長谷敏司のレビュー一覧

  • あなたのための物語

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    そして、サマンサ・ウォーカーは、動物のように尊厳なく死んだ。

    この一文の攻撃力が高すぎる。
    今まで読んできた美しさも切なさも恋しさも、死を前にしたら0に戻る。

    「目の前に死が迫っている」ということの切迫感、焦燥感、嫌悪感がもう、嫌になるぐらい迫ってきて苦しい。
    死ぬということはこういう事だよな。愛する人に囲まれて眠るように。。なんておとぎ話の世界で、実際はもっと目を背けたくなるような汚物に包まれることだと思う。

    それでも彼女が物語に捧げたあの時間は、ただの逃避でなく価値あるものだったと。最期にサマンサの心を救う記憶だったと信じたい。

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    2026年01月15日
  • あなたのための物語

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    ネタバレ

    人間の人格や脳に触れ、それを改変することができるというのは、人間の神聖さを犯すことであり、その価値を著しく下げるだろう。今、実際にこのような技術が開発されているのかどうかわからないが、もしやするとこの世界はすぐそこまで迫っているかもしれない。

    人工知能的な「wanna be」に小説を書かせる。現在のAIに人間がやらせていることとほぼ同じだが、「wanna be」が違うのは人工ではあるものの、知能だけではないことだ。体は立体映像で実態はないが、感覚センサーで見たり触れたりすることができる。サマンサのために役立てることはないか常に尋ね、あくまでも道具としてしか接しない彼女にいつのまにか愛情を持つようにもなる。そして、彼女ですら想像のつかない自死を選び、その目的もまた彼女であるという。簡単に愛とはいうものの、そこには人間の真理を追求するかのような思いが込められていた。

    あなたのための物語。サマンサのために彼が書き上げる物語であり、彼自身のための物語でもある。

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    2025年08月21日
  • プロトコル・オブ・ヒューマニティ

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    片足を失ったダンサーと、偉大な先達にして認知症を患った父親。肉体の喪失や老衰で失われてしまう「人間性」と、仕草や所作から共感や愛情が育まれる「人間性」。AI義肢等との共生を描く身体SFとして、キャリアと介護の間で揺れる苦しみを描く人間ドラマとして、その解像度の高さと込められた生々しい感情の熱量に唸る。ダンス描写は圧巻。

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    2025年07月27日
  • AIを生んだ100のSF

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    AIやロボット工学などを
    研究したり開発したりしている人に
    SFがその道に進むきっかけになったか
    実際の研究・開発とSFは
    どのくらい関係があると思うか
    インタビューした本。

    SFが大好きな人もいれば
    別にそうでもない人もいて
    まぁ、そりゃそうですよね。
    でも現実とSFとの関係については
    やはりそれぞれ思うところがあるよう。

    執筆者のひとり、暦本純一さんが
    『ドラえもん』のひみつ道具が
    タケコプターはドローン
    どこでもドアはVRやオンライン体験のように
    すべて実現できたら…という話を語っていて
    そうなったらおもしろいですよね!

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    2024年10月18日
  • あなたのための物語

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    うーん、面白いは面白いのだけれど、どうしても理屈が先に立つというか、その理屈がややくどくて物語に入り込めない

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    2022年12月04日
  • BEATLESS 上

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    読点が多く、読みにくいと感じる場面があった。それと、言葉に力がないので、情景を思い浮かべるのも難しく、読み進めるのが苦痛だった。だが、AIと人間が紡いでいくストーリーが魅力的で、結末が気になるので続きも読みたいと思う。

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    2022年03月19日
  • My Humanity

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    個人的には「地には豊穣」と「父たちの時間」が好きです。

    ですが、「allo,toi,toi」が一番衝撃でした。

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    2022年01月06日
  • 円環少女 6太陽がくだけるとき

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    運命を自在に操るただ一人の魔法使いがその片鱗を見せ始めました。魔法作動の理屈も説明されていますが、使いこなせばほぼ無敵とも思えるこの能力を著者がこれからどう扱っていくのか気になるところです。

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    2021年11月18日
  • 円環少女 3煉獄の虚神(下)

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    3巻で基本となる世界設定がほぼ説明され終わったようです。魔法が作用する条件が複雑で、しっかり読まないと全体のストーリーにもかかわっているので、結構読みごたえがあります。魔法バトルの様子もなかなかイメージしづらく、一部でもいいからアニメ化かコミック化して欲しいものです。

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    2021年11月18日
  • 円環少女 10運命の螺旋

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    本作のヒロイン、魔法使いの少女メイゼルがいた元の世界での出来事と、彼女が追放されてきた秘密が明らかになり、歴史を操る魔法使いのきずなもいよいよ力が使えるようになってきました。そして最後に驚きの展開、次巻からクライマックスに突入するんでしょうか。あと3巻。

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    2021年11月18日
  • 円環少女 しあわせの刻印

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    3巻で基本となる世界設定がほぼ説明され終わったようです。魔法が作用する条件が複雑で、しっかり読まないと全体のストーリーにもかかわっているので、結構読みごたえがあります。魔法バトルの様子もなかなかイメージしづらく、一部でもいいからアニメ化かコミック化して欲しいものです。

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    2021年11月18日
  • My Humanity

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    ナノマシンをテーマにしたSF短編4本。人を自由に操る魔法とか怪電波ってよくある話ですが、ナノマシンを使うと本当にできてしまいそうなので怖いです。

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    2021年11月18日
  • メタルギア ソリッド スネークイーター

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    ゲームになかった現場の設定、説明によってゲーム以上にリアリティを感じられた。
    序盤から中盤にかけてのスネークの感情の起伏も、ゲームをしているときには感じられなかった『物語』を楽しめた。
    ただ、前作にあったような政治的背景が前作に比べるとあまり描かれてなく、各人の描写が多かったので、政治チックな展開が好きな私にとってはちょっとくどかった。作品のシナリオ上、仕方ないけど。

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    2021年01月30日
  • あなたのための物語

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    SF。AI。
    愛と死の物語。
    ここまで主人公の内面をリアルに描写した作品を読むのは初めてかも。
    はじめの7ページの描写が、いきなりインパクト強い。
    内容はなかなか難しいが、心に響くシーンも多い。

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    2020年06月20日
  • あなたのための物語

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    サマンサ・ウォーカーは死んだ。

    サマンサ・ウォーカーがひとり、病気療養中の自宅でこの世を去ったのは、35歳の誕生日まぢかの寒い朝だった。
    それが、彼女という物語の結末だった。


    という書き出しで始まる、長谷敏司の近未来SF。
    序章で7ページに渡って死の瞬間を描写し、本編はそこに至るまでの、長い、死への物語です。

    人間の脳の状態を再現できる、つまり人間の感情や、人間の人格そのものを再現できる、
    ITPという言語がメインのSFガジェットです。
    感情を人工的に操作したり、コンピュータ上に1から作り出した人間と区別のつかない人格が出てきたり、
    イーガン的というか、昨今のSFの最先端テーマと言える1冊。

    内容も描写も濃い、重い。
    長谷敏司の独特の文体もどうにも読んでて疲れるのですが、それでもぐいぐいと引っ張っていく力はさすが。

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    2019年09月07日
  • My Humanity

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    生まれた国の文化を捨てて生きてきたデラシネの話。
    小児性愛者を矯正しようとする技術と、その試験台になる終身刑囚の話。
    急激に進化するナノマシンを前に、科学者としての自分と父としての自分の相克に悩む男の話。

    冷徹で淡々とした筆致で描き出されるのは、SFの文体による個人の魂の話です。SFとしてのアイディアの尖り具合もなかなか面白く、そのアイディアに立脚した世界観を存分に活かしつつエモーショナルな視点を貫くスタイルは、グレッグ・イーガンの短編に近いものを感じます。

    ・・・が、エモーショナルな作風であることは認めるんですが、その「エモーション〈情動〉」の描き方が、理に走っているのが鴨的にはちょっとアレかなー、と。
    言いたいこと、表現したいことはものすごく伝わって来るんですけど、「あれがこうなってこのようになりました、だから私は云々」というト書きの描写が延々と続いて、いまひとつ登場人物に感情移入できないもどかしさがあります。理屈抜きでうわーーーっと魂を鷲掴みにする、そんな荒々しい表現もあって良いんじゃないかなと思うんですよね、「個人」をテーマに据えるからには。
    SFの枠に閉じ込めておくには、勿体ないタイプの作家さんなのかもしれませんね。一皮むけることを期待したいと思います。

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    2019年02月04日
  • 戦略拠点32098 楽園

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     時間は流れている。「いつでもできるように思えること」をする機会は、本当は今しかないのだ。
    (P.174)

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    2018年12月24日
  • 【新装版】BEATLESS‐dystopia (1)

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    本編を読み終えたので読んでみる
    主人公が扉絵と違って随分幼い感じだと思ったが
    公式サイトにあるギャラリーもそんな感じだった
    戦闘装束をみると
    レイシア級の情操情報は何を基盤にしているのだろうか謎である
    「アナログハック」というのは『攻殻2』の「視線誘導技術」を思い出すなあ

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    2018年12月08日
  • My Humanity

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    AIが人間の能力を超えてまもなく、様々な領域において人間を管理する役割を与えられ始めた黎明期を描くSF短編集。人類に有益であっても、人智を超えたAIに対する空恐ろしい雰囲気がそこはかとなく漂い、この物語の世界の今後について考えてしまう。

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    2018年10月27日
  • BEATLESS 下

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    ネタバレ

    設定や世界観にの細かさには素直に脱帽するしかない。特にアナログハックという設定は唸らされた。
    ただし、文章力やストーリーにはやや疑問符がつく。
    特に文章力は、比喩表現がいったい何を指しているのか分かりにくかったり、情景がうまく想像できなかったりする。まぁ、僕の読解力が足りてないだけかもしれないが。
    ストーリーに関しては盛り上がるべき箇所で個人的には盛り上がりきらないかなと感じてしまった。もちろんしっかりとしているしどこが悪いかと聞かれると困るのだが、途中で読む期間を開けてしまったりしたので話がわかりづらくなってしまったところもあるかもしれないが、めちゃくちゃすごい!とまでは思わなかった。
    エンディングが「アンドロイドにも心はあるんだ!」という安易なものではなく、「魂がなかったとしても君を信じるよ」という結末なのはよかった。時間があれば是非もう一度読み返し、理解を深めたい。

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    2018年09月08日