【感想・ネタバレ】はるがいったらのレビュー

あらすじ

両親が離婚し、離れて暮らす姉弟。完璧主義の姉・園は、仕事もプライベートも自己管理を徹底しているが、婚約者のいる幼なじみと不毛な恋愛を続けている。体が弱く冷めた性格の弟・行は、寝たきりの愛犬・ハルの介護をしながら高校に通い、進路に悩む。行が入院し、ハルの介護を交代した園。そんな二人に転機が訪れ――。瑞々しい感性が絶賛された、第18回小説すばる新人賞受賞作。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

久しぶりにページを捲るのが止まらないような面白い小説を読んだ気がする。
なにかにつけて完璧主義で容姿端麗だけど結婚が決まっている幼馴染と不倫を続けている姉と、やれば何でもそこそこ出来るけど「まぁそんなもん」が口癖で何かに熱中したことが無くやりたいことも見つからない受験生の弟を中心に、老犬ハルとともにそれぞれの壁に悩みながらぶつかっていく物語、といえるだろうか。
語り方として一人称を姉と弟と交互に切り替わっていく形で、これが非常に面白く、片方の視点の認識や印象と、もう片方の認識や印象とのズレをスリリングに読み進めることができた。
また、それぞれの人間性をエピソードを交えて協調する部分が非常に面白く読めた。
例えば、姉の方は、小学生時代のシーンで、容姿端麗であることをその頃から自覚しており、他の女子に対して優越感を感じてしまう描写がドキっとした。

> どうして振り返ってしまったのだろう。あの日、恭司の背中で。 振り返って、真ん中の彼女と目が合った。私は笑ってしまったのだ。「笑った」じゃなく、「嘲笑った」のだ。

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2019年05月30日

Posted by ブクログ

寝たきりの愛犬と迷える姉弟の青春物語。
両親が離婚し離れて暮らす姉弟。
完璧主義の姉・園は不毛な恋愛にはまり、体が弱く冷めた性格の弟・行は進路に悩んでいる。
寝たきりの愛犬・ハルを間に揺れる二人。
第18回小説すばる新人賞受賞作。

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2018年01月04日

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年老いたハルの介護・看取りを通して、姉と弟は自分らしさを知り他人を理解することを覚えていく。
完璧主義者の姉・園と自分の本心が分からない弟・行のどちらにも共感できるところがあった。
タイトルの通りハルとお別れするとき、悲しさだけではない木漏れ日に触れたような温かな涙が滲んだ。

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2016年10月23日

Posted by ブクログ

あなたは、犬の平均寿命が何歳か知っているでしょうか?

空前のペットブームとも言われる現代社会。その中でも犬は古の世から私たち人間と共にある大切な存在です。このレビューを読んでくださっているみなさんの中にも犬を飼っている、犬を飼ったことがあるという方はたくさんいらっしゃると思います。残念ながらさまざまな事情から私は犬を飼う経験をしたことがない中に今を生きていますが、何度も飼ってみたいという思いに苛まれてもきました。

しかし、犬というものが生物である以上、飼育を始めたらいつか必ず終わりの時が来ます。2021年の一般社団法人ペットフード協会による調査の結果では、日本で飼育されている犬の平均寿命は14.65歳と報告されています。そうです。私たち人間の平均寿命に比べて6分の1というその年齢は、そんな犬たちの老後を私たちが看てあげる必要があることを意味しています。私たちが犬を飼育するということは、そんな犬たちの老後を看る覚悟がなければならないということでもあるのです。

さてここに、『十四歳の老犬』の介護をする姉と弟の日常を描いた物語があります。両親が離婚し、離れて暮らす姉と弟は、離れたが故にかえって仲の良い関係性を作り上げています。この作品は『目以外はそっくり』という姉弟の性格の違いを見る物語。『俺の部屋の床は、尿の吸収シートが敷き詰められている』と老犬と生活を共にする弟のやさしさを見る物語。そしてそれは、『もうすぐ花粉症の季節も終わる』という季節に”はる”の終わりを感じる主人公たちの姿を見る物語です。

『ホームからの階段を降りて来る人の中に、姉の園がいないか目を凝ら』す中に『背の高い着物姿の女の人』を見つけたのは主人公の佐々行(ささ ゆき)。『ごめん。ちょっと遅くなった』と謝る姉の水原園(みずはら その)に『…なんで着物?』と訊くと『買ったから』とあっさり返す園。そんな園に『あのさ、俺全然普段着なんだけど。ミュージカルってちゃんとした格好しなきゃいけなかった?』と訊く行に『全然普通で大丈夫。私はただ単に着たかっただけ』と返す園は『ポン』と行の肩を叩くと『昼ご飯、軽く食べてから行こう』と歩き始めました。『百六十七センチという、女にしてはかなりの長身の園』より、『三センチ大きいだけで、別に長身ではない』と自身を思う行は、『園がヒールを履くと、簡単に』『抜かれてしまう』ことを癪に感じています。『両親が離婚したのは九年前。母親と一緒に出て行った四つ年上の姉』とは、今も『二人で食事に行ったり、買い物に行ったり、園のアパートに泊めてもらったり』している行。『目以外はそっくりだと言われる』二人。
視点が変わり、ミュージカルが終わって電車に乗り込んだ二人。そんな中、『ハルはどう?元気?』と訊く園。『両親が離婚する前』『二人で公園で拾って来た犬』は『行が五歳、私が小学校三年生の時だったので、もう十四歳の老犬』になっています。『柴犬に似た日本犬の雑種』であるハルを『行と、隣の家の私より二つ年上の幼なじみ、恭司と三人で、よく散歩に連れていったり遊んだりし』た過去を思い出す園。そんな園は、『今では立ち上がることもほとんどできなくなり』『犬というより、犬の形をした生きもの』になってしまっていると行は言います。そんな行は『もういつ死んでもおかしくないかな。覚悟し始めたところ』、『一回ぐらい会いに来たらいいじゃん』と言ってくれるものの『父親と仲が悪い』という関係性からハルに会うことができない今を思う園。そんな中、『窓ガラスに』映った二人の顔を見て『鼻と口はそっくりだ。しかし決定的な違いが一つ。猫みたいに、つり上がっている私の目。ちょっと意地悪そう』と思う園。
再び視点が変わり、『床擦れ』ができないようにハルの体勢を変え、水をやる行は『尿の吸水シートが敷き詰められている』自身の部屋を見ます。『週に一度は、脱臭剤を買いに薬局に行く。世界広しと言っても、こんな高校生俺ぐらいじゃないか?』と思う行が居間に降りると、そこには『昨日の夕食の食器を洗』う真奈美と、『コーヒーとパンで朝食をと』る忍の姿がありました。『店の厨房で仕込みに入っている』父親含めた四人が『今の俺の家族』という行。
園と行という血の繋がった姉と弟のそれぞれの日常と、老犬ハルとの生活が描かれていきます。

“気が付けば他人のファッションチェックまでしている、完璧主義者の姉。何事も、そつなくこなすが熱くなれない「いい子」な弟。二人の間に横たわるのは、介護され何とか生きる老いぼれ犬。どこかが行き過ぎで、何かが足りない姉弟の物語”と内容紹介にうたわれるこの作品。2005年に第18回小説すばる新人賞を受賞した飛鳥井千砂さんのデビュー作です。全十章から構成されたこの作品はそれぞれの章内で二人の人物に交互に視点を切り替えながら展開していきます。

そんな視点の人物、それこそが水原園と佐々行という血の繋がった姉弟です。物語はそんな二人の日常をある意味淡々と描いていきますが飛鳥井さんらしくファッションにこだわる記述が豊富に登場します。

 ・『クローゼットから、若草色のニットを取り出した。私はもう、春の楽しみ方をちゃんと知っている』。

 ・『ふとめぐみのバッグに目が行く。エルメスの今年の新作だ』。

 ・『あ、ディオールのペンダント買ったんだ。前からめぐちゃん欲しがってたもんね』。

このような感じで短くさらっとファッションを意識した表現が登場するだけでなく、その場面に登場する人物の服装をきちんと定義していくのも特徴的です。

 ・『めぐみが自分の服を指す。デニムジャケットの中に、黒のVのシャツ。ボトムは黒いサブリナパンツで、ヒールの靴も黒』。

 ・『松田さんは、ざっくり編みのベージュのサマーセーターに、ジーンズ。シンプルだけど似合っている』。

 ・『私は今日は、若草色のニットの下には白い丸襟のブラウス。ボトムはグレーのタータンチェックのワイドパンツ。靴は白いローファー』。

いかがでしょう。私は今ひとつピンとこないのですが、女性の皆さんであればこの三人が並んだイメージがパッと思い浮かぶのではないでしょうか?また、そのイメージの先に、そんな三人の人物像まで浮かび上がってくるかもしれません。この辺り、デビュー作から飛鳥井さんの個性が現れているように感じます。

そんなこの作品の書名はすべてひらがなで「はるがいったら」とつけられています。これだけでは正直なところ意味不明ですが、物語開始早々に二人の姉弟が大切にしてきた老犬ハルの存在が語られていきます。『行が五歳、私が小学校三年生の時』という『まだ両親が離婚する前』、『二人で公園で拾って来た犬』というハルは今や『十四歳の老犬』になっています。私は犬を飼ったことがないのでその年齢感が今ひとつピンときませんが、人と犬の年齢比較表によると、おおよそ80歳という高齢であることがわかります。まあ昨今の80歳の方はお元気な方はまだまだ現役でいらっしゃる場合も多いですが、老犬ハルは痛々しい状況が描写されます。行が語る『ハルの介護にあたっての、注意事項』を見てみましょう。

 ・『もう自分で水を飲むことも難しいから、朝起きたら必ず水を飲ませること』。

 ・『床擦れができないように、ハルの姿勢を時々変えてやって欲しいこと』。

 ・『排泄は、垂れ流し(市販の犬用オムツは…どれもダメだった)』。

 ・『寝たまま排泄をして、自分の体に排泄物がついたままになっていることも多いので、しょっちゅう確認をすること』。

『すっかり被介護犬だ』というハルを自室に吸水シートを敷いて介護する行。物語の途中でその役割は姉の園にも移りますが、犬を飼ったことのない私には果てしなく大変な状況に感じます。しかし、物語の主人公である行も園は、そんなハルをこんな風に認識もしています。

 『犬というより、犬の形をした生きもの』

思わず高瀬隼子さん「犬のかたちをしているもの」の書名を思い起こしてしまいましたが、もちろん意味合いは異なります。そんな物語は表題と同じタイトルがつけられた最終章〈はるがいったら〉へ向けて二人が如何にハルのことを大切に思っているかが痛いほどに伝わってくる描写が続きます。この辺り、老犬を介護したことの有無でも印象が異なってくるように思いました。

そんな物語には大きな事件は何も起こりません。姉の園を悩ますある事象が起こりはしますが、全体としては極めて平坦な物語、姉と弟のある意味淡々とした日常が描写されていきます。しかし、だからこそ、そこに登場する他の人物たちの個性が際立つ側面もあります。特に『車体はかなり低くしてあり、どぎついピンクのファーのようなものが、車内に敷き詰められている。マフラーはどう考えたって大きすぎだ』という車を愛する兄の忍はそこかしこに良い味を出してくれますし、『瘦せすぎで寒いのか、彼女は夏でも、ピンク色のワンピースの上に、ファーの付いたコートを着ていたりする』という『ピンクの魔女』は強烈な印象を残してもくれます。そんな個性豊かなキャラクターたちと共に、日常を送る園と行。そんな二人の関係性は次の一文によく現れています。

 『離れて暮らしていたのでかえって仲良くなったのか、一緒に暮らしていても仲のよい姉弟だったのかはわからないが、とにかく俺達は、多分仲のよい姉弟だった』。

『目以外はそっくりだと言われる』という園と行に交互に視点を切り替えながら描かれていくこの作品では、そんな仲の良い二人がお互いに相手のことをどう思っているのか、視点が切り替わるからこそ本当のところが読者にもひしひしと伝わってもきます。そこには、裏表などない仲の良い姉と弟の姿、そして、二人が何よりも大切にする老犬ハルへの強い想いが最後の最後まで伝わってくる物語が描かれていました。

 『部屋の床中に吸収シートが敷き詰められ、真ん中あたりにハルがいる。「犬の形をした生きもの」という表現は正しい。茶色い大きな塊が落ちていて、よく見ると、それはヨボヨボの犬だった。そんな感じだ』。

『十四歳の老犬』ハルのことを大切に思い、そんなハルを自室で介護していく姉と弟の日常がある意味淡々と描かれたこの作品。そこには、ハルのことを生活の中心に据える姉と弟のやさしさを見る物語が描かれていました。『まただ。やばいやばい。すぐやってしまう、他人のファッションチェック』を『私の悪い癖』と言う園の視点を通じて登場人物のファッションを丁寧に文字にしていくこの作品。動きのない老犬ハルがそれでも物語の中心にあることを感じさせるこの作品。

みずみずしい表現に満ち溢れた物語の中に、老犬ハルの存在感が際立った、そんな作品でした。

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2024年01月15日

Posted by ブクログ

両親の離婚で別々に暮らす姉の園と弟の行、二人の飼い犬だったはるが老衰で介護の必要な状態になっている。進路など悩み多い高校生の行の懐の深い包み込んでくれるような性格に、回りの人は救われていると思う。不器用な人達が案外真面目に生きているのも好ましく、最後の寄り合いバスのようなシーンがほほえましく和んだ。

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2021年05月08日

Posted by ブクログ

何が面白いのか説明が難しいけど面白い。
これと言って大きな出来事があるでもなく、何となくの日常に近い話なんだけど引き寄せられます。
読み終わってなんか気持ちの良い作品でした。

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2018年10月21日

Posted by ブクログ

とてもよかった。
離婚したそれぞれの親元で育った仲の良い姉弟、それぞれの家族模様、素直でカラッとした文章で、ストレスの少ない物語だった。
ハルは物語の最初から死ぬことが決定付けられており、読み手はそれを意識し続けるが、
そんなに疲れる内容でなかった。
爽やかに締めくくられている。

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2018年05月22日

Posted by ブクログ

ネタバレ

姉と弟それぞれの人間関係が丁寧に書かれていて楽しめた。
みんなそれぞれに悩みやコンプレックスを抱えながら日常を過ごしている様子がよく伝わって応援したくなる。

どの登場人物にも共感できる部分があって、いわゆる「嫌なキャラ」というのがいなかったのはさすがだと思う。

あともう一歩先まで読みたいと思うところで終わった。
この作者の別の作品も読んでみたくなった。

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2017年12月05日

Posted by ブクログ

最近ハマっている飛鳥井千砂さん。美人で何事にも妥協しない完璧主義の姉・園と、冷静で大人っぽくて普通な高校生の弟・行を中心としたお話。題名の『はるがいったら』の『はる』は春に2人が拾った犬、ハルのことだった。
起承転結があるお話ではない、ごくごく普通な日常のお話なのにすごく好きな空気感だった。特に、行のような真っ直ぐで優しい青年の考え方が好きなんだよなぁ。真面目だけど、決してつまんないやつではない、魅力的な青年。老犬のハルを介護するとことか、自分の犬だから当たり前っていうその当たり前のことを当たり前に出来ることが凄いいいんだよね。好きだなぁ。
姉の園は綺麗だしさっぱりしていて好きだったから、変な女に嫉妬されても負けないでほしいし、恭司との関係が凄く悲しいなと思った。恭司、なんで園に手を出したんだ!とね。ただ、園が恭司に別れを告げたのはよかった。つらいけど、絶対に園には幸せになって欲しいから別れを告げて大正解!がんばれ園!!!

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2016年05月06日

Posted by ブクログ

久しぶりの飛鳥井さん。
こちらは第18回小説すばる新人賞受賞作なんですね。
毎回感じる「わかるよわかる」というこの感じ。わかるからこそチクッと胸が痛いところもあれば、なんだか懐かしく思えるところもあって、改めて好きだなあと思いました。

物語の中心は、完璧主義な姉と病弱な弟、そして老犬ハル。
描かれているのは何気ない日常なんですが、飛鳥井さんの瑞々しい感性でもって切り取られた世界は、何だかかけがえのない大切な日々に映ります。
写真を見ても、小説を読んでも感じることですが、「ああ、この人には世界がこんな風に見えているんだな」という感動がこみ上げてきます。

登場人物でいえば、私は園が好きです。
美人だし完璧そうなのに、誰よりも不器用なところが愛おしい。
園と恭司、実は鏡に映したようにそっくりですよね。
恭司も随分残酷なことをするものだ、と思うんですが、きっと悪意のない愛情表現なんですよね。それがまた悔しい。
まるで状況は違うのに、気付けば園に感情移入している自分がいました。

一方で、園が嫌い!という女性の気持ちもわからないではない。
見るからに高嶺の花な園には、羨ましさ半分、妬ましさ半分というところでしょうか。
「たとえ何があっても、相手を傷つけていいという理由にはならない」と心から理解するためには、実はそれなりに精神を成熟させる必要がある、と気づいたのは大人になってからです。

園も好きですが、行の若々しさ満載の物語も爽やかさ満載で胸がきゅっと締め付けられます。
行となっちゃんみたいな友情も、すごく素敵。
それに、行と忍の家族関係も。
いい時期に、いい人たちと関係を築けたんだね、と読んでいて微笑ましい気持ちです。

なかなか人の感情というのはシンプルではないから、複雑な想いもたくさん重ねるけど、それでも大切な人がいる日々というのは、それだけで随分愛おしいものだと、この本が教えてくれました。

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2016年03月22日

Posted by ブクログ

とても読みやすかった。タニハピよりこっちの方が好き。話は淡々としているのに、続きが読みたくて仕方なくなるのは何故でしょう?
とりあえず行が凄くかっこよかった。こんな男の子って素敵だなぁーって思った。
園の性格にもちょっと共感した…。私もどちらかと言えば完璧主義で、自分でも自分に疲れるし、かと言って崩したくないし…。
恭ちゃんとの恋が切なかった。完璧にはなれないから、だから本気なんて要らない。それでいいって誤魔化してる園の気持ちが切ない。恭ちゃん…ずるい男だ。笑
とりあえずハルも大好きになったし、楽しかった!読んで良かった!

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2015年05月16日

Posted by ブクログ

ネタバレ

完璧主義者の姉と病気がちな弟と老犬ハルのお話。
姉の園が私には愛おしいキャラクターでした。
洗濯物を干すときやタンスの中の洋服がグラデーションになるように並べるようなこだわりの強い子で、何事にも几帳面できっちりしてて完璧な子。友人だったら疲れちゃいそうな子。自分を完璧に見せることによって自分を守っている、そうじゃないと自分を守れないと思いこんでいる。婚約者がいる恭と付き合っていて、離れられない、苦しんでいる。
最後に園があるきっかけから前に進むことができてほっとしました。

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2015年02月01日

Posted by ブクログ

ネタバレ

前々から惹かれるなぁと思っていたら、表紙がいくえみ綾先生♡
今は亡き愛犬のことを思い出しました……

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2014年10月19日

Posted by ブクログ

なんかとってもよかった。出てくる人物がみんないい人で・・・。
行くんはかっこいいし・・・(妄想)。
「はる」の死で、お姉さんも一区切りついたんじゃないかな、恭ちゃんのこと。

ほんの脇役だけど、堂島さん、宮本さん、小川くんがとっても気になる。ナイスな人たち。

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2019年05月26日

Posted by ブクログ

離れて暮らす姉弟と、寝たきりの愛犬ハル。完璧主義の園が続ける恋愛と、冷めた性格の行の進路の悩み。どうにもならない現実と向き合って、いろんなことを考えていく。タッチがどこか軽いからかな、読みやすかったし、好きだと思いました。

2017/08/23再読
最初に読んだときはあまりピンとこなかった、園と恭ちゃんの温度感。今なら鮮明にわかると思うのは、それだけ何かを経験したということなのか。ハルを主軸にしながら、家族とその周りの人々に起こる様々な出来事。誰に何が起きるのかなんてその時になってみないとわからない。何かが起きて初めて、人は自分の周りにいる人が自分にとってどんな存在なのかを知るんだと改めて思った。

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2017年08月23日

Posted by ブクログ

両親が離婚しそれぞれの元で離れて暮らす姉弟と、弟が面倒を見てた老犬「ハル」を中心とした話。

肺炎での病気や、ストーカー的被害などはあるけど大きな起伏はなく老後を看取る感じに進んでいくお話。
姉弟が一緒に看取って上げれてよかった。
読みやすかったです。

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2025年09月07日

匿名

購入済み

潔癖な姉と体が弱い弟。
複雑な家庭環境だけれど、そこまで悲惨な人生ってわけでもない。完璧主義なのに恋愛だけはダメな人。姉の生き方には少しモヤモヤしました。
ずっと愛情を注いでくれる姉弟がいてハルは幸せだったと思いたい。

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2024年12月11日

Posted by ブクログ

ネタバレ

水原園
行の四つ年上の姉。九年前に両親が離婚して、母親と一緒に出て行った。短大を卒業して、就職して一人暮らしを始めた。デパートの受付嬢。婚約者のいる幼なじみの恭司と体の関係を続けている。

佐々行
園の弟。高校三年生。身体が弱く、幼い頃から入退院を繰り返している。高校一年で留年している。

水原由理
園・行の母。父親より三歳年上の銀行員。

園・行の実父
家の一階で中華料理屋をやっている。

ハル
両親が離婚する前、行が五歳、園が小学三年生の時に二人で公園で拾ってきた芝犬に似た雑種犬。十四歳の老犬。今では立ち上がることもほとんどできなくなり、介助犬ならぬ、すっかり被介護犬。

美佐
園の唯一の友人。

佐々真奈美
行の義母。腰が低く誰に対しても申し訳なさそうな態度をとっており、「すみません」が口癖。父親とは離婚前から不倫関係だった。

佐々忍
行の義兄。高校を中退た後、カー用品店に勤めている。

岩下
行のクラスメイト。決して嫌なヤツではないが、ホストみたいな黒ずくめのキメキメの格好で補習に来る。

折笠夏美
なっちゃん。行のクラスメイト。化粧もしてない、髪も染めてない、自然体の女子高生。「なっちゃん」「行ちゃん」と呼び合う仲。

野口
行のクラスメイト。

平山
行のクラスメイト。

松永
行のクラスメイト。

西野めぐみ
園の職場の後輩。デパートの受付嬢。二十歳。香水がキツイ。

松田
園の職場の後輩。貴金属売り場の販売員。二十歳。堂島と付き合ってた。
堂島と別れた後、園に対して軽く探りを入れている。

窪田恭司
園・行の幼なじみ。広告代理店に勤めている。大学時代の先輩である三歳年上の沙織と婚約しているが、園と浮気をしている。

沙織
恭司とは同棲しており婚約中。

浅野
行が入院した時の担当の看護婦。

宮本
行が入院した時の隣のベットの人。高校の数学の先生。

中野智子
老婆、水婆と呼ばれている。園が勤めているデパートに毎週水曜日に毎回違うピンクの服を着てやってくる。

堂島
園の職場の同僚。四大出の同期で二つ年上。食器売り場担当。同僚の松田と交際していたが、園に告白するため別れた。

小川
園のアパートの隣人。大学二年生。


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2024年06月10日

Posted by ブクログ

職場の人とは仕事以外で関わりたくないというのは同感。気持ちの分かるところもあるし、理解できないどころか拒否反応をしちゃう部分もあり。老犬介護、浮気?不倫?、職場の人間関係、学生の悩み、友情、義理の親兄弟、などなど内容が詰め込まれすぎて、同時進行してるものだから展開も早すぎて、なんだか気持ちが消化しきれなかったです。

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2023年11月26日

Posted by ブクログ

さくさくと最後まで読みました。読みやすく、ところどころ毒っけのあって好きな雰囲気です。
ストイックな園の性格と、だけどちょっとかなりよろしくない恋愛模様に矛盾を感じつつ、そういうこともあるのかな…などと思いました。
真奈美さんが謎でした。

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2023年03月04日

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ネタバレ

主人公・行がなあなあにしていた日常をもう1度見つめなおす物語。園も、そう言えるのかな。

この物語1番のキャラクターと言えば、なっちゃん&めぐみなのではないかと思う。病弱や両親の離婚及び再婚ということを日常として受け入れて来たふたりを動揺させる行動を取れたから。人は行動することで他人を動かすのだと思う。

個人的には恭司の様な男は嫌いだが、彼にも弱さはあり、彼は彼なりに懸命に生きている姿を垣間見れて良かった。

小川くんは今後、園とは何ともならないとは思うが彼の人生を応援したい(宮本さんも!)

作中になった「服装や化粧がどれだけ「人」を表すのか」から始まる園の独白が、この作品の背骨になっている様に思う。私も頑張らないとなあ(笑)

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2022年10月17日

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別々で暮らしている姉は、弟から犬を預かってくる。

ごく普通の日常から、ひょっこり顔をだす、非日常。
いや、姉の方が非日常?
まだ既婚者ではないので浮気? でいいのでしょうか。
男の方もすっきりしているので、まぁばれなければ
傷つく人は本人だけ??

そんな姉と対照的に、弟の方は何事もなく…。
入院しているのは、久しぶりの日常のようですし
見舞いに来てくれた友人も、友人の枠、ですし。
姉の方は、日常生活にも『非』が入ってきてますし。
自分が正義、と思うのはいいですが
実行して後先考えないのか、と
突っ込みたい同僚でした。
執着じみてて、怖いものが、あります。

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2022年09月28日

Posted by ブクログ

ネタバレ

飛鳥井千砂さん長編初読み。
いくえみ先生のイラストが素敵。

読んでいて思ったことは、園ってやな女だなー。ってこと。

自分に厳しいから人にも厳しいんじゃなくて、人に厳しいから自分にも厳しくしとかないとバランスとれないんじゃないの?みたいな、なんかちょっとめぐみちゃんの気持ちもわからないでもないな。と思った私は女の嫉妬なのかしら。

園の完璧主義についてのバックグラウンド的な説明があれば、もうちょっと園に寄り添って物語が読めるのにな。なんて残念な気持ちになりつつも、最後スッパリと終わらせる事ができて良かったね。って思いました。

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2022年02月16日

Posted by ブクログ




生きていく中で自分について新しく発見したり,見つめ直すことが成長につながると。
まぁいっか。でなんでも受け止めたり,流したりしないことが大事だと感じた。

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2021年03月18日

Posted by ブクログ

複雑な人間関係に、もやっとしました。
姉と弟それぞれの視点でストーリーは進みます。
大きな事件が起こるとか、そういうのではないですが、日常とはそういうものかなと。
離婚も人に言えない関係も嫌がらせも喧嘩も、どこにでもあるようなもの。
何が正しいとか間違ってるとか、そういうのは押し付けるものではない。

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2021年02月26日

Posted by ブクログ

小説すばる新人賞受賞。デビュー作。
両親が離婚し離れて暮らす姉弟、完璧主義でストイックな姉と病弱で何事にも熱くなれない弟が老犬の介護を通じて、何かを掴んでいく物語。

読んでいくうちにタイトル「はるがいったら」の意味がわかってきて、それが一番印象的だった。
共感する部分もわかるわかるといった部分もなかったが、それなりに面白かった。

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2019年12月26日

Posted by ブクログ

ネタバレ

話いろいろ省いていくと
2つの「きょうだい」のかたち、というのが
一番印象的かも

血がつながっていても、厳密には他人だから
お互いの考えていることはわからないこともある
そんな姉と弟

血がつながっていなくても、家族は家族だから
何も言わなくてもお互いに分かり合える瞬間もある
連れ子どうしの義兄と義弟

そうなっちゃうと別にわんこが間に入らなくても
よかったのかなぁと個人的には思ったりして・・・

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2016年02月09日

Posted by ブクログ

ネタバレ

姉の園と弟の行。両親が離婚し、園は母親と、行は父親と住んでいたため別々に暮らしていたけれど二人の仲の良さは変わらず、社会人と高校生になっても時々一緒に過ごす間柄。そんな中、二人が幼少時代から飼っていて、離婚後は行が面倒を見ていた飼い犬のハルが、老衰により余命がわずかとなった頃、行も身体を壊し入院してしまう。そこで一人暮らしをしていた園が、しばらくの間ハルの面倒を見ると買って出る。行は、入院中もお見舞いに来てくれたクラスメートのなっちゃんとのことや、大学進学という目の前の選択のこと。園は職場での人間関係や、婚約者がいる幼馴染とのこと。と、それぞれが抱えている悩みがある中で、物語が進行していく。タイトルの通り最後にハルは亡くなってしまうけれど、二人のそれぞれの選択のシーンや、成長していく過程が明確に書かれているわけではないので、後半はなんとなく物足りないなあ、という印象。

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2015年07月07日

Posted by ブクログ

あっさり読めた。対象的な姉弟だったな。もっと力抜いて生きればいいのにと思うが、でもそれだけ頑張らないといけないって思う気持ちもよくわかる。

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2014年12月27日

Posted by ブクログ

普通にある日常のようなお話なんだけど飽きなくて、続きが気になってスラスラ読めた。

その後のみんなの様子がきになるし、行となっちゃんには上手く言ってほしいと思う。

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2014年10月18日

Posted by ブクログ

ネタバレ

今まで読んだ彼女の作品ほどには惹かれなかった。
でも、文体も好きだったし、最後の展開も好きだった。
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両親が離婚し、離れて暮らす姉弟。完璧主義の姉・園は、仕事もプライベートも自己管理を徹底しているが、婚約者のいる幼なじみと不毛な恋愛を続けている。体が弱く冷めた性格の弟・行は、寝たきりの愛犬・ハルの介護をしながら高校に通い、進路に悩む。行が入院し、ハルの介護を交代した園。そんな二人に天気が訪れ--。瑞々しい感性が絶賛された、第18回小説すばる新人賞受賞作。

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2015年06月01日

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