山下紘加のレビュー一覧

  • あくてえ
    パワフルな悪態小説。
    19歳小説家志望のゆめと90歳の悪態ばばあの舌戦が止まらない。

    前作「エラー」も激しかったが本作は更に勢いを増している。

    ゆめは母親のきいちゃんと祖母の三人家族。
    父親は不倫の末、子を持ち新しい家庭で暮らしている。

    何が理不尽かって、ゆめと一緒に暮らしている祖母が父方の祖...続きを読む
  • あくてえ
    「ばばあ」の憎たらしい言動は家族にとっては我慢できないものだろうが、傍から見てる(読んでる)分には十分に笑えて、そこが救いなのかな。何も解決しないけれど、きっぱりと捨てることはないだろうこの親子にどうか長生きしてほしい。
    しかし、この親父、予想以上に最低だね。こいつこそこの世からいなくなってほしいよ...続きを読む
  • あくてえ
    そもそも、いくらヌルい善人だとしても、不倫して出て行った旦那の母のメンドーみるなんてあるのか?その母が善人ならともかく悪態つくばかりのババアなのに。激しい言葉のやり取りにげんなり、イライラ。「あくてえ」つかなきゃやっていけないが、その現実はババアを捨てるか死なないと終わらない…。
  • あくてえ
    いざ目の前にすると言葉は零れ落ち、あくてえばかりついてしまう。
    映画カモンカモンにも通ずるものを感じた。
    言葉は美しく、とても便利なものだけど、それゆえに繊細で頼りないものだと思わされる。
    小説には必ず終わりがあるけど、現実は残酷に続く。救いだけじゃなく、それが死だとしても終わりがあるから楽になれる...続きを読む
  • あくてえ
    「家族」について考えさせられる本だった。自分自身も祖母との接し方とかに悩んでたので、すごく共感したしイライラもした。
    でもどんなに嫌いでも介助してるところを読んで、すごく刺さった。
  • あくてえ
    「あくてえ」とは甲州弁で悪態のこと。
    主人公のゆめは母と祖母と暮らしている。
    作家になりたいと、文章を書いては応募したりしている。
    母と祖母はいわゆる嫁と姑、父は家を出ていき他で家庭を持っている。
    へ?なんで家庭を棄てて出ていった夫の母を面倒見なくちゃいけないの?
    ゆめの日頃の鬱々とした気分はここか...続きを読む
  • あくてえ
    誰が悪人というわけではないけれど、どいつもこいつもキモいんだよ!アー!!!!!!!!と頭をかきむしりたくなる。
    激しくて、苦しくて、残念ながらリアルな、地獄絵図だった。

    冒頭30ページ位で延々憎まれ口を読まされ、序盤からばばあに対する嫌悪感がしっかり形成される。そしてそれが最終的に人間という生物全...続きを読む
  • エラー
    YouTube ぶっくまちゃん で紹介されていて面白そうだったので読んでみました。
    大食い番組に出てる子が主人公の話で、ギャル曽根ちゃんみたいにキレイに食べ方でアイドル性があって可愛いらしい女の子。タレントといっても、大食い番組1本しか出ないからこの番組の為にアルバイトを休んで3ヶ月特訓したり大食い...続きを読む
  • エラー
    読んでいるだけで身体の至る部位が反応しそうなくらい、描写がリアル。味わうための食事ではなく、勝つための食事という切り口が独特で、自分までフードファイトしたみたいな読後感だった。大食いの感覚をどうしてこんなにリアルに描けるのか、ただただ不思議。
    コロナ禍で食生活を見直して最近食事量が減っていた自分とし...続きを読む
  • エラー
    BUTTERが食欲を刺激する文章なら、これは満腹中枢を刺激する文章だった。無理に食べ物を口に運んでいる時の描写が上手すぎる。こっちまで辛くなってくる。

    ラストがタイトル回収ってことなんだろうけど、そもそも大食い自体が結構人としてエラーじみてるところあると思っていて(元々大食いの人がそうというわけで...続きを読む
  • エラー
    フードファイターの葛藤。
    王者でいることのプレッシャー。
    食べることは自分との闘い。
    大食いタレントの方たちの気持ちが少し垣間見えた1冊です。

    最初から最後まですごく勢いがあって、さらっと読めました。
    なんだか爽快。
    でも、終わり方がちょっとモヤっと。
    この後、どうなるのか…
    ひとりひとり想像の中...続きを読む
  • ドール
    2015年第52回文藝賞受賞作。
    山下紘加さんの最新刊『クロス』の刊行記念で『ドール』が河出書房新社HPで2週間限定全文無料公開されている。

    描写が細かく、表現力が抜群な文章でドラマを観てるかの如くすぐ読み終えた。

    誰しもが通り過ぎる思春期だけれども、
    この時期をどう過ごすかでそれからの人生も変...続きを読む
  • ドール
    思春期の不安定さと少年の救いようのない闇。
    かなり鬱々とした文章。最後まですっきりはしなかった。すっごく気持ち悪い。でもそれがとてもクセになる。好きな作品です。
  • ドール
    まず表紙の女の子が可愛いから

    この黒目がぼんやりしてる感じが

    ラブドール性癖は人それぞれあるよね

    ただ、動物や人は殺めないで
  • ドール
    「文藝」2015年冬季号掲載作の単行本化。文藝賞受賞。

     二十一歳の女性がこれーー思春期の男子の劣等感や屈折した性欲という闇の部分ーーを書けたことに衝撃を受けた。審査をした作家たちが激賞しているのも納得できる。

     母子家庭でいじめられっ子の男子中学生のモノローグで語られる。子供の頃リカちゃん人形...続きを読む
  • ドール
    第52回文藝賞受賞作。狂気に満ち溢れている作品である。歪んだ愛と性が交錯する感じが非常に良かった。良い意味で気持ち悪く、読んでいてゾクゾクする。ドールを愛する少年の歪んだ性癖に飲み込まれてゆく。そんな感覚がある。主人公が全体的に狂ってるんだけど、終盤のくるいっぷりと気持ち悪さは凄まじいものがある。次...続きを読む
  • ドール
    人形に性的愛着を示す陰気な中学生の主人公。
    すごく歪んでいる、理屈すら通っていない。けれどそんなことはどうだってよくて、ただぐっちゃぐちゃな彼の気持ちだけが大事で、そういうぐちゃぐちゃな私の年齢からするともう懐かしい、としか感じなくなってしまった部分、よく文章にしてくれたなぁと。
    あとわたしお人形と...続きを読む
  • エラー
    本でお腹がいっぱいになった作品は初めてかもしれない。
    フードファイターってただ食べてるだけかと思いましたが、トレーニングとか色々あるんですね。これは少し勉強になりました。
    非常に読みやすいのでちょっとした時間に読んでみてはどうてしょうか。(^-^)
  • エラー
    食べ物が題材の本はいろいろ読んできたが、主人公がフードファイターなのは初めて。
    表紙のラーメンが美味しそうなので、飯テロほっこり系をイメージしていたが、開いてみると想像とは全然違った世界で、今まで読んできたグルメ小説とは一風変わって新鮮だった。

    番組の裏工作などが明らかとなる中で、主人公 一果が食...続きを読む
  • 煩悩
    女性の濃い友情というか、束縛というか、
    緩やかな支配というかそんな感じ。

    濃い付き合いは苦手で、あっさりした付き合いしかしてこなかったので
    共感というよりは、そうなのか〜と思った。

    身体に関する描写は共感するところが多かった。