気もして、それがやっぱり読み手を飽きさせないところなのかもしれない。
登場人物はいたってまじめに悲 -
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「第二次世界大戦ののち、わたしはしばらくシカゴ大学に通った。人類学科の学生であった。当時そこでは、人間個々人のあいだに(優劣の)差異というものは存在しないと教えていた。いまでもそう教えているかもしれない。もうひとつ人類学科で学んだのは、この世に、奇矯とか、性悪とか、低劣といわれる人間はひとりもいないということである。わたしの父が亡くなる少し前に私にこういった。「お前は小説のなかで一度も悪人を書いたことがなかったな」それも戦後、大学で教わったことのひとつだ」
(本書あとがきより、引用されていたヴォネガットの言葉)
ここにヴォネガットという作家の「素」とでも言うべきものが凝縮されている。悪人のいな -
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老年の画家ラボー・カラベキアンのもとにサーシ・バーマンという女性作家が転がり込む。カラベキアンは彼女のすすめで自伝を書き始める。自伝そのものの部分と、自伝を書いている過程でのバーマンとのやりとりなどが交互に記されている。
ヴォネガットのいつもの人をばかにしたような文章は影を潜め、比較的淡々と綴られている。物語に抑揚がなく、どこに行き着くのか分からない自伝を読み進めるのは意外ときつい。しかし、最後のシーン。ジャガイモ貯蔵庫に隠しておいたものをバーマンに公開するところに至って、話は感動的な方向に大きく舵を切る。最後まで読んで、読んでよかったと思える。 -
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SFもあり、ちょっといい話風な短編もあり、の短編集。
序文などにもある通り、テレビが普及する前の時代、雑誌の読み物が一般的な娯楽として広く楽しまれていた頃に雑誌に掲載されていたもの。
古きよきアメリカ、的な香りもし、同時に、皮肉のきいた社会批判も織り込まれていて、まだ作家として駆け出しの頃のものでありながら、独特の個性が感じられます。
いちばん印象に残ったのは、「パッケージ The Package」かな。
ちょっと先の未来(書かれた当時はだいぶ先の未来、だったはず)の話、という設定。
苦労して事業を成功させ、念願の新型住居を購入したアールとモードのフェントン夫妻。
世界一周旅行を -
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ヴォネガットの作品中でもこれが一番好きっていう人は、多いのか少ないのか。どうなんだろう。
わたしが思うのは、ヴォネガットの愛情深くセンチメンタルな一面がもっとも強く(あるいはもっともストレートに)出ている作品なんじゃないかなということです。
ストレートって言っても、まあ本当の意味でストレートじゃ当然ないのですが、自分の心には直球で届いた言葉がいくつもあった。
読んでいて、線を引きたい!って思う気持ちに何度かなった。これまでほとんどそういうことはなかったのだけど・・・
手元に本がないので、はっきりと引用できないけど、
勉強にしろスポーツにしろ、才能を周囲から認められている地方在住の少年少女は -
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第三次産業革命により全ての生産手段が機械化、自動化され、一部の技術者や公務員を除く人々は皆閑職しか与えられずにいる、そんな近未来のアメリカが舞台。人事が全てパンチカードで機械によって振り分けられ、技術者や公務員と一般人との居住区が分けられているという、効率・能率優先主義の社会に疑問を持つ人たちが革命を起こすという話でした。機械化による雇用数削減という問題よりも、作中に描かれている格差が今の私たちにリアルに迫ってきます。SFというカテゴリーに入っていますが、それが好きな人も嫌いな人も読める作品です。むしろ、SFという枠を超えた作品であると言えます。長編ですが、すらっと読めるのでおすすめ。
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1991年に出版され、93年に邦訳・上製判として出版された幻の一冊がこのたび初の文庫化となった。カバーは原著の写真を和田誠氏の手でイラスト化されたもので、とても軽やかで好感度がアップしていると思う。また、上製版では割愛されていた「付録の扉のイラスト」が収録されているなど、細かな点でチューンナップが図られていて楽しい。
肝心の本編はヴォネガット節全開で、ところどころにジョークや軽口も見られ、とても読みやすい。本文中では、15,16章あたりが特に力が入っていると感じた。しかし、全体の内容が重いので、読みはじめればページを繰る手は軽快でも、一度本を閉じると次に開くのに少々のためらいを感じる。
た