長谷敏司のレビュー一覧
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正しくは再読というべきなのだろう。多大な影響を受けたゲームであるメタルギアの、好きなSF小説の3本指に入る物語を手がけた長谷敏司によるノベライズ。自分にとっての長谷敏司との出会いでもある。
高校3年生のときに読んだと記憶しているが、よくもまああのゲームをこれだけ上手く、冒険活劇風に仕上げたとものだと、当時は思った。細かい部分は忘れているにせよ、ゲーム、ノベライズと既に二度ストーリーを辿っているから、当初の感動はもうないけれど、やはり非常に良くできたノベライズであったと思う。
ゲームならではの寄り道要素は当然カットされているにせよ、随所に小説ならではの趣向が凝らされ、展開の整合性を上手く調 -
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ネタバレ3巻にして初試合という、シリーズやジャンルで見ると何ともスローペースなのだが、1、2巻の積み重ねは大きく、じっくり描くことの大切さを教えてくれる。若き俊才アデーレがケイトリンを撃破したというのは、最初は地味に感じたものの、じっさいに読んでみるとその衝撃度は極めて大きく、チーム内の苛烈かつ貪欲なポジション争いはスポーツものらしくて非常に良いと思う。特に慣性制御によるストライクフォールの戦術土台そのもの変化や歴史の分岐点の激動を一プレイヤー視点で追う興奮は凄まじく、手に汗を握る展開ばかりである。慣性制御によって一度否定された戦術が、逆に戦術によって才能頼りのアデーレが完封されるというのもシビアで面
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ネタバレ前作の衝撃の展開からの主人公初勝利。だが歓喜はそこまでで、本作はその後の厳しい現実を描いた物語である。弟と成り変わるという行為はかなり衝撃的であり、賛否両論あったように思う。確かにシチュエーションとしては素晴らしいが、主人公である雄星自身の名誉はどうなるのか?ずっと「代役」のままで良いのかと悶々としていたわけだが、今作でそれはいい意味で裏切られた。今まではプレイヤー視点だったが、オーナーやスポンサー、慣性制御という新技術を巡る国家間の鍔迫り合いなどにまで視野を拡大したことで、主人公のやらかした出来事の重大さと絶望的な状況がより伝わるようになっている。親代わりだった護がオーナーやスポンサーに食っ
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ネタバレ《宇宙の王》よりもたらした万能の泥。それを利用した兵器チル・ウエポン。長きに渡った宇宙戦争が終結を告げ、それにより戦争はストライクフォールという疑似戦争の競技へと成り代わった。この物語はストライクフォールのプロに魅せられた兄と、そんな兄よりも一歩先にプロデビューした天才の弟の物語である。
憧れの兄を弟が目指すという構図はよくあるが、その逆パターンは珍しく、天才である弟に抱えた鬱屈や嫉妬、誇らしい気分とがないまぜになった兄である雄星の心理は非常にリアルかつドラマティックである。引き取られた先の家の少女環との友達以上恋人未満の関係、兄と弟による三角関係などはテンプレートながらもラノベとしてのポイ -
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ネタバレ尊敬もへったくれも無い、生々しくて痛々しい「死」の描写から始まる。
主人公のサマンサの周囲や社会、死に対する抵抗《プロテスト》な生き様が、余計に読んでいて精神にハードパンチしてくる。
『小説を書くためだけに開発された仮想人格』の「ワナビー」はサマンサのために、彼女を喜ばせるために、膨大なサンプルを吸収して小説を書く。
では、人類は誰のために、何のために太古から小説を書いて来たのか?
別に小説でなくても良い。漫画でもイラストでも彫刻でもアニメーションでもクリエイトするものなら何でも良い。
需要と供給のあるビジネスだから?それだけでは無いはずだ。
作中の言葉を借りれば「自己愛」なのかも知れない -
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全13巻再読 代表1巻
『ストライクフォール』がいまいちだったわりに
あの作品もこの作品も『円環少女』には劣るぜと唱え続けて
この作品にSF大賞も星雲賞も向けなかったSFかいわいは無能といい続けているので
読み直す
やっぱり小学生は最高だぜ
ヒロインが小学生だったり
主人公がライトノベルとしては大人なのにふらふらしまっくっていたり
大抵の登場人物が変態だったりするが
文句なしに素晴らしい
まったく素晴らしい
主人公とヒロインの成長描写も
SFな世界設定を十全に活かしたバトルと話の行先も
全ての登場人物にしかるべき役割と確固たる個性と異なる視界のあることも
どこをおいても大変に面白い
読めて良 -
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文字通り、伊藤計劃トリビュートの作品集である。文庫本で700ページを超える厚さであるが、作品数は8つの中篇集である。どの作品も伊藤計劃の影を感じさせる作品であり、作家らがいかに伊藤計劃氏の影響を受けているのか感じられる。しかもどの作品も驚くほど面白い。各作品に引き込まれるように読んだ。ページ数は多いがあっという間に読み終えてしまった。特に面白かったのは、「仮想の在処」「南十字星」「未明の晩餐」「フランケンシュタイン三原則、あるいは屍者の簒奪」。
以下、個別作品の感想。
◎公正的戦闘規範(藤井 太洋)
格好いい話だ。ドローンや歩行兵器などが登場し、さらに戦争の規範を訴える。無人兵器が実用化さ -