山下紘加のレビュー一覧
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ずっと苛苛する文が続いて、ずっと嫌な気持ちのまま進んでイライラしっぱなし!!!!
なのに読みやすくてスルスル読めるのは、現実的な内容だから感情移入しやすいのかな?と思いました。
登場人物全員イライラしました笑
祖母も母も父も彼氏も……
この中に書かれてることが本当に人の人生ぽいなと思いました。
小説じゃなく現実でした。
これは小説じゃないです、ただ単に人生です!
という感想にしかならなかった。
最終の174ページで主人公が3.4行で想いを語るのですが、それが全てでした。
私の心を大荒れしてくれる本でした!
なんだか新しい感想を持てた本。
読めてよかった!
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Posted by ブクログ
こんなところで終わるのか。
"あたしが書く小説は必ず終わりを迎えるし、良くも悪くも決着がつくのに、現実はそうではない。ずっと続いていくのだ。"
だからこの終わり方でいいのだ。
ずっと「きいちゃん、いい人すぎるよ。できすぎだよ。」と思っていた。途中でその優しさ、善良さがゆめを苦しめていることがわかった。そうだよ、きいちゃんは娘を守らなくては。年齢的にはビミョーなところ(19、20歳)だけど、娘の苦しさをわかってはいない。ろくでもない男性と結婚したのは自分の責任だが、娘にその責任はない。
祖母の言動はとてもリアルだった。具体的に細かい老人っぷりが描かれていてすごいと思った。逆にきいちゃんに対しては「こんな人本当にいるのかなぁ」と思ってしまう。
一気に読んだ。若い作家が、若い女性の主人公と年老いて介護が必要になっている祖母をこういう形で書くというのに引きつけられた。 -
Posted by ブクログ
フードファイターのお話。
どんなに強い選手と対戦しても、負けたことがない。
「常連の選手がどの程度の力量かは過去の経験上、大体把握できているので事前に予測を立てやすい。私の読みが外れたことはなかった、これまでは。」(P.8)
テレビで早食い競争とか、私は見ていて楽しいけど、本で読んでも選手たちの熱が伝わりました。
大会本番までの過酷なトレーニングや大会中はどんな事を意識しているのかを読むのはとてもおもしろかったです。
体力だけじゃなくて、どれをどの順番にどうやって食べていくかも考えないといけない、心理戦でもあるんだな〜…!
お腹が満たされるような一冊でした。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ惜しくも芥川賞受賞を逃したけど『おいしいごはんが食べられますように』と同じくらい面白い作品だった。
何人かの芥川賞審査員が指摘するように、ばばあへの愚痴が延々と続いてうんざりするというにのも分かるがあくまでタイトルは「あくてえ」。現実的にヤングケアラーの派遣社員であくてえをつきたくなるような現実に日々生きている人は日本に少なく無いのではないだろうか。今の日本で介護というテーマは避けて通れない深刻な問題であり、それを表現するのにうんざりするくらい描写が長くても真っ当なことに思える。個人的にはさほどしつこいとも思わない。
主人公は小説家になりたいという夢がある。日々生活を営む事で必死に生きている人がその苦労から抜け出し、救われたいと願う気持ちは痛いほどわかる。
ラストシーンの後味の悪さは紛れもない今の日本の事実を突きつけられるようで痛々しいほど響く。
シングルマザーというテーマも根深い現実的なテーマだ。
一方で、まだ作者の文学的手法は成熟しきっていない気がする。今後の作品が楽しみ。
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Posted by ブクログ
確かほんタメ!で取り上げられていた本。
キツかった。主人公は環境に恵まれていない。いろんな種類の毒を持った家族に囲まれ搾取され舐められている。生々しかった。
母親も父親も「ババア」にも彼氏にも腹が立ち主人公が不憫で仕方なかった。あくてえを何度ついたって変わらない現状。
全てをなあなあにして受け入れて一見優しいようでそうではない主人公にとって害のある母親も無責任で良心がない父親も自己中で幼稚でわがままなババアも肝心な時に頼りにならないダサい彼氏も全員腹立たしかった。
ババアは性格の悪い年寄りでパワフル。介護の大変さと清潔感のない描写がリアルで読んでいて不快に感じるほどだった。歳をとることが嫌になる程だった。
散々お世話になってる主人公と嫁にはふんぞり返り何もしない逃げた息子には媚を売り疎遠な孫にも好かれようとする図々しさと愚かさがリアルだった。こんな人いっぱいいる。よく聞く話だ。腹立たしかった。
一気に読んでしまった。まだ成人にも満たない主人公が振り回され、怒り、傷ついている姿を見るのが辛かった。私が代わりにボコボコにしましょうか?と何度も思った。
私の心をかき乱してくれるいい文章だった。生々しくて汚くて激しくていい作品だった。良い気持ちにはならないけれど。 -
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ネタバレ誰が悪人というわけではないけれど、どいつもこいつもキモいんだよ!アー!!!!!!!!と頭をかきむしりたくなる。
激しくて、苦しくて、残念ながらリアルな、地獄絵図だった。
冒頭30ページ位で延々憎まれ口を読まされ、序盤からばばあに対する嫌悪感がしっかり形成される。そしてそれが最終的に人間という生物全体に対する嫌悪感に繋がってくる。かなり危険な感覚だと思う。
老害的老人に限らず、基本的に人は汚い。
できないことをできないまま放置し、環境のせいにして逃げる、甘える。聞きたいことしか聞かず、聞きたくないことは聞こえていないふりをする。優しい人から平気で搾取する。そしてそれを半永久的に続ける。心身の余裕がなくなった時、簡単に誰かを踏みにじることができる。
物理的にも、時間が経てば内側から汚れが出てくるし、外側にも付着する。不潔。死に近づくほど赤ちゃんに戻るように知能は退化し、見た目にも死が表れてくる。どんなに消毒して白壁にして明るく振る舞っても隠しきれない暗さがある病院のように、死と汚れのにおいがする。
みんな本当はわかっているけど口に出さないタブーに触れてしまったような感覚を覚えた。
きいちゃんは優しい母親のようでいて、その呼び名からもわかるように母親の役割を放棄しており、代わりに主人公にその役割を担わせている。ばばあのことは絶対無視しないのに主人公の質問は無視できるし、そのくせピンチの時にはすがるように視線を向けてくるし、終わりのない「もう少し」の地獄に道連れにしようとする。イエスとしか答えられないこともわかった上で誘っているの、ぞっとする。
最初から最後まできいちゃんはばばあを見、親父は不倫相手との子どもを見、ばばあは親父と不倫相手の子を見ている。誰も主人公を見ていない。大切にしない。愛さない。
どうしようもない人とどうしようもない環境の中、もがき苦しみ、正しいことを叫び、めちゃくちゃに泣いても、誰も見ない。聴かない。
そんな中では強く在るしかなく、あくてえをつくしかやっていく術がなく、トゲトゲしていくのを止められない。なのに勝手に大丈夫と思われて、放置され、寄りかかられ続けるこの感じ…!
そして主人公も、抱えきれない苦しみから逃れようと足掻くせいで、恋人を踏みにじる。伝え理解し合う努力を怠っていることに気づかず、相手に軽んじられていると感じてしまい、結果自分も相手も軽んじる。思いやろうともがいたりもしているけどやっぱり難しく、あと一歩他者を大事にするための力が足りない。この不完全さがいかにも人間らしい。
タイトルの「あくてえ」をはじめ、憎きばばあの言葉遣いが主人公のモノローグの中にも散見されるのが痛々しく、絆のようで呪いのようだった。すごい表現力だなと思った。
遠くまで逃げてしまいたいくらい限界の環境なのに、その根っこが芯まで無意識レベルまで染み付いてしまってとれない感じ。発散の手段すら汚染されているという恐怖!
これは決して「なんだかんだ言って家族愛♡」などというハッピーワードでは片付けられない。八方塞がりで、出て行く隙がないために、地獄が循環していくのがわかる。
なのに最後はこの状況が今後も続いていくよという締め方…現実が1番のホラーということか。鳥肌ものの恐怖だった。
そして問題なのは、どの気持ち悪さも他人事ではなくて、身近に存在しているということ。
自分の中にもある。これは単純な介護の憂鬱とか機能不全家族の実態とかそういうレベルを超えて、もっと全員に当てはまる怪談だと思う。 -
Posted by ブクログ
ネタバレYouTube ぶっくまちゃん で紹介されていて面白そうだったので読んでみました。
大食い番組に出てる子が主人公の話で、ギャル曽根ちゃんみたいにキレイに食べ方でアイドル性があって可愛いらしい女の子。タレントといっても、大食い番組1本しか出ないからこの番組の為にアルバイトを休んで3ヶ月特訓したり大食いに対するこだわりがあり、戦い方の美学があるが、ライバルが現れて、ライバルはエンタメとして大食いを演出するやり方に何の抵抗も受け入れてやってしまう。主人公は葛藤しつつもアスリート的大食いを最後まで貫き通すが、ラストは想像にお任せ的な終わり方だったが、読んでいて段々熱くなってくる本でした。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ2015年第52回文藝賞受賞作。
山下紘加さんの最新刊『クロス』の刊行記念で『ドール』が河出書房新社HPで2週間限定全文無料公開されている。
描写が細かく、表現力が抜群な文章でドラマを観てるかの如くすぐ読み終えた。
誰しもが通り過ぎる思春期だけれども、
この時期をどう過ごすかでそれからの人生も変わってくるだろう。
主人公のように心通じ合える人がいなくても想像力によって、それが人ではなくても友達や恋人なるものを作って自分の世界を幸せに生きて行ける人はいるだろう。
その大切な世界に暗雲を呼び込む部外者の存在は読んでいて許せない。そうでなければ、ユリカと一緒に平穏に暮らしていけたかも知れない。もしかしたら長谷川とも仲良くなれたかも知れない。
ただ、主人公の言動も問題があった。
弱い者いじめをされてる者が矛先を自分より弱いと認めた者(もしくは物、動物)に向ける矛盾。
最終的にはユリカを利用することによって心が落ち着くのだろうか…主人公はどうすべきか読者に投げかけているようだった。
学生時代はまた不条理も学ぶところだと思う。傷付け傷付けられる。
この物語を通してどう思うか問うことは大事な教育なのかも知れない、勇気がいるけれど…。