浅倉久志のレビュー一覧
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ネタバレ第二次世界大戦において枢軸国側が勝利しアメリカが敗北したIF歴史SF群像劇。ディックの他の著作は好きだがこれはどうにも肌に合わず、読み進めるのに苦労してしまった。世界観設定は魅力的な反面、ストーリー性が乏しい上に群像劇で視点が入れ替わるため、ダイナミズムなストーリー展開を期待すると少しアテが外れてしまう。基本的には内省と不穏のまま視点が切り替わる物語であり、これを受け入れるか否かで作品の評価はガラリと変わるとだろう。
しかしながら第二次世界大戦の勝者の敗者が逆転している設定は非常に面白く、ドイツはある程度穏健派になるかと思いきや、歯止めの効かなくなったナチは暴走の懸念があり、日本vsドイツの最終戦争という不安感を煽ったオチなど、どの世界線でもナチはやはり悪なのだなと思った。あと易経が大流行しているという設定もかなり独特で、昨今のAIのようで登場人物の誰も彼もが行動の指針にしているのには笑ってしまった。心身ともにボロボロになりながら易経に縋る様や、要人にミッキーマウスウォッチを送るシーンなど、ディック作品らしい哀愁のある登場人物も魅力的だったように思う。 -
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この本はあとがきや太田光の解説があってのものと自分は思った。「ワケがわからない」を肯定してくれるのは非常にありがたいと思った。時代背景やラムファードのモデルが確認できて始めて、やっと多少の理解が及ぶようになった。第二次大戦下〜冷戦あたりを踏まえての、ってことみたいだ。
自分の時間とーーここではあえてそう言うがーー労力を使って読み終えた作品に対して、時間の無駄だったと認めるということは非常に勇気がいるものだ。実際はその感想や体験も含めての読書であることはわかっていながらも、現代を生きる我々にとって時間を割くことは非常にリスクを伴うものである。
主語が大きいか?
要するに「なんなんだこれ?理解できんな」の言い訳を水増しすると上になるってうもんで、文章ってやろうと思えばやるだけ贅肉を付けられるよな。ダイエットする方が難しい。
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同著者の別作品『息吹』がすごく良くて、この本もいたるところで良い評判だったので、『息吹』を読んだ時と同等の面白さや感動を得られるのではと期待していた。期待しすぎてしまっていた。結果、悪くはないが思っていたほどではない。
表題作『あなたの人生の物語』がいちばん好き。地球外生命体との交流というと、映画公開直前となった別の某作品が思い浮かぶ。その作品では故郷に危機が迫っているエンジニア同士が意気投合するという流れだが、本作品は言語学者である主人公が地球外生命体の用いる言語や文字を学ぶことで異質な思考法を習得する。話の終盤になって、この物語の間に挟まれる主人公の娘にまつわる回想の意味、そしてその回想がかなり詳細であることの意味がわかり胸が締め付けられた。日常の取るに足らない程のささやかなやり取り、くだらない言葉、表情、楽しいことだけでなく喧嘩をしたり腹を立てた記憶など。自分の中のそういう記憶を思い返して、たまらない気持ちになる。
大きな悲しい出来事がこの先にあるならその過程にいくら喜びがあっても今の私はその運命を選び取らない。でもヘプタポッドBを習得したらこの考え方は変わるんだろうか。変わってしまうとしたらそれは私ではなく違う生き物であるように感じる。 -
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星3.5
日本人には馴染みずらいメッセージが多いと感じた。
映画化された「あなたの人生の物語」(映画の題名は「メッセージ」)を含む短編集。
・もし神罰が実際に存在する世界だったら?
・もし人間の美醜を見分けられなくなる装置が発明されたら?
等、この世界においてひとつだけ「もしも」の設定を組み込み、それ以外はその設定に基づいて徹底的にリアルに描写されていた。
私が三体やプロジェクトヘイルメアリー、火星の人、星を継ぐもの等、エンタメの側面が強いSFしか読んでこなかったからか、
哲学的なメッセージを含む今作は非常に難解だった。
考えさせられるのはわかるが、どうにも言語化できない。
ワクワクする、というような類のSFでは無いため、人を選ぶような気がした。 -
Posted by ブクログ
めっちゃくちゃ期待して読み始めたけど、正直思ったより楽しめなかった。結構SF慣れしているつもりだったけど、少し自分には難しかったかも。あまり乗れなかった。
読みながら、レムの『完全な真空』にも似た読み味だなと感じた。何か面白いことに取り組んでいるエッセンスは感じるが、ドラマは薄味。
語り方、或いはSFらしく世界の設定や仕組みそれ自体が主役で、物語は、キャラクターの遍歴・帰結を描くことを通じて、主役を載せる皿としての機能が強い。
一見ファンタジーらしい題材ではあるものの、科学的な思考様式を採用することでSFに昇華している作品も幾つかあって、その幅広さは面白かった。
語り方と題材、物語が一番上手く噛み合ってた気がするのは、やっぱり表題作で、納得感もあったし、それは結構好きかも。 -
Posted by ブクログ
爆笑問題の太田さんが、この本から所属事務所の名前に「タイタン」を名付けたと知り、興味を持った。
超ド真ん中のSFという感じ。ストーリーも読者の視野も、地球から火星、水星、タイタンへと押し広げていく。
過去も未来も知っているラムフォードが“神”のような存在に思えたが、その外側には、さらに高次の存在がいて、これまでのストーリーと人類の営みも歴史も全てちょっとしたお使い。余興程度にしてしまう。それを知った瞬間、コンスタントの苦労や痛みが、どこまでも虚ろに響いた。
1959年に書かれたとは思えないほど、いま読んでも古びない発想と構造。
むしろ、ここからSFというジャンルが広がっていったのだと実感させられる。
正直、これまでSFを読むと途中で眠くなってしまうことが多かった。本作はそんなこともなく、読んで良かった。人にも勧めたい。