長谷敏司のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
サマンサ・ウォーカーは死んだ。
サマンサ・ウォーカーがひとり、病気療養中の自宅でこの世を去ったのは、35歳の誕生日まぢかの寒い朝だった。
それが、彼女という物語の結末だった。
という書き出しで始まる、長谷敏司の近未来SF。
序章で7ページに渡って死の瞬間を描写し、本編はそこに至るまでの、長い、死への物語です。
人間の脳の状態を再現できる、つまり人間の感情や、人間の人格そのものを再現できる、
ITPという言語がメインのSFガジェットです。
感情を人工的に操作したり、コンピュータ上に1から作り出した人間と区別のつかない人格が出てきたり、
イーガン的というか、昨今のSFの最先端テーマと言える -
Posted by ブクログ
生まれた国の文化を捨てて生きてきたデラシネの話。
小児性愛者を矯正しようとする技術と、その試験台になる終身刑囚の話。
急激に進化するナノマシンを前に、科学者としての自分と父としての自分の相克に悩む男の話。
冷徹で淡々とした筆致で描き出されるのは、SFの文体による個人の魂の話です。SFとしてのアイディアの尖り具合もなかなか面白く、そのアイディアに立脚した世界観を存分に活かしつつエモーショナルな視点を貫くスタイルは、グレッグ・イーガンの短編に近いものを感じます。
・・・が、エモーショナルな作風であることは認めるんですが、その「エモーション〈情動〉」の描き方が、理に走っているのが鴨的にはちょっと -
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Posted by ブクログ
ネタバレ設定や世界観にの細かさには素直に脱帽するしかない。特にアナログハックという設定は唸らされた。
ただし、文章力やストーリーにはやや疑問符がつく。
特に文章力は、比喩表現がいったい何を指しているのか分かりにくかったり、情景がうまく想像できなかったりする。まぁ、僕の読解力が足りてないだけかもしれないが。
ストーリーに関しては盛り上がるべき箇所で個人的には盛り上がりきらないかなと感じてしまった。もちろんしっかりとしているしどこが悪いかと聞かれると困るのだが、途中で読む期間を開けてしまったりしたので話がわかりづらくなってしまったところもあるかもしれないが、めちゃくちゃすごい!とまでは思わなかった。
エン -
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Posted by ブクログ
いろんな作家さんの短編集。
伊藤計画っぽさとかは問うていないらしい。
伊藤計画らしいのもあれば、全く違うものも。
影響を受けて書いた作品というところでまとめてもこれだけ幅のある短編になるんだなあと感心しました。
個人的には、「怠惰の大罪」という作品が面白く、「公正的戦闘規範」という作品が伊藤計画っぽいかなと思いました。
読むのに結構時間かかってしまいましたが、その他の作品もお薦めです。
伊藤計画さんの本を読んでなくても楽しめると思う。
短編集なのに長編の冒頭だという作品が複数有り、(「怠惰の大罪」もだけど・・・)何だよ~という感じだったので星3つ。 -
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