長谷敏司のレビュー一覧
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購入済み
大満足!
ついに最終巻を読み終わってしまいました。本当に楽しい読書時間でした!
11巻で再演魔術が凄まじいものであることが明かされてからは怒涛の展開でした。想像していたよりもずっと壮大な展開となり、ページをめくる手が止まらず・・・。最後まであっという間でした。
振り返ると本当に、1巻時点ですでに最終巻までつながる伏線がちりばめられていて、驚きました。1巻のメイゼルの誕生日会で、メイゼルが「あたし、二十五歳よ。」と言ったのがまさか伏線だったとは夢にも思いませんでした。他にも見逃している伏線がたくさんあるはずなので、最初から読み返そうと思います。
仁とメイゼル、きずな、エレオノール、王子護、セラ、ケイツ、ベルニッチが特に好きでしたが、他も皆とても個性的で魅力的な人物ばかりでした(^^) -
Posted by ブクログ
ネタバレ仮想人格である《彼》が健気で健気すぎて、スキィ!!ですが、読み終えて頭に浮かんできたのは人間のことばかりでした。
病と死の容赦なさが疑似体験したかのように迫ってきた本でした。親しい人間の闘病や死に立ち会ったこともないわたしには、死はまだ身近に感じられない現象で。入院手術の経験があっても、それは死病じゃなかったから、小説に描かれるサマンサの身体の痛みも、死の予感と恐怖も、健康な人間と社会への嫉妬や疎外感も、本当にリアルな意味では受け取れてはいないはず。だけれど、サマンサのすぐ隣で彼女を見て体験したような気分がしたのです。
サマンサは、科学は不満足への抵抗だとし、信仰を否定し、仮想人格を道具として扱え、傲慢でエゴイストで、孤独だけど強い人。
死ぬときはひとり。そうなの?そうかも。サマンサはひとりきりで苦しい死を迎える。ほんとうに容赦がない。
仮想人格の《wanna be》は脳神経の網を言語化するITPという技術の実験とパフォーマンスのために創られた。用が済んだら削除される存在だった《彼》は、そうはされずに、サマンサの研究室に残され、彼女のために物語を創作し続け、ただひとりの読者である彼女へ無私の好意を向けるようになる。
《彼》の「私は何かのお役に立てますか?」は、そのように創られたから出る言葉なのだと知っていても、なぜか暖かく沁みるし、次第に成長していく様子は、健気だな、崇高だな、と思わせてくれる。そんな風に声をかけられて、優しくされたら、わたしはサマンサほど冷静でいられないかもしれないなぁ…
「死」について《彼》が出した答えは、古くから擦り切れるくらい作られてきた物語を思い起こさせるドラマチックさで、《彼》の成り立ちが《物語》であることをよく表しているように思う。
サマンサはそれを受け止める事で、《彼》のリアルに描き込まれた登場人物になり《彼》はきっと満足していったのだろう。だから、《彼》の遺作をサマンサが読む箇所は、当然のように感情を揺さぶられた。救済と断罪が同時に描かれていて、心の中が嵐のようだった。
恋とか愛とかそんなので表せない、存在そのものを向けられるというのは、最高の幸せなのでは?
だけど多分、真のクライマックスは、ITP人工人格として書き出された《サマンサ》と死にゆくサマンサとの会話なのかも。全てを曝け出す自分自身との対話。人格とは、肉体と死とは、物語とリアルとは。読後はしばらく放心したようになっていて、わたしはきっと「言葉を奪われる」良い読書体験をしていたんだろうなぁ…
この本と出会えてよかった。
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ネタバレ 購入済み
面白くて一気読み!
面白くて読み始めたら止まらず、一気に読み終わってしまいました!
ついに、きずなのお父さんを殺したことを打ち明けた仁。これまでの家族の形は壊れてしまいました。それでも、残っていたお互いを想う気持ち。大切な者を守りたい気持ちを「悪」と断言したのには驚きましたが、なぜ「悪」なのか、読んだら納得でした。仁も「悪」、きずなも「悪」、メイゼルも「悪」、リュリュも「悪」・・・。エレオノールは「悪」を守るから「悪」に加担していることになるのかな?私情をはさまず、執着もしないアンゼロッタ。彼女が「正しい」のだとしても、「悪」を行う人々の叫びに心が震えました。そ、それにしても、なぜアンゼロッタとメイゼルはそっくりなのでしょうか!気になります。
最後は公館が大変なことになってしまい、京香が無事だと良いのですが! -
購入済み
故郷のない人の望郷の話
大分昔の本だけど、どうしても再読したくて電子で買い直した。
価値観を真剣に考えてあるのか、自分には全く関係の無い世界なのに納得させられる。 -
購入済み
明るい円環少女!
6巻までと雰囲気が違うと思ったら、短編集とのこと!
でも、話と話のつなぎに書き下ろしが挿入されていて、違和感なく繋がっていきます。すごい!今までと打って変わって明るい雰囲気の円環少女が楽しめます。どの話もとても面白かったですが、個人的に一番気に入ってしまったのが「ハダカのこころで」です。この話でセラ・バラードが大好きになりました!全裸なのにカッコよくて、ずれているけど誠実で、仲間になってくれないかなと思います。
あとがきで、「高位魔導師より変態のほうが目立つ」とありましたが、確かにそのとおりかも(^^)変態の方が好きかもです。ひたすらカッコよく強い人達より変な意味で圧倒されたり笑ったりできるからでしょうか。いや、あれ?でも高位魔導師たちも結局変態のような?変態じゃない人いたかな? -
ネタバレ 購入済み
なんと。。。
電子書籍では分からないのですが、400頁もあったとのこと。ですが、あっという間に読み終えてしまいました。
とても面白かった。長谷先生の書き方が上手く、普通なら理解できないような人達の思いが伝わって来て、感情移入する相手がコロコロ変わります。絶対悪などなく、誰もが自分の都合を押し付けあっていて、それは主人公達も同じ。「大きな夢を持つのは満たされていない者」など、なるほどな~!と思う台詞も相変わらずたくさんありました。個人的には、仁とエレオノールが言葉を交わすシーンと、寒川さんのお父さんが頑張るシーンにグっと来てしまいました。特に寒川さんのお父さんのシーンは涙が。。。
とにかく、これからどうなって行くのか予想が付きません。楽しみに、読み進めたいと思います。
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Posted by ブクログ
正しくは再読というべきなのだろう。多大な影響を受けたゲームであるメタルギアの、好きなSF小説の3本指に入る物語を手がけた長谷敏司によるノベライズ。自分にとっての長谷敏司との出会いでもある。
高校3年生のときに読んだと記憶しているが、よくもまああのゲームをこれだけ上手く、冒険活劇風に仕上げたとものだと、当時は思った。細かい部分は忘れているにせよ、ゲーム、ノベライズと既に二度ストーリーを辿っているから、当初の感動はもうないけれど、やはり非常に良くできたノベライズであったと思う。
ゲームならではの寄り道要素は当然カットされているにせよ、随所に小説ならではの趣向が凝らされ、展開の整合性を上手く調整している。カットシーンの部分だけは、ちょっと不自然な部分はあった気もするが。単にゲームを文章に起こす(他の媒体よりも、それ自体が非常に難しい作業であるとは思うが)のみならず、スネークの心の動きをより微細に描き、複雑な背後関係を整理しつつ織り込んで、小説の強みを活かして、一本の物語として完成させた快作であると感じた。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ3巻にして初試合という、シリーズやジャンルで見ると何ともスローペースなのだが、1、2巻の積み重ねは大きく、じっくり描くことの大切さを教えてくれる。若き俊才アデーレがケイトリンを撃破したというのは、最初は地味に感じたものの、じっさいに読んでみるとその衝撃度は極めて大きく、チーム内の苛烈かつ貪欲なポジション争いはスポーツものらしくて非常に良いと思う。特に慣性制御によるストライクフォールの戦術土台そのもの変化や歴史の分岐点の激動を一プレイヤー視点で追う興奮は凄まじく、手に汗を握る展開ばかりである。慣性制御によって一度否定された戦術が、逆に戦術によって才能頼りのアデーレが完封されるというのもシビアで面白い。それらで積み上げた希望や敗戦の悔しさ、練習の手応えが結実する初の公式戦への期待と不安感はまさにスポーツのそれであり、スポーツの楽しみを余すところ無く伝えていると言えよう。
最初に闘うのが昨年度覇者のホライゾンズという強敵に挑む構図のワクワク感もさることながら、初手から散兵戦術という奇策に相手が打って出たのも意外性があってよかった。慣性制御と戦術のハイブリットというのは、強化キャンプで指摘された不安点であり、開幕の絶望感が凄い。そこからアデーレへのバトンタッチと雄星のハンズ・オブ・モナークの起動まではテンションが上がり過ぎて血管がブチ切れそうになった。まさに王道的な試合運びであり、「掴め!コントラクター!」というキメ台詞はロボットアニメらしい外連味がある。獅子奮迅ではあったものの、0−2という大差での敗北はスポーツが決着した時の「ああ〜……」といった安堵感は如実に表れており、長回しの試合も含めて本当に一つのスポーツ中継を見ている気分になった。ラノベでここまでの読後感は味わったことがない。単なる描写のバランスの良さだけでなく、登場人物の心理描写や戦術の説明などは小説というフォーマットを存分に活かしており、まさに小説でしか味わえない最高のロボットバトルだろう。
そこからケイトリンの脱退やアデーレの新リーダーへのフラグ、また戦争をギリギリでスポーツの枠に押し込めているが故の危うさと、歴史の重要参考人になってしまった主人公の運命。政治的な暗闘の数々。ストライクフォールというスポーツを巡るこの危険すぎる綱渡りの展開に、魅了されっぱなしである。間違いなく2017年度最高のライトノベルであり、傑作のSFロボットアクションものであると言えよう。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ前作の衝撃の展開からの主人公初勝利。だが歓喜はそこまでで、本作はその後の厳しい現実を描いた物語である。弟と成り変わるという行為はかなり衝撃的であり、賛否両論あったように思う。確かにシチュエーションとしては素晴らしいが、主人公である雄星自身の名誉はどうなるのか?ずっと「代役」のままで良いのかと悶々としていたわけだが、今作でそれはいい意味で裏切られた。今まではプレイヤー視点だったが、オーナーやスポンサー、慣性制御という新技術を巡る国家間の鍔迫り合いなどにまで視野を拡大したことで、主人公のやらかした出来事の重大さと絶望的な状況がより伝わるようになっている。親代わりだった護がオーナーやスポンサーに食って掛かった場面も素晴らしく、ラノベでこうした大人の庇護という視点を入れたのは素晴らしい。英雄的な偶像として昇華された弟に、プロパガンダとして扱われる兄という対比もよく、単純なスポーツロボットアクションものではないことを読者に教えてくれる。
主人公が慣性制御という新技術を見つけ出したことで、ストライクフォールという競技そのものが根底から覆されるというのもラノベ的な全能感に満ちており、落ちこぼれの努力家だった主人公が、チルウエポン耐性Aという才能のために、革命の最先端にいるという状況設定がとても上手い。普通なら楕円を描く軌道になるところを、慣性制御で直角に曲がれるという説明も分かりやすく、確かに実用化されれば戦術レベルで色々と変わるだろう。そうした時代の節目に立ち会っているというワクワク感が素晴らしいのだ。
ただ、それはいいことばかりではなく、新技術による闇も描いている。地球育ちであることの無自覚の恵まれなさや、それによる無意識的な差別をポリティカル・コレクトネスで表現したのは面白く、資源の無い星でストライクフォールに憎悪を燃やす少女レイカというキャラクターもいい。ヒロインはどれも魅力的で、レイカもその一人ではあったのだが、それだけにクライマックスの裏切りには驚いてしまった。秀逸なのは、裏切りが突然でも主人公との不協和音や彼女のバックボーンを考えれば、新技術による技術革新を起こしたくないというのはスジが通る。そこから戦争vsスポーツの構図に持っていったのには感嘆してしまった。『それがスポーツと戦争の違いだ』とは帯に書いてある言葉だが、他作品で似たような言葉が出る時、それは決まって言われた側の平和ボケをあざ笑う時ばかりで、謂わば戦争側の視点である。本作が白眉なのは、これはスポーツ側の観点で言い放つことで、スポーツの価値観で戦争と真っ向勝負した点であろう。いずれ戦争になるのだろうかという不安と期待感が一度に解消された上に、本来なら助けるはずのない敵チームが助けることで、スポーツ側の挟持を貫いたという点が最高なのだ。殺さずに見逃すという紳士的行為に加えて、下手に追撃することで死兵を出したくなかったという打算がその甘っちょろい行為に一定のリアリズムを与えている。フィールドの外に闘いを持ち込むことを拒んだというのは、これ以上ない明確な答えだろう。戦争の代替品であるスポーツが戦争を克服する、という難しいテーマに真っ向から挑んだ作品である。間違いなく、近年のラノベの中では一番面白い。いや、おみそれしました。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ《宇宙の王》よりもたらした万能の泥。それを利用した兵器チル・ウエポン。長きに渡った宇宙戦争が終結を告げ、それにより戦争はストライクフォールという疑似戦争の競技へと成り代わった。この物語はストライクフォールのプロに魅せられた兄と、そんな兄よりも一歩先にプロデビューした天才の弟の物語である。
憧れの兄を弟が目指すという構図はよくあるが、その逆パターンは珍しく、天才である弟に抱えた鬱屈や嫉妬、誇らしい気分とがないまぜになった兄である雄星の心理は非常にリアルかつドラマティックである。引き取られた先の家の少女環との友達以上恋人未満の関係、兄と弟による三角関係などはテンプレートながらもラノベとしてのポイントをしっかりと押さえており、また古典的なその関係は今見ると逆に新鮮に映るのかもしれない。同じ顔である弟で、よく間違われる上に英俊の兄という扱われ方しかしないというのが兄のプライドを刺激する形で展開しつつ、よもやすればドロドロネチネチした流れになりそうな所を、持ち前の熱血さで乗り越えていくというのに心を打たれてしまった。
そんな物語としてのギミックだけかと思いきや、物語は中盤で大きく方向を変える。不慮の事故により弟の英俊が大会前に兄を庇って死んでしまう。弟が単なる悲劇の選手として扱われることをよしとせず、その名誉を守るために同じ顔である兄が弟に成り代わってデビュー戦に挑むというのはかなり熱い展開だった。自身の夢や野望よりも弟の名誉を夢を継ぐことを選んだのは、ややモヤモヤとしたものが残るものの、劇的なプロ相手への勝利の余韻に酔いしれる間もなく、不穏な言葉を残す幕引きにはゾッとしてしまう。これから先弟でないことがバレるのか?オールラウンダーだった弟と違い、接近戦しか取り柄のない兄、そして恋する環や兄のポテンシャルを引き出したチームパートナー、アデーレとの関係性など、次巻に向けての種まきは十分なぐらい済ませている。何かしらの代償を払うのか否かが気になってしまい、早急に次巻を買うことに決めた。いつもは最初の巻だけ読んで満足することが多いのだが、続きが気になったライトノベルは久しぶりである。
SF畑の出身らしい作者による設定の濃密さは素晴らしく、アニメ向きな題材でありながら、小説でしか表現できないロボットアクションになっており、また敵の強さの描き方も上手い。片鱗はあるものの、まだまだアマチュアにすぎない主人公と、プロ選手の絶望的な差、それでいながら闘いを挑むという構図には熱くならざるをえない。またどんどん上手くなっていくのがスポーツの楽しい部分だということもしっかりと描かれており、アマチュアとプロの試合の差など、スポ根競技ものとしても絶品である。このままスポーツとして終わるのか、はたまた戦争へと変貌していくのか現時点ではまだ分からない。1,2巻が序章とのことなので、しっかり既刊分は追いかけていきたいと思う。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ尊敬もへったくれも無い、生々しくて痛々しい「死」の描写から始まる。
主人公のサマンサの周囲や社会、死に対する抵抗《プロテスト》な生き様が、余計に読んでいて精神にハードパンチしてくる。
『小説を書くためだけに開発された仮想人格』の「wanna be」はサマンサのために、彼女を喜ばせるために、膨大なサンプルを吸収して小説を書く。
では、人類は誰のために、何のために太古から小説を書いて来たのか?
別に小説でなくても良い。漫画でもイラストでも彫刻でもアニメーションでもクリエイトするものなら何でも良い。
需要と供給のあるビジネスだから?それだけでは無いはずだ。
作中の言葉を借りれば「自己愛」なのかも知れない。
では一体、そもそもこの作品は誰のための物語なのだろう?