長谷敏司のレビュー一覧
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死の物語です。
死に直面し、呪い、足掻き、目を逸らし、誤魔化し、悪罵を撒き散らし、孤立して、苦しむ。
そして力尽き尊厳を奪われ動物のように死ぬ。
そんな物語を単行本1冊費やして描いたSF小説。
強力なAIや脳の編集技術の登場で個性や人格から聖性が奪われ相対化されゆく未来が舞台。
テクノロジーの発達を配置することで可能になった人の死の意味への純化した問いかけを徹底的に突き詰め、残酷なほどに端的に、結論を差し出し作者は言う。
これは「あなたのための物語」だよ、と。
私の、そして君にも、いつか必ず訪れる最期の物語。
心の弱ってる人は読んだらダメな物語。 -
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ネタバレ
愛した人を殺さなければならない任務。
国や平和のために献身した人間を権力者は簡単に捨て去ってしまう。忠を尽くした結果夫、息子、弟子、仲間などの多くを失ってしまったボス。それでも国のために献身し続けたが国家の都合のために汚名を着せられ殺されてしまった。
生き残って真実を知ったスネークに残ったものはは上層部、国家への疑心や怒り。それに加えて絆を感じていたエヴァは結局ただのスパイだったという複雑な気持ちだけ。何か救いが欲しかったと思う。
これからスネークはどういう結論を出し何のために戦っていくのか、次巻のピースウォーカーが楽しみです。 -
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長谷敏司のデビュー作。
彼の作品は『ビートレス』を以前読んだことがあるのだが、2段組600ページという長さと、硬くて回りくどい文章が合わなくて途中で挫折してしまった。
本作はデビュー作ではあるが、『ビートレス』よりもレベルが落ちることもなく、むしろ硬さがなくて私にはこちらの方が読みやすい。
また、ライトノベルレーベルではあるが、今の感覚からすると「これがラノベ?」と疑いたくなってしまうような作りこみの世界観と登場人物の動きを見せてくれる。
やはり一昔前の「ライトノベル」と、最近の萌えや奇抜さに走った「ラノベ」は全く別物だと感じる。
物語の前半部分は、敵軍が守る謎の惑星に降下した兵士ヴァロワと、その星に住む少女マリアと敵軍兵士のガダルバとともに暮らす日々が描かれる。
食料を探しに出かけたり、みんなで大きなお風呂を作って入ったり。
マリアがとにかく感情豊かでかわいい。
しかし、その生活の中でいくつかの疑問が出てくる。
この星は何のためにあるのか?
マリアはどうしてここにいるのか?
後半では優しくて残酷な真実が明らかになる。
その一方で、ヴァロワは自軍に戻るか惑星に残るかの選択を迫られる。
兵士としての自分と人間としての自分、それにマリアへの愛情だとか、感情が複雑に入り混じってヴァロワの行動を鈍らせる。
ラストは少し寂しさが残るものの、きっと多くの人が納得できる結末だと思う。 -
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ネタバレ目次
・公正的戦闘規範 藤井太洋
・仮想(おもかげ)の在処 伏見完
・南十字星 柴田勝家
・未明の晩餐 吉上亮
・にんげんのくに Le Milieu Humain 仁木稔
・ノット・ワンダフル・ワールズ 王城夕紀
・フランケンシュタイン三原則、あるいは屍者の簒奪 伴名練
・怠惰の大罪 長谷敏司
どの作品も伊藤計劃の気配を漂わせているけれど、特に濃厚なのは王城夕紀の作品(ハーモニーの世界観)と、伴名練の作品(屍者の帝国の世界観)。
この2作品は好きだなあ。
特に伴名練作品のナイチンゲールは夢に出てきそうなくらい恐ろしい。
単純な幸福はない。
幸福に正解はない。
けれどどの作品も屈託がありすぎて、胸が苦しくなる。
本の分厚さもあって、心身ともに体力を必要とする読書でした。 -
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人工知能にハリー・ポッター全巻を読ませ、続きを書かせてみる実験が昨年行われたが、ロンがハーマイオニーの家族を食べたりハリーが7ヶ月間階段から転げ落ち続けたりとパンチの効いた内容になったようだ。
この実験結果を聞いて笑いが込み上げてくる反面、どこかホッとした人も多いのではないだろうか。人間は「生身の肉体がある」ことと「感情を持っている」点では機械を超越した存在であると信じている人は特に。
本書では義肢の一環として人工神経が生み出された近未来が舞台となり、実験の一環として機械に小説を書かせるのがテーマ。死が間近に迫った科学者が、死に対する恐怖と自己愛、小説の存在意義について思いを馳せる展開は読んでいて納得させられる考察が多い。人間と機械はどこまで近づけてどこまで理解し合えるのだろうか。 -
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あなたのための物語から関連で読んだ。なかなか良かった。
2作目 allo toi toi:そこにあるようなSF描写と、脳にデバイスを埋め込んでも結局は変われない人間の根っこがうまく描かれている。なかなかの生理的嫌悪をもよおす結末で素敵。
3作目 hollow vision:SF描写の迫ってくる感じが大変よかった。AIを描く作品はとにかく新鮮さが命だとはっきりわかる。テロ鎮圧の流れが怒涛の勢いで一気読み。
気になったのが、自転軸という言葉の使い方。たぶん作者は(自転の円周方向という意味で)間違って使っているのではないか。軸は軸だぞ
4作目 父たちの時間:ナノロボットの自律進化の過程がなかなか真に迫っていてよい。生物学の描写は微妙に怪しい気もしたが、気になるほどではなかった。父という存在を描く小説なので蛇足とは思いつつ、やはり生存競争の結末まで書いてほしかったなあとは思った。 -
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『地には豊穣』
再読
豊穣の月の下で薄れ往く文化差異を惜しむ話
豊穣という言葉は普段使わないとかどうでも良いことを思う
科学の力で言葉や国家や宗教と文化がたいらになるまで
果たしてどれくらいかかるか
他の話と比べると割と平和な話かもしれない
『allo,toi,toi』
再読
犯罪者心理とSFてきに接触する話
SFというより警察ものとか社会派とかああいう系統よりか
SFというのもそういうものだけれども
感情自律ができても犯罪は減らないだろうけれど文化は衰退しそう
『Hollow Vision』
スパイ大作戦な娯楽活劇調
『BEATLESS』の超高度AI世界は無尽に広がりそうなので
この話の結末もそのひとつとして見える
『父たちの時間』
今度の新ハリウッド版は期待できるのかという話
もとい
3年前のグダグダ神話崩壊ぶりがすごく日本人的だったが
日本以外はどうなんですかね
日本のことも良く知らない日本人には良くわからないけれども
父たちというより雄一般なのではというあたりはちょっと腑に落ちないが
閉じて終わる話でもないということか