長谷敏司のレビュー一覧

  • メタルギア ソリッド スネークイーター

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     正しくは再読というべきなのだろう。多大な影響を受けたゲームであるメタルギアの、好きなSF小説の3本指に入る物語を手がけた長谷敏司によるノベライズ。自分にとっての長谷敏司との出会いでもある。
     高校3年生のときに読んだと記憶しているが、よくもまああのゲームをこれだけ上手く、冒険活劇風に仕上げたとものだと、当時は思った。細かい部分は忘れているにせよ、ゲーム、ノベライズと既に二度ストーリーを辿っているから、当初の感動はもうないけれど、やはり非常に良くできたノベライズであったと思う。
     ゲームならではの寄り道要素は当然カットされているにせよ、随所に小説ならではの趣向が凝らされ、展開の整合性を上手く調

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    2020年09月24日
  • 伊藤計劃トリビュート

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    伊藤計劃って名前のせいなのか?
    この8人の作家による中篇集は、それぞれがかなりの攻撃力を持っている。
    またまた、それぞれが異なる作風で僕をアタックする!
    早逝した怨みを晴らそうとしているようだ。
    たまらん!

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    2019年11月27日
  • My Humanity

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    甘いから好き、ではなくて、好きだから甘い。
    そもそも、最初に『好き』だけがあって、理由は後からつけてるだけ……。
    この考え方は、けっこう衝撃的でした。欲望も、欲望を抑え込むことも、グロテスク。

    すっごくおもしろいんだけど、長谷敏司さんの文章を読みづらく感じるのは、私だけかしら?

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    2019年07月07日
  • ストライクフォール3

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    ネタバレ

    3巻にして初試合という、シリーズやジャンルで見ると何ともスローペースなのだが、1、2巻の積み重ねは大きく、じっくり描くことの大切さを教えてくれる。若き俊才アデーレがケイトリンを撃破したというのは、最初は地味に感じたものの、じっさいに読んでみるとその衝撃度は極めて大きく、チーム内の苛烈かつ貪欲なポジション争いはスポーツものらしくて非常に良いと思う。特に慣性制御によるストライクフォールの戦術土台そのもの変化や歴史の分岐点の激動を一プレイヤー視点で追う興奮は凄まじく、手に汗を握る展開ばかりである。慣性制御によって一度否定された戦術が、逆に戦術によって才能頼りのアデーレが完封されるというのもシビアで面

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    2019年05月30日
  • ストライクフォール2

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    ネタバレ

    前作の衝撃の展開からの主人公初勝利。だが歓喜はそこまでで、本作はその後の厳しい現実を描いた物語である。弟と成り変わるという行為はかなり衝撃的であり、賛否両論あったように思う。確かにシチュエーションとしては素晴らしいが、主人公である雄星自身の名誉はどうなるのか?ずっと「代役」のままで良いのかと悶々としていたわけだが、今作でそれはいい意味で裏切られた。今まではプレイヤー視点だったが、オーナーやスポンサー、慣性制御という新技術を巡る国家間の鍔迫り合いなどにまで視野を拡大したことで、主人公のやらかした出来事の重大さと絶望的な状況がより伝わるようになっている。親代わりだった護がオーナーやスポンサーに食っ

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    2019年05月30日
  • ストライクフォール

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    ネタバレ

    《宇宙の王》よりもたらした万能の泥。それを利用した兵器チル・ウエポン。長きに渡った宇宙戦争が終結を告げ、それにより戦争はストライクフォールという疑似戦争の競技へと成り代わった。この物語はストライクフォールのプロに魅せられた兄と、そんな兄よりも一歩先にプロデビューした天才の弟の物語である。

    憧れの兄を弟が目指すという構図はよくあるが、その逆パターンは珍しく、天才である弟に抱えた鬱屈や嫉妬、誇らしい気分とがないまぜになった兄である雄星の心理は非常にリアルかつドラマティックである。引き取られた先の家の少女環との友達以上恋人未満の関係、兄と弟による三角関係などはテンプレートながらもラノベとしてのポイ

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    2019年05月30日
  • あなたのための物語

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    ネタバレ

    尊敬もへったくれも無い、生々しくて痛々しい「死」の描写から始まる。
    主人公のサマンサの周囲や社会、死に対する抵抗《プロテスト》な生き様が、余計に読んでいて精神にハードパンチしてくる。

    『小説を書くためだけに開発された仮想人格』の「ワナビー」はサマンサのために、彼女を喜ばせるために、膨大なサンプルを吸収して小説を書く。

    では、人類は誰のために、何のために太古から小説を書いて来たのか?
    別に小説でなくても良い。漫画でもイラストでも彫刻でもアニメーションでもクリエイトするものなら何でも良い。
    需要と供給のあるビジネスだから?それだけでは無いはずだ。
    作中の言葉を借りれば「自己愛」なのかも知れない

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    2019年05月17日
  • BEATLESS 下

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    ネタバレ

    感情ではハッピーエンドと感じられないけど頭で考えるとこれこそがハッピーエンドだと思うし、100年後にはもしかしたらすんなり感情でも受け入れられるのかも知れなくて、このエンディングは最強。
    ハッピーエンドだと望みたい。
    この物語をハッピーエンドにできるアラトくんが凄い。

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    2019年03月04日
  • 円環少女 11新世界の門

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    くやしい
    これだけ面白い物語がくせの強い文章と不可分で楽しめないひとには楽しめないだろう事実がくやしい
    まったく傑作

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    2019年01月10日
  • 円環少女 12真なる悪鬼

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    神が降臨してさまざまに伏線回収いよいよ終局へ
    ファンタジー的な舞台世界の
    落ちるべき在り様がはっきりしてきてさびしい
    現状ではヒロイン2人の動機がそこに添えておらず
    成長物語としては中途半端だが
    最終巻を待ちたい

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    2019年01月07日
  • 円環少女 13荒れ野の楽園

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    完結
    壮大にばらばらになるでもなくずるずる引き延ばすでもなく
    きれいにまとままってめでたい
    エンタメ度高いりくつっぽいファンタジー(すなわちSF)バトルというライトノベルとして傑作
    変態的な描写が読者を選んでしまうのは残念だが作者のおもしろがり重心かかった個性であれば仕方ない
    キャラクタとしては英雄や超常者の中にあって
    クレペンスや王子護などの狂うこともできないあたりが好き

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    2018年12月09日
  • 円環少女 1バベル再臨

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    全13巻再読 代表1巻
    『ストライクフォール』がいまいちだったわりに
    あの作品もこの作品も『円環少女』には劣るぜと唱え続けて
    この作品にSF大賞も星雲賞も向けなかったSFかいわいは無能といい続けているので
    読み直す
    やっぱり小学生は最高だぜ

    ヒロインが小学生だったり
    主人公がライトノベルとしては大人なのにふらふらしまっくっていたり
    大抵の登場人物が変態だったりするが
    文句なしに素晴らしい
    まったく素晴らしい
    主人公とヒロインの成長描写も
    SFな世界設定を十全に活かしたバトルと話の行先も
    全ての登場人物にしかるべき役割と確固たる個性と異なる視界のあることも
    どこをおいても大変に面白い
    読めて良

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    2018年10月19日
  • ストライクフォール3

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    宇宙でロボットバトルをここまでSF(かがくてきな嘘)にそくしてまじめにするとは
    という喜びの点で
    SF能力バトルという面での『筺底のエルピス』に対するそれと同じくする
    主人公機がまさに文字通り世界を変えるほど重要なのにある種放置されていたり
    ヒロインずがわかりやすく理解不能なのもまこと味わい深い

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    2018年10月17日
  • あなたのための物語

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    初敏司。ネットにて面白そうだったので、購入。第30回日本SF大賞候補。人間とは何か。死。テーマが深遠過ぎて…作者ホント凄いなぁ。《wanna be》のサマンサへの想い——。最後は辛かった。作中“何故、物語を読むのか?”という考察がなされているが、これからじっくりと考えたい。
    最後に、何より自分の健康が一番大事なんだと改めて感じた。素晴らしい作品でした^^ 星五つ。

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    2018年08月15日
  • BEATLESS 下

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    上巻は冗長に感じたが、下巻に入ってスピード感を感じて読むことができた。上下巻でかなりのボリュームがあり、人と人とそっくりなアンドロイドとの共存を考えさせられる物語だった。アンドロイドものとしては秀逸だと思う。

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    2018年05月02日
  • メタルギア ソリッド スネークイーター

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    ネタバレ

    オセロットのウエスタンかぶれは遺伝だったのか…

    ゲームだと爆発するエキセントリックな人たちという印象が強いコブラ部隊(語弊)ですが、小説ではそれぞれ肉付けがされていて人間性が感じられます。

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    2017年08月21日
  • 伊藤計劃トリビュート

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    いかにも伊藤計劃トリビュートらしい中編集。
    戦争をAIから取り戻す「公正的戦闘規範」、AIが推奨される選択肢を掲示する世界「ノット・ワンダフル・ワールズ」が特に面白し、伊藤計劃らしさがある。
    分厚さもありSFはじっくり読み込んでしまうので時間がかかったが非常に面白かった。

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    2017年04月22日
  • 伊藤計劃トリビュート

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    ネタバレ

    意図的な選択肢を提示し、それを人が受け入れるようになると、選択肢を提示している人は、人を操れるようになりますが、操られている人はそうであることを認識しませんという話が載っている。たとえ、あやつっていたのが人でなかったとしても。

    ノット・ワンダフル・ワールズ

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    2017年01月26日
  • 伊藤計劃トリビュート

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    文字通り、伊藤計劃トリビュートの作品集である。文庫本で700ページを超える厚さであるが、作品数は8つの中篇集である。どの作品も伊藤計劃の影を感じさせる作品であり、作家らがいかに伊藤計劃氏の影響を受けているのか感じられる。しかもどの作品も驚くほど面白い。各作品に引き込まれるように読んだ。ページ数は多いがあっという間に読み終えてしまった。特に面白かったのは、「仮想の在処」「南十字星」「未明の晩餐」「フランケンシュタイン三原則、あるいは屍者の簒奪」。

    以下、個別作品の感想。

    ◎公正的戦闘規範(藤井 太洋)
    格好いい話だ。ドローンや歩行兵器などが登場し、さらに戦争の規範を訴える。無人兵器が実用化さ

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    2016年04月25日
  • 伊藤計劃トリビュート

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    私的には話がすごく粒揃いだった。
    未明の晩餐はぜひ長篇でもやって欲しい。もっとよみたくなる、話だった。

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    2015年11月24日