西原理恵子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
コミックを読むことは、とても内的なことで、偽物の想い出を捜す行為に似ている。偽りの記憶を共有する誰かを捜すために、私はきっとウェブで文章を書き連ねているのだろう。広い荒野のなかで私を見つけてくれた人間が私を理解するたったひとりであることを、期待しながら。この「ものがたり三部作」は、そんな私の偽りの想い出がぎっしり詰まっている。私は中流のごく普通の家に育ち、貧乏したこともなく、ダメ男にひっかかったこともなく、至極まっとうに微々たる日銭を稼ぎ、ものがたりにふさわしくない人生を歩んでいる。その一方で成功と退廃に恋焦がれ、昇る野望と堕ちる夢を見て、偽りの想い出に泣くのだ。
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Posted by ブクログ
「うつくしいのはら」をぜひよんでください。日本人には遠い事かもしれないけれど、悲しいかな、多くの地域において貧困と戦争は深く結びついています。悲劇的ではなしにそれが描かれています。静かに、とても解りやすく(そういう風にとらえて良いかどうかは解りませんが)。どうか読んでください。
自分のまんがをいかに売るかの営業ものがたりなのですけど、確かにそれに繋がって「うつくしいのはら」は描かれるのだけど、全然色の違うものを同列にこうやって置いておけるのって西原さんくらいかなーと思うのね。笑わせるのも泣かせるのも同じ、と前にお話されていたのを思い出しました。(20051101購入) -
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Posted by ブクログ
毎日新聞で連載されているので「毎日かあさん」。
この度めでたくカニ母編で文化庁メディア芸術祭優秀賞を受賞なさったそうです。
カニ母編からちょうど1年、お入学編が出ました。
色んなところへ出向いては電波少年さながらの漫画を描いている西原理恵子さん。
できるかなV3で「手塚治虫賞狙い」と描いてありましたが、今までの作品のなかで一番読む人を選ばないまろやかな作品の様に思います。
特別なことをした体験記ではなく、日常の中で感じたことや出来事が絵日記風に描かれてます。
「母」を中心に語られていたカニ母編ですが、今回は小学校に入学した息子の話題が中心です。
どぶで遊んでいたり海に服のまま入