西原理恵子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
コミックを読むことは、とても内的なことで、偽物の想い出を捜す行為に似ている。偽りの記憶を共有する誰かを捜すために、私はきっとウェブで文章を書き連ねているのだろう。広い荒野のなかで私を見つけてくれた人間が私を理解するたったひとりであることを、期待しながら。この「ものがたり三部作」は、そんな私の偽りの想い出がぎっしり詰まっている。私は中流のごく普通の家に育ち、貧乏したこともなく、ダメ男にひっかかったこともなく、至極まっとうに微々たる日銭を稼ぎ、ものがたりにふさわしくない人生を歩んでいる。その一方で成功と退廃に恋焦がれ、昇る野望と堕ちる夢を見て、偽りの想い出に泣くのだ。