丸山正樹のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
【ウェルカム・ホーム(丸山正樹)】
派遣切りにあい、やむなく介護士として特養で働くことになった主人公、康介。最初は介護の仕事が好きになれず「一時の仕事」のつもりだった。しかし、「介護拒否」、「離設(いわゆる脱走)」そして「お看取り」…利用者との様々な関わりを通して、康介は認知症高齢者の一見理解不能な行動の奥にある「その人らしさ」や「それぞれの人生」に触れ、介護士としての仕事にやりがいを感じるようになっていく。
そして物語の終盤に「事件」は起こる。
介護に従事する人、介護される人、要介護者の家族、長年連れ添った「連れ合い」が入所して離れ離れになる人…。一連のエピソードの中に、様々な立場の人々の「思い」が盛り込まれている。また、介護業界の人材不足、介護職の待遇、介護施設の経営、災害時の避難のことなど、実社会のリアルな問題についても考えさせられる。
幕間的に挿入される康介の恋物語が、なんというかコミカルで、ちょっと切ない。高齢者とか介護の描写が多い中、ちょっとした「味変」になっている。
クスッと笑えたり、ハッとしたり、憤りやジレンマを感じたり、泣けてきたりしながら、「介護」や「福祉」について学べる一冊。ぜひドラマ化して欲しい!
この作品の元になった著者の体験と思いが書かれた「あとがき」も必読です!! -
Posted by ブクログ
ネタバレ有能/無能なんていう物差しは、社会が作ったものにすぎない。そんなもので命の価値に軽重をつけたくない。健常者の感覚で言うならば、コスパ•タイパが重視される社会で、それに適応できる人が「優秀」と評価される。
でも本当は生きているだけでその生が尊重される世界で生きたい。
なんていうのは綺麗事かもしれないけど、少なくとも命の選別が行われて、蔑ろにされている命がある今の社会では生きていたくない。
•353頁の裕太のセリフに刺された。
「自分が差別的な人間と思われたくないからそんなこと言ってるんだろ。会いたいわけないじゃないか。いや仮に会いたいというのが本心だとしても、それはあくまで『奉仕の精神』だろ。援助者、介助者として、障害者に親切にしたい、親切にしなきゃいけない、そういう思いからだろ。つまり、ただのボランティア精神だ」
•健常者/障害者の二項対立を意識しすぎずに、フラットに接することができるのがいいのかな…もやもや
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Posted by ブクログ
ディナーテーブル症候群という言葉自体はきいたことがあったし、概要もある程度は知っていたけれど、いざ当事者の声を読むとかなりきついものがある。
毎度のことではあるが、今回は特に全体的に入念なリサーチのもと書かれていて、ろう文化・ろう者を取り巻く社会のことがよくわかるものだった。SNSでろう者が日々呟いていることがまさに出てきて、より心に重くのしかかるものになった。正直、ろう者と聴者の分断は完全に無くなることはないと思っているけれど、少なくとも自分はニュートラルでありたいと願う人はこのシリーズを読んでほしい。きっともう読んでいるかもしれないね。