山下紘加のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
ネタバレ2015年第52回文藝賞受賞作。
山下紘加さんの最新刊『クロス』の刊行記念で『ドール』が河出書房新社HPで2週間限定全文無料公開されている。
描写が細かく、表現力が抜群な文章でドラマを観てるかの如くすぐ読み終えた。
誰しもが通り過ぎる思春期だけれども、
この時期をどう過ごすかでそれからの人生も変わってくるだろう。
主人公のように心通じ合える人がいなくても想像力によって、それが人ではなくても友達や恋人なるものを作って自分の世界を幸せに生きて行ける人はいるだろう。
その大切な世界に暗雲を呼び込む部外者の存在は読んでいて許せない。そうでなければ、ユリカと一緒に平穏に暮らしていけたかも知れない。も -
Posted by ブクログ
「文藝」2015年冬季号掲載作の単行本化。文藝賞受賞。
二十一歳の女性がこれーー思春期の男子の劣等感や屈折した性欲という闇の部分ーーを書けたことに衝撃を受けた。審査をした作家たちが激賞しているのも納得できる。
母子家庭でいじめられっ子の男子中学生のモノローグで語られる。子供の頃リカちゃん人形で遊ぶのが好きで、小4からは人形で自慰をしていたが、中学生になってラブドールを通販で購入しユリカと名付けて大切に優しく扱って自室に隠していた。
一緒にいたくて学校に持って行ったラブドールの腕をクラスメイトに見つけられてユリカを貸したが、大切にしていたラブドールのバージンは奪われてしまった。
「ユリ -
Posted by ブクログ
90のばばあの面倒を見る義理の娘(嫁)と孫の話。生物濃縮のように主人公ゆめにケアするものの不幸やそのほか不幸が凝り固まっていく、辛い。
全てにイラついてしまうこととそれに対する自己嫌悪、こうすべきとわかっていてもそれができない葛藤、周囲の身勝手に対する苛つき、境遇が違うから見えてる景色は違うどうしようもないことへのイラつき
全て伝わってきたけど、そう言うのは畏れ多い
自分は恵まれていた感じた
こういう人、割と身近にいっぱいいるんだろうな。見えてこないだけで、
母きいちゃんのばばあを面倒見るって選択に、別れた父親は勝手してるのに、ゆめが巻き込まれるのがなんだかんだ辛い。きいちゃんはそれを助けるに -
Posted by ブクログ
「汚してみたくて仕方なかった」鈴木涼美
売春が無くならないのは、男側の問題の方が大きいけど、自分に値打ちが付くことに依存する女側の問題もあるのかもしれないと思った。女は性処理として利用されてきた時代が長く続いたせいもあり、完全に無くすことは難しいのだと悟った。
「トイレとハムレット」宇佐見りん
面白かった、、!確かに腹痛と苦悩のポーズは似ている。舞台が好きな理由として「シンプルだから」っていうのはすごく腑に落ちた。たった一つの物語、感情を演じているだけだもんな。現実の方が感情ごちゃ混ぜで騒がしいもの。
「私の三分の一なる軛」児玉雨子
生物は毎日ちょっと死んでおかないと生きられないって興味深 -
Posted by ブクログ
身体や性についてのエッセイ集。この中で柴崎友香さんが呈示していた疑問「なぜ書き手の性別を限っているのか」、私もこれと同じことを思った。もう、このフェーズは終わっていないか。いま、同じテーマで、男性やその他の性の人の語ることも聞きたいし、それらが同じひとつの場所に並べられているところを見たい。
どのエッセイもそれぞれ興味深かったし、色んな方向に心動かされたが、上記の意味で、柴崎さんが「このような疑問を私が持っていることを編集者と共有できたので、書くと返答した」という経緯を書いてくれていたことが、いちばん嬉しかった。もちろん、疑問の詳細は私が書いたこととは違ったけれど。 -
Posted by ブクログ
どんなことをどんな風に語るかは自由なはずなのに、不思議と受ける印象が近い方も多い。圧倒されたのは、自身の自慰について複数名の方が赤裸々に書かれていたこと。もちろん秘めておくべきかどうかは個人の自由だが、同じことを目の前の男性に言われたらきっと眉間にシワを寄せてしまうと思うので、(こんな性差を感じてどうかとも思うが)そうならないのを織り込み済みの、女性性を逆手に取った表現ような気もする。私のお気に入りはセブンルールで見たことのある藤原麻里菜さん。「もし、技術が発達して、アバターを作って仮想空間で生きれるとしたら、私は女の身体を選ばず、カービィみたいなピンク色の球体を選ぶだろうと思うのだ。そうした
-
-
Posted by ブクログ
高橋源一郎さんのラジオで紹介されているのを聞いて読んでみた。
同じ状況でも「気づいてしまう人」と「気づかずスルーする人」がいると思うが、
「女であること」で少なからず嫌な思いをした経験は誰にでもあると思う。
痴漢について、本筋からはずれるかもしれないが、これだけ多くの女性が被害に遭ってる、ということはそれだけ痴漢をやったヤツがたくさんいる、ということよね?
もしかしたらそこにいる善良そうなおぢさん、爽やかそうなお兄さん、しょぼくれたおじいさんだって!
それでもみんな知らんぷりして普通の生活をしているんだろう、と思うとものすごく腹立たしい。
またまた話がズレるが最近読んだ大谷晶さんが自分をすごく -
-
Posted by ブクログ
西加奈子さん、村田紗耶香さん、千早茜さん、、他にも豪華な方々のお名前が、、
もうこれ買うしかないやんと思って購入して即読みました。
それぞれの女性作家さんたちがご自身の身体をテーマにリレー形式でエッセイをつづられていて、どのエッセイもすごく赤裸々に描かれていて同じ女性として共感するところもあれば、驚かされることもあり、、それこそ、読んでからは「私の身体は私のもの」を強く感じた。
それぞれの身体に色々な経験や傷が合ったり、コンプレックスが合ったり。
それでも一つしかない自分の身体。
こんな私でももっと堂々と生きていていいんだと思わせてくれる作品でした。 -
-
-