パオロ・マッツァリーノのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
自分自身も大学で社会学に手を染めたクチなので、非常に面白く読めた。
大学の時分に本書を読んでいれば、もうちょっとましな研究ができたかもしれない。
本書にあるように、結論ありきでデータを集め、捏造とまでは言えないものの、歪んだ論拠を作り出している社会学者は後を絶たない。
社会学者に限らず、経済学者や経営者、政治家などにも同様の輩は多い。
だからこそ、他人が言ったことを鵜呑みにせずに、自分の頭で考えて判断することが必要である。
本書は初版が出たのが2004年、文庫版が出たのが2007年のため扱っているデータこそ古いものの、データの見方や考え方については、とてもためになる。
日本人論(外国は進んでる、日本は遅れてる)、世代論(昔は良かった、最近の若者はダメ等)、フリーター問題、少子化問題などについて、非常に面白い視点を提示してくれる。
もちろん、本書に対しても全てを鵜呑みにすることはできない。自分で考え批判することが大切である。
視点を増やしてくれ、自分で考えるきっかけを与えてくれる一冊。 -
Posted by ブクログ
新聞やテレビなどのメディア報道はそれぞれの思惑で情報を選んで放映しているし、何かいろいろの論の根拠となる「データ」なるものも、おしなべてなにかの意図を持って作られているんだよ、という所謂メディアリテラシーとデータリテラシーについての話。
で、その「意図」にたいする「つっこみ力」という一冊。作者は千葉県民の30代イタリア人、ということである。ここにつっこむのは負けな気がする。
非常に明晰な書き手だと思いました。いや、いやみではなく。ここ最近読んだ書き手の中でも、もっとも頭脳回路がすっきりはっきりしている。
とりわけデータリテラシーに関しては、失業率と自殺率との関係性を示すデータについての意図や、どうやって本来の意図を隠すかという手法について非常にわかりやすく啓いてくれています。この本で「つっこみ力」を鍛えよう、ということではないけれども、ただ「データ」なるものの楽しみ方、読み方および醍醐味という点を、かなり筋道立てて書いてあってすこぶるヨロスイ。
ネット上の情報に少しでも携わる気持ちのある人は、考え方の指標として是非読んでおいていい一冊なんじゃないかしらん。短いし。漫談だし。
で、おそらく日本にいる外部者としての「イタリア人」じゃないと書けない。その辺の謎ぶりがものすごくいいセンスなんですな。
そして、あんまり有名な出版社でも無名な出版社でも出せない本です。という意味では奇跡かもしれない。
筑摩の、いい仕事です。
この作者には会ってみたいなぁ。 -
Posted by ブクログ
土下座や「先生」の呼称、全裸の扱い、クールビズの歴史など、あまり注目されないであろうものに着目し、分析した一冊。
ユーモラスな語り口ながらも、切れ味鋭い毒舌でちょっと癖になりそうな読み味。
他にも印象的な話はあったが、個人的に印象的だったのは土下座の項。江戸時代の土下座は現在で言うところのうんこ座り(ヤンキー座り)だったらしい。江戸時代の絵図も見ていたはずなのに、まったく意識していなかった。
本文中に登場した、コンビニにたむろしているヤンキーに「おいこら貴様ら、そんなところに土下座してるとジャマだからどきなさい」という警官の事例は想像したら笑ってしまう。
「現在に不満な人は、未来に期待せず、過去を美化して懐かしむのです。歴史の中でもっとも捏造されやすいのは、庶民史と文化史なんです。」
という一文は至言だと思う。