【感想・ネタバレ】エラーのレビュー

あらすじ

私は、私の底を知りたい。常人離れした容量の胃袋を持ち、大食い大会番組を四連覇中の一果(いちか)。若く可愛く食べる姿が美しいクイーンとして人気を誇るが、思わぬ相手に敗北し――。

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Posted by ブクログ

しかし、物心ついた時から自然と根付いている「出された料理はきちんと食べきらなくてはいけない」というモラルの肥大化が焦燥感に拍車をかけたいた。倫理観を持ちながら、好きなだけ食べていい状態から、食べ物を差し出される状態は何か禁忌でも冒しているようで、ハイになる。気がつけば「普通」の感覚が逆に自分を麻痺させ、興奮を煽る。(p.11-12)
DMやコメントにはひと通り目を通し、見たことが相手にもわかるようにハートマークの「いいね」をタップする。反応を示せば、また反応が返ってくる。きりがない。時間もエネルギーも消耗する。(p.32)
食べる行為が自分を満たすための行為であり、色に対して貪欲であることは、あたかも性に対してあけっぴろげであるような仄暗い卑しさを内包している…(p.50)
臆病ゆえにかえって自分だけの世界を確立できないのは私も同じだった。自分の底と対峙しながら、底にのまれそうになる、食べる行為に没入するあまり一緒に沈み込んでいきそうな瞬間がある。そういう時、他者の存在や彼らとの交流が、内側へ潜り込んでいく自分を引きあげてくれる。ライバルは時に救いだった。(p.52)
穴が空いていれば、それを埋めたい。塞がらないから容れ続ける。容れ続けた先に限界があるのか当時はまだわからなかった。(p.55)
努力して手に入れるよりも、既に落ちているかもしれない可能性を探す方に躍起になっちゃう。(p.58)
大食いは夢なの。一果みたいに尋常じゃないくらい食う人見てると、なんか自分の夢が報われたような錯覚を覚えるんだよ(p.74)
本音でぶつからない分、付き合いは長くても互いに心の底からわかり合えているとは言い難い。(p.84-85)
誰よりも多く食べることを目標にしながら、同時に食べ物に対して常に畏怖の念を抱き、食べる行為に臆するのが大食いだ。罪悪感がある。けれど罪悪感を快楽に転じられるから大食いを続けている。(p.136)

大食いを題材とした本は初めてだったが、勝つためのトレーニングがあること、本番は苦しい顔を一切見せてはいけないという過酷な状況を耐えるフードファイターはアスリートだと思った。売れるには大食いで勝ち続けること+インパクトという難しい要求にも耐え、ネットの記事や、評価にも耐えるなんて表に立つ人たちはなんて大変なのだろうと思う。今は、大食い番組はあまり見かけないが、YouTubeで大食いYouTuberが好きなものを好きなだけ食べるようなコンテンツで溢れている。10キロとか身体の中にどうやったら入るのだろう…と疑問と凄すぎるという驚きと、好きなものをお金を気にせず食べられる羨ましさと、でも、実際自分が食べてみると、同じものを食べ続けるのって中々の苦痛で、限界突破したあたりから、味も何もしなくなり、逆に不味く感じてくるのがオチである。一果が美食サークルにいた時に、味わって美味しくいただく「食べる」と大食いで、食べ物を潰してでも戦略的に、逆に攻略的に「食べる」というのでは全く意味も動作も違ってきて、同じ「食べる」でもこんなにも違うものなのかと思った。しかし、山下さん、食べ物を不味く描くのが上手すぎる。スプーンでお皿に潰して、塊のようにして飲み込んだり、料理として見ているのではなく、食べやすいか食べやすくないか、どうやったら効率的に食べられるかのモノのように描いていて、美味しそうとはとても思わなかったし、食を不味く描く物語は『人間みたいに生きている』で出会った以来だったので、新鮮な気分を味わえた。

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2024年09月25日

Posted by ブクログ

 フードファイターが主人公の小説に出会ったのは初めてだ。テレビで見たことがある食べる迫力や苦悩が伝わってきた。にも関わらず、途中、番組の不正が発覚し、フィクションとは思えなくなってきて不快な感情が込み上げてくる。フードファイターって何のために戦っているのだろうと、この本を超えて、実のフードファイターに思いを巡らせた。

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2024年06月03日

Posted by ブクログ

フードファイターのお話。
どんなに強い選手と対戦しても、負けたことがない。
「常連の選手がどの程度の力量かは過去の経験上、大体把握できているので事前に予測を立てやすい。私の読みが外れたことはなかった、これまでは。」(P.8)

テレビで早食い競争とか、私は見ていて楽しいけど、本で読んでも選手たちの熱が伝わりました。
大会本番までの過酷なトレーニングや大会中はどんな事を意識しているのかを読むのはとてもおもしろかったです。
体力だけじゃなくて、どれをどの順番にどうやって食べていくかも考えないといけない、心理戦でもあるんだな〜…!

お腹が満たされるような一冊でした。

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2023年07月08日

Posted by ブクログ

ネタバレ

YouTube ぶっくまちゃん で紹介されていて面白そうだったので読んでみました。
大食い番組に出てる子が主人公の話で、ギャル曽根ちゃんみたいにキレイに食べ方でアイドル性があって可愛いらしい女の子。タレントといっても、大食い番組1本しか出ないからこの番組の為にアルバイトを休んで3ヶ月特訓したり大食いに対するこだわりがあり、戦い方の美学があるが、ライバルが現れて、ライバルはエンタメとして大食いを演出するやり方に何の抵抗も受け入れてやってしまう。主人公は葛藤しつつもアスリート的大食いを最後まで貫き通すが、ラストは想像にお任せ的な終わり方だったが、読んでいて段々熱くなってくる本でした。

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2021年10月21日

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読んでいるだけで身体の至る部位が反応しそうなくらい、描写がリアル。味わうための食事ではなく、勝つための食事という切り口が独特で、自分までフードファイトしたみたいな読後感だった。大食いの感覚をどうしてこんなにリアルに描けるのか、ただただ不思議。
コロナ禍で食生活を見直して最近食事量が減っていた自分としては、久しぶりにたくさん食べたくなったし、自分では絶対に食べられない量を食べられた気にもなっておもしろい読書体験だった。

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2021年10月07日

Posted by ブクログ

BUTTERが食欲を刺激する文章なら、これは満腹中枢を刺激する文章だった。無理に食べ物を口に運んでいる時の描写が上手すぎる。こっちまで辛くなってくる。

ラストがタイトル回収ってことなんだろうけど、そもそも大食い自体が結構人としてエラーじみてるところあると思っていて(元々大食いの人がそうというわけではなく)、学生時代特盛のラーメンを朦朧としながら無理やり口に運んでる時「何が楽しくて自分はこんな百害あって一利もなさそうなことを……」と思ったことを思い出した。

あと主人公の友達が全体的になんか嫌な感じじゃないですか?!

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2021年08月31日

Posted by ブクログ

フードファイターの葛藤。
王者でいることのプレッシャー。
食べることは自分との闘い。
大食いタレントの方たちの気持ちが少し垣間見えた1冊です。

最初から最後まですごく勢いがあって、さらっと読めました。
なんだか爽快。
でも、終わり方がちょっとモヤっと。
この後、どうなるのか…
ひとりひとり想像の中で、主人公、一果の描き方が変わるのかと思うとそれもまた面白いな。

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2021年06月09日

Posted by ブクログ

フードファイターの本な読んだことがなかったからだいぶ新鮮で味に飽きるとかお腹いっぱい以前に顎が疲れるとか手首が痛いとか思いもしなかった。自分の体を理解して試行錯誤し、トレーニングする姿はアスリートそのもの。不正や闘争心や焦りの描写がリアルだった。

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2025年04月04日

Posted by ブクログ

ずっと前にポッドキャストでおすすめされていたことを本屋で見かけた際にふと思い出しすぐに読んでみた。
一果という女性フードファイターが主人公の話。
真王という人気大食い番組を4回優勝していたが、水島という方が優勝して負けるところから始まる。
作者の描写からは1ミリも可愛さは感じられないが、彼女の評判は可愛く美味しそうに食べることでテレビ映えする大食いタレントだ。
初めて負けたことによって一層胃を拡張するために味の無い麺などを食べてトレーニングに励んだりして
そもそも大食いとはなんなのか、なんのために大食いをしているのかが不思議に感じた。
作者の食べ物の描写が絶妙だった。美味しいとかの味ではなく咀嚼しやすいのか喉に通るのか、胃がもたれしまうのかなどの観点ばかりでそのようにフードファイターは考えているのかとびっくりした。
個人的な終始不穏な空気にそわそわしてしまったが、こういう終わり方なんだという驚き要素もあって面白かった。

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2025年01月21日

Posted by ブクログ

本でお腹がいっぱいになった作品は初めてかもしれない。
フードファイターってただ食べてるだけかと思いましたが、トレーニングとか色々あるんですね。これは少し勉強になりました。
非常に読みやすいのでちょっとした時間に読んでみてはどうてしょうか。(^-^)

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2024年03月01日

Posted by ブクログ

食べ物が題材の本はいろいろ読んできたが、主人公がフードファイターなのは初めて。
表紙のラーメンが美味しそうなので、飯テロほっこり系をイメージしていたが、開いてみると想像とは全然違った世界で、今まで読んできたグルメ小説とは一風変わって新鮮だった。

番組の裏工作などが明らかとなる中で、主人公 一果が食べ物を大切にしている姿勢が、すごくよかった。
一果は最後どうなったんだろう…とラストの展開が気になった。

ごはんの量は八分目が一番、ほどよい量を美味しいね〜ってゆっくり食べるのが一番だな。。今日も食べ物に感謝!

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2024年02月16日

Posted by ブクログ

『飯テロ本』と帯に書いてあったので気になった1冊。
フードファイターをスポーツ選手という目線で見たこと無かったので、その視点で見れて、トレーニングしたり、自分との戦いであることを知った。
表現がフードファイター寄りのリアルすぎる表現で、読んでいて食欲は起きなかったかな、、、笑笑
結局、番組成立のために裏工作してるのか、と、今後、疑った目線で観てしまいそう。笑笑

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2023年09月16日

Posted by ブクログ

フードファイターの話だった。
私もTVの大食い大会とか好きでよく見てました。
今はあまりTVで放送されないですよね。

主人公の一果。
トレーニングやキャラづくりとか、色々とあるんだなぁっと思って読んでました。
最後がとっても気になる終わり方で、どうなったんだろう〜。

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2023年07月20日

Posted by ブクログ

4冠達成中のフードファイターが主人公のお話。
もっと試合中以外の人間関係や想いとかにフォーカスした作品だと思って読み始めたら、想像していたよりも試合中の見えている景色や描写が多くてまるで同じ場所に座っているかのような臨場感を感じられる。

エンタメとして見せるべき大食い。
恋人の的外れなアドバイス。
自分が何を感じているのかも分からなくなる不安感。
フードファイトに対する敬意も感じられる小説でした。

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2023年06月14日

Posted by ブクログ

食べることや食べ物についてはかなり微細に描写するのに、人物の解像度は低い感じ。フードファイターを題材にした小説ということで興味をひかれて読んだし、十分面白くもあったけれど、なんだかいまいち踏み込めていないというか、物足りないというか。

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2022年08月10日

Posted by ブクログ

最近大食いの地位が上がっていますが、食べ物を無駄にするという観点で批判を受ける事は重々承知。嫌悪感を抱く人がいる事も承知。その上で僕は大食いを見るのが好き。沢山の食べ物が華奢な人々の体に吸い込まれていくのを見るのがとても楽しいです。
そんな大食いの世界を小説にしたのは記憶の限りこの本が最初なのではないか。
エンターテイメント性を高めつつ、容姿がいい人が多数いて、昔のように素人がわき目も食い散らかしているというイメージは無くなりました。
それが大食いのイメージ向上につながったと思うし、TVでの露出が多くなった切っ欠けには絶対になったはず。アイドル的な容姿の女の子が異常な量の食べ物を食べるって物凄いギャップですから。
本作もアイドル的な容姿で大食い番組4連覇の偉業を成し遂げるも、体(胃袋)と頭が段々と足並みそろわなくなってスランプ状態になります。5連覇を逃し再起を期す彼女はいったいどうなってしまうのか・・・。
大食いファンとしては誰が誰モデルなのかなと気になる所でありますが、鉄仮面は菅原さんがモデルなんだろうなきっと。あとはなんとも言えないです・・・

ちなみに昔は24時間で巨大なカメに入ったラーメンを食べ続けるとか、競技者としてもえぐいものが多かった気がしますが、最近は大分美味しそうなもの食べていますよね。食べ方もみんなきれいなので、見ていると逆に食欲湧く位です。

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2022年02月09日

Posted by ブクログ

フードファイターの話。

周囲のモヤモヤしたことでなんだか心が抉られた。

ほどほどがいいなって思った。

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2021年09月06日

Posted by ブクログ

フードファイターの心の動きが凄くリアルで、撮影の裏側はきっとこんなことも行われていたかも…って思わせるようなリアルな描写が沢山あります。(苦手な人も多いかも)
ただ、後半からのリアルさと物語のスピード感は、実際自分も食べているような、その場に居合わせているような臨場感を感じられるので、読後感は気持ちだけでお腹がいっぱいになりました。

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2021年09月04日

Posted by ブクログ

読後感が重めです。好き嫌いは分かれそう。フードファイターに元々良いイメージは無く、読んでみてもやっぱり何でそんなことしてしまうんだろうという気持ちの方が先に出てしまう。けれどもリアルな表現、臨場感、映像を見てるかのようだった。

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2021年08月24日

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