山下紘加のレビュー一覧

  • 私の身体を生きる

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    女性として生きて来た中での、著名&人気作家さんたちが悩みを赤裸々に綴られた連載が一冊に。

    自分が女性でいることを肯定するために背中を押してくれるような内容だった。

    無神経な数多の男性達に加害されてきた傷への癒し 自分だけではなかった、という、女友達と行ってきた、経験を分かち合って貰えることへのありがたみ

    女性の身体の不安 妊娠や性行為、体調不良、弱さ
    見た目への若い頃の過剰な拘り、ジャッジされることへの抵抗感と迎合

    まるっと。

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    2025年12月07日
  • 私の身体を生きる

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    「私の身体」を「生きる」とは何だろう。いや、「私の身体」とは何だろう。そもそも、「私」とは何だろう。
    各作家たちの切り口は様々だが、みな共通しているのが、己という存在を不可欠に構築するこの肉体というものの生物的な役割にも社会からの眼差しにもかなり戸惑い、苦しみ、受け入れたり受け入れられなかったりしながらどうにか生きている点で、強く連帯感を持ちながら読んだ。

    痛ましさを感じたのが、執筆陣の女性たちはほぼほぼみな性被害の経験がある点。私にもあるし、私の友人たちもほとんどあると思う(学生の頃、痴漢が話題になったとき、その場にいた10人ぐらいのなかで痴漢に遭ったことがない子は1人しかいなかったことを

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    2025年12月04日
  • 私の身体を生きる

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    様々な『自分の』性との向き合い方について書かれている。メタ的な性との向き合い方でないのは、女性の作家たちだからだと思う。
    女性も誰かの性を搾取することもあるだろうが、しかし圧倒的に搾取される側であり、自分の生命と性とが紙一重に近い存在だと思い知る。
    アンソロジーの最初の島本理生さんの作品が個人的ににとても響いた。
    なぜ自分の性と向き合うだけで傷ついてしまうのか。男性も同じなのだろうか。傷ついたことを思い出さないで自分の性について語れる人間がいるならば、どんな人生なのか知りたいと思う。

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    2025年09月20日
  • 煩悩

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    ネタバレ

    中学の頃から24歳の今でも二人で一つの私と杏奈。杏奈が異性を忌み嫌い、私に凭れかかってくるほど心地が良いという、庇護欲とも独占欲とも言い切れない感情が女性同士特有だなぁと思った。結局異性問題で関係は破綻してしまい少しガッカリしたがそれもまたリアルだった。杏奈が私の前から消えた後、杏奈は今まで庇護されていたのだから私なしで何も決心できるはずないと決めつけるところにゾッとした。ほんタメのあかりんが推してた本。

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    2025年08月17日
  • 私の身体を生きる

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    女性作家、芸術家たちの生と性、身体をテーマにしたエッセイ集
    自分も漠然と感じてた「女性であること」への違和感、敵対心、恐怖、いろんな言い尽くせない気持ちをそれぞれの人が言語化してくれるよう
    現代日本で高らかに女性讃歌を謳うのは難しいことを痛感する
    それでも次代はと願いたい

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    2025年08月10日
  • あくてえ

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    先日亡くなった祖母と母の関係を思い出す。
    老いや孤独を武器に好き放題に悪態をつく祖母に母は頭を悩ませていたし、時には泣いたりしてた。

    老いからくる孤独感や疎外感、自分が思うように身体がついてこないことへの苛立ちなどは、自分がその状況に置かれなければ完全に理解できるものではないと頭の隅では理解しているから、こちらは同じ熱量で張り合えないし、張り合ってしまったことを反省したりする。
    相手はじいちゃんに先立たれて施設で1人暮らしているおばあさんやぞって。優しくしてあげないとあかんやろって。分かってても、イラついてしまう。分かっていることとイラつかないことは同義ではない。

    お人好しで気使いな母を介

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    2025年07月05日
  • 私の身体を生きる

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    ここまで赤裸々に書いちゃうの?と驚くような内容もあり。
    だけど今まで言語化できなかった気持ちが表現されている部分もあって、あの時のあの感情ってこう言葉にするんだと感動もした。
    作家さんは流石だなと改めて感じた一冊。

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    2025年06月21日
  • 可及的に、すみやかに

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     『掌中』と本タイトルの2話連作。『掌中』は、ある家族の母親が万引をするようになり、次第にエスカレートしてゆくのだが、今度こそ捕まるのではないかとハラハラしどうしだった。息子が引きこもりになったことで、精神の均衡を崩す母親の様子が、痛いほど伝わってくる作品だった。二作目は、息子の幼馴染の女の子の話で、出戻り中。本人自身も考えが甘いところはあるものの、人には明かせない思いを抱える胸の内が見え隠れする。
     どちらの作品も、ネガティブな思いを抱え込む心理が、実によく描かれていて心に響いた。

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    2024年12月16日
  • 可及的に、すみやかに

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    「掌中」
    かつて友達だった人の子どもは結婚し、孫までいる人もいる中、自分の子どもは引きこもりで、これと言った楽しみもない。そんな中、スリルを求め万引きに走ってしまう女性が描かれていた。自分の大切に育てて来た息子が世間から見たら「失敗作」のようで、それが受け入れられなくて、どうしたら良いか分からない。親が1番乗り越えるのが難しいことそれは、子どもが自分たちの思い通りにならなかったことだと聞いたことがあるが、それが引きこもりとなると、四隅が塞がった感じがし、救いようのない印象を受ける。あの時、ああしていれば、こうしていれば、過去の楽しく、輝かしい記憶が邪魔をし、それが現在との対比で苦しくなる原因に

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    2024年11月02日
  • あくてえ

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    ネタバレ

    いやぁ、辛い痛い苦しい。
    なんで自分がこんな目に、と思いながらも正論だけではどうにも出来ないし誰も助けてくれない。
    だけど毎日は続いて行くのだ。
    絶望の先にも絶望しかないなんて…

    介護の現実が突きつけられて苦しい。自分が向き合っている介護が生ぬるく感じられるくらいだ。この程度でも腹が立ってイライラして仕方ないのに。

    感動、とは全く別の「心揺さぶられまくる」だな。映画になりそう。

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    2024年10月06日
  • あくてえ

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    幼い頃から一緒に暮らしてきて、かわいがってもらった時期や、甘えていた時期もあったはずなのに、今ではわずかでも肌に触れることに抵抗を感じ、日常的な会話のキャッチボールをするのにも妙な緊張感を覚える。(p.14)
    食べることが生きることに直結しているのだ、おそらく、本能的に。(p.17)
    あたしにとっては、行儀やマナーの問題ではなく、理性より先に欲が勝る感じが、人間の本質を見ている気がして怖いのだ。(p.30)
    夢を応援してくれるのはありがたいが、話を聞いてほしいかわりに、放っておいてほしい。関心を持たれたり、踏み込まれるとかえって疎ましい。しかしそのあまのじゃくな性質を、きいちゃんの前ではうまく

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    2024年10月06日
  • エラー

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    しかし、物心ついた時から自然と根付いている「出された料理はきちんと食べきらなくてはいけない」というモラルの肥大化が焦燥感に拍車をかけたいた。倫理観を持ちながら、好きなだけ食べていい状態から、食べ物を差し出される状態は何か禁忌でも冒しているようで、ハイになる。気がつけば「普通」の感覚が逆に自分を麻痺させ、興奮を煽る。(p.11-12)
    DMやコメントにはひと通り目を通し、見たことが相手にもわかるようにハートマークの「いいね」をタップする。反応を示せば、また反応が返ってくる。きりがない。時間もエネルギーも消耗する。(p.32)
    食べる行為が自分を満たすための行為であり、色に対して貪欲であることは、

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    2024年09月25日
  • 煩悩

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    安奈と涼子は普通の友だちではなく、共依存の関係なのかな? 安奈は何かしら障害があり(書いてはないけど)涼子の様に賢く優しくされたら支配されてしまうのかもしれない。でも涼子は何で?彼女の支配欲や独占欲や嫉妬心 一度では理解できなかったので、再読したい

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    2024年09月22日
  • 煩悩

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    安奈に触れるとき、私はいつも無意識のうちに利き手ではない方の手を伸ばしている。物心ついた時から使い慣れ、あらゆる刺激を覚えた利き手よりも、非力で運動機能に欠け、遅々として拙く、ときにもどかしくすら思う利き手ではない手の方が、私に新鮮な感度を与えてくれた。その行為は、安奈に対する私の感情の尺度でもあった。(p.3)
    会おうと思えばいつでも会うことが可能で、だがいつでも会えるもんねと卒業式で言い合って別れた会おうと思えば会える距離にいる友人とはもう何年も会っていない、誘われれば会う、会いたいとも思う、でも自分から誘う理由がない、誘う理由を探しているうちは実はそこまで会いたいわけではないのかもしれな

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    2024年09月03日
  • エラー

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     フードファイターが主人公の小説に出会ったのは初めてだ。テレビで見たことがある食べる迫力や苦悩が伝わってきた。にも関わらず、途中、番組の不正が発覚し、フィクションとは思えなくなってきて不快な感情が込み上げてくる。フードファイターって何のために戦っているのだろうと、この本を超えて、実のフードファイターに思いを巡らせた。

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    2024年06月03日
  • 煩悩

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     涼子の安奈に対する清濁併せ持った思いが、ぎっしりと詰まっていた。涼子にとって安奈は、親友という関係は優に超え、家族とも違い、自分の一部のようだ。愛おしい気持ちを抱き、かけがえのない存在でありながら驕る気持ちが勝り大切にできない、何とも不思議な関係だ。自分の経験とは一致しないのに、涼子の気持ちがどこか理解できる感覚があり、不思議な気持ちになった。

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    2024年05月05日
  • あくてえ

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    この本を読んで学んだことは
    読書は絶望に近い孤独を埋めるかもしれないということ。

    昔は知り合いに数名いた読書家のいう、活字中毒の意味が理解できませんでしたけど
    (アホの子なので)

    あくてぇ

    芥川賞カテゴリ。
     
    90年代生まれの作家さんです。
     
    甲州弁で悪態をあくてぇと言うそうです。
     
    主人公はユメ 
     
    小説家志望の19歳
     
    他にも
     
    90歳の“ババア”と心の中でユメが呼称する
     
    父方の祖母
     
    そして黄色い色が好きだから
    “きぃちゃん”と娘のユメに呼ばれる
     
    沙織という母親と暮らしています。
     
    キィちゃんこと沙織については
     
    90歳の祖母は元“姑”にあたります
     

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    2024年04月13日
  • 煩悩

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    複雑な感情をここまで言語化できる語彙力表現力が素晴らしいと思う。歪んだ執着心、嫉妬心、支配欲。私には理解できない感情が多かったけど、それでもそれがどんなものかはとても伝わってきた。
    主人公は賢く、他者や自分をここまで理解しながらも、相手を支配しようとすることはやめないし、やめられない。ターゲットに選んでいるのがお馬鹿そうな子で、優しい言葉を駆使しながら自分の支配下に置いているのがとてもリアルで怖い。相手を一個人として見ているようで見ていないと思った。相手を思いやる自分を創造して免罪符にしてる感じ。
    最高にもモヤるけど、こういうのは大好きです。

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    2024年03月19日
  • あくてえ

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    ネタバレ

    なんだか、終始、イライラしてたな〜笑笑
    まず、不倫して出ていった旦那の義母を元奥さんが介護するって何よ〜〜〜。
    意味わからん、絶対嫌だけど笑笑
    なんで、離婚して晴れ晴れして第2の人生を、他人の元旦那の母親の介護しないといけないからよ泣。
    お人好しすぎてイライラ。。。お金もないのに。。。
    孫ちゃんがばあちゃんと口論してる姿に、スカッとしてその場面が無かったら途中で断念していたかも。

    でも、すごく面白かった!!!
    介護に奮闘する中年女性の生き様だったり、今話題のヤングケアラー問題にフォーカスを当てている具合も!

    介護って終わりが見えないから辛いよね。。。

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    2023年08月30日
  • あくてえ

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    怒鳴りながらも愛を持って祖母の世話をしたり、次の瞬間には殺意が湧いてみんなで死にたくなったり。
    ストレートすぎる感情たち。
    まさに出口のない日々。

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    2023年07月18日