長谷敏司のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
作家初読み。これはすごい、面白い。テクノロジーで変容する世界と、変化する社会の中を生きる人間の希望、戸惑いや悩みを丁寧に描いたSF短編(中編)集。
「地には豊穣」
脳に経験を伝達するITP技術の発展は多様な文化や民族性を淘汰するのか。技術の便利さのみを信奉してきた主人公は、自らに強調された祖国人のパーソナリティを植え付けることで、新しい世界を見つける。個人のバックグラウンドに積み重ねられてきた文化や民族性の本質とは何か、何が個々の人間性を定めているのか。個人が自分の背景となる文化を選べる時代が来るのかもしれない。じーんとくるものがある。
「allo,toi,toi」
題材が重く生々しい。刑 -
Posted by ブクログ
ライトノベルである。それ故に読み口は軽いがテーマは面白い。
かなりの遠未来、銀河同盟と人類連合がいつ終わるとも判らない消耗戦を続けている(スターウォーズが銀貨英雄伝説かという舞台立てですな(^^ゞ
人類連合の戦略拠点上にある「楽園」と呼ばれる惑星が舞台。四季折々にいろんな花が咲き実を付ける惑星だが、動物は住人であるマリアと人類連合軍の制御官ガダルバしかいない。人類連合が必死で防御するこの星の秘密を探るべく星に降りてきた銀河連盟の降下兵のヴァロワ。登場人物はこの3人のみ。
いったいこの惑星にどのような秘密が隠されているのか。
3人の日々が淡々と進み、最後は切なくなる物語。
デビュー作ということも -
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Posted by ブクログ
今はもう絶版状態だそうでもったいない…。
SF畑からの長谷先生の2冊目になるのかな?
自分は中古で買いましたが、とても再販が待ち望まれます。
宇宙の中でも辺境である惑星レジャイナを仕事で訪れた暗殺者である少女フリーダと、綺麗事ばかり言うターゲットである少女アリスの話。
みんなと仲良くしたい。未来を夢みたい。人殺しなんか絶対にやっては駄目。アリスの言葉は日常においては誰もが同意し、フリーダは内心で否定する。地獄のような環境で暗殺者となったフリーダには「綺麗事」に見えた。
その考えが変わるのは、海賊の襲来によって「日常」が変わってからのこと。
海賊が襲ってきて極限状態になってからの描写は鳥肌 -
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Posted by ブクログ
相変わらずの苦闘っぷり。
結構日常1冊戦闘1冊の繰り返しの意識があるので
今回は日常編かと思ったら混ざっていた。
あとがきで作者も言っていたが、この本はネタばれせずに
触れることが出来ないのは確かにそんな気はするw
陣のチャンネル的な話は、昔のこのシリーズで出てきたのか
違う本でそんな話があったのかは不明だがそんなのを読んだ事が
ある気はする。
戦闘シーンは相変わらず苦闘としか言えない状況。
力のインフレは感じないが、確かに敵も強くなっているのか
よく分からないフシはある。
グレンが最強か九位が最強かアンゼロッタが最強かと聞かれると
どうなのだろうか。
取り合えず、次回最終巻らしいので -
Posted by ブクログ
これまで悩みに悩み続けていた仁がついにある一つの結論に辿り着く。また、新しい世代に公館を任せようと古い世代の自らの生に決着を付けようとした東郷。円環世界での罪について触れられてはいないが少しずつその謎の輪郭が現れ出したメイゼル、鬼火衆の刻印魔道師たち。核を利用して戦争を企てようとした九位。それぞれの様々な欲が絡み合っていた本作。
読み終わった今となっては説明することはできないが、読んでいる最中はその思惑の深さに驚き、闘う彼ら彼女らの姿に何度も背中を押されるような強い意志を感じられた。
そうなのだ。この作品は溢れんばかりの意志が詰め込まれている。矛盾してたって、倒錯してたって、変態チックだろうと -
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