浅倉久志のレビュー一覧
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SF界を代表する作家の一人、カート・ヴォネガット(・ジュニア)の代表作の一つ。ずっと積まれていたのをようやく崩すことに。
ヴォネガット作品は『スローターハウス5』しか読んでいなかったが、読んで分かるヴォネガット流SF。過去、現在、未来を同時に観測する力、それによって頻繁に転換するシーン、トラルファマドール星人...etc。
波動存在となったウィンストン・ナイルス・ラムフォード、地球・火星・水星・土星の衛星(タイタン)を巡るマラカイ・コンスタント(=アンク)、ラムフォードの元妻ビアトリス、彼女とマラカイとの間に生まれた子クロノ、トラルファマドール星人サロらの立ち位置、関係性、目的等を整理出来 -
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日本人独特の、
良く言えば奥ゆかしい
悪く言えばはっきりしない
特有の気質といおうか、国民性をディックはどうやって仕入れたのだろう。
日本人歴の長い生粋の日本人からして「ん?」となる部分もないわけではないが、違いが文化を生むのだから「アメリカ人から見た日本人の描写」というのも面白い。そもそも違う国の人同士が交わる大陸横断型の小説は難易度として高いのではないのか。ドイツ人も出てくるし。
内容自体は「フィリップ・K・ディックの小説!」という意気込みで、SFを期待してたので、肩透かしを食らった感は否めない。
支配者側の田上氏は白人に差別的な意識はあっても人を殺したという人道的な罪悪感に苛まれ、 -
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ディックの最高傑作に推す声も多い本作はWW2で枢軸国が勝ちドイツと日本が超大国となっていたら…という歴史改変物。実在の人物についてかなり触れられていたり、改変歴史の中でさらに「連合国がWW2で勝っていた歴史if」を描いた小説が軸に登場するなど虚実を織り交ぜた構成。しかもそうした構成を下敷きにしつつ、主に描かれるのはそれぞれの立場でもがき悩む人たちの内面の葛藤だったり、その悩みの拠り所として易経が重要要素として描かれたりするのでなかなか独特。日本人やドイツ人が読むのと戦勝国側の人が読むのだとそれぞれどんな読後感の違いがあるんだろうと気になります。
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ネタバレ不思議な力強さのある作品でした。
本当にそっくりそのまま世界が反転していのは凄かったです。確かに日本とドイツが世界大戦で勝っていればこんな世界になっていたのだろうと想像ができます。陰鬱で秩序や差別が厳しい世界。
日本タイムズなどは、読んでいて言葉が面白かったです。西海岸は日本が占領しているなど、ありえなさそうで、でも勝利していたらありえそうで、白人が日本人にあんなにオドオドする姿はある意味新鮮でした。アメリカと日本の立場が見事に逆転していていました。
内容はかな。哲学的、人とは何なのか、人種とは何なのかという自問自答が多い。国家とは何なのか、そういった思想に近いモノを一人一人が抱えており -
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ユービックを読んで、「うわあああああ好きいいいSF最高……早く次!!!」となった勢いで、内容を全く知らずに読んでしまった。
つまりディックの超SF世界観を求めて読んでしまったので、あまりSF味のない雰囲気に結構な落胆を感じながら頑張って1冊読みました。笑(誰も悪くない)
第二次世界大戦について、恥ずかしながら本当にざっくりしたことしか知らなかったので、
大人になった今、改めてちゃんと学ばないとな…と反省。詳しい事実を知っているほど楽しめる作品。
なんたって子供の頃、歴史が1番嫌いな教科だったからな……(盛大な言い訳)
けれどそういった戦争どうのこうの〜〜だけを伝えたい作品ではなく、もっと抽 -
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1962年、第二次世界大戦に勝利した日本とドイツはアメリカを分割占領され、太平洋側は日本の統治下に置かれた。日本統治の影響で中国由来の『易経』が普及し、日本人アメリカ人を問わず多くの人が易により物事を判断するようになっている。さらには「第二次大戦に連合国側が勝っていたら」という内容の小説が評判を呼んでいた。
アメリカ古美術商のロバート・チルダン、通商代表団の田上信輔、贋作工場で働くフランク・フリンク、フランクの元妻・ジュリアナ、プラスチック産業のビジネスをするバイネス、イタリア人トラック運転手のジョーなど、さまざまな人の物語が交互に進み、そこにドイツ政府の思惑も交錯する。
もし第二次大戦で -
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わかったようなわかんないような
不思議な読後感なのですが
読んでいるときは妙におもしろい。
久しぶりに読んだけど
そういえばディックって私にとっては
そういう作家だったっけ。
日本とドイツが第二次大戦に勝った
架空の世界が舞台なのですが
日本人の田上が主要な役どころで
これが今読んでも「あ、なんか日本人」
思考回路とか、ちょっとした行動とか。
すごいな、ディック御大(笑)
敗戦国となったアメリカで
新しい製品作りに取り組むフリンクや
少しずつプライドを取り戻していく
田上御用達の骨董品店長チルダンの姿が
現実日本の戦後復興期に踏ん張った
人々の写し身のように思えた。 -
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読み終えて、少したって、収録されていたタイトルを眺めてみる。どれも味がある小説で「あぁ、面白かったなぁ」と密かに幸せな気分になれる。もちろん読んでいる最中も楽しめるのですが、じわじわと染み込むおもしろさ、と評した方が、なんだかしっくりきます。
そんな不思議で奇妙な物語19篇を収録した本書は、R・A・ラファティのベストコレクションその1。その1ということは、その2もあるようで、本書は「アヤシイ篇」で、その2は「カワイイ篇」とのこと。カワイイ篇も超気になる。
「われらかくシャルルマーニュを悩ませり」をはじめ、本書では<不純粋価額研究所>シリーズが計3篇収録されている。このシリーズ、ばからしくて