長谷敏司のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
実はこの本をはじめて読んだのは2年以上前なのだけど、あまりにも考えを迫られる衝撃が大きくて、何度もくりかえし引き戻されてきた。
小説の舞台である近未来では、革新的技術によって、失われた脳神経が復元可能になっているだけでなく、同じ技術を使って社会に蓄積されたデータベースを利用することが可能になり、人の能力の飛躍的な拡大が可能になろうとしている。だがそれは、個々の人間の神聖さがはぎとられて、他と置き換え可能な・また編集可能なひとつのテキスト、データベースの一部になるということをも示唆している。その可能性をすでにはっきりと見てとっている存在にとって、ひとつのテキストにすぎない己の死をどう受け止めうる -
Posted by ブクログ
あまりに壮絶なストーリーで、読み進めるのも苦しかったですが紛れもない名作。特に後半、親子二人がコンタクト・インプロビゼーションを通して対話するシーンは、いろんな感情が込みあがりすぎて涙が止まりませんでした。(「めいわくをかけない」のメモ書きを見つけるシーンは本当に無理で号泣でした)
物語としての面白さはもちろん、AI義足との共生とロボットダンスを通して展開されるAI論は間違いなくSF小説して非常に魅力的。また、ダンスと介護を通して「人間性」という形の見えないものに向き合う展開に、文学作品としての純度の高さも感じられ、そういった面でも非常にクオリティの高い作品だと思います。非常におすすめ!
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Posted by ブクログ
展開が前後していたり、削られている描写があるものの、
概ねゲーム通りのストーリーでした。
プロット自体はゲームの時点で面白いものなので、本書でもやはり面白かったです。
加えてゲーム体験の緊張感の上手く文字に落とし込んでいて、読んでいて緊張感を感じます。(展開自体は知っているのでどうなるんだ...!みたいなのはないですが...。)
また、ゲームでは細かく描写されなかった建物や時代背景の説明、コブラ部隊の過去など本書ならではの点もあり、ゲーム後の補完に良い作品でした。
一方で無線ネタやスネークのユニークさなどがなかったので、そちらはゲームでですかね。
最高のポリティカルフィクションです。
(ゲ -
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Posted by ブクログ
ネタバレ上巻、下巻を通して純粋に面白かった。現代でもAI技術が進歩している中、この作品のテーマのメッセージ性は大きいと感じた。特に、作中で何度か取り上げられた"ハザード"とか、アナログハックについては、結構考えさせられた。遠くない未来、AIがどんどん進歩して、その知能がもはや人間の知識では到底追いつけないところまで行ってしまったら。そのAIが、人間の知らないところで独自にものを考えるようになって、世界中を巻き込むような大事件なり戦争を始めてしまったら。そんなことを考えると、こういうことは決して物語の中の出来事ではないと薄寒くなったりした。でもやっぱり、最後の最後で重大な選択を迫ら
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購入済み
大満足!
ついに最終巻を読み終わってしまいました。本当に楽しい読書時間でした!
11巻で再演魔術が凄まじいものであることが明かされてからは怒涛の展開でした。想像していたよりもずっと壮大な展開となり、ページをめくる手が止まらず・・・。最後まであっという間でした。
振り返ると本当に、1巻時点ですでに最終巻までつながる伏線がちりばめられていて、驚きました。1巻のメイゼルの誕生日会で、メイゼルが「あたし、二十五歳よ。」と言ったのがまさか伏線だったとは夢にも思いませんでした。他にも見逃している伏線がたくさんあるはずなので、最初から読み返そうと思います。
仁とメイゼル、きずな、エレオノール、王子護、セラ、ケイ -
Posted by ブクログ
ネタバレ仮想人格である《彼》が健気で健気すぎて、スキィ!!ですが、読み終えて頭に浮かんできたのは人間のことばかりでした。
病と死の容赦なさが疑似体験したかのように迫ってきた本でした。親しい人間の闘病や死に立ち会ったこともないわたしには、死はまだ身近に感じられない現象で。入院手術の経験があっても、それは死病じゃなかったから、小説に描かれるサマンサの身体の痛みも、死の予感と恐怖も、健康な人間と社会への嫉妬や疎外感も、本当にリアルな意味では受け取れてはいないはず。だけれど、サマンサのすぐ隣で彼女を見て体験したような気分がしたのです。
サマンサは、科学は不満足への抵抗だとし、信仰を否定し、仮想人格を道具と -
ネタバレ 購入済み
面白くて一気読み!
面白くて読み始めたら止まらず、一気に読み終わってしまいました!
ついに、きずなのお父さんを殺したことを打ち明けた仁。これまでの家族の形は壊れてしまいました。それでも、残っていたお互いを想う気持ち。大切な者を守りたい気持ちを「悪」と断言したのには驚きましたが、なぜ「悪」なのか、読んだら納得でした。仁も「悪」、きずなも「悪」、メイゼルも「悪」、リュリュも「悪」・・・。エレオノールは「悪」を守るから「悪」に加担していることになるのかな?私情をはさまず、執着もしないアンゼロッタ。彼女が「正しい」のだとしても、「悪」を行う人々の叫びに心が震えました。そ、それにしても、なぜアンゼロッタとメイゼルはそっく -
購入済み
故郷のない人の望郷の話
大分昔の本だけど、どうしても再読したくて電子で買い直した。
価値観を真剣に考えてあるのか、自分には全く関係の無い世界なのに納得させられる。 -
購入済み
明るい円環少女!
6巻までと雰囲気が違うと思ったら、短編集とのこと!
でも、話と話のつなぎに書き下ろしが挿入されていて、違和感なく繋がっていきます。すごい!今までと打って変わって明るい雰囲気の円環少女が楽しめます。どの話もとても面白かったですが、個人的に一番気に入ってしまったのが「ハダカのこころで」です。この話でセラ・バラードが大好きになりました!全裸なのにカッコよくて、ずれているけど誠実で、仲間になってくれないかなと思います。
あとがきで、「高位魔導師より変態のほうが目立つ」とありましたが、確かにそのとおりかも(^^)変態の方が好きかもです。ひたすらカッコよく強い人達より変な意味で圧倒されたり笑ったりでき -
ネタバレ 購入済み
なんと。。。
電子書籍では分からないのですが、400頁もあったとのこと。ですが、あっという間に読み終えてしまいました。
とても面白かった。長谷先生の書き方が上手く、普通なら理解できないような人達の思いが伝わって来て、感情移入する相手がコロコロ変わります。絶対悪などなく、誰もが自分の都合を押し付けあっていて、それは主人公達も同じ。「大きな夢を持つのは満たされていない者」など、なるほどな~!と思う台詞も相変わらずたくさんありました。個人的には、仁とエレオノールが言葉を交わすシーンと、寒川さんのお父さんが頑張るシーンにグっと来てしまいました。特に寒川さんのお父さんのシーンは涙が。。。
とにかく、これからどうな -