飛鳥井千砂のレビュー一覧
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ショッピングモールが舞台の小説。身近な施設で私自身大好きで頻繁に利用しているが、取り上げられた小説に出会うことが少なく、新鮮な気分で読んだ。
ショッピングモールで働く人々とその周辺人物で構成された、20代の恋愛を描いた連作短編集。何冊かに1冊は日常を描いた小説が読みたくなる。ドンピシャの世代ではないけれど遠い昔の記憶というほどでもなく、読んでいて心地良かった。聞いているようで聞いていない夫の話は頷きながら読み、最後の「ワイルドフラワー」で妻側もちゃんと話を聞けていないことに気づくシーンで同じくハッとした。読み進むうちに小山さんが少しずつ好きになっていった。
勝手に最近出た小説かと思ってい -
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舞台は地方都市の近く、チョコレート工場からの匂いが漂う中途半端な田舎町。
そんな町や無神経な家族に嫌気が差していた主人公の遼は、大学から都会に出ていたが、仕事の都合により臨時で故郷に帰ることになる。
そして、色々な人、様々な出来事を通して、故郷への気持ちが変わっていくというお話。
「地方都市の近くの町」のなんとも言えない中途半端さの描写が上手い!
車社会、すぐ噂が広まる、地元に残った人の地元志向の強さ、外からは見えないヒエラルキー、外に出てる人の格好のイマイチさ……とかとか。
都会に比べてなんか情けなさを感じるやつね。
人物も、「そういう人居るよね」ってなるリアルな描写でした。
沙知さんが -
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ネタバレ・『はるがいったら』が面白かったので、同じ作家の本ということで読んでみた。
・本書も面白く、読みだしたら止まらなくなり2日くらいで一気に読んでしまった。
・今回は男女2人ずつ、4人のキャラクターでどれも非常に魅力的で、全員に入り込めた。
・特に女性2人については対照的で、お互いの視点で話が語りがなされるときも、自分が「当たり前」に思っていることと、相手が「当たり前」に思っていることのすれ違いの会話が非常に面白かった。
・自分的には完全に考えて気には「紗雪」派なので、何にせよ「それが普通でしょ」で行動する朋美はただのアホな女(言葉悪、1)としか思えなかったが、最後の方で覚醒していくのはかっこよか -
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ネタバレ久しぶりにページを捲るのが止まらないような面白い小説を読んだ気がする。
なにかにつけて完璧主義で容姿端麗だけど結婚が決まっている幼馴染と不倫を続けている姉と、やれば何でもそこそこ出来るけど「まぁそんなもん」が口癖で何かに熱中したことが無くやりたいことも見つからない受験生の弟を中心に、老犬ハルとともにそれぞれの壁に悩みながらぶつかっていく物語、といえるだろうか。
語り方として一人称を姉と弟と交互に切り替わっていく形で、これが非常に面白く、片方の視点の認識や印象と、もう片方の認識や印象とのズレをスリリングに読み進めることができた。
また、それぞれの人間性をエピソードを交えて協調する部分が非常に面白 -
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ネタバレ*とある女優の成長を軸に、様々な時代を生きる人々の心のささくれを丁寧に描いた六編。最後に新鮮な驚きと爽やかな感動が待っている、連作小説の傑作*
テーマは「自分の存在が誰かに影響を与えるということ」ですが、どこにでもいるような男女の、どこにでもありそうな出来事なだけに、無理なく入り込めるし、逆に反発したり。物語が本当にリアルなので、登場人物の追体験をしている気分になります。そこが一番の魅力。「ゆうちゃん」の成長を絡めた構成も新鮮だし、見る人や角度にによって感じ方が違う面白さも十二分に味わえる。その上、連作なので、所々で前作の登場人物のその後が垣間見えて二倍楽しめる。「どこかで誰かに」でパズルのピ -
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ネタバレ*結婚に強い憧れを抱く女、朋美。結婚に理想を追求する男、貴人。結婚に縛られたくない女、紗雪。結婚という形を選んだ男、治樹。朋美は、親友の紗雪が幼なじみの治樹と突然結婚を決めたことにショックを受ける。心から祝えない朋美だったが、ふたりの結婚パーティーで出会った貴人に次第に魅かれていく。しかし、紗雪と治樹の結婚には隠された秘密があった…。アシンメトリー(非対称)なアラサー男女4人を巡る、切ない偏愛ラプソディ*
これは・・・予想を裏切る展開でした!もちろん、良い意味ですが。LGBT絡みかな、とは思っていたけど、更にその裏があったり、「普通」に対する概念の違いや、それぞれの持つ歪みも見事にあぶり出さ