前半は、この世にいない方々へのインタビュー集があり、後半は、カート・ヴォネガットさんとリー・ストリンガーさんとの対談が掲載されている。
私は、対談を書籍にしたものはあえて読まないようにしてきた。なぜかだろう?読みにくいと感じたことがあったり、対談であればライブで聴くべきものだと思っているからかもしれ
...続きを読むない。そんな私の思い込みを一掃するのにふさわしい対談であった。
リー・ストリンガーさんの作品である『グランドセントラル駅・冬』と、カート・ヴォネガットさんの作品『タイムクエイク』の一部朗読があり、作家同志の書くことについての考察や、対象物との距離感についてなど、聴くことができる(実際は読むことなのだが対談なので)。リー・ストリンガーさんのコメントは、人間に対する深い愛情と優しさに満ちたもので、どんな人(たとえ悪人であっても)でも、共感を測るために、澄んだ心の眼差しで洞察していることが伝わってくる。出会えてよかった一冊。