西原理恵子のレビュー一覧
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毎日新聞紙上で大人気連載中の育児マンガ『毎日かあさん』の9巻です。ここでは『育っちまった編』と称して自分の身長を追い抜いてしまった息子と、日々女子力が赤丸急上昇中の娘とのやり取りが収録されております。
毎日新聞にて大人気連載中の『毎日母さん』その9巻目となります。実を言うと、僕は彼女の連れ合いであったカメラマンの鴨志田穣氏が他界された際、そのお別れ会に出席し、なんと途中で遺族席に何の間違いか座ってしまったことがあり、ここに描かれている娘さんとご子息と、そしてサイバラ女史のご母堂と丁度向かい合う形で座っていたことを読みながら思い出しました。
そんな彼らも時が流れてサイバラ女史の背丈を越えるようになって来た頃に描かれたのが本書と相成ります。肉を好んで食し、ラップやヒップホップにのめりこみ、家には彼の友人が多く押しかけるまでになった息子さんと、おませなところは相変わらずで、時にはサイバラ女史のフォローまでするようになった女子力急上昇中の娘との掛け合いは相変わらずで、そこにここでは少々薄めていはするものの、それでも強烈な彼女独特の『毒』が相まって、今回もまた『サイバラワールド』全開の1冊で、大満足でございました。
それに加えて、おなじく「子育てマンガ」というジャンルで大人気を博す松本ぷりっつ「うちの3姉妹」との大反響コラボや、巻末のほうに書き下ろしで収録されている引きこもり少年の再生を描くサイバラ渾身の描き下ろし「贈り物」も収録されており、これが15ページながら、『叙情派』といわれる彼女の部分を前面に押し出したなんとも泣かせる作りでございました。相変わらずサービス精神旺盛な彼女に(良い意味で)翻弄されてしまいそうです。 -
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ネタバレサイバラセンセのちゃんとした(?)読み切りの漫画作品としては、最高傑作かなと思います。
「いけちゃんとぼく」とかは漫画作品というよりは絵物語・絵本に近いような。
しかしまあ、そんなジャンル分けは対して意味は持たないと思ってます。
自分が西原作品を網羅してるわけではないですが、これまでは「ぼくんち」が好きでした。
それにしても、映像化がかなり多いですね。サイバラ作品は。
まさかの「毎日かあさん」TVアニメもありましたが。
大体は実写映画。
「パーマネント野ばら」
「ぼくんち」
「毎日かあさん」
そして
「女の子ものがたり」
この中で映画を見たのが「ぼくんちだけなので、残りの出来栄えも楽しみ。
本作はかなり筆者の実体験に基づいたサイバラヒストリーみたいな感じがします。
語られるエピソードがこれまでにもあちこちで出てきたものだし、実体験として語られてきたものも沢山あります。
その他のカラー作品によく見られる水彩の淡い色彩で描かれる、超リアルな女の子の実態。
アホでヘタレな女の子なんだが、年頃になると、なんとなく上手に「女」を演出できるようになっていくのですね。
田舎=純朴というこれまでの図式を破壊し続ける設定は、正味のところで勝負し続ける西原理恵子の揺るぎない切り口で、誰も否定することができない部分です。
田舎でも都会でもないところで生まれ育った自分としては、そのような田舎のエグさをいつも再認識させられます。
人間についても、本当に嫌な嫌な部分をこれでもかと抉り出し、それと対比させて、それでも捨てたもんじゃないよというメッセージも見えてきます。
この間、朝日新聞上で西原理恵子についての連載がありました。
これまで語られてこなかった現実の西原さんでした。
彼女の強さと才能には全く脱帽せざるを得ません。
どこまで本気なのかと思っていた高須センセとの結婚も、一番大事なのは子供であり、高須センセはいつでも切れるというような意味合いの事を言っていました。
繰り返し語られる金の話もペン一本でここまで上り詰めた西原理恵子だからこそ重みがあります。
多分、放っておくと前のめりにつんのめってペンを持ったまま絶命してしまいそうな気もしますが、それにブレーキがかけているのが前夫カモちゃんであり、子供以外の拠り所として高須センセを選んだのかもしれません。 -
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『有罪が確定した元外交官の作家と、お笑い脱税マンガ家が、最凶コンビを結成!』この看板に偽りなし。佐藤優と西原理恵子の凹凸コンビが世の中のことを斬って斬って斬りまくる一冊です。
『知の怪物』こと佐藤優さんと、漫画家の西原理恵子さんが衝撃のコンビを組んで、週刊新潮にタブーと聖域なき論調を展開しているコラムを書籍化したものが本書です。佐藤優さんの文章と西原理恵子女史の漫画は同じテーマを与えられてこそすれ、まったく別の作品といってもよく、僕は西原女史の漫画を一通り読んだ後で、また最初に戻って佐藤優さんの文章を通読させていただきました。
この本に収録されてあるのは2009~2010年までの時事評なんですけれど、西原理恵子のギリギリのギャグと佐藤優さんのこの本の中ではくだけた筆致を使ったニュース問題の解釈が面白く、僕は一気に読み終えてしまいました。それでも、佐藤さんの文章の時事を見る目はもともとインテリジェンスの世界で生き馬の目を抜くような丁々発止のやり取りをしてきた経歴と、戦場カメラマンの夫・鴨志田穣氏を伴侶に世界中のヤバいところを回ってきたサイバラの目は、違うところを見ていながらも不思議とどこかでつががっているような気がしてなりませんでした。
特に僕が好きだった箇所は「シー・シェパード」に関する箇所で、『日本人を含むすべての人間の不倶戴天の敵である』というところから論旨をスタートさせて、『この人たちは、人間を激しく憎んでいる。それが動物に対する偏愛という形で現れているのだ』というこの一文に、非常に溜飲が下がる思いがいたしました。ほかにも少し、下世話な内容ですが、ふむふむ、なるほどなぁとうなづいたり、時事評にもかかわらず大笑いしてしまうような箇所がいくつもあって、池上彰さんとはまた違った意味で「わかりやすい」つくりとなっております。 -
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男の子はおバカなお子様に見えて実は、女親は成長を見守るしかない。一方女の子は女親と腹を割って話せるけど男の子より先に親の手を離れてしまう。一見奔放に見えて本当の所は色々考えて子育てしているサイバラさんと、中3と小6に成長した子供達の今回の物語を読んで、そんな事をしみじみ考えています。
初期の頃の子供達が幼かった頃や鴨ちゃんが健在だった頃よりはちゃめちゃな笑い話は減っているけど、その分親子関係が成熟して良い感じになってきたなあ、と思います。
そして描き下ろし「贈り物」の家族の絆。全ての家族がこういう絆を持てるわけではないにせよ、どんなに順風満帆でない出来事に見舞われても、絶望するのはまだ早いよ!ひとかけらの希望と誰かの幸せを守る為に踏ん張ってみ。と言われたように思いました。 -
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西原理恵子「ものがたり」三部作の最初に当たる作品です。主人公の女の子が上京しなりふりかまわずに生きていく様子を描いた物語です。ミニスカパブの「おねいちゃん」から徐々に自分の夢を生きる姿に励まされます。
久しぶりに読み返してみました。本書は西原理恵子が大学生活を送るために上京し、なりふりかまわなかった日々を振り返ったエッセイ漫画です。ここに描かれているのは華やかなキャンパスライフからは程遠いもので、歌舞伎町のミニスカパブの「おねいちゃん」として生活費を稼ぐ日々や働かずに彼女の家に転がり込んできた男との同棲生活。そして、駆け出しの「イラストレーター」として営業として売り込みの毎日…。
主人公いわく「生きるって、なさけねぇなぁ」と自身があげたフライドチキンを猫がかじっている姿の中に見つめていたり、ミニスカパブでの客や他のおねいちゃんとのやり取りに理不尽さを受け止めながら、東京にしがみついていく彼女の姿が、当時上京してきたときの自分とオーバーラップしたりしながらページを読み進めておりました。
すべてが見所といってもいいのですが、僕が印象に残っているのはミニスカパブのバイト中に酔っ払った客が彼女に心ない言葉を投げつけるところで、彼女はそうした「しんどい言葉」を本心とは真逆の感情である笑顔で受け流す努力を続けるうちに、夜、自分の部屋で寝ているうちに顔面麻痺になってしまうところで、それを彼女の店の店長に言うと、彼は大声で
「バカヤロー。だから高い時給がもらえんだ」
と、大声で言い放つ場面で、それで彼女は
「あ。そうか」
と納得するのです。
伊集院静先生が自身の著作の中で確か『大人になるには、理不尽と遭遇することだ』というようなことを申していたかと思いますが、その言葉を連想しました。僕も実はこういう席のおねいちゃんにこのエピソードをかいつまんで話したことがあって、そのときに彼女は職業的良心かはたまた本心なのかは今となっては知る由もありませんが
「あ、それわかるー」
といっていたことも同じく思い出しました。
やがて彼女の絵が売れるようになり、絵で食べていけるようになったときに、読者の一人からこんな手紙をもらいます。
『毎日しごとがしんどくて、上司ともうまくいかなくて
家に帰っても、こころが苦しくて
ねむれなくて
そんな時にいつもあなたの本を読みます。
あははと笑って
いらいらしてた自分がもうどーでもよくなって
それでぐっすり眠れます。』
他のインタビューで、筆者が一番うれしかったと語っていた手紙です。どんなことを描いても最後はここに立ち戻ってくる。叙情系サイバラ漫画の好きな作品のひとつです。 -
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西原理恵子『ものがたり』3部作の2弾目に当たります。『上京ものがたり』の主人公の少女時代を描いた本書では経済的にも学力的にも恵まれない3人の女の子の友情物語が描かれております。琴線に触れました。
『ものがたり』3部作の第2弾になります。しかし、時系列からすると、これが一番先頭に来ます。『上京ものがたり』の女の子が地元でどのような生活を送ってきたのか。それが綴られます。そこは山と海がある。というかそれしかない田舎町で経済的にも学力的にも恵まれているとはいいがたい3人の女の子がそれぞれの運命をたどる、というものです。
相当に自伝的な内容を多く含んでいるので、モデルとなった子がきっといるのでしょう。田舎の中高生のやることはどこも変わらないなぁとただ、それが男か女かによってその後の運命が違ってくるなぁということを読みながら思っていました。
ただし僕は不良とも付き合ったことがないし、彼らがたまっているようなところにも行ったことがないので実際のところはよくわかりませんが、古い記憶を掘り起こしながら考えてみて、少なくとも性に関するところは似たような話を聞いたことがあったなぁと思いながらページをめくっていました。
中盤あたりでそれぞれの運命が分かれ始め、仲良しだった3人が徐々に離れ離れになっていく場面になってくると、自分にも似たような経験があって、それを思い出してしまいました。
個人的には気になった女性にこの作品を読ませて、この世界に共感をもった方と本格的にお付き合いをしようかという一種の『リトマス紙』的な位置づけをしております。