パオロ・マッツァリーノのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
これは、「反社会」学ではなく、反「社会学」の本です。
読んでいたら家族がびっくりしていましたが、これから道を踏み外すために予習をしていたわけではありません。
ま、そう読めるよう、狙ったタイトルだとは思いますが。
そして、読み始めてすぐ、この人日本人じゃ?って思いました(昔の日本の風習にも最近の日本の流行にも詳しすぎる)が、イタリア生まれで、父は寡黙な九州男児、母は陽気な花売り娘だったらしいです。
カバーの後ろの折り返しにある著者紹介欄からしてすでに面白いので、読む価値絶大です。
社会学って良くはわかりませんが、いろいろなデータを駆使して、現代社会の問題点などをあぶり出し提言するような学問?
で、著者は言うのです。
データの見方次第で、物事はいかようにも解釈ができる。
この本は講座の形をとっているので、章の最初にテーマ、最後にまとめがあるので、お急ぎの方はそこだけ読んでもよいのですが、一応順序通りに読んで、まとめで復習という形が理解を深めることに繋がると思う。
まず最初にわかりやすく、最近増大している少年犯罪について。
警察庁発行の『警察白書』を見ると、確かに10年間でぐんと事件数が増えているのがグラフから読み取れる。
しかし『警察白書』は過去10年分の資料しかない。
そこで著者は、法務省発行の『犯罪白書』を使う。
こちらは戦後から現在に渡る資料が掲載されていて、それを見ると戦後と言われる時期から比べると、現在は大きく少年犯罪が減っているのがグラフで明らかになる。
毎年の、その年の17歳が犯した犯罪を数え、どの年が一番犯罪が多かったのか「戦後最悪凶悪少年決定戦」略して「凶ー1グランプリ」を行った結果、昭和35年に17歳だった少年が一番犯罪を犯していたという結果に。
最近でもなければ、戦後すぐでもない。
何なら高度経済成長期。
今まで世間で言われていた話とは違う。
というように、社会学の手法を使って社会学を斬っていくわけだ。
夫婦同姓というシステムも、日本人は勤勉な民族だったというイメージも、明治政府が作り上げたもの。
年金制度が破綻しそうなのは、少子化が進んでいるからではなく、年金資金運用基金が運用失敗しまくっているから。(しかも責任者は責任をとらず、高額な退職金と年金を支給される仕組み)
少子化で大学の運営が危機なら、在学年数の上限を廃せという提言は目からウロコ。
日本の大学は入学金で儲けているので、次々に入学させ、定期的に卒業させて次の入学者を受け入れる必要がある。
欧米の大学は授業料も安く、卒業基準を満たすまで何年でも在学して勉強を続けることが可能で、入学金というものはない、らしい。
小学生のころ月に何冊も本を読んでいた子が、中高ではそれほど冊数を読まなくなる。
難しい本を読むのに時間がかかるのは当たり前じゃないか、と言われれば全くその通り。
マンガを読む子は本も読む、ゲームをする子は本も読む、成績がいいのは適度に楽しんで切り上げられる子。
読書もゲームも一日4時間以上も耽溺している子は、逆に成績は…。
最近の若い子は本を読まないというが、実は年寄りの方が読んでいない。
高齢者が良く読むのは新聞で、実は出版不況を招いているのは本を読まずに新聞ばっかり読んでいる高齢者じゃないのか、という視点。
さすがにこれに無条件に「だよねー」という気なないけれど。
同じデータを駆使しても、全然違う見方ができるのが、まず面白い。
知的好奇心が刺激される。
そしてダジャレと屁理屈とトンデモ理論が、つい吹き出してしまうほど面白い。
ちょっと古い本なので、最近の日本についても読んでみたい。
いや、絶対に読むべし。 -
Posted by ブクログ
統計的数値だけでなく、当時の新聞や大衆紙なども資料として活用し当時の世相を紐解いている
大衆紙などは単なる一消費コンテンツだと思っていたが取り上げらている題材や単語など文化を知る手がかりが散りばめらていることに気付かされる
出張の話は印象深かった
新幹線ができて便利になったかと思ったのに無理な日帰り出張が増えたというエビソードは、携帯が普及したおかげでコミュニケーションコストが下がったが休日も仕事に束縛されるようになったという話やSNSが普及したおかげで逆にストレスが増えたといった現代の話にも通じるものがある
効率化によって浮いた時間を何に使えるのか、ツールに振り回されない事が肝要だ
ご苦労さまとお疲れ様という言葉の使い分けの由来は、言葉の進化を垣間見たような気がして興味深かった
確かに時代劇だと目上は大義であったってよく言っている気がする -
Posted by ブクログ
ネタバレ土下座のところで、突然マレーシア、ルングス村の人の話が出てくるのは笑った。豚か山羊を相手と祈祷師に送るんだってさ。日本は誠意=謝罪+誠意、というわけのわからない公式があるとの主張をするための前段が突拍子なくて面白い。
他にはビックリマークを濫用する広告の下りも面白かったなぁ。
全体を通して楽しく読めました。
あと、亡国論の箇所にはいい言葉があったので以下書き置き。
もっと身近なもの、自分の身の回りの人や家族やご近所など、滅びやすいものが滅びないよう、努力をかたむけるべきです。それは自分にしか守れないんですから。
近所のガキが悪さしたら叱りなさい。電車や公共の場での迷惑行為に講義しなさい。リードをつけずに犬の散歩をしているルール違反の飼い主を注意しなさい。自分の所属している職場や学校で起こっている具体的でちっぽけな問題に向き合い、ちょっとでも良い方向へ向かうよう、努力してみてください。
どうでもいい歴史や思想を語って国を憂うヒマがあったら、自分の身の回りに目を向けるべきです。小さな問題を解決しようと体を張らない人間に、国が滅びるなどと大口叩く資格はありません。デカイ思想を語るだけの思想ヒーローは、実際には世の中を一ミリも動かしてないのです。
大切なのは、みなさんひとりとりが、身の回りの問題に取り組むローカルヒーローになることです。 -
Posted by ブクログ
「昔はよかった」と過ぎ去った昔をやたら美化し、現代を批判する輩に、データや過去の文献を使って、いかに現代の方が昔より良いかを論破している本。取り上げられているのは、「火の用心」、「日本の治安」、「クレーマーの歴史」等々。特になるほど、と思ったところは「~振り込め詐欺は、悪質なものだけを見せしめに取り締まって、小物は泳がせておく方がいい。そうすることで、強盗など危険な犯罪をやってる連中が振り込め詐欺に鞍替えするよう誘導できれば、犯罪件数は多少増えても、社会全体の安全はかえって高まるのです。」という主張。著者はどうしたって犯罪の発生件数は0にならないとも主張。そりゃ、そうだよね~。この人、外国人名だけど絶対日本人だと思う。あと、欲を言えば、吉田戦車のイラストが入っててほしかった。